自己破産で生命保険はどうなる?解約になる人とならない人を詳しく解説

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自己破産をすると生命保険を解約させられる?

生命保険は、万が一のときに自分や家族を守るための備えをするために加入する保険です。

それが自己破産によって解約されてしまうと、将来が不安になりますよね。

最初にお伝えしておくと、自己破産をするからといって、必ずしも生命保険を解約させられることはありません。

ただし、生命保険を解約したときに返金される解約返戻金が20万円を超えると財産として扱われるため、解約される可能性があります。

この記事では、自己破産を検討中の生命保険に加入している方に向けて、生命保険が解約されるケースについて具体的に解説します。

併せて、生命保険の解約されない方法についても紹介します。

■自己破産すると生命保険を解約される/されないケースまとめ
解約されるケース ・貯蓄型の生命保険で解約返戻金が20万円を超えるとき
(生命保険以外に養老保険、傷害保険、自動車保険などにも加入している場合)
・本人名義で契約している保険の解約返戻金の総額が20万円を超えるとき
解約されないケース ・掛け捨て型の生命保険
・貯蓄型の生命保険で解約返戻金が20万円以下のとき
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目次

自己破産すると生命保険は解約になる?

最初にお話ししたとおり、自己破産の申立てをした時点で生命保険に加入していて、その解約返戻金が20万円を超えるときは、解約になる可能性があります。

用語集 解約返戻金(かいやくへんれいきん)とは?

貯蓄型(積立型ともいう)の保険契約を解約するときに保険会社から返金されるお金。過去に支払った保険料合計の約7割であることが一般的です。ただし、いわゆる掛け捨て型の保険契約では発生しません。

自己破産は借金の返済を免除する代わりに、所有している高額な財産については、現金化し、債権者へ分配する必要があります。

20万円以上の解約返戻金は高額な財産とみなされますので、保険契約を解約し解約返戻金を債権者(お金を貸している側)への返済に充てることになります。

自己破産によって生命保険を解約されるケース

自己破産によって生命保険を解約させられるケースについて詳しく見ていきましょう。

解約されるのは20万円を超える解約返戻金が発生したとき

自己破産の申立時に「解約返戻金」の総額が20万円を超えていた場合は、財産処分の対象となります。

では、なぜ20万円なのでしょうか?

破産法では、生活に必要な最低限の財産を自由財産といい、所有を認めています。

■自己破産手続において自由財産とみなされるケース
  • 自己破産の手続き開始後に取得した財産(新得財産)
  • 99万円以下の現金
  • 日用品など差押えが禁止されている財産
  • 20万円以下の財産

自己破産すると、原則として破産者(自己破産をする人)の財産は現金化され、債権者に分配されます。

とはいえ自己破産の本来の目的は「破産者の経済生活の再生」です。

生活を立て直すために必要な財産などをすべて回収されてしまっては、生活ができなくなります。

そのため破産法では、自己破産後も自由に所有できる財産を認めているのです。

契約期間が長い場合や掛け金が高額のときは、保険契約を解約になる可能性があります。

ただし、解約返戻金はすべての保険に発生するものではありません。

掛け捨て型と呼ばれる保険契約や、国民年金保険・国民健康保険などの公的な保険には発生しないため、自己破産後も引き続き利用できます。
(※解約されない保険契約については後述します)

生命保険以外の保険に加入している場合は要注意

自己破産で回収の対象となる財産は、1つの保険契約の解約返戻金ではなく、すべての保険契約の解約返戻金の総額が20万円を超えるときが対象となります。

そのため、生命保険以外の保険に加入している場合は、生命保険を解約される可能性があります。

解約返戻金が設定されている保険とは、おもに以下のようなものです。

■解約返戻金のある保険の例
  • 生命保険
  • 養老保険
  • 傷害保険
  • 自動車保険
  • 火災保険
  • 地震保険
  • 損害賠償保険 など

「解約返戻金がどれくらい発生しているか?」については、各保険会社のカスタマーセンターに問い合わせると確認できます。

これらの保険に加入している場合は、契約内容を確認しておきましょう。

自己破産で生命保険が解約にならないケース

一方で、自己破産しても生命保険を解約させられないケースもあります。

たとえば

  • 掛け捨て型の保険契約
  • 解約返戻金が20万円以下

のようなケースです。

これら2つのケースについて、詳しく解説していきます。

掛け捨て型の保険契約

自己破産によって、生命保険を解約させられるのは、解約返戻金が財産とみなされたときに限ります。

生命保険には掛け捨て型と貯蓄型(積立型)の2種類があり、解約返戻金が発生するのは貯蓄型を選択したときです。

そのため掛け捨て型の生命保険は、自己破産によって解約されることはありません。

解約返戻金が20万円以下

また、前述の通り、自己破産では生活を立て直すために必要な財産(自由財産)は回収されません。

したがって解約返戻金が20万円以下のケースでは、加入している生命保険を解約されることはありません。

解約返戻金の返還率は、保険会社や契約の種類によって異なります。

現在の解約返戻金の金額を確認するには、保険会社のカスタマーセンターなどに確認するといいでしょう。

自己破産で生命保険を解約されない5つの方法

自己破産による生命保険の解約で万が一のときに家族が困るのを避けたい

そんな思いから、どうしても生命保険を解約したくない場合はどうすればよいのでしょうか?

