「自己破産をするとどうなるの…?」
「自己破産をすると、生活へどんな影響があるのか知りたい」
自己破産は、裁判所の許可を得ることで、ほぼすべての借金の返済義務が免除(免責)される手続きです。
しかし、持ち家や自動車、退職金の一部などを回収されるなどのデメリットもあります。
この記事では、自己破産をするとどうなるのか、免責後の生活への影響やよくある誤解について解説します。
弁護士法人・響では、自己破産に関するご相談を24時間265日受付けています。
相談は何度でも無料なので「自己破産をするとどうなるのか」「自分は自己破産をすべきか」といった悩みでもお気軽にご相談ください。
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目次
自己破産するとどうなる?
自己破産の最大のメリットは、ほぼすべての借金の返済義務が免除されることです。
その代わりに、持ち家や車などの高額な財産や退職金の一部が回収されるなどのデメリットがあります。
しかし財産や預貯金などの全てを失うわけではなく、一定の財産を残すことは可能です。
自己破産を正しく理解するために、自己破産を行った際のメリット・デメリットを表にまとめました。
- 一部を除き返済義務が免除される
- 取り立てや強制執行を解除できる
- 生活保護受給者や無職でも手続きができる
- 自己破産後に得た財産は回収されない
- 生活に必要な財産は残せる
- 住宅や車など高額な財産が失われる
- 退職金の一部が回収される
- 保証人・連帯保証人が一括返済を求められる可能性がある
- 一部の職業・資格に制限を受ける(一定期間)
- 官報に住所や名前が載る
- 信用情報機関のブラックリストに載る(一定期間)
- 引っ越しや海外旅行ができない(一定期間)
- 自己破産後7年間は再度自己破産ができない
- 会社役員・取締役は退任になる可能性がある
自己破産にはデメリットが多くありますが、実際にはあまり影響がない場合や、対処法が存在することもあります。
どうしても借金の返済ができず自己破産を検討している場合は、メリットとデメリットをしっかり理解しておくとよいでしょう。
またご自身が自己破産をすべきかを判断できない場合は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産すると起こるプラスの影響(メリット)とは
自己破産のプラスの影響(メリット)は、次のようなものがあります。
一部を除き借金の返済義務がなくなる
自己破産を行うと、借金が免責され返済義務がなくなります。
※ただし税金や健康保険料・慰謝料や養育費などは非免責債権として免責になりません。
どれほど大きい借金を抱えていても、裁判所から免責許可決定を得られると、返済の必要がなくなり、新しい人生のスタートラインに立つことが可能です。
非免責債権については以下の記事で詳しく解説しています。
取り立てや強制執行を解除できる
自己破産の手続きを弁護士に依頼すると、債権者からの督促は止まります。
弁護士に自己破産を依頼すると、弁護士は金融機関など各債権者にたいして「受任通知」を送ります。受任通知には、取り立てを停止させる法的な効力があるのです。
またすでに「財産差押え」の強制執行になっている場合は、自己破産の手続きをすることで、強制執行を取り消しすることができます。
差し押さえについては以下の記事で詳しく解説しています。
生活保護受給者や無職でも手続きができる
生活保護を受給していたり、無職で収入がない場合でも、自己破産の申立ては可能です。
「任意整理」や「個人再生」などほかの債務整理は返済の必要があるため、一定の収入がないとできませんが、自己破産なら可能といえます。
生活保護と自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産後に得た収入や財産は回収されない
自己破産をすると家や車などの財産が回収されますが、自己破産後に得た収入や財産は回収されることはありません。
「任意整理」や「個人再生」などほかの債務整理は、3~5年程度返済が続きますが、自己破産で免責になったあとは収入も財産も自由に使うことができます。
生活に必要な財産は残せる
自己破産をしても、すべての財産を回収されるわけではなく、生活に必要な財産は「自由財産」として残すことができます。
〈自由財産とみなされるもの〉
- 99万円以下の現金・20万円以下の預貯金
- 寝具・家具・電化製品など生活に不可欠なもの
- 位牌・勲章・実印など精神生活に不可欠なもの
※裁判所によって運用が異なる場合があります。
自由財産については以下の記事で詳しく解説しています。
非免責債権や自由財産について詳しく知りたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
自己破産すると起こるマイナスの影響(デメリット)とは
