自己破産したら海外旅行に行けない?免責確定後も許可は必要?条件と注意点

更新日アイコン

「自己破産をすると海外旅行に行けない?」
「自己破産をした人は、海外で何か制限を受けることはある?」

自己破産には借金をゼロにできる反面、いくつかデメリットもあるのも事実です。しかし、個人の自由や権利を失うことはありません。したがって、自己破産をした人が、海外旅行に行けなくなるようなこともないのです。ただし、自己破産の手続き期間中に限っては、海外旅行が制限されることはあります。 また、自己破産をすると借金が帳消しになる代わりに、

  • 財産や預貯金の一部を没収される
  • クレジットカードを利用することができなくなる

といったデメリットがあります。 海外旅行に行く上で不便になる面があるので、事前に対策を考えておく必要があります。 この記事では、自己破産をした人の海外旅行について、詳しく解説していきます。

弁護士法人・響に相談するメリット
  • 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
  • 今お金がなくても依頼可能!
  • 相談は何度でも無料
  • 最短即日!返済ストップ

目次

自己破産しても海外旅行は可能!例外的に渡航できないケース

自己破産をした方も、海外旅行に行くことはできます。自己破産は、返済に困るほどの借金を抱えた人に対し「経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的」(破産法1条)とするものです。個人の自由や権利を奪うものではないため、海外旅行が制限されることは基本的にありません。 パスポートの発行も問題なく可能で、海外旅行保険に入ることもできます。自己破産の情報が戸籍に載ることもありません。

ただし、自己破産をする人に一定以上の財産があったり、裁判所が財産の調査をする必要があると認めた場合については、管財事件として処理されます。管財事件では 財産の調査・処分、破産を認めるかどうかの調査が行われ、その手続き期間中(申し立て〜免責確定)は海外旅行が制限される場合があります。

自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。

自己破産の前後、および手続き期間内の海外渡航についてまとめました。

自己破産前 渡航は自由だが、破産手続きを担当する弁護士には事前に伝えておいたほうがよい
自己破産手続き中 管財事件に該当する場合は、渡航が制限される 可能性がある同時廃止事件に該当する場合は渡航は自由だが、破産手続きを担当する弁護士には事前に伝えておいたほうがよい
自己破産後 渡航は自由

渡航が制限される可能性がある、管財事件についてさらに詳しく解説していきます。

管財事件については以下の記事で詳しく解説しています。

海外旅行に行けない可能性がある管財事件とは?

管財事件は自己破産の手続きの1つです。実際の手続きでは、裁判所に選任された破産管財人が、自己破産をする方の財産の調査と処分、債権者への配当、破産を認めるかどうか(免責)の調査を行います。管財事件に該当すると、自己破産の申し立てから免責確定まで、半年~1年程度を要する ことになります。管財事件になる可能性が高いのは、裁判所の運用によって異なりますが、主に以下のようなケースです。

  • 住宅や不動産を所有している
  • 99万円以上の現金を持っている
  • 預貯金や保険金など、現金以外で20万円以上に相当する資産を持っている
  • 隠し財産の存在が疑われる
  • 借金の理由がギャンブルなどの浪費行為で、免責不許可事由にあてはまる

このような管財事件で、海外旅行に行けなくなるケースについて、この後に詳しく解説していきます。

ちなみに自己破産にはもう1つ、同時廃止事件と呼ばれる手続きもあります。財産や収入に見合わない浪費などがなく、自己破産を認めても特に問題がない場合に、破産手続きの開始決定と同時に手続きが終了となります。破産管財人の調査などの必要がないため、期間も3ヶ月程度で完了し、手続きにかかる費用も、管財事件と比べると低額になります。

自己破産に必要な費用については、以下の記事で詳しく解説しています。

管財事件で海外旅行に行けなくなるケース

自己破産の手続きが管財事件になったからといって、ただちに海外旅行に行けなくなってしまうわけではありません。

ただし、海外旅行について裁判所に申請し、許可を得る必要があります。裁判所や破産管財人がいつでも債務者と連絡を取れるようにしておくため です。破産管財人が債務について直接確認する三者面談(破産管財人・破産者本人・破産者の弁護士)や債権者集会などがあり、それが済むまでは海外旅行が制限されることがあります。

また、破産手続き開始後に得た収入や、99万円以下の現金などの「自由財産」を超える金額の海外旅行は、制限される可能性があります。もちろん、自己破産の手続きが終わり、免責が確定すれば海外渡航は自由です。

