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自己破産を申し立てる際、裁判所には「債権者一覧表」といって、自身のすべての借入先を記載した書面を提出しなければなりません。
自己破産手続きは、ここに記載のあった債権者からの借金の支払い義務を失くすこと(免責決定)が最終的な目的です。
しかし、失念などによって記載漏れがあった場合はどうなってしまうのでしょうか?
事情によっては免責決定の効果が及ばなくなってしまうこともありますので、なるべく失念がないように申立をしましょう。
債権者一覧表の補正による対応
裁判所は債権者一覧表の提出をもって、債務者の負債状況を把握します。
その後、破産手続開始決定が出ると、そこに記載された債権者の住所に、破産手続が開始したこと、破産管財人が選任されれば(詳しくは「破産管財人がついたらどうなるの?」)その破産管財人の氏名、破産債権の届け出をすべき期間といったものを通知します。
そのため、失念していたことに気付いたのが破産手続開始決定前であれば、債権者を新たに追加する旨の上申書を作成することによって、債権者一覧表を補正することができます。
最悪でも免責決定前に債権者一覧表を補正することができれば、問題なく手続きを進めることができます。
免責決定後の対応
自己破産という手続きは、免責決定から1ヶ月の期間経過後、免責決定の確定によってすべての手続きが終結します。
では、終結後に債権者の失念に気付いた場合は、どうなってしまうのでしょうか。
この場合、失念していた理由が問われることになります。原則、免責の効力というのは、すべての債権者に対して効力をもたらすものとされているため、失念していた債権者に対しても免責の効果は及んでいるものと考えられています。
しかし、記載漏れが破産者の故意や過失によるものだったときは、免責の効力は及ばないとされています。
つまり、わざと債権者一覧表に記載をしなかったような場合がこちらに該当します。こうした行為が後から判明してしまうと、その債務に関しては支払い義務が残ってしまうことになります。
免責決定後に請求があって気付いた場合
免責決定後に債権者からの請求によって気付いた場合、まずは請求のあった債権者に対して、すでに自己破産手続を終えていることを伝えましょう。
場合によっては「免責決定書」の送付をお願いされることもあるかもしれません。
こうした事態にそなえて、免責決定書は必ず手元に保管しておくようにしましょう。仮に失くしてしまっても、申立をした裁判所から取り寄せることが可能ですが、手数料がかかるので注意しましょう。
よほどおかしな債権者でもない限り、免責決定を示すことができれば、今後は支払い請求をしてくることはありません。
しかし、それでもしつこく請求をしてくるような場合は、専門家に相談をするなど、別の対応を検討するようにしましょう。