自己破産には、さまざまなデメリットも存在します。
おもなデメリットは次のような点です。
- 家や自動車などの高額財産を失う
- 退職金の一部も回収される
- 保証人・連帯保証人が一括返済を求められる
- 一部の職業や資格に制限がでる(手続き期間のみ)
- 官報に住所・名前が掲載される
- 引っ越しや海外旅行・渡航に制限がかかる(手続き期間のみ)
- 自己破産後7年間は再び自己破産はできない
- 会社代表や役員・取締役は役職を解任になる
自己破産の代表的なデメリットをそれぞれ詳しく紹介します。
自己破産のでメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。
家や自動車などの高額財産を失う
自己破産を行うと、所有している自宅や自動車などの高額財産が回収されてしまいます。
高額財産は換価処分され、債権者への返済に充てられるからです。
〈自己破産で回収される財産の例〉
- 不動産
- 自動車
- アクセサリーなどの貴金属
- 99万円を超える現金
- 20万円を超える財産(預貯金、有価証券、生命保険の解約返戻金、退職金など)
自動車は、ローンを完済し終えている場合に時価が20万円以下であれば残すことも可能です。
自己破産で回収される財産については以下の記事で詳しく解説しています。
また自宅や自動車を手放したくない場合は、自己破産以外の債務整理を行うことで回避することができます。
〈自宅を手放したくない場合〉
- 個人再生で「住宅ローン特則」を利用する
- 任意整理で住宅ローンを対象から外す
※住宅ローンが完済している場合は回収されません。
〈自動車を手放したくない場合〉
- 任意整理で自動車ローンを対象から外す
※自動車ローンが完済している場合は回収されません。
ご自身の希望に合う債務整理を知りたい場合は、弁護士に相談してみましょう。
退職金の一部も回収される
自己破産で回収される財産には、退職金も含まれます。
退職金も20万円を超える金額は財産とみなされ、回収の対象になるのです。
すでに受け取った退職金だけでなく、将来的に受け取る予定のある退職金(支給予定額)も対象です。
回収される退職金の金額は、退職金の受け取り状況によって3パターンあります。
退職金の受け取り状況 | 回収される金額 |
---|---|
すでに退職金を受け取っている | 現金が99万円を超える、あるいは預貯金が20万を超える場合は預金全額 |
退職済みだがまだ退職金を受け取っていない | 支給見込額の4分の1相当額* |
在職中で退職金を受け取っていない | 支給見込額の8分の1相当額* |
*支給見込み額が20万円を超える場合
20万円を超える財産であっても、裁判所によっては「自由財産拡張」という制度が適用され、他の財産と合わせて99万円の範囲内であれば、退職金も自由財産として認められることが多いようです。
申立てを行う裁判所でどのような運用になっているかは、弁護士に聞いてみましょう。
自己破産と退職金の関係については以下の記事で詳しく解説しています。
保証人・連帯保証人が一括返済を求められる
借金に保証人や連帯保証人がいる場合は、自己破産を行うと債権者は保証人や連帯保証人へ残債を一括請求します。
自己破産によって破産者自身の借金は免除になりますが、連帯保証人には返済義務が残ります。そのため保証人は、破産者の代わりに返済することになります。
借金を分割で返済していた場合でも、自己破産した場合は保証人・連帯保証人は債権者から残りの借金を一括請求されるので注意しましょう。
これは債務者が自己破産の手続きを行った際に「期限の利益」を喪失するため、保証人・連帯保証人は一括請求されてしまうのです。
期限の利益については以下の記事で詳しく解説しています。
家族や知人が保証人・連帯保証人になっている場合は、トラブルを防ぐためにも自己破産する前にあらかじめ相談したほうがよいでしょう。
自己破産と保証人の関係については以下の記事で詳しく解説しています。
一部の職業や資格に制限がでる(手続き期間のみ)
自己破産の手続が開始(破産手続開始決定)されると、債務者は「破産者」という扱いになり、一部の職業や資格に制限を受けます。
破産者は資格の登録ができなくなるほか、それ以前に持っていた資格も一時的に取り消されるため、 一定期間は主に他人の財産や秘密を扱う職業に就くことができません。
職業や資格に影響が出るのは、おもに「士業」「不動産業」「警備員」など、社会的信頼が求められる職業・資格です。
自己破産をしても「復権」できれば制限が解除され、仕事に戻ることができます。一般的に裁判所による免責許可決定が確定すれば復権します。
- 弁護士
- 司法書士
- 弁理士
- 公認会計士
- 税理士
- 証券会社外務員
- 生命保険募集人(外交員)
- 銀行の取締役・執行役・監査役
- 有価証券投資顧問業者
- 旅行業者
- 宅地建物取引業者
- 建設業者
- 不動産鑑定士
