自己破産したら滞納した税金も支払い免除になる?払えない時の対応やリスクとは

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この記事の監修者
藤田 圭介
この記事の監修者
藤田 圭介弁護士
弁護士会所属
大阪弁護士会 第57612号
出身地
兵庫県
出身大学
立命館大学法学部 立命館大学法科大学院
保有資格
弁護士・行政書士
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お悩みを抱えているみなさん、勇気を出して相談してみませんか?その勇気にお応えします。

借金の返済が追いつかなくて、税金も払えない……
自己破産すれば税金も支払わずに済む?

自己破産しても、税金の滞納分が免除になることはありません 。滞納分だけでなく、今後支払わなければならない税金も同じです。

これは税金が「非免責債権」の一つであるためです。

税金の滞納があると、自治体や税務署などが差押え手続きをしてくることもあります。

どうしても税金を支払えない場合、自治体窓口などにすみやかに相談するようにしてください

自己破産をするべきかなど、迷って対応できていない場合、弁護士に相談してみるのも一つの手です。

自己破産での税金の扱い、税金を払えないときの対処法について解説します。

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目次

自己破産しても滞納した税金は支払い免除(免責)されない

税金は「非免責債権」であり、自己破産をしても支払いは免除されません。
次の項目から詳しく解説します。

自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。

非免責債権とは

非免責債権とは、自己破産で裁判所に免責を許可された場合も、支払い義務がなくならない債権のことです。
破産法第253条1項に定められており、公的な債権や法的な罰則、人の生死に関わるものが多くなっています

続きを読む
破産法

(免責許可の決定の効力等)
第253条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。

1 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
2 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
3 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
4 次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
5 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
6 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
7 罰金等の請求権

引用:e-GOV法令検索「破産法」

非免責債権については以下の記事で詳しく解説しています。

非免責債権の種類

非免責債権には、以下のようなものがあります。

非免責債権 説明・例
各種税金、公共料金 市民税・所得税・住民税・自動車税・固定資産税、国民年金保険料・国民健康保険料、下水道料金 など
損害賠償債権 破産者が故意または重大な過失により加えた、人の生命または身体を害する不法行為に基づくもの、もしくは、破産者が悪意で加えた不法行為に基づくものに限る

例)酒気帯び運転の交通事故の損害賠償金、モラハラやDVでの離婚慰謝料 など
家族の扶養義務に基づく債権 婚姻費用、離婚後の子どもの養育費 など
従業員の給料 個人事業主の場合のみ。法人は免除される
罰金 罰金、過料、訴訟費用 など

税金の滞納分が払えない場合は?やるべきことを解説

税金を滞納している場合、以下のような方法での対処が考えられます。

  • 他の支払い分を税金の支払いに充てる
  • 国税局や自治体の窓口に相談する
  • 生活保護の受給を検討する

それぞれについて見ていきましょう。

他の借金の支払い分を滞納している税金の支払いに充てる

他にも借金を抱えていて税金の支払いを滞納してしまっている場合、税金を優先して支払ったほうがよいといえます。

詳しくは「税金を滞納して払わないとどうなる?」で解説しますが、税金は滞納から最短で1ヶ月で差押えを執行される場合もあり、緊急度が高いためです。

なお、税金の滞納分のみを支払ったとしても、自己破産することは可能です。

税金の滞納分の支払いは「偏頗弁済(へんぱべんさい)」にはならない

自己破産前や自己破産の手続き中に、特定の債権者(お金を貸した人)に借金を返済すると「偏頗弁済(へんぱべんさい)」に該当し、免責を認められない可能性があります。(破産法263条3項3号

たとえば、消費者金融からの借入れを滞納しているのに住宅ローンのみを返してしまうと、自己破産が認められないケースがあるのです。

しかし、税金のみを支払うのは偏頗弁済に当たりません

借金の返済より税金の支払いを優先していたとしても、自己破産に影響はないのです。

どうしても支払えなければ、国税局や自治体の窓口に相談する

滞納した税金の支払いがどうしても難しい場合は、以下の国税局や自治体の相談窓口を利用しましょう。
税金の支払いの分割(分納)・猶予の相談に乗ってもらえる可能性があります

    ​​​​
  • 国税(所得税、相続税、贈与税など)の納付が難しい場合の相談窓口
    国税局電話相談センター
  • 地方税(住民税、自動車税など)の納付が難しい場合の相談窓口
    :各自治体役所の税務課窓口など

参考:通常の納税の猶予の要件等|国税庁

なお、上でもふれたとおり税金を滞納し始めてから差押えまでの日数は短いケースもあるため、税金の支払いができないことがわかった場合、早めに相談に行くことをおすすめします

偏波弁済については以下の記事で詳しく解説しています。

生活できない場合は、生活保護の受給を検討する

税金の支払いのみでなく、最低限の生活を送るための収入などが得られない場合、選択肢になりうるのが生活保護の受給です。

生活保護を受給すると滞納した税金の督促などが止まったり、税金自体が減免されたりします

さらに3年以上生活保護を受給していると、滞納分の支払いが免除となる制度もあります

生活保護受給については、収入や親族からの援助などについて条件があるため、受給したい場合、各自治体の福祉窓口などに相談するのがよいでしょう。

生活保護については以下の記事で詳しく解説しています。

次の項から、生活保護受給後の税金の支払いについて解説します。

生活保護受給中は、滞納した税金の支払いの督促などが一時停止される

生活保護を受給しているなど、無理に税金を支払うと生活が破綻してしまう可能性がある場合に、税金の督促や差押えなどの滞納処分を猶予する制度が国税徴収法第153条に定められています。

