個人再生が不認可になる理由は?その後どうなるか、対処法まで紹介

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個人再生が不認可になる理由は?
個人再生が不認可になってしまったら、どうすればいい?

個人再生が不認可となることはまれですが、可能性がないとはいえません

途中で個人再生手続が終わってしまう理由はさまざまですが、特に気をつけたいのは提出書類や再生計画案の不備などによる個人再生の不認可です。

もし、個人再生が不認可となり、失敗してしまった際には、借金の減額はなされず、かかった費用が返還されることもありません。

このような失敗を避けるためには、弁護士に相談しながら、慎重に個人再生手続を進めることが重要です。

この記事では、個人再生の不認可事由や、不認可となってしまった場合の対処法について、解説していきます。

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目次

個人再生が失敗する確率と不認可事由

令和2年度の司法統計によると、申立てのあった個人再生事件のうち、6.8%は途中で手続きが中止や廃止となっています。

全体の1割にも満たないものの、絶対に成功するとも言い切れないのです。

基本的に、個人再生が不認可となる理由は、大きく以下2つに分けられます。

  • 債権者決議にて債権者の不同意があった場合(小規模個人再生手続のみ)
  • 裁判所に不認可と判断された場合

ここからは、「小規模個人再生手続」と「給与所得者等再生手続」の2種類の個人再生手続における不認可事由を具体的に見ていきましょう。

個人再生については以下の記事で詳しく解説しています。

小規模個人再生手続の不認可事由

小規模個人再生手続とは、借金総額が住宅ローンを除き5,000万円以下で、定期的な収入の見込みがある人が利用できる制度です。

また、再生計画案に対し、債権者(お金を貸した側の金融機関など)の決議が必須となり、このとき、個人再生に反対する業者は不同意を示すことができます。

このような小規模個人再生手続において、不認可となるおもな事由として、民事再生法・第174条および第241条で以下の4項目が定められています。

  • 再生手続または再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき
    再生手続において、または再生計画案において重大な法律違反があり、それを修正できない場合には、個人再生手続は不認可とされます。
  • とはいえ、手続き上の軽微な違反に関しては、必ずしも不認可につながるというわけではありません。

  • 再生計画が遂行される見込みがないとき
    月々の返済額が毎月の収入額に対して多すぎるなど、再生計画案に無理がある場合には、不認可事由に値します。
  • このとき、提出期限前であれば修正が可能ですので、弁護士とよく話し合い、現在の収入から毎月返済に充てられる金額を正確に割り出し、綿密な再生計画案を立てましょう。

  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき
    先述のとおり、小規模個人再生では、債権者の決議が必要になります。
  • このとき、詐欺・脅迫などの手段を用いて、債権者に不同意をしないようにと呼びかけるなどの不正がある場合には、個人再生手続は不認可となります。

  • 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき
    「再生債権者の一般の利益に反する」とは、個人再生における「最低弁済額(借金減額後、最低限返済しなければならない金額)」が、自己破産手続を行った際の配当を下回る場合のことをいいます。

基本的に、個人再生の最低弁済額は借金総額に応じて異なり、以下の表のとおりになっています。

借金(債務)総額 最低弁済額
100万円未満 借金総額全部(減額なし)
100万円以上
500万円以下
100万円
500万円超
1,500万円以下
借金総額の5分の1
1,500万円超
3,000万円以下
300万円
3,000万円超
5,000万円以下
借金総額の10分の1

※借金総額からは住宅ローンを除く
※ただし、所有財産の合計額(清算価値)が借金額を超える場合は、その金額が借金額として算出されます

しかし、債務者(お金を借りた側)に家や車などの財産がある場合には、上記の最低弁済額よりも、自己破産を行って財産を換価処分したときに債権者に配当される金額の方が高くなる可能性があるのです。

そのため、個人再生をする場合には、仮に自己破産をした場合に債権者へ配当される額(清算価値)分は、必ず債権者に支払う必要があるとされ、できない場合には再生手続が不認可となってしまいます。