- 土地家屋調査士警備業者
- 質屋 など
自己破産の手続きがすべて完了すれば、職業や資格の制限は解除(復権)されます。
自己破産で制限される職業や資格については以下の記事で詳しく解説しています。
官報に住所・名前が掲載される
自己破産を行うと、国が発行している「官報」に名前や住所が2回掲載されます。
官報により破産者の情報を掲載することで、債権者に対して自己破産の手続きが行われていることを知らせる(公告)ためです。
官報に掲載されるタイミングは、次の2回です。
- 破産手続開始決定したとき
- 免責許可決定されたとき
官報に名前や住所が記載されることで、自己破産したことがバレる可能性があります。
しかし実際には「一般の人が官報を見る機会はほとんどない」といっていいでしょう。官報を見る可能性があるのは、次のような組織や部署に属している人です。
- 士業(弁護士や司法書士など)
- 金融業者
- 保険会社
- 信用情報機関の関係者
- 市や区の税務担当者
- 警備会社
- 名簿業者 など
官報については以下の記事で詳しく解説しています。
信用情報機関に事故記録が登録される(ブラックリストに載る)
自己破産を行うことで、信用情報機関に事故情報が登録(いわゆるブラックリストに載る)されてしまいます。
ブラックリストに載ることで、日常生活にさまざまな制限を受けることになります。
信用情報機関は3つ存在しており、それぞれ加盟業者やブラックリストに載る期間が異なります。
信用情報機関 | 加盟業者 | 登録期間 |
---|---|---|
シー・アイ・シー(CIC) | クレジットカード会社や信販会社など | 約5年 |
日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融など | 約5年 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 銀行・信用金庫など | 約7年* |
*KSCの事故情報の登録期間は、10年から7年に変更されています。(2022年11月4日変更)
※参考:KSC「一部情報の登録終了および登録期間の短縮について」
いずれの信用情報機関でも、裁判所からの免責許可決定や破産申立てしてから5年〜7年程度ブラックリストに載ることになります。
ブラックリストに載ると、日常生活にどのような制限があるのか、以下で詳しく解説します。
ブラックリストについては以下の記事で詳しく解説しています。
クレジットカードの使用や新規契約ができなくなる
自己破産を行いブラックリストに載ると、一定期間クレジットカードの利用や新規契約ができません。
自己破産を行うと、契約しているクレジットカードは強制解約となり、使えなくなります。
借り入れ中のキャッシング残高や未払いのショッピング残高がある場合は、一括返済を請求されることになります。
解約されたクレジットカードに紐づいている「家族カード」や「ETCカード」も使えなくなるため、注意が必要です。
またブラックリストに載っている期間中は審査に通らないため、クレジットカードの新規契約をすることはできなくなります。
再びクレジットカードを使うためには、ブラックリストが抹消される5年程度を要します。
自己破産後のクレジットカードの利用については以下の記事で詳しく解説しています。
住宅ローンや自動車ローン・キャッシングなど新たな借り入れができない
自己破産を行いブラックリストに載ると、住宅ローンや自動車ローン、カードローンなどによる新規借入れはできません。
ローンや借入れ契約時には信用情報を確認されるため、ブラックリストに載っていると契約を断られるのです。
- 住宅ローン
- 自動車ローン*
- 教育ローン
- 借り換えローン・おまとめローン
- カードローン
- クレジットカードのキャッシング など
*自動車販売会社が独自に提供している「自社ローン」の場合は、契約できる場合があります。
ローンや借入の新規契約をするには、ブラックリストが抹消される5~7年程度を要します。
しかしブラックリストが抹消されても、自己破産をした時点で利用残高や借り入れがあった銀行や貸金業者からは、新規契約ができない可能性があります。
これは信用情報機関の情報とは別に、顧客の事故情報を社内で独自に記録してる場合があるためです(いわゆる社内ブラック)。
自己破産後のローン契約については以下の記事で詳しく解説しています。
賃貸住宅の新規契約ができない場合がある
自己破産を行いブラックリストに載ると、賃貸住宅の新規契約ができない場合があります。
賃貸住宅の契約時には賃貸保証会社との契約が必要な場合がありますが、「信販系」とよばれる賃貸保証会社は、入居時や更新時の審査で信用情報を参照することがあります。
そのため、ブラックリストに載っていると契約や更新を断られてしまう可能性があるのです。
信販系とはおもにクレジットカード関連の保証会社で、信用情報機関に加盟しています。
