「自己破産すると載るという官報って何?」
「官報に載ったら勤務先に自己破産がバレるのかな…?」
自己破産をすると「官報」という公的な冊子に、破産者情報が掲載されます。
しかし、官報を通じて周囲の人に自己破産をしたことがバレる可能性は低いといっていいでしょう。
この記事では、自己破産手続を行った場合に官報に載るタイミングや、官報に載ることで周囲にバレる可能性が低いといえる理由について解説していきます。
自己破産手続を行う前に、基礎知識として頭に入れておきましょう。
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目次
自己破産後に官報に掲載されるタイミングはいつ?
自己破産の情報が官報に載るタイミングは、次の2回です。
- 破産手続開始決定時
- 免責許可決定時
いずれも、裁判所の決定から1〜2週間程度で官報に掲載されます。
以下で詳しく説明します。
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
官報に載るタイミング1 「破産手続開始決定」時
官報に載るタイミングの1回目は「破産手続開始決定」の時です。
自己破産の申立てを行うと「破産審尋」を経て、裁判所が破産手続きを行うことを認める「破産手続開始決定」を行います。
個人で財産がない場合は「同時廃止」となり、手続は終了します。
※財産がなくとも「免責不許可事由」に該当する場合は、「管財事件」となる可能性もあります。
一定以上の保有財産がある場合や、ギャンブルや浪費など免責不許可事由があるときは「管財事件」となり、裁判所に選任された破産管財人が、破産者の財産の調査や分配を行います。
同時廃止や管財事件については以下の記事で詳しく解説しています。
裁判所が同時廃止を決定すると、官報で公告することが「破産法」で決められています。
3 裁判所は、第一項の規定により破産手続開始の決定と同時に破産手続廃止の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告し、かつ、これを破産者に通知しなければならない。
一 破産手続開始の決定の主文
二 破産手続廃止の決定の主文及び理由の要旨
引用:破産法第二百十六条
同時廃止で自己破産手続が確定したタイミングで、官報に載ると覚えておきましょう。
官報に載るタイミング2「免責許可決定」時
自己破産で2回目に官報に載るのは「免責許可決定」時です。
「破産手続開始決定」になると「管財事件」の場合には、破産管財人の選任や債権者集会などを経て「免責許可の決定」となります。
免責が許可されると、借金などの債務の支払義務がなくなります。
破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。
引用:破産法第二百五十三条
自己破産が決定して、借金の返済義務がなくなったタイミングで官報に載ることも覚えておきましょう。
免責許可決定については以下の記事で詳しく解説しています。
官報はいつまで閲覧できる?媒体別の掲載期間
官報は印刷された紙媒体以外に、インターネットでも公開されています。
インターネットで公開されているのは、誰でも閲覧できる無料版の「インターネット版官報」と、会員制有料版の「官報情報検索サービス」の2種類があります。
無料版と有料会員版では、それぞれ公開期間が異なります。
紙版の官報に掲載されるのは発行日のみ
紙版の官報に自己破産の情報が掲載されるのは前述のとおり破産手続開始決定時と免責許可決定時の2回のみで、同じ内容が何度も繰り返し掲載されることはありません。
紙版の官報は発行日の午前8時30分に、国立印刷局と東京都官報販売所に掲示されます。
特定の自己破産情報が掲載された紙版の官報を入手できるのは、原則として発行日のみといえます。
しかし国立国会図書館および各地の図書館では、特定の期間(発行から数年間など)の官報を所蔵している場合があります。
「インターネット版官報」は直近90日分を閲覧できる
官報に掲載された自己破産の情報は、紙媒体およびWebサイトの「インターネット版官報(無料版)」「官報情報検索サービス(有料版)」で閲覧できます。
インターネット版官報(無料版)は、直近90日分*を誰でも自由に閲覧できます。
*以前は直近30日分までの公開でしたが、2023年1月27日以降の発行分から直近90日分の公開に変更されました。
ただし日付や氏名などで検索はできないため、特定の人の自己破産情報を探すのは容易ではないといえます。
「官報情報検索サービス」は半永久的に閲覧できる
有料版の「官報情報検索サービス」は、昭和22年5月3日から直近までの官報が閲覧でき、さらに日付やキーワードによる検索も可能です。
有料会員になっていると、過去の自己破産情報も半永久的に閲覧・検索できるのです。
一般の方が官報情報検索サービスの有料会員になることは少ないといえそうですが、自己破産手続を行う場合は、念のため頭に入れておくとよいでしょう。
官報にはどんなことが掲載される?