上記のほか、以下のようなケースにおいても、不認可となる可能性が高いです。

  • 小規模個人再生を行う際の以下の要件を満たしていない
  • 小規模個人再生を行う場合、先述した以下の要件を満たしている必要があります。

    • 借金総額(住宅ローンを除く)が5,000万円以下であること
    • 返済の見込みがあること

    そのため、借金総額が5,000万円を超える場合や、無収入で返済の見込みが立たない方は、再生計画は不認可となります。

  • 債権者から同意を得られない
  • 先述のとおり、小規模個人再生の場合には、債権者による決議が必要です。

    このとき、「債権者の半数以上の不同意」、または「債権額の2分の1以上を所有する債権者の不同意」があった場合は、再生計画が不認可となります。

    楽天カードなど一部の金融機関や債権額の過半数を所有する金融機関は、不同意を示すケースが多いようです。

    また、2回目以降の個人再生を行う際には、債権者のチェックが厳しくなることもあるようです。

清算価値については以下の記事で詳しく解説しています。

給与所得者等再生手続の不認可事由

給与所得者等再生手続とは、借金総額が住宅ローンを除き5,000万円以下、給与など変動幅が少ない収入の見込みがある人が利用できる制度で、債権者決議が不要となります。

ただし、小規模個人再生よりも減額幅は小さくなる傾向があります。

給与所得者等再生手続の不認可事由として、小規模個人再生手続と同様、民事再生法・第174条および第241条に以下のように規定があります。

  • 再生手続または再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき
  • 再生計画が遂行される見込みがないとき
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき
  • 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき

そのほか、給与所得者等再生の場合は、下記のような不認可事由が考えられます。

  • 継続的または反復的に収入を得る見込みがないとき
    給与所得者等再生の場合、継続的または反復的な収入が見込めないときは、安定した返済の見通しが得られないとされ、再生計画が不認可となります。
  • 給与またはこれに類する定期的収入を得ている者に該当しないとき、またはその2年分の収入に2割以上の変動があるとき
    上記と同様の理由で、過去2年間で給与額に大きな増減がある場合にも、再生計画が不認可になる可能性があります。
  • 過去7年以内に給与所得者等再生や自己破産などを申し立てたことがあるとき
    以前に給与所得者等再生手続を利用していた場合や、自己破産を行った場合には、その手続きが開始決定してから7年間たっていない場合は、給与所得者等再生手続の申立てが棄却されます。

給与所得者等再生については、以下の記事でも詳しく解説しています。

個人再生が不認可になってしまった場合にはどうすればいい?

では、個人再生が不認可となってしまった場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。

ここからは、「債権者決議にて債権者の不同意があった場合」と、「裁判所に不認可と判断された場合」のそれぞれのケースについて、解説していきます。

債権者決議にて債権者の不同意があった場合

小規模個人再生手続の場合、債権者の「消極的同意(反対はしないが賛成もしない)」を得るための債権者決議が必須です。

多くのケースでは、債権者が再生計画に反対することはないといえるでしょう。

ただし、場合によっては半数以上、または債権額の2分の1を超える反対意見が出る可能性があり、再生計画が不認可となってしまうこともあります。

その場合は、小規模個人再生手続ではなく、給与所得者等再生手続を行いましょう。

給与所得者等再生手続であれば、債権者決議が不要となるため、スムーズに手続きを進められるでしょう。

裁判所に不認可と判断された場合

もし裁判所に「返済の見込みなし」と判断されて不認可決定がなされてしまった場合は「見込みなし」と判断されてしまった理由を除去する必要があります。

前述した不認可事由と照らし合わせて、なぜ不認可となってしまったのかについて自分の状況を見直してみましょう。

その後、以下のような対処法を検討するとよいでしょう。

  • 再度、個人再生を申し立てる
  • 自己破産をする

それぞれの方法について、次の項から見ていきましょう。

再度個人再生を申し立てる

裁判所に不認可と判断されるときは、「安定的な収入がない」と判断されているケースが多いと考えられます。

そのため、定期的に収入を得られるようになってから申立てを行うと、許可を得られる可能性が高くなるといえるでしょう。

なお、小規模個人再生手続は申立ての回数や期間に制限がなく、いつでも何度でも申立てを行えます。

一方、給与所得者等再生手続は、過去に一度認められている場合や自己破産を行っていた場合、手続開始決定から原則7年間は申立てができません

ご自身の状況に合った個人再生方法を検討しましょう。

2回目の個人再生を考えている方は、以下の記事も参考にしてください。

自己破産をする

もし個人再生の要件を満たせない場合は、自己破産も選択肢のひとつとなります。

自己破産を行うメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 一部を除いて、借金のすべてを減額・免除(免責)してもらえる
  • 免責後に得た収入や財産は、原則として債務者自身が自由に使える
  • 手続きを開始すると、財産の差押えなどの強制執行が止まる
  • 個人再生が不認可になっても自己破産なら免責してもらえる可能性がある

ただし、住宅ローン特則によってローン返済中の住宅は差押えの対象にならない個人再生とは異なり、自己破産では住宅が差押えの対象になります。

借金額が大きく、住宅や車など手元に残しておきたい財産がないといった場合や、返済のめどが立たず再生計画案の不認可が予想される場合は、自己破産の方が向いている可能性があります。

自己破産について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

認可決定後に取り消された場合の対処法は?