- アプラス賃貸保証
- オリコフォレントインシュア
- ジャックス(セキュアレントシステム)
- あんしん保証(ライフあんしんプラス・あんしんプラスAC)
- エポスカード(ROOM iD)
- クレディセゾン
- SMBCファイナンスサービス
- SBIギャランティ ほか
また「LICC系」とよばれるLICC(社団法人全国賃貸保証業協会)に加盟している保証会社では、家賃の滞納歴や保証会社による代位弁済(家賃の立替え)などの履歴が登録されています。
そのため長期間家賃の滞納があった場合は、審査に通らず賃貸契約ができない場合もあります。
- エイト賃貸保証
- エルズサポート
- ジェイリース
- 宅建ブレインズ
- 賃住保証サービス
- ナップ賃貸保証
- ホームネット株式会社
- ランドインシュア
ほか
参考:LICC「正会員一覧」
※2023年7月5日時点の情報です。
これらの賃貸保証会社を利用している賃貸住宅の契約時には、注意しましょう。
自己破産後の賃貸契約については以下の記事で詳しく解説しています。
携帯電話やスマートフォン端末の分割購入ができない場合がある
自己破産後一定期間は、端末の分割払い購入ができない場合があります。
携帯電話やスマートフォン端末の分割払いは「割賦(かっぷ)購入契約」となります。
割賦購入契約時には、申込者の信用情報を照会されるため、ブラックリストに載っていると新規契約ができないのです。
携帯電話会社名(サービス名称) | 加盟する信用情報機関 | |
---|---|---|
JICC | CIC | |
NTTドコモ(ドコモ・ahamo) | ◯ | ◯ |
ソフトバンク(ソフトバンク・Yモバイル・LINEMO) | ◯ | ◯ |
KDDI(au・povo) | ー | ◯ |
楽天モバイル | ー | ◯ |
UQモバイル | ー | ◯ |
オプテージ(mineo) | ー | ◯ |
※2023年7月現在の情報です。最新の情報は各信用情報機関のWebサイトでご確認ください。
携帯電話会社には独自の審査基準もあるので、ブラックリストが抹消された後でも分割購入の審査に通らない可能性があります。
携帯電話やスマートフォン端末を分割購入できない場合は、次のような対処法が考えられます。
- 携帯電話端末を一括払いで購入する
- SIMカードのみ契約して中古・格安端末を買う
- 家族などに代理契約してもらう
- プリペイド携帯やレンタル携帯を利用する
自己破産後の携帯電話契約については以下の記事で詳しく解説しています。
ローンや奨学金などの保証人になれない
ブラックリストに載っている期間中は、ローンや奨学金の保証人・連帯保証人になることはできません。
保証人・連帯保証人には主契約者と同じ返済義務があるため、ローン契約と同様の審査があります。
ブラックリストに載っている場合は、保証人としての信用力や万が一の支払い能力がないと判断されるため家族などから保証人になってほしいと頼まれた場合でも保証人にはなれません。
また、ブラックリストから情報が抹消された場合でも、過去の滞納状況などにより審査の際に保証人になれないと判断されるケースもあります。
必ず保証人になれないわけではありませんが、自己破産を行うと今後ローンなどの保証人になりづらくなる点に注意しましょう。
自己破産後の保証人については以下の記事で詳しく解説しています。
引っ越しや海外旅行・渡航に制限がかかる(手続き期間のみ)
自己破産をしても、引っ越しや海外渡航が禁止されることはありません。
しかし「管財事件」になった場合は、破産手続き中の引っ越しや海外渡航は一部制限される場合があります。
「管財事件」では 財産の調査・処分が行われるため、手続き期間中(破産申立て〜免責確定まで)は、裁判所や破産管財人と連絡がとれるように引っ越しや海外渡航が制限される場合があるのです。
しかし裁判所に申請し、許可を得られれば引っ越しや海外渡航は可能です。転居や渡航の目的が逃亡・財産隠しだと捉えられないように、理由を明確にする必要があるのです。
タイミング | 引っ越しの可否 | 渡航の可否 |
---|---|---|
自己破産手続開始前 | 自由にできる | 自由にできる |
自己破産手続中(破産手続開始後) | 管財事件の場合:裁判所の許可が必要 | ・管財事件の場合:制限される場合があるが、裁判所の許可をとれば渡航可能 ・同時廃止事件の場合:可能だが、依頼する弁護士には事前に伝えておいたほうがよい |
自己破産後(免責許可決定後) | 自由にできる | 自由にできる |
免責許可決定になり自己破産手続きが完了したあとは、引っ越しや海外旅行に制限を受けることはありません。
しかし自己破産後一定期間はブラックリストに載っているため、クレジットカードの利用はできず不便になる点は注意しましょう。