実は解約返戻金が20万円を超えていても、生命保険を解約されないケースや解約を回避する方法があります。

  • 裁判所に自由財産の拡張として認めてもらう
  • 保険法の介入権を利用する
  • 解約返戻金相当額を破産管財人に支払う
  • 契約者貸付制度で解約返戻金の一部を受け取る
  • 自己破産以外の債務整理を検討する

生命保険は、いつでも好きなタイミングで加入できるものではありません。

ご高齢の方や、加入後に体調を悪くしてしまった方は、自己破産をすることによって、生命保険に再加入することができなくなってしまう可能性もあります。

以下で詳しく紹介しますので、生命保険を解約されないための方法を知っておきましょう。

1.裁判所に自由財産の拡張として認めてもらう

前述したとおり、20万円以下の財産は自由財産として、自己破産後も所有可能とされています。

ただし破産法で定められた財産以外にも、裁判所の裁量によって自由財産として認められることがあります。これを自由財産の拡張といい、破産法の34条4項に明記されています。

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裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。(破産法34条4項)

つまり、保険の解約返戻金が20万円を超えていたとしても、自由財産の拡張が裁判所に認められれば、継続して契約できるということです。

生命保険の解約返戻金が自由財産の拡張として認められるのは、次のような場合があります。

■生命保険の解約返戻金が自由財産の拡張として認められるケース
  • 健康状態や年齢から、解約後に保険に加入することができない場合
  • 現在病気にかかっており、その保険金で生活している場合

裁判所が判断するうえでポイントとなるのは、解約することで生活に支障が生じるかどうか、という点です。

上記に当てはまる方であれば、生命保険を解約されずに済む可能性があります。

2.保険法の介入権を利用する

自己破産時に解約され換価されてしまうはずの解約返戻金を、受取人である親族が支払うことによって、 生命保険契約を継続できます。

これを介入権制度といい、加入者が自己破産をする場合に、妻や子どもといった生命保険金の受取人を保護するため、2010年の保険法施行によって新設されました。

保険法施行以前から、「自己破産者は生命保険に加入していてはいけないのか」「死んでも財産を残すことができないのか」ということが問題視されてきました。

現在は、こうした問題を法整備することによって、自己破産後も生命保険を維持できるようになったのです。

解約返戻金相当額を親族に用意してもらわなければ、この手続きを利用することはできませんが、生命保険を解約されないという意味では、 非常に意義のある制度といえます。

どうしても生命保険を解約されたくない場合は、 上記のような方法をうまく利用するようにしましょう。

3.解約返戻金相当額を破産管財人に支払う

自己破産手続では、裁判所に選任された破産管財人が債務者(お金を借りている側)の財産を管理し、どのように処分するかを決定します。

破産管財人については「破産管財人とは? 権限や調査内容・費用など自己破産前に知っておきたいこと」で詳しく解説しています。

とはいえ、手続きにおいて破産管財人の意向だけで財産を処分するわけではありません。

債務者の意向を確認したうえで、処分の方法を決めるとされています(破産法第78条6項)。

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第78条
破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。

〜(略)〜

6 破産管財人は、第二項各号に掲げる行為をしようとするときは、遅滞を生ずるおそれのある場合又は第三項各号に掲げる場合を除き、破産者の意見を聴かなければならない

このように返戻金予定額が20万円を超える生命保険について、契約の継続を希望すれば、その意向が受け入れられる可能性があります。

ただし、保険契約の継続を希望する場合は、解約返戻金と同等の金額を破産財団に組み入れて(破産財団に入金する)、解約返戻金を財団放棄(財産処分の対象から外すこと)するのが一般的です。

4.契約者貸付制度で解約返戻金の一部を受け取る

生命保険の契約内容にもよりますが、解約返戻金を担保に保険会社から借入れをする(契約者貸付制度)ことができます。

この制度を利用し返戻金を20万円以下にすれば、自由財産として認められる可能性があります。

しかし、注意しなければいけないこともあります。

自己破産の場合、大きなお金の流れがあった場合は、その使途を説明しなければなりません。

ここで借入れたお金は、自分の好きに使うのではなく、当面の生活費や弁護士への費用に充てることにしましょう。

5.自己破産以外の債務整理を検討する

借金の減額を目指す債務整理には、自己破産のほかに

  • 任意整理
  • 個人再生

といった方法もあります。

ほかにも特定調停という手続きがありますが、弁護士などの法律の専門家を介さない裁判所での手続きのため、現在はあまり利用されていません。

自己破産のように借金を一部の債務を除いて全額免除するものではありませんが、

  • 借金が減れば返済できるだけの収入がある
  • どうしても生命保険を解約したくない

という方は選択肢に加えてはいかがでしょうか?

