- 弁護士会所属
- 第二東京弁護士会 第54634号
- 出身地
- 熊本県
- 出身大学
- 大学院:関西大学法学部 同志社大学法科大学院
- 保有資格
- 弁護士・行政書士
- コメント
- 理想の弁護士像は、「弱い人、困った人の味方」と思ってもらえるような弁護士です。 そのためには、ご依頼者様と同じ目線に立たなければならないと思います。そのために日々謙虚に、精進していきたいと考えています。
免責決定通知書とは、自己破産の手続きで、裁判所により免責が決定したときに送られる書面です。
この書面は免責決定後に郵送されますが、弁護士に代理人として手続きを依頼している場合、弁護士宛てに送られます。
もしなくしてしまった場合、裁判所に書類などを提出することで再発行が可能です。
以下のような場面で免責がおりていることを証明するために利用されることがありますが、免責確定後に発行できる「免責許可確定証明書」で証明を行うケースが多いでしょう。
- 生活保護費の申請時
- 自己破産手続きにおいて債権者(お金を貸した人)の抜けが生じていたとき
- 信用情報機関の事故情報が残っている場合の削除依頼時
免責決定通知書が届くタイミングや、届いた後の流れ、紛失時の対処法などについて解説します。
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目次
免責決定通知書とは自己破産手続きで免責許可が出たときに送られる書面
免責決定通知書とは、破産手続きで免責が決定したときに送られる書面のことです。
免責許可決定正本、免責決定書と呼ばれることもあります。
以下のように「決定」「主文」「理由」という構成要素で、自己破産を申し立てた債務者(破産者)の免責が決定された旨と、免責が妥当とされた理由が書かれています。
ただし、免責決定通知書には自己破産の免責が確定したという意味はないので、免責決定通知書が効力を発揮する場面も限られます。
下で詳しく解説します。
自己破産については、以下の記事で詳しく解説しています。
免責決定通知書が届いても自己破産手続きは終了していない
免責決定通知書が届いたからといって、免責が確定し、完全に破産手続きが終わったわけではないという点には注意が必要でしょう。
自己破産の免責(返済義務の免除)の効力は、免責許可決定後しばらくたって免責許可決定が確定したときに発生します(破産法253条1項)。
そもそも自己破産とは、免責を求めて裁判所に借金の返済不能を申し立てる手続きなので、免責の効力が発揮される「免責確定」こそが本来のゴールといえるのです(免責許可決定後の流れは下記参照)。
自己破産の免責については、以下の記事で詳しく解説しています。
免責決定通知書の用途は限定的
免責決定通知書が必要になるのは、以下のような場面に限られるでしょう。
- 生活保護費の申請時、過去に免責決定を得ていることを証明する場合
- 自己破産手続きにおいて債権者の抜けが生じていた際、その債権者に対して免責決定の事実を示す場合
- 免責から一定期間たっても信用情報機関の事故情報が消えておらず、免責の事実や日時を証明して事故情報の削除依頼をする場合(免責確定証明書の方が望ましい可能性があります。詳細は後述)
ただし、これらの場面では、免責許可決定の確定後に発行できる「免責確定証明書」を利用する方が確実なことも多いといえます(詳しくは後述します)。
とはいえ、免責決定通知書は「自己破産が無事終わりそうだ」ということを知らせてくれる通知であり、ぜひ手元に欲しいという人も少なくありません。
次の項目から、免責決定通知書が届くタイミングや、届かない場合の対処法について解説します。
免責決定通知書はいつ届く?届かない場合はどうする?
免責決定通知書が届くのは、自己破産の免責許可決定日から1週間〜数週間程度たってからのことが多いでしょう。
免責決定通知書が届かない場合は、代理人となっている弁護士か裁判所に確認してみてください。
詳しく解説します。
免責決定通知書は免責決定から数週間程度で送られる
裁判所は、免責決定後に免責決定通知書を郵送しますが、手続きなどの関係で免責決定してから通知書の到着まで1、2週間以上かかることもあるようです。
自己破産手続きで免責が出る期間の目安は以下のとおりです。
- 破産手続開始決定から意見申述期間(2ヶ月程度)経過後(同時廃止手続の場合)
- 免責審尋日から1週間程度(少額管財、管財事件手続の場合)
この際、自己破産手続きを弁護士に依頼していて申立代理人がいる場合には免責決定通知書の宛先は申立代理人です。
なお、免責不許可となった場合は「免責不許可通知」が送付され、本籍地の役所が管理している「破産者名簿」に氏名が載ります。
自己破産の免責不許可については以下の記事で詳しく解説しています。
免責決定通知書が届かない場合は代理人弁護士か裁判所に確認を
弁護士に自己破産手続きを依頼していて、免責審尋からしばらくたっても免責決定通知書が手元に届かない場合、まずその弁護士に免責決定通知書が届いているかを確認してみましょう。
上で書いたとおり、免責決定通知書は破産者宛てではなく、申立代理人宛てに送られるためです。
弁護士には免責決定通知書が届いた旨を債務者へ通知する義務はなく、連絡されていないケースも少なくありません。
ただし、弁護士の記録保管義務は最低3年とされているため、すでに免責決定から3年以上が経過している場合、書類自体が破棄されている可能性が高いでしょう。
こういった場合、再発行の手続きが必要になります(手続きは記事下部で詳しく解説しています)。
なお、ご自身で自己破産手続きを行っており、上で示した目安の期間を大幅に過ぎても裁判所からの通知がない場合、破産申立て先の裁判所の担当係に問い合わせて確認してください。
免責決定通知書が届いたらどうなる?その後の流れを解説
免責決定通知書が届いたということは、自己破産の免責許可が決定されたということであり、この段階で免責許可が出た事実が官報に載っていることもあります。
官報に掲載されてから2週間前後で免責が確定され、免責確定1ヶ月後には免責許可確定証明書が申請できるようになります。
信用情報機関から事故情報が消えるまでは5〜10年程度かかり、その間はクレジットカードなどの作成、利用ができないので注意が必要です。