官報をひと言で表すと「国の広報誌」です。
ほぼ毎日(行政機関の休日は除く)発行されている冊子です。
掲載される内容一覧
官報に掲載されているのは、おもに以下のような内容です。
- 法律・政令・条約(国家の決定事項や外国との間の決定事項)
- 内閣官房令/府令・省令/規則/告示(各府省の決定事項)
- 国会事項(国会に関する事項)
- 人事異動(大臣や各省庁などの人事異動)
- 叙位・叙勲・褒章(国に貢献した人物などへの授与、位などの公表)
- 官庁報告(最低賃金や国家試験に関する事項)
- 入札公示・落札公示/官庁公示(競争入札に関する告知)
- 裁判所公告/特殊法人等(法律で公告が義務付けられている内容)
- 地方公共団体(教育職員の免許の失効や墓地の改葬、行旅死亡人の告知など)
- 会社その他(決算公告等)
自己破産情報の官報への掲載例
自己破産の手続きを始めて最初に官報に載るのは、破産手続開始決定時です。
その際には、以下のような内容が掲載されます。
●破産手続開始決定時の掲載内容
令和○年(フ)第○○号
○○県○○市○○1丁目2番地3
債務者 ○○○○
1 決定年月日時 令和○年○月○日午前○時
2 主文 債務者について破産手続を開始する。本件破産手続を廃止する。
3 理由の要旨 破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する。
4 免責意見申述期間 令和○年○月○日まで
○○地方裁判所○○部
令和○年(フ)第○○号
○○県○○市○○1丁目2番地3
債務者 ○○○○
1 決定年月日時 令和○年○月○日午前○時
2 主文 債務者について破産手続を開始する。
3 破産管財人 弁護士 ○○○○
4 破産債権の届出期間 令和○年○月○日まで
5 財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日 令和○年○月○日午前○時
6 免責意見申述期間 令和○年○月○日まで
○○地方裁判所○○部
自己破産で2回目に官報に載るのは、免責許可決定時です。
その際には、以下のような内容が掲載されます。
●免責許可決定時の掲載内容
令和○年(フ)第○○号
○○県○○市○○1丁目2番地3
破産者 ○○○○
1 決定年月日 令和○年○月○日
2 主文 本件破産手続を終結する。
3 理由の要旨 配当が終了し、破産管財人の任務終了による計算の報告を目的とした債権者集会は終結した。
4 主文 破産者について免責を許可する。
○○地方裁判所○○部
破産手続開始決定時と住所が異なる場合などには、以前の住所(旧住所)も記載される場合があります。
官報の閲覧・購入方法は?