自己破産後の海外渡航については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産後の引っ越しについては以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産後7年間は再び自己破産はできない
自己破産の回数には制限はありませんが、免責許可決定から7年間は、再び自己破産はできません。
破産法では「過去7年以内に免責を受けた」場合は、原則として免責を許可しないと定めているためです。
自己破産は支払い不能になった債務者の救済措置ですが、債権者の犠牲の上で実現します。そのため安易に手続きを行うことはできないのです。
また7年経過後であっても、2回目の自己破産の原因が初回と同じ場合は、免責を認められることが難しくなります。
借金の返済を免除されたにもかかわらず、もう一度同じ原因で借金を負うと「反省していない」と判断される場合があるのです。
特に浪費やギャンブルなど、借金の原因が免責不許可事由に当てはまる場合は、初回は裁量免責となった場合でも2回目はとても難しくなります。
2回目の自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
会社代表や役員・取締役は役職を解任になる
会社の代表者や役員、取締役が自己破産をした場合は、役職を解任されてしまいます。
就任中の代表者や役員、取締役が破産することは、民法で「委任の終了事由」となることが規定されているためです。
代表者や役員は一般社員と契約内容が異なるため、自己破産時の対応も異なるので注意が必要です。
そのため、自己破産は会社経営に支障が出る可能性が考えられます。
〈法律の条文(民法)〉
(委任の終了事由)
第653条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。
(中略)
2 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
代表者や役員として業務を継続するためには、破産手続開始決定後に株主総会で再選される必要があります。
破産手続き開始決定により退任した後、復権していない場合でも速やかに株主総会を開いて選任すれば、再度就任することが可能です。
しかしこの場合は、取引先や従業員に対して信用を失う可能性もあるので、慎重に判断する必要があります。
会社代表や役員の自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産の影響に関するよくある誤解
自己破産は財産を全て失うようなマイナスイメージが強く、自己破産を行うことで受ける影響について誤解している方もいるでしょう。
自己破産のよくある誤解には、次のようなものがあります。
- 賃貸住宅から退去させられる
- 選挙権・被選挙権をはく奪される
- 戸籍や住民票に記録が残る
- 就職や結婚には影響する
- 自己破産後の給与も差押えされる
- 公的年金を受給できない
- 会社から解雇される
- 生活保護を受給できない
- 生命保険を解約される
- 携帯電話を解約される
自己破産の影響に関する誤解について、以下で詳しく解説します。
自己破産の誤解については以下の記事で詳しく解説しています。
誤解1 賃貸住宅から退去させられる?
自己破産しても、原則的に賃貸住宅の契約を解除されることはありません。
以前の法律(民法)では「賃借人が破産した場合は賃貸借契約を解約できる」と規定されていましたが、2004年に破産法および民法が改正されたことで、自己破産を理由に賃貸契約の解約はできなくなりました。
しかし次のような場合は、例外的に賃貸契約を解除されてる可能性があります。
- 家賃を滞納している
- 収入と比較して家賃の高い物件に住んでいる
- 生活保護費を受給中で、家賃が高いと判断された
自己破産では家賃の滞納分も、他の借金と同様に免責(免除)の対象になります。
自己破産申立てを行うと、すべての債務の返済ができなくなるため、家賃の滞納状態が続くことになり、賃貸借契約を解除されてしまう可能性があるのです。
収入と比較して家賃の高い物件に住んでいれば、破産管財人の判断で賃貸契約の解除をされる場合があります(破産法第53条)。
高額な家賃の支払いが、生活の立て直しを妨げていると判断された場合には、契約を解除される可能性もあるのです。
生活保護費の受給者が自己破産した場合に、現在の家賃が高いと判断された場合は、役所や破産管財人から引越しをすすめられたり、貸主から契約を解除されてしまう可能性があります。
また、自己破産後に賃貸契約を更新する場合は注意が必要です。
前述したとおり、住んでいる賃貸物件の賃貸保証会社が信販系の場合は、契約更新時に信用情報機関の照会を行います。
その際にブラックリストに載っていることが発覚して、契約更新できない可能性があるのです。
自己破産と賃貸住宅については以下の記事で詳しく解説しています。
誤解2 選挙権や被選挙権をはく奪される?