詳しく解説します。
自己破産手続きの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
免責許可決定から1〜2週間程度で官報に掲載される
自己破産で免責許可が決定されると、約1〜2週間後にその事実と個人情報が官報に掲載されます(官報公告)。
官報とは国の機関紙のようなもので、免責決定時は以下のような内容が掲載されます。
令和○年(フ)第○○号
○○県○○市○○1丁目2番地3
破産者 ○○○○
1 決定年月日 令和○年○月○日
2 主文 本件破産手続を終結する。
3 理由の要旨 配当が終了し、破産管財人の任務終了による計算の報告を目的とした債権者集会は終結した。
4 主文 破産者について免責を許可する。
○○地方裁判所○○部
免責決定後、官報で上記のような事実を掲載することにより、この債務者にお金を貸していた債権者から異議がないかを確認するのです。
免責決定通知書が届いた時点で、すでに官報に情報が載っていることもあるでしょう。
参考:インターネット版官報
自己破産による官報掲載については以下の記事で詳しく解説しています。
官報に掲載されてから2週間程度で免責が確定する
官報に免責決定の情報が載ってから2週間たち、債権者から異議がないことを確認できれば、免責許可決定が確定します。
この段階で、税金などの非免責債権をのぞくすべての借金を支払う必要がなくなり、職業や資格の制限も解除(復権)されます。
なお、免責確定時には、裁判所からの連絡・通知の郵送などはありません。
書面で免責確定を確認するには、次に紹介する「免責許可確定証明書」の発行が必要です。
自己破産の復権については以下の記事で詳しく解説しています。
免責確定1ヶ月後には免責許可確定証明書が申請できる
免責確定から1ヶ月程度たつと「免責許可確定証明書」を発行してもらえるようになります。
この証明書によって、免責許可決定が確定した正確な日付を書面で確認できるのです。
免責が実際に効力を発揮することを示すものでもあり、決定通知書よりも証明力が強い書面といえるでしょう。
自己破産で免責がおりたことを証明する場面では、この証明書を利用するケースが多いといえます。
申請の際に提出する書式は裁判所などによって異なりますが、以下のようなものであることが多いでしょう。
証明書の発行申請は、窓口か郵送で行います。
窓口では即日発行をしてくれることもあるようです。
郵送の場合、以下のものを同封します。
- 150円の収入印紙(手数料)
- 84円切手(返信用)
- 返信先の記載のある返信用封筒
裁判所へ直接持っていく場合、以下のものを持参しましょう。
- 150円の収入印紙(手数料)
- 運転免許証・保険証などの身分証明証および認印(本人確認、手続き用)
信用情報機関の事故情報は5〜10年で消える
自己破産で免責が決定もしくは確定しても、すぐに事故情報が消える(いわゆるブラックリスト状態ではなくなる)わけではありません。
事故情報が消えるまで、自己破産手続き後5〜10年間程度待つ必要があり、具体的な登録期間は、以下のように信用情報機関によって異なります。
信用情報機関名 | 概要 | 事故情報の登録期間 |
---|---|---|
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | おもにクレジットカード(信販)会社が加盟している | 破産手続開始決定日から5年程度 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | おもに消費者金融が加盟している | 手続き終了(免責確定)日から5年程度 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | おもに銀行や信用金庫、信用保証協会 などが加盟している |
破産手続開始決定日から10年程度 |
まれに、これらの登録期間を過ぎても事故情報が消えていないという事態も起きるようです。
これは「成約残し」と呼ばれることもあります。
成約残しがわかった場合、当該の信用情報機関に事故情報の削除依頼を出すことが可能ですが、上記の期間より前に免責が許可されたこと、もしくは確定したことを証明しなくてはいけません。
そのため、免責決定通知書か免責許可確定証明書の提出が必要となることが多いでしょう。
なお、JICCは事故情報の登録期間を免責確定から5年としているため、免責許可確定証明書の方が提出書類として適当だと考えられます。
信用情報機関への事故情報の登録(ブラックリスト)について、詳しくは以下の記事で解説しています。
免責決定通知書を紛失した場合は再発行できる
免責決定通知書が必要になる場面に遭遇したにもかかわらず、この通知書を失くしてしまっていた場合、自己破産を申し立てた裁判所に対して再発行の申請をすれば、再度取得することが可能です。
下記リンク先にある「謄本等交付申請書」へ必要事項を記入し、裁判所の窓口に直接持っていくか、郵送で申請します。
郵送の場合、以下のものを同封します。
- 150円の収入印紙
- 84円切手
- 返信先の記載のある返信用封筒
裁判所へ直接持っていく場合、以下のものを持参しましょう。
- 150円の収入印紙
- 運転免許証・保険証などの身分証明証および認印
不明点があれば自己破産を依頼した弁護士に確認してください。
- 免責決定通知書とは、自己破産の手続きで、裁判所によって免責が決定したときに送られる書面です。
弁護士に代理人として手続きを依頼している場合、この書面は免責許可決定後に弁護士宛てに送られます。 - もし免責決定通知書を紛失してしまった場合、裁判所に書類や収入印紙などを提出することで再発行が可能です。
- 免責決定通知書は、免責がおりていることを証明するために利用されることがあります。ただし、免責確定後に発行できる「免責許可確定証明書」で免責証明を行うケースが多いでしょう。
免責が確定されないと免責の効力は発揮されないため、不安があれば手続きを依頼した弁護士に確認しながら、きちんと免責が確定するまで自己破産手続きを進めていくことが必要です。
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