紙媒体とインターネット版では、料金や閲覧できる範囲、期間などが異なります。
官報販売所で購入
紙版の官報を購入できるのは、全国48ヵ所にある官報販売所のみで、一般的な書店などでは購入できません。
料金は以下のとおりです。
1部 | 定期購読 ※官報販売所で受付 |
---|---|
143円 | 1ヶ月1,641円 |
※税込表示
図書館で閲覧
官報は国立国会図書館や、各地の大きな図書館で閲覧できる場合があります。
紙版の官報が所蔵されているので、無料で閲覧できます。
各地の図書館では、特定の期間(発行から数年間など)のみ所蔵している場合もあり、すべての官報が閲覧できるわけではありません。
インターネット上で閲覧
インターネット版には、無料版と会員制有料サービスの2種類があります。
- インターネット版官報(無料版)
- 官報情報検索サービス(会員制有料版)
無料版の「インターネット版官報」では、直近30日分を閲覧できます。
一方、有料版の「官報情報検索サービス」には、昭和22年5月3日から直近までの官報の閲覧、日付やキーワードによる検索が可能という特徴があります。
「官報情報検索サービス」の利用料金は以下のとおりです。
紙版官報を定期購読されている場合 | 新規申し込みの場合 | |
---|---|---|
日付検索のみ | 無料 | 1,672円 |
日付検索+記事検索 | 528円 | 2,200円 |
※月額、税込表示
官報の情報から自己破産がバレる?「破産者マップ」事件とは
ここまで官報の解説をしてきましたが、自己破産したことが官報を通じて家族や勤務先にバレる可能性はきわめて低いといえます。
ただし、2019年に社会問題となった「破産者マップ」のように、思いがけないところから自分の情報が漏れる危険性に不安を覚える人もいるでしょう。
なぜ「官報の情報からバレる可能性が低い」といえるのか、詳しく解説していきます。
「破産者マップ」とは破産者の情報が載った地図
2019年3月、官報に掲載された破産者情報をデータベース化して地図に表示する「破産者マップ」というサイトが公開され、大きな社会問題となりました。
このサイトがきっかけで、第三者が情報の削除に対して金銭を要求する詐欺事件を起こすなど、二次被害も生じたのです。
「破産者マップ」や類似サイトは閉鎖済み
その結果、政府の個人情報保護委員会が個人情報保護法に違反するおそれがあるとして行政指導を行い、サイト開設の数日後に「破産者マップ」は自主閉鎖されました。
その後も同様の情報サイトの開設が相次ぎましたが、個人情報保護委員会から運営停止命令が出され、現在はいずれも閉鎖されています。
2020年6月には個人情報保護法が改正され、「不適切な利用の禁止」が盛り込まれて法定刑も引き上げられることになり、2022年4月1日に施行される予定です。
第16条の2 個人情報取扱事業者は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない。
出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律(個人情報の保護に関する法律の一部改正)」
個人情報保護法の改正によって、「破産者マップ」のようなサイトを開設するリスクは、以前よりも格段に高くなったといえます 。
そもそも、キーワード検索ができる「官報情報検索サービス」では、掲載された情報をもとにした名誉棄損・プライバシー侵害につながる行為を利用規約で禁止しています。
官報を見た人が故意に他者の個人情報を広める可能性は低いと考えてよいでしょう。
自己破産情報が官報に載るデメリットはある?
自己破産をした事実が官報に掲載されることによるデメリットは、次に挙げるようなものが考えられます。
- 官報公告費用がかかる
- 闇金融業者からダイレクトメールが届く可能性がある
- 官報から事故情報を登録する信用情報機関がある
しかし、日常生活に大きな影響はないといっていいでしょう。
官報公告費用がかかる
自己破産の申立て時には、官報に公告するための料金を支払う義務が生じます 。
裁判所によって金額は異なりますが、一例として、東京地方裁判所の現状の料金は以下のとおりです。
管財事件 | 18,543円 |
同時廃止事件 | 11,859円 |
闇金融業者からダイレクトメールが届く可能性がある
官報の情報を闇金融業者がチェックしていた場合、融資を勧誘するダイレクトメールが自宅に届くことがあるかもしれません 。
耳障りのいい言葉に乗ってしまわないよう、注意しましょう。
