「他人の借金で連帯保証人になっていても時効にできるの?」
「連帯保証人が時効で借金返済しなくてもよくなる条件は?」
ある日突然、身に覚えのない金融機関から多額の請求が!?
どうやらずいぶん前に連帯保証人になった借金を、借りた本人が滞納を続けているというのです。
しかし、借金の返済義務には時効があったはずです。
連帯保証人でも時効で返済義務から逃れられないのでしょうか。
そこでこちらの記事では、
- 連帯保証人でも時効は可能
- 連帯保証人が借金を時効にできる条件
- 連帯保証人の時効が成立しなかったときの対処法
などについて解説します。
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目次
連帯保証人が背負った借金も時効成立はできる
結論から言うと、連帯保証人でも借金の時効は成立します。
ただし借金をした本人(主債務者)の時効と連帯保証人の時効は別個のものとして扱われ、成立する条件が少々複雑です。
まずはどういった場合に連帯保証人の時効が成立するのかを整理しておきましょう。
主債務と連帯保証債務は別個の扱い
借金の貸主である債権者に対して負っている返済義務は、同じ借金のこととはいえ、主債務と連帯保証債務はそれぞれ別個に扱われます。
別個に扱われる債務なので、主債務の時効と連帯保証債務の時効は、それぞれ別々に成立期間が進行します。
つまり、もし連帯保証人の時効の進行がリセットされても、主債務者が借金から逃げ続けていると主債務の時効はリセットされずにカウントが続けられることになります。
連帯保証債務は主債務に付従性がある
ただし、一方の債務が他方の債務に連動して影響を与えることもあります。
連帯保証債務には、次のように主債務の時効について起きた出来事に従って影響を受けるというルールがあります(付従性)。
ただし、付従性は連帯保証債務が主債務に対してのみ持つ特徴です。
連帯保証債務に生じた出来事により、主債務もそれに従って時効が成立する(または更新される)という逆のパターンはありません。
また、もし主債務の時効が成立条件を満たしている場合、主債務者に代わって連帯保証人が時効の援用をすることもできます。
時効の援用については、このあとに解説する「連帯保証人の時効の条件」で詳しくお伝えします。
連帯保証人と保証人の違い
連帯保証人と似た制度に、保証人というものがあります。
そもそも連帯保証人というのは主債務者と同等の義務を負う者のことで、保証人には認められている次の3つの権利が主張できないという違いがあります。
連帯保証人には催告の抗弁権がない
連帯保証人には催告の抗弁権がありません。
催告の抗弁権とは、債権者が主債務者よりも先に借金返済の請求を保証人にした場合に、「まずは主債務者に請求してください」と主張できる権利です。
この催告の抗弁権は保証人には認められていますが、連帯保証人には認められていません。
催告の抗弁権がないということは、債権者は主債務者と連絡が取れないなどの理由で、主債務者に借金の返済を請求することなくいきなり連帯保証人に返済を請求できるということです。
連帯保証人には検索の抗弁権がない
連帯保証人には検索の抗弁権がありません。
検索の抗弁権とは、債権者から保証人に請求があった場合でも、主債務者に借金を返済できる資力があるときは、債権者に対する返済を拒否できる権利です。
検索の抗弁権は保証人には認められていますが、連帯保証人には認められていません。
つまり、債権者は主債務者に十分なお金や財産があるのに支払いに応じないとき、先に連帯保証人に返済を催告することができるということです。
連帯保証人には分別の利益がない
連帯保証人には分別の利益がありません。
分別の利益とは、保証人が複数いる場合、返済する借金総額を保証人の数で割った金額が、一人当たりの返済額となる制度です。
主債務者が1000万円を借りて、保証人が2人いるケースだと、保証人はそれぞれ500万円まで返済すれば返済義務を果たしたことになります。
分別の利益がない連帯保証人の場合は、主債務者が1000万円を借りて、連帯保証人が2人いても、それぞれが一緒に1000万円の返済義務を負うことになり、連帯保証人1人だけ500万円を返済しても返済義務は終了しません。
ただし、一方の連帯保証人Aが自己負担分500万円を超える金額を返済した場合、もう一方の連帯保証人Bに対して500万円を超えた部分の金額を請求することはできます(求償権)。
また主債務者に対しては、連帯保証人A、Bともに主債務を代わりに負担した金額分は全額の請求が可能です。
分別の利益については以下の記事で詳しく解説しています。
連帯保証人の時効の条件
連帯保証人になってからかなりの年数が経っている場合は、時効が成立する可能性があります。
まずは借金の時効が成立する条件を見てみましょう。
時効に必要な期間
借金の時効が成立すると期待する人は、2020年4月の法改正以前の契約であるはずです。
2020年3月までの法改正以前のルールでは、借金の貸主が金融業者などの会社(商人)の場合は、時効に必要な期間は5年でした。
また、借金の貸主が信用金庫や個人である場合は、時効に必要な期間は10年でした(営業に関する借金は別)。
2020年4月の法改正後は、商人かそうでないかという分け方は廃止され、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」または「権利を行使することができる時から10年」と変更されました。
