2022.05.12
自己破産の手続きを裁判所に申し立てると、申立書の内容や本人の財産状況に応じて、2つの手続きに分類されることになります。
それが「同時廃止事件」と「管財事件」です。 この2つの手続きは、かかる費用や時間といったものに大きな差があります。
現在、ほとんどの自己破産は同時廃止として処理されていますが、時に管財事件として処理されてしまう場合もありますので、この2つの手続きの違いについて知っておきましょう。

同時廃止事件は財産がない場合
同時廃止というのは、破産手続の開始と同時に手続きを廃止(終了)することをいいます。
破産手続きは、破産者の生活状況や保有財産を調査し、本当に自己破産させることが適当であるかどうかを判断する手続きのことをいいます。
しかし、財産がないことが明らかであれば、破産手続きに時間をかける必要はありません。 つまり、申し立ての段階で一定以上の財産(20万円以上)がないことが明らかであれば、手続きは同時廃止事件として処理されることになります。
同時廃止事件であれば費用が安い
同時廃止事件として処理されることになれば、破産手続きに要する期間がすべてカットされることになりますし、 費用としても安くすませることができるので、多くの自己破産申し立ては、 同時廃止として処理されるように申立書を作成します。
ただし、申立書に曖昧な部分が多いと、裁判所に調査が必要と判断されてしまう可能性がでてくるので、 可能な限り明瞭な申立書の作成が望まれます。
管財事件は破産手続きに時間を要する場合
管財事件となりうるのは、上記のように申立書が曖昧な場合や、本人に一定以上の保有財産がある場合、 または免責不許可事由があるなどして、調査や換価など、破産手続きに時間を要する場合です。
管財事件に分類されると、裁判所は破産手続きを円滑に進めるため破産管財人選任し、その後は管財人の意見と指導のもと、手続きが進められていきます。
管財人の職務は、破産者の財産などの調査、現金への換価、債権者への公平な配当、といったものになります。
管財人というのは、一般人が選任されるわけではなく、主にその地域で管財人希望として登録をしている弁護士が選ばれることになり、 裁判所と破産者、債権者との間に立って、公平な手続きの進行をしていくことになります。
管財事件には費用がかかってしまう
管財人は裁判所から報酬をもらって職務をまっとうするわけではありません。 報酬の出先は破産者の財産からとなります。
かかる費用は、少額管財か通常の管財事件かによって変わってきます。
比較的、調査や配当が軽微で済む場合、少額管財といって通常の管財事件よりも安い費用で手続きを進めることができますが、 債務額があまりに多額な場合や、不動産といった財産を多数所持している場合は、通常の管財事件として処理されることになり、費用が多くかかってしまいます。
2022.05.12