つまり、生活保護受給中は、滞納した税金の督促や差押えが一時的に止まるのです

また、生活保護の受給中は所得税などの税金、公共料金の支払い自体が免除されます

ただし、相続税や贈与税などの税金は、減額・免除されることはありません。

なお、生活保護受給者が相続や贈与で財産を入手した場合、生活保護の給付金の額が減ったり、給付が打ち切られたりする可能性があります。

生活保護受給後、3年で滞納した税金は免除になる

生活保護の受給から3年が経過すると、受給者が滞納していた税金の支払い義務が免除されます

ただし、受給から3年の間に生活保護の対象外になれば、再び税金の滞納分の支払い義務が生じるので、注意が必要です

生活保護受給者への税金の滞納処分停止について定めた条文は以下のとおりです。

続きを読む
国税徴収法

(滞納処分の停止の要件等)
第153条 税務署長は、滞納者につき次の各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる。

一 滞納処分の執行及び租税条約等の相手国等に対する共助対象国税の徴収の共助の要請による徴収(以下この項において「滞納処分の執行等」という。)をすることができる財産がないとき。
二 滞納処分の執行等をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
三 その所在及び滞納処分の執行等をすることができる財産がともに不明であるとき。
2 税務署長は、前項の規定により滞納処分の執行を停止したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。
3 税務署長は、第一項第二号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その停止に係る国税について差し押さえた財産があるときは、その差押えを解除しなければならない。
4 第一項の規定により滞納処分の執行を停止した国税を納付する義務は、その執行の停止が三年間継続したときは、消滅する。
5 第一項第一号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その国税が限定承認に係るものであるとき、その他その国税を徴収することができないことが明らかであるときは、税務署長は、前項の規定にかかわらず、その国税を納付する義務を直ちに消滅させることができる。

引用:e-GOV法令検索「国税徴収法」

税金を滞納して払わないとどうなる?

自治体などに相談もせず、税金を払わないで放置していると、財産や給与などの差押えを受ける可能性があります

また、税金を支払わずに放置していても、時効の成立は望めないといえます。

以下で詳しく解説します。

滞納から最短1ヶ月程度で、滞納処分(給与等の差し押さえ)になる可能性がある

税金や借金を滞納すると、給与や財産などを差し押さえられる可能性があります

自治体などは裁判所を通さず差押えの強制執行を行えるため、税金滞納時は差押えまでの期間が最短1ヶ月と短いのが特徴です

また、下の表からわかるように、税金を滞納すると「延滞税」が発生します。

滞納期間が長いほど、支払う金額も増えてしまうのです。

<税金による差押えの流れ>
支払日翌日〜 延滞税が発生、支払額が増える
※延滞税率は「延滞税について|国税庁」ほか地方自治体ホームページを参照
地方税:支払日から20日以内
国税:支払い日から50日以内
督促状の送付
(地方税法第329条1項、国税通則法第37条2項)
※督促状の後「催告書」「差押予告」などが送られてくることも
督促状の発行日から10日納税しない場合 「差押調書」の送付、差押えの執行
(滞納分の納税、もしくは分納などの合意後) 差押えの解除

なお、借金も3ヶ月以上滞納が続くと差押えが行われる可能性があるため、放置し続けてはいけません。

そもそも自己破産するか迷っていたり、債務整理の方法に疑問があったりして動けていない場合は、相談無料の弁護士事務所にまずは相談してみるのもよいでしょう

税金の時効が成立することはほとんどない

税金にも、税務署や自治体などから一定期間税金を請求されなければ納税義務が消滅する「消滅時効」はあります。

しかし、税金の時効が成立することはほとんどありません

税金の督促状が送られてきたり、差押えが行われたりすると「時効の更新(中断)」が起き、時効の年数のカウントがリセットされるためです。

ただし、生活保護を受給している場合、税金の時効が成立するケースもあります。
詳しくは「生活保護受給後、3年で滞納した税金は免除になる」で解説しています。

参考までに、税金の時効は以下のとおりです。

スクロールできます>>

期限内に税金の申告書を提出していた場合 原則、申告期限の翌日*から3年(国税通則法第70条
期限内に税金の申告書を提出していなかった場合 原則、申告期限の翌日*から5年(国税通則法第70条
脱税の意図があった場合 原則、申告期限の翌日*から7年(国税通則法第70条

*時効の中断(更新)があると変更になる

借金の消滅時効については以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ
  • 税金は非免責債権であり、自己破産しても滞納した税金は支払い免除(免責)されません。

  • 税金の滞納分が払えない場合は、状況別に以下のような対処を検討しましょう。

    ・他の支払い分を税金の支払いに充てる
    ・国税局や自治体の窓口に相談する
    ・生活保護の受給を検討する

  • 税金には時効もありますが、督促状を送られると時効が更新(中断)され、時効のカウントがリセットされるため、成立することはほとんどありません。
    それどころか、滞納から最短1ヶ月で差し押さえられるケースも起こりうるため、早めに対処することが必要です
    自己破産をするべきか迷って動けていない場合などは、弁護士に相談をするのもよいでしょう。

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