自己破産しても、選挙権や被選挙権をはく奪されることはありません。
選挙権や被選挙権は公民権(参政権)として、国民一人ひとりが持つ権利だからです。
自己破産はあくまでも経済的に困難な状況を救済するための措置のため、選挙権や被選挙権が侵害されることは認められないのです。
また公職選挙法では選挙権・被選挙権を失う条件も定められていますが、自己破産は該当しません。
- 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
- 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)
- 公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられ、実刑期間経過後5年間(被選挙権は10年間)を経過しない者。または刑の執行猶予中の者
- 選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中の者
- 公職選挙法等に定める選挙に関する犯罪により、選挙権、被選挙権が停止されている者
- 政治資金規正法に定める犯罪により選挙権、 被選挙権が停止されている者
引用:総務省 選挙と被選挙権
自己破産した場合の選挙権・被選挙権については以下の記事で詳しく解説しています。
誤解3 戸籍や住民票に記録が残る?
自己破産を行っても、戸籍や住民票には記録されません。
戸籍や住民票は個人の身分や住所を証明するためのものなので、経済状況に関する内容は一切記載されません。
またマイナンバーにはブラックリストなどの信用情報は紐づいていないので、滞納や自己破産の事実がバレることはありません。
そのため結婚の際などに戸籍や住民票から相手にバレることは、ないでしょう。
誤解4 結婚や就職・転職に影響する?
自己破産をしても、結婚や就職、転職をすることはできます。
- 自己破産しても結婚できる
民法では結婚(婚姻)の要件として婚姻適齢や重婚の禁止、近親者・直系姻族間の結婚の禁止などを規定していますが、自己破産したことや経済状況の悪化による結婚の禁止はしていません。
また自己破産をしたことが結婚相手にバレることは、ほとんどないといえます。
しかし次のような点に注意が必要です。
- 財産の一部が回収されるので結婚後の生活に影響がでることがある
- 一定期間クレジットカードの利用や新規契約ができない
- 一定期間住宅ローンや自動車ローンの新規契約ができない
自己破産後の結婚への影響については以下の記事で詳しく解説しています。
- 自己破産しても就職・転職に影響ない
就職・転職時に、自己破産したことを申告する必要はありません。
履歴書には「賞罰」の欄がありますが、自己破産は罰ではないため、記載する必要はないのです。
また自己破産をしたことが就職・転職する企業にバレることは、ほとんどないといえます。
しかし就職・転職する企業が士業、金融業者、保険会社など特定の業種の場合は、官報を見る機会があるかもしれません。
官報には自己破産した人の住所・氏名が掲載されているため、自己破産した事実がバレる可能性があるのです。
- 士業(弁護士や司法書士など)
- 金融業者
- 保険会社
- 信用情報機関の関係者
- 市や区の税務担当者
- 警備会社
など
このような企業へ就職・転職する場合は、注意が必要です。
誤解5 自己破産後の給与も差押えされる?
自己破産した後であれば、給与を差し押さえられることなく自由に使えます。
自己破産で差押えの対象となる財産は、自己破産開始決定の時点で確定します。そのため手続開始後に得た給与・賞与は、自由財産として差押えの対象になりません。
差押えの目的はあくまで滞納した債権の回収であり、滞納した債務者を罰することではありません。そのため、債務者が生活できなくなるような差押えは法律で禁止されているのです。
ただし破産手続開始の時点で受け取り予定の給料(給与債権)がある場合は、その一部が差押えの対象になります。
ご自身の給与がどのような扱いになるのか不安な方は、弁護士に相談してみましょう。
差し押さえについては以下の記事で詳しく解説しています。
誤解6 公的年金は受給できない?
厚生年金・国民年金などの公的年金は「差押禁止財産(差押禁止債権)」なので、原則として差押えをされることはありません。
そのため自己破産を行っても、公的年金の受給は問題なくできます。
〈法律の条文(厚生年金保険法)〉
(受給権の保護及び公課の禁止)
第41条 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、老齢厚生年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
ただし次のようなケースでは例外的に年金が差押えになる場合もあります。
- 年金が銀行口座に入金される
- 年金を担保に借入れをしている
- 税金や保険料などの公租公課を滞納している
また個人年金と呼ばれる民間の保険会社による年金を積み立てている場合、差押え対象になる可能性があります。
私的年金の解約返戻金は個人の所有財産と見なされるので、差押えの対象となってしまうのです。
具体的には、解約返戻金の合計が20万円を超える場合や、破産手続き開始前に加入している保険で破産手続き中に受給されるものに関しては換価処分される可能性があります。
自己破産の年金へ影響については以下の記事で詳しく解説しています。
誤解7 会社から解雇される?