任意整理

「任意整理」とは、裁判所などを通さずに債権者と直接交渉して借金の減額を図る方法です。

任意整理には以下のようなメリットがあります。

  • 任意整理の和解日から発生する将来利息のカット
  • 遅延損害金のカット(返済を滞納していた場合)
  • 返済期間の再設定(36〜60回での分割払い)

任意整理は自己破産とは異なり、財産を回収されないのが特徴です。

高額の解約返戻金が発生していても、解約されることはありません

ただし、返済総額のうち将来利息のみをカットし、元金は返済するのが原則ですので、一定の収入は必要になります。

任意整理については「任意整理とは?メリット・デメリットと生活への影響|経験者の声も」で詳しく解説しています。

個人再生

「個人再生」とは、債務者(借りた側)に返済不能のおそれがあることを裁判所に申し立てて、再生計画の認可決定を受けることで、借金を1/5〜1/10程度に減額してもらう方法です。

個人再生には以下のようなメリットがあります。

  • 借金を1/5〜1/10程度に減額できる
  • 居住用の住宅を残せる
  • 所有している財産を回収されない
  • ギャンブルや浪費が原因でも借金の減額が可能

個人再生も裁判所を介しての手続きですが、財産を回収されることは原則ありませんので、生命保険が解約されることはありません

ただし、所有している財産は裁判所に申告する必要がありますし、総額によっては、返済額が増大する可能性がある点は理解しておきましょう。

個人再生については「個人再生とは?自己破産との違いやデメリット・費用や流れまで解説」で詳しく解説しています。

自己破産時に生命保険契約を隠す行為はNG

自己破産による生命保険の解約を避けるために、申立時に契約の事実を隠す行為は、詐欺破産罪に問われる可能性があります。

破産法では、

  • 債務者の財産を隠す
  • 債権者の財産的利益を侵害する
  • 債権者の平等を侵害する

などの行為を破産犯罪として定めています。

続きを読む

破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者(相続財産の破産にあっては相続財産、信託財産の破産にあっては信託財産。次項において同じ。)について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。

一 債務者の財産(相続財産の破産にあっては相続財産に属する財産、信託財産の破産にあっては信託財産に属する財産。以下この条において同じ。)を隠匿し、又は損壊する行為
二 債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
三 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
四 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為
(破産法第265条1項)

生命保険の解約返戻金は財産とみなされるため、家族に迷惑をかけたくない気持ちであっても契約の事実を隠すことは財産隠しと同じです。

弁護士に相談して、残せる道を相談しましょう。

自己破産と生命保険についてよくある質問

自己破産時の生命保険に関する「よくある質問」と「回答」をまとめました。

自己破産後いつから生命保険に加入できる?破産中は入れない?

自己破産の事実は生命保険の加入には関係ありません。

そのため、自己破産後はもちろん、自己破産手続中であっても生命保険の加入は可能です。

また生命保険に加入する際に自己破産について申告する必要もありませんし、保険会社から聞かれることもないでしょう。

自己破産したら配偶者や親などの家族が加入している生命保険はどうなる?

自己破産によって回収されるのは、本人名義の財産のみです。

親や配偶者などの家族の財産が回収されることはありません。

そのため家族名義の生命保険への影響はないといえるでしょう。

ただし、たとえば生命保険の契約者名義が妻(夫)であるものの、妻(夫)に収入がなく、夫(妻)が保険料を支払っているようなケースでは、実質的に夫(妻)名義の保険契約とみなされる可能性があります。

また、夫(妻)が自己破産をする直前に妻(夫)に名義変更をすると、財産隠しを疑われる可能性もあります。

生命保険会社で働いている人が自己破産したらどうなる?

自己破産の手続き中は、資格制限が行われ、一定の職業に就くことができなくなります。

生命保険募集人は資格制限の対象で、一時的に担当を外れるなどの対応が必要になる可能性があります。

ただし、資格制限は自己破産の手続き期間中(約3ヶ月〜1年)であり、手続きが終わると募集人としての業務に制限を受けることはありません。

自己破産の相談は弁護士へ!まずは無料相談から

自己破産は破産法で定められた、正当な借金問題の解決策です。

自己破産の手続きを行うには、弁護士に依頼することが一般的です。

「保険を解約せずに自己破産ができるかどうか」と心配な場合は、弁護士に相談してみるといいでしょう。

ほかにも

  • 加入している保険は自由財産の拡張として認められるか?
  • 保険法の介入権を適用できるか?
  • ほかの債務整理によって解決できないか?

などについても相談することができます。

自己破産や債務整理を検討している方は、借金の返済で疲弊していることも多いでしょう。

また、誰にも相談できない孤独感を抱えている場合もあるでしょう。

そんなときは、弁護士に相談するだけでも気持ちが楽になるかもしれません。

借金問題や自己破産について無料相談に応じている弁護士事務所はたくさんありますので、ぜひご活用ください。

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監修者情報
監修者:弁護士法人・響 弁護士
藤田 圭介
弁護士会所属
大阪弁護士会 第57612号
出身地
兵庫県
出身大学
立命館大学法学部 立命館大学法科大学院
保有資格
弁護士・行政書士
コメント
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2014年(平成26年)4月1日
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