個人再生の手続きは無事に終了したとしても、再生計画の不履行(再生計画のとおりに返済できないこと)があった場合には、認可決定後に取り消されてしまう可能性があります。

個人再生は、減額された借金を、原則3ヶ月に1回以上のペース(民事再生法・第229条)で返済し、3~5年での完済を目指す債務整理方法です。

この間、一度でも返済の遅延・延滞が発生すると、認可が取り消される可能性があるため、注意が必要です。

認可が取り消されてしまうと、減額された借金はもともとの金額に戻ってしまいます

再び個人再生を行う場合にも費用はかかりますし、過去7年以内に給与所得者等再生が一度認められていた場合は、自己破産もできないため、小規模個人再生しか選べません。

そのため、一度個人再生が認可されたら、取り消されないためにも、再生計画どおりに返済していくことが大前提となります。

もし、返済が困難になったときは、​​再生計画案の変更を申し出ましょう。

民事再生法・第234条(再生計画の変更)に定められているとおり、裁判所に申立てをすることで「再生計画の変更(リスケジュール)」ができる可能性があり、最長2年の延長が認められています。

返済額は変えず、返済期間を延長するという変更であれば、債権者も応じてくれる確率が高いといえるでしょう。

もし、ほとんど返済し終わっている状態で、やむをえない理由で返済できなくなってしまった場合には、残りの借金がすべて免除される「ハードシップ免責」も視野に入れましょう。

ハードルの高い制度ではありますが、「4分の3以上の返済を終えている」「再生計画を変更しても返済の見込みが立たない」などの条件を満たせば、利用できる可能性があります。

個人再生が不認可とならないように弁護士など法律の専門家に相談を

個人再生手続は、書類の不備や債権者の反対によって不認可となってしまうケースもあります。

不認可を避けるためには、弁護士などの法律の専門家に相談をしたうえで、ご自身の収入や保有財産を考慮し、無理のない再生計画を立てることが大切です。

もし、再生計画に対して指摘があった場合には、再生計画案の提出前であれば即座に補正し、再提出を行いましょう。

一度、再生計画が不認可となり手続きが中止となってしまったとしても、小規模個人再生であれば制限なく申立てが認められていますので、再度の申立てを検討してもよいでしょう。

とはいえ、何度も個人再生を申し立てれば、そのたびに50~80万円程度の裁判所費用や弁護士費用がかかります。できることなら、1回目の個人再生手続を成功させたいところでしょう。

そのためには、債務整理の取り扱いが豊富な弁護士へ相談することが重要です。

弁護士法人・響では、債務整理の相談実績は39万件以上にのぼります。

相談は何度でも無料で承っていますので、個人再生手続において不安がある方はお気軽にお問い合わせください。

まとめ
  • 個人再生が不認可となってしまう理由を大きく分けると、以下の2つが挙げられる。

    ・債権者の不同意があった場合
    ・裁判所に不認可と判断された場合

  • 債権者の同意が得られないと予測される場合は、小規模個人再生手続から給与所得者等再生手続に変更する手段もある。

  • 裁判所に不認可と判断された場合は、再生計画案を見直すなど、不認可事由を解決してから再度個人再生を行うか、場合によっては自己破産の検討を。

  • 認可後に返済が滞ると、認可取り消しの判断が下されてしまうことがあるため、返済が困難になった場合は以下のような対策をとること。

    ・再生計画の変更(リスケジュール)
    ・ハードシップ免責の利用

  • 書類提出の遅延など、手続き上の不備で不認可となることもある。債務整理の取り扱い実績が豊富な弁護士に相談し、サポートしてもらうことが大切。

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監修者情報
監修者:弁護士法人・響弁護士
山本 皓太
弁護士会所属
第二東京弁護士会 第57615号
出身地
千葉県
出身大学
明治大学法学部 明治大学法科大学院
保有資格
弁護士・行政書士・宅地建物取引士
コメント
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[実績]
43万件の問合せ・相談実績あり
[弁護士数]
43人(2023年2月時点)
[設立]
2014年(平成26年)4月1日
[拠点]
計7拠点(東京、大阪、香川、福岡、沖縄)
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