とはいえ、金融業者が借金返済を請求できる権利を知らないはずはありませんから、貸主が事業者であれば法改正の以前も以後も時効期間は5年となります。
時効の更新がない
時効期間中に時効の更新がないことも条件となります。
次のような出来事があった場合、時効は更新され、時効期間のカウントはゼロから再スタートとなります。
裁判上の請求とは、裁判所への申し立てや訴えによる支払督促や訴状を指します。
債権者から直接届いた通常の督促状や催告書では時効の更新はされません。
連帯保証人がいる借金の場合、主債務者が時効の更新をすると付従性によって連帯保証人の時効も更新されます。
連帯保証人の時効が成立するためには、主債務者が時効の成立条件を満たしている必要があるため、主債務者に時効の更新にあたる言動をしていないかを確認しなければなりません。
時効の中断(更新)については以下の記事で詳しく解説しています。
時効援用の手続きを済ませている
時効の更新がないまま時効期間が経過したら、時効の援用をする必要があります。
時効の援用とは、時効が成立したことを債権者に伝えることです。
時効援用の手続き方法には決められたやり方がなく、書面でも口頭でも認められます。
ただ一般的には、証拠力を高めるために内容証明郵便で送ります。
時効の援用は、主債務者に代わって連帯保証人が行うことも可能です。
たとえ連帯保証人の時効期間が経過していなくても、主債務者の時効期間が経過していれば、主債務者の代わりに時効を援用することができます。
主債務者の借金の時効が成立すれば、付従性によって連帯保証人の返済義務もなくなります。
一方、連帯保証人が自らの連帯保証債務の時効を援用しても、主債務者の借金は時効が成立しません。
時効の援用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
連帯保証人が複数いるときの時効の考え方
連帯保証人は1人とは限らず、複数いる場合もあります。
複数の連帯保証人がいる場合でも、時効は個別に独立して進行します。
例えば、連帯保証人の1人が借金を返済するなどして時効が更新されても、他の連帯保証人はその影響を受けず、時効期間のカウントはそのまま進行を続けます。
もし連帯保証人の1人が少しずつでも返済をすると、その連帯保証人の時効は更新されますが、逃げ続けている他の連帯保証人は時効の更新はされません。
他の連帯保証人が時効の援用をしても、もう一方の連帯保証債務には影響せずに、返済義務は継続します。
ただし連帯保証人の時効が更新されても、主債務者の時効の進行にも影響しないため、主債務者は時効の援用をできる可能性があります。
主債務者の時効援用は連帯保証人がすることも可能ですし、主債務者の時効が成立すれば、付従性によって連帯保証人の債務も消滅します。
債務者が亡くなったことによる影響はこちらの記事で詳しく解説しています。
連帯保証人である借金の主債務者が亡くなっていた場合
主債務者が亡くなっていたら、借金の返済はどうなるのでしょうか。
借金の主債務者が亡くなっても、連帯保証人の借金返済義務は残ります。
主債務者が亡くなった場合、残された借金は次のどちらかで扱われることが考えられます。
①亡くなった主債務者の相続人が、借金を受け継いで新たな主債務者となる
②亡くなった主債務者の相続人が、相続放棄をして借金を受け継がない
①の場合は主債務者の地位が相続人に受け継がれただけで、従来通り連帯保証人としての義務に変化はありません。
②に関しては、相続放棄をしても借金そのものがなくなるわけではありません。
相続人には返済義務は引き継がれなくても、借金の存在自体は残るため、保証契約を交わしている連帯保証人には引き続き返済の義務があります。
また、連帯保証人の地位も借金と同じく相続の対象となるので注意が必要です。
連帯保証人が亡くなると、配偶者や子供などの相続人に連帯保証人としての地位も相続されてしまいます。
相続放棄か限定相続で対処することは可能ですが、その分相続人はプラスの資産も手放さなければなりません。
連帯保証人が借金で困ったときは専門家に相談を
連帯保証人は主債務者と同等の責任を負わなければならないため、非常に厳しい立場に置かれていると言えます。
連帯保証人になって困っている人は早めに弁護士に相談をしましょう。
主債務者が数年間滞納しているというのであれば、時効が成立する可能性があります。
弁護士には、時効が成立するかどうかの判断や、時効援用の手続きの進め方などでサポートをしてもらえます。
時効の成立が難しい場合は、借金のリスクを最小限に抑える債務整理を弁護士に依頼するのも有効です。
弁護士に依頼すれば、自己破産や個人再生など裁判所を介した手続きでも、一貫したサポートが受けられるので安心して任せられます。
まとめ
連帯保証人で借金を背負った場合でも、条件次第で時効は成立します。
ただし借金の時効が成立するには厳しい条件をすべてクリアする必要があり、しかも主債務者が条件を満たさなければ連帯保証人の時効も成立しません。
連帯保証人のことで困ったら、弁護士に相談することをおすすめします。
判断の難しい借金の時効もしっかり調査してくれますし、時効が成立しない場合でも他の有効な解決策を考えてもらえます。
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