自己破産をしたことを理由に、会社を解雇されることはありません。
自己破産は個人的な問題であり、ほとんどの場合は勤務先の会社へ影響があるわけではないからです。
労働者と使用者の契約について規定した法律である「労働契約法」では、客観的に合理的な理由がなければ解雇できないと定めています。
〈法律の条文(労働契約法)〉
第1条 この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。
第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
出典:e-GOV法令検索「労働契約法」
万一自己破産をしたことを理由に、勤務先の会社から解雇をいいわたされた場合は、不当解雇にあたるといえます。
万一勤務先の就業規則に「自己破産をした場合は解雇する」といった規定があった場合は、そもそも就業規則自体が無効の可能性もあります。
しかし一部の国家公務員(人事官・教育委員会委員・公安審査委員会委員・公正取引委員会委員 など)は失職・罷免されることがあります。
自己破産と解雇については以下の記事で詳しく解説しています。
誤解8 生活保護は受給できない?
自己破産の手続きを行った後でも、条件を満たしていれば生活保護費は受給できます。
生活保護は、憲法第25条「国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」の趣旨に基づき、最低限度の生活を維持できない人に対して、経済的な自立が実現するまでの間の費用を国が支給する制度です。
そのため、自己破産をしても生活が困窮する場合は、生活保護を受給することが可能です。
- 収入がない、または収入が少なくて生活ができない
- 不動産や車のような一定以上の価値ある財産を持っていない
- 家族や親戚など生活を支援してくれる人がいない
- 年金や手当などの生活保護以外の制度を頼ることができない
自己破産によって生活保護費が減額したり、審査が通りにくくなるなどのリスクもありません。
また生活保護受給者が自己破産を行った場合、自己破産に必要な予納金などの費用が免除されるメリットもあります。
ただし生活保護費を借金返済に充てたり、新たに借金をした場合、不正受給となる場合もあるので注意しましょう。
生活保護費は最低限度の生活を保障するためのものであり、借金返済などに使うことは禁じられているのです。
自己破産と生活保護については以下の記事で詳しく解説しています。
誤解9 生命保険は解約される?
自己破産を行っても、原則として生命保険を解約させられることはありません。
掛け捨てタイプの生命保険や、解約返戻金の合計が20万円以下の場合は換価処分の対象にならないからです。
ただし貯蓄型の生命保険で解約返戻金の合計が20万円を超える場合は、財産とみなされ解約・換価処分される場合があるので注意しましょう。
解約されないケース | ・掛け捨て型の生命保険 ・貯蓄型の生命保険で解約返戻金が20万円以下のとき |
解約されるケース | 貯蓄型の生命保険で解約返戻金が20万円を超えるとき ・終身保険 ・養老保険 ・個人年金 ・学資保険 など |
長期間生命保険を契約している場合や、複数の生命保険に加入している場合は解約返戻金が20万円を超えているケースもあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
自己破産と生命保険については以下の記事で詳しく解説しています。
誤解10 携帯電話は解約される?
自己破産しても、原則として携帯電話やスマートフォンは解約されません。
しかし次のケースでは、携帯電話やスマートフォンが解約される場合があります。
- 利用料金を滞納している
携帯電話の通話料などの利用代金を滞納していた場合は、自己破産をすると免責(免除)になります。 - 携帯電話端末の分割払いが完済していない
端末料金を分割払いにしている場合は「割賦(かっぷ)購入契約」となっており、自己破産の申立てが認められれば残債は免責の対象となります。
しかしその場合は、携帯電話の契約は解約(契約解除)になってしまうでしょう。
しかし携帯電話会社もその事実を知るため、利用停止や契約解除となります。
自己破産後の携帯電話契約については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産以外の方法で債務整理するとどうなる?