官報から事故情報を登録する信用情報機関がある
信用情報機関によっては、官報に掲載された情報をもとに事故情報を登録するところもあります 。
事故情報の登録とは、いわゆる「ブラックリストに載る」ということです。
たとえば、全国銀行個人信用情報センターは、官報の破産手続開始決定となった情報を資料の1つとしているようです。
ブラックリストについては以下の記事で詳しく解説しています。
官報に載らない債務整理方法もある
借金問題を解決する債務整理方法の中には、官報に載らない方法もあります。
「任意整理」「特定調停」といったものです。
借金が減額されることで返済を続けられる状態であれば、自己破産ではなく任意整理や特定調停を利用する道もあります 。
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
任意整理
任意整理は、借入先の金融機関と直接交渉をして、将来の利息を減額またはカットし、残りの借金を3〜5年で分割返済していく方法です。
裁判所を介さず、金融機関と直接やりとりするので、官報には掲載されません。
おもなメリット・デメリットとして、以下が挙げられます。
- 将来利息や遅延損害金をカットできる可能性がある
- 原則3年(最長5年)の分割返済が可能
- 過払い金がある場合は過払い金の返還請求ができる
- 任意整理の対象から外せば家や車などの財産を手放さなくて済む
- 家族や勤務先に知られにくい
- 任意整理の対象から外せば保証人に迷惑をかけずに済む
- 借入先(債権者)を選択できる
- 弁護士に依頼した場合、受任通知が債権者に届いた時点で原則として取り立てが止まる
- 基本的には借金の用途が問われない
- 必要書類が少なく、手続きの負担が少ない
- 借金の元金は減額できないことが多い
- 完済から5年程度、信用情報に事故情報が載る
次の項目に当てはまる人は、任意整理が適している可能性があるでしょう。
- 返済する意思がある
- 安定した収入がある
- 利息ばかりで元金が減らない
- 手続きの手間を省きたい
- 家族や勤務先に知られたくない
- 任意整理の対象から外したい借入先がある
任意整理については以下の記事で詳しく説明しています。
特定調停
特定調停は、裁判所の仲介のもとで借入先の金融機関と話し合い、将来の利息などを減額してもらう方法 です。
官報には掲載されませんが、裁判所から自宅に通知が届くため、同居している家族に秘密にしたい人は注意が必要といえます。
そのほかのメリット・デメリットとして、以下が挙げられます。
- 費用を安く抑えられる
- 調停委員が主導で交渉してくれる
- 将来利息や遅延損害金をカットできる可能性がある
- 特定調停の受付票が借入先に送付されると、原則として取り立てや催促が止まる
- 借金の用途が問われない
- 借入先(債権者)を選択できる
- 家や車などの財産を手放さなくて済む
- 裁判所出頭が平日のみ
- 原則として本人が手続きする
- 借金の元金は減額できないことが多い
- 過払い金があっても請求できない
- 返済不可能と判断され、個人再生か自己破産に移行する可能性がある
- 完済から5年程度、信用情報に事故情報が載る
- 和解後に払えなくなった場合、債権者はすぐに差押えなどの強制執行ができる
次の項目に当てはまる人は、特定調停が適している可能性があるでしょう。
- 返済する意思がある
- 安定した収入がある
- 利息ばかりで元金が減らない
- とにかく手続きの費用を抑えたい
- ギャンブルなど、使途を知られたくない借金がある
特定調停については以下の記事で詳しく解説しています。
ここまで説明してきたように、自己破産をした事実は官報に掲載されますが、それによって勤務先や周囲の人に知られる可能性は低いといっていいでしょう。
それでも官報に載ることを含め、自己破産そのものに不安がある人は、弁護士や司法書士などに相談してみましょう 。弁護士や司法書士に相談・依頼することで、次のようなメリットが考えられます。
・状況に適した債務整理方法を提案してもらえる
・債務整理の手続きを代行またはサポートしてもらえる
・周囲の人に知られたくない場合は連絡手段などを配慮してもらえる
・弁護士や司法書士から受任通知を送ることで、原則として借入先からの取り立てが止まる専門家というサポーターがいることで、難しい手続きの手間が省けますし、心理的余裕をもつこともできるといえるでしょう。
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