自由財産については以下の記事で詳しく解説しています。

自己破産後に海外旅行に行くときの注意点2つ

自己破産の手続きが終われば、自由に海外旅行に出かけることができます。ただし以下の2点だけは注意する必要があります。

  • クレジットカードが利用できない
  • 自己破産の手続きで財産や預貯金を没収される可能性がある

この後に詳しく解説していきます。

クレジットカードが利用できない

自己破産をすると、クレジットカードの返済トラブルなどの記録を管理する「信用情報機関」に、事故記録が5〜10年間 残ってしまいます。いわゆる「ブラックリストに載った」状態です。この間はクレジットカードを利用することができなくなります。海外旅行でクレジットカードが使えない場合は、買い物や食事など、すべての支払いを現金で行うことになります。

そのため、旅行先で使う費用を全額、出国前に準備しておく必要があります。もし旅行中に手持ちの現金を使い切ってしまったら、海外で国内銀行に預けた預貯金を下ろすはめになり、大変な苦労を伴います。さらに、海外旅行保険も現金で支払う必要があります。

しかし、クレジットカードが使えないからといって、すべてのカード決済の利用ができないわけではありません。 カード会社による審査がなく、クレジットカードと同様に決済できるカードもあります。

デビットカード 支払いの際にクレジットカードと同様に使え、支払った金額は銀行口座から直接引き落とされる。VISAやMaster, JCBといった国際ブランドで決済できるので海外旅行でも使える
家族カード 自己破産した本人でない、家族のクレジットカードで家族カードを作れば海外旅行で利用できる
プリペイドカード あらかじめお金をチャージしておき、その範囲内で支払うことができるカード。VISAやMaster, JCBといった国際ブランドで決済できるので海外旅行でも使える

ただしデビットカードやプリペイドカードは、クレジットカードのような分割払いやリボ払いはできず、一括払いのみとなるので注意しましょう。

債務整理によるブラックリストの影響については以下の記事で詳しく解説しています。

自己破産の手続きでは、財産や預貯金を没収される可能性がある

自己破産をすると借金を帳消しにすることができますが、財産は没収・処分され、債権者への返済に充てられます。土地や家などの不動産は当然として、預貯金や現金も一定額を超えた金額は没収されます。ここでいう一定額とは、当面の生活に最低限必要な金額のことをいい、具体的には以下のように定義されています。

  • 現金:99万円
  • 預貯金:20万円

上記の金額を超えた分は没収されてしまいます。現金や預貯金の多くが取り上げられてしまううえに、クレジットカードのキャッシングや、カードローンを利用して生活費を借りることもできません。信用情報機関に事故情報が記録された、いわゆる「ブラックリストに載った」状態だからです。当然、クレジットカードを使って分割払いやリボ払いで買い物をすることもできません。

そのため、現在手元にある金額で、海外旅行の費用と、当面の生活費を工面しなくてはならない のです。自己破産をした後、しばらくは大きな出費をしてしまうと、生活費が足りなくなってしまう可能性があります。くれぐれも注意しましょう。

自己破産でなくなる財産については以下の記事で詳しく解説しています。

自己破産は自由や権利を奪うものではありません

自己破産をした人であっても、海外旅行に行けなくなるようなことは基本的にはありません。自己破産をした人が海外旅行に行けなくなる可能性があるのは、一定以上の財産を所有している、または借金の理由が浪費行為などの理由で、管財事件の手続きとなった場合です。

そもそも、自己破産は借金の返済が難しい人を救済し、再出発を促すための措置です。一定額以上の財産は没収・処分されてしまうものの、その後の生活を脅かすようなデメリットはありません。

財産の処分以外に、自己破産によって生活に影響が及ぶのは、信用情報機関に事故記録が残り、クレジットカードやカードローンが利用できなくなることです。それ以上の 過度な不安を抱く必要はありません。借金の悩みを解決することを優先し、必要があれば自己破産の手続きを行っていきましょう。

弁護士法人・響は43万件以上の相談実績を活かし、あなたの借金のお悩みに寄り添い、最適な解決方法をご提案いたします。ご相談は何度でも無料で承りますので、まずは電話またはメールで気軽にご相談ください。

弁護士法人・響に相談するメリット
  • 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
  • 今お金がなくても依頼可能!
  • 相談は何度でも無料
  • 最短即日!返済ストップ
監修者情報
監修者:弁護士法人・響弁護士
西島 弘起
弁護士会所属
東京第二弁護士会 第59420号
出身地
東京都
出身大学
中央大学法学部 上智大学法科大学院
保有資格
弁護士・行政書士
コメント
ご相談者様が少しでも前向きになれるよう最善を尽くします。
[実績]
43万件の問合せ・相談実績あり
[弁護士数]
43人(2023年2月時点)
[設立]
2014年(平成26年)4月1日
[拠点]
計7拠点(東京、大阪、香川、福岡、沖縄)
関連記事