前述したように、自己破産にはデメリットもあります。
自己破産を検討している方の中には、持ち家や車を手放したくない方もいるでしょう。
そのような場合は、自己破産以外の債務整理を利用することも検討してみましょう。
自己破産以外の債務整理には、次の2つの方法が存在します。
- 任意整理
- 個人再生
債務整理には方法ごとにメリット・デメリットがあるので、ご自身にあった方法を選んでみましょう。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
借金の減額幅 | 小 原則将来利息カット |
中 1/5〜1/10に圧縮 |
大 原則全額免除 |
ブラックリストに載る | 〇 完済後約5年 |
〇 約5~7年 |
〇 約5~7年 |
督促・取り立ての停止 | 〇 和解後 * |
〇 申立て後 * |
〇 申立て後 * |
差押えの停止 | できない | できる | できる |
官報への掲載 | × | 〇 | 〇 |
裁判所に行く必要 | × | 〇 | 〇 |
収入の必要 | 〇 | 〇 | ✕ |
家族や会社にバレる可能性 | × | 〇 | 〇 |
住宅の回収・処分 | 回避できる | 回避できる | 回収される |
車の回収・処分 | 回避できる | ローン返済中の場合は回収される | 回収される |
保証人への影響 | 回避できる | ある | ある |
生命保険の解約 | ない | ない | ありえる |
銀行口座の凍結 | 回避できる | ありえる | ありえる |
職業・資格の制限 | ない | ない | ある |
*弁護士に依頼すると受任通知の発送ですぐに止められる
ご自身に適した債務整理を選びたい場合は、弁護士に相談してみましょう。
住宅や車の回収・保証人の影響を回避できる任意整理
任意整理は、裁判所を介さずに、借金返済方法について債権者と交渉する債務整理の方法です。
一般的に将来利息をカットしてもらい、3〜5年程度での分割返済を行っていきます。
債務整理する債権者を選ぶことができるので、住宅ローンや自動車ローンを対象にしないことで持ち家や自動車の回収を防いだり、保証人への影響を回避できます。
任意整理については以下の記事で詳しく解説しています。
住宅の回収を回避できる個人再生
「個人再生」は、裁判所を介して借金総額を1/5~1/10程度に減額してもらい、原則3年(最長5年)で返済する方法です。
※減額の下限は100万円。
個人再生の大きな特長は、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用することで、家を手放さなくて済むことです。
個人再生については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産の無料相談なら弁護士法人・響へ
弁護士法人・響では、自己破産を含む債務整理に関する相談を無料で受け付けています。どうしても借金の返済が難しい場合は、ご相談ください。
債務整理をご希望の場合は、借金や収入の額などから適切と思われる債務整理をご提案し、手続きや交渉の多くをお任せいただけます。
※法的手続きの場合は、ご依頼者様自身で書類収集や作成を行っていただく必要がありますが、ていねいにサポートをいたします。
またご相談の結果、債務整理をする必要がない場合は強要することはありませんので、お気軽にご相談ください。
弁護士法人・響については以下をご覧ください。
自営業・個人事業主が自己破産するとどうなる?
自営業・個人事業主が自己破産を行っても、受ける影響は一般の人とほとんど変わりません。
しかし自営業・個人事業主を行っている方が自己破産をした場合、次のようなデメリットがあります。
- 事業設備や在庫も財産として処分される
設備や備品、在庫、材料など、事業に必要な財産も原則として処分の対象となります。 - 事業に関する契約は解除となる
事務所の賃貸契約や取引先との契約のような、事業に関連した契約関係も破産管財人によって清算されます。 - 自己破産後5〜7年は事業資金の借り入れが難しくなる
自己破産をした事実は、ブラックリストに5〜7年程度載ることになります。
ブラックリストに載っている間は、事業資金のための融資を受けようとしても、金融機関の審査に通りにくくなってしまいます。
上記のような理由で自己破産手続きを行った場合は、事業の継続が難しくなる可能性があります。
自営業・個人事業主で債務整理を考えている場合は、任意整理や個人再生など別の方法で債務整理を行えば、事業を継続しながら債務を返済することも可能です。
弁護士に相談することで、最適な債務整理の方法を選ぶことができます。
個人事業主の自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産によるプラスの影響(メリット)
・一部を除き返済義務が免除される
・取り立てや強制執行を解除できる
・生活保護受給者や無職でも手続きができる
・自己破産後に得た財産は回収されない
・生活に必要な財産は残せる自己破産によるマイナスの影響(デメリット)
・家や自動車などの高額財産を失う
・退職金の一部も回収される
・保証人・連帯保証人が一括返済を求められる
・一部の職業や資格に制限がでる(手続き期間のみ)
・官報に住所・名前が掲載される
・信用情報機関に事故記録が登録される(ブラックリストに載る)
・ローンや奨学金などの保証人になれない
・引っ越しや海外旅行・渡航に制限がかかる(手続き期間のみ)
・自己破産後7年間は再び自己破産はできない
・会社代表や役員・取締役は役職を解任になる自己破産以外の債務整理でデメリットを回避できる場合もある
・住宅や車の回収・保証人の影響を回避できる任意整理
・住宅の回収を回避できる個人再生- 自己破産の無料相談なら弁護士法人・響へ
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