「自己破産をすると職業や資格が制限されるって本当?」
「借金は早くなくしたいけど、仕事までなくなったらどうしよう…」
自己破産をすると特定の職業や資格が制限されるため、一時的に資格を失ったり、仕事ができなくなったりすることがあります。
しかし、ほとんどの場合は自己破産の手続きが終わると同時に「復権」し、以前と同じように働くことができます。
ただし、復権までに時間がかかる場合や、解雇となるケースもゼロではないようです。 制限を受けるのはどのような資格・職業なのか、また、復権にはどんな条件が必要になるのか、以下でくわしく見ていきましょう。
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目次
自己破産で職業制限を受ける職業・資格とは?
裁判所に自己破産の申し立てを行い、破産手続開始決定が出ると、債務者(お金を借りた人)は「破産者」という扱いになります。「破産者」は資格の登録ができなくなるほか、それ以前に持っていた資格も一時的に取り消されるため、 一定期間は主に他人の財産や秘密を扱う職業に就くことができません。
なお、制限については「破産法」ではなく、それぞれの職業や資格に関する法律に規定されています。自己破産による資格制限がある主な職業は次の通りです。
<か行>
- 貸金業の登録(貸金業法律第6条)
- 教育委員会の委員(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条、第9条)
- 行政書士(行政書士法第2条の2)
- 銀行の取締役・執行役・監査役(銀行法第7条の2 )
- 警備員(警備業法第14条)
- 警備業者(警備業法第3条)
- 公安審査委員会の委員長および委員(公安審査委員会設置法第7条、第8条)
- 公証人(公証人法第14条)
- 公正取引委員会の委員長および委員(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第31条)
- 公認会計士(公認会計士法第4条)
- 国家公安委員会の委員(警察法第7条)
<さ行>
- 質屋営業の許可(質屋営業法第3条)
- 司法書士(司法書士法第5条)
- 社会保険労務士(社会保険労務士法第5条)
- 商工会議所の会員(商工会議所法第15条)
- 信用金庫等の役員(信用金庫法第17条)
- 生命保険外交員(募集人)(保険業法第279条、第307条)
- 税理士(税理士法第4条)
<た行>
- 宅地建物取引士(宅地建物取引業法第18条)
<な行>
- 日本銀行の役員(理事を除く)(日本銀行法第25条)
<は行>
- 不動産鑑定士(不動産の鑑定評価に関する法律第16条)
- 弁護士(弁護士法第7条)
<ら行>
- 旅行業の登録(旅行業法第6条)
制限の内容については、以下でくわしく触れていきます。
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
職業制限のある資格・職業
自己破産による資格制限には、大きく分けて次の2通りがあります。
- 破産手続開始決定以降、資格が使えなくなる職業
- 取消などの手続き後、資格が使えなくなる職業
それぞれの概要や該当する職業については以下をご覧ください。
(1)破産手続開始決定以降、資格が使えなくなる職業
以下の職業は、破産手続開始決定以降、法律によって一時的に資格が使えなくなります。
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 公認会計士
- 警備員
- 宅地建物取引士
- 公証人
一部の資格については、自己破産を申し立てたことを都道府県知事などに届け出る必要があります。例えば宅地建物取引士の場合は、破産手続開始決定から30日以内に届け出なくてはなりません。 届け出によって資格の登録はいったん取り消されますが、取得した資格自体が失われるわけではないので再度試験を受ける必要はありません。
自己破産の手続きが終われば再度登録申請が可能です。
(2)取消などの手続き後、資格が使えなくなる職業
破産手続開始決定後に登録取り消しなどの手続きを経て資格が使えなくなる職業には、生命保険外交員(生命保険募集人)などがあります。生命保険外交員(生命保険募集人)が自己破産した場合、破産手続開始決定を受けたことを自ら報告する義務はありません。 そのまま登録資格の取り消し手続きが行われない限りは仕事を続けることができます。
ただし、所属する保険会社によっては、就業規則や雇用契約書で「自己破産した者は解雇する」と定められていることがあります。 その場合は、早めに弁護士などの専門家に相談し、慎重に対応しましょう。
解任・罷免になる職業
自己破産をすることで、会社での地位を失ったり、罷免になったりする職業もあります。たとえば 会社役員(取締役、執行役員、監査役など)は、自己破産をすると役職を退任しなければなりません。これは、役員と会社が結んでいる「委任契約」が、自己破産によって解除されることが規定されているためです(民法第653条)。
ただし、 再度選任されれば役員に復帰することができます。同様に、団体企業(商工会議所、信用金庫、日本銀行など)の役員も自己破産すると解任されてしまいます。
公務員は基本的に自己破産を理由に解雇されることはありませんが、公正取引委員会や教育委員会の委員、人事院の人事官といった一部の公務員は、法令によって罷免されるリスクがあります。
自己破産による職業制限がない職業・資格
主に以下の職業は、自己破産をしても制限を受けません。
- 医師
- 看護師
- 薬剤師
- 介護福祉士
- 作業療法士
- 助産師
- 保健師
- 保育士
- 教員
- 一般の公務員(国家公務員・地方公務員)
- 会社員(一般社員)
医療系の仕事、教員、一般の公務員は資格制限の対象にはならないため、自己破産をしても継続して働くことができます。また、企業の一般社員は役員と違って制限を受けません。
自己破産で職業制限を受けるのはどれくらいの期間?
一般的に、職業・資格の制限を受けるのは 「破産手続きの開始決定を受けて復権を得ない間」です。自己破産をしても「復権」できれば制限が解除され、仕事に戻ることができます。
復権とは、自由に仕事に就ける権利を回復することです。復権は「当然復権」と「申立てによる復権」の2種類に大別でき、「当然復権」はさらに次の4つのケースに分けられます(破産法255条1項)。
- 免責許可裁判所による免責許可決定が確定すれば復権します。
- 破産手続同意廃止決定債権者全員が「破産手続き廃止」に同意した場合に復権します。これにより債権者は配当が得られなくなるため、全員が同意することはレアケースです。
- 再生計画の認可決定の確定免責許可決定を受けられないなどの理由で個人再生の手続きを行い、再生計画が認可されれば復権します。
- 破産詐欺罪で有罪にならずに10年経過免責許可決定を受けられなくても、詐欺破産罪で有罪になることなく破産手続き開始決定から10年が経過すれば自動的に復権します。
上記のうち、もっとも多いのは1の「免責許可」による復権です。そのため、 ほとんどの場合は自己破産の申立てから4~6ヶ月程度で制限が解除されます。
「申立てによる復権」は、上記の当然復権が認められない場合に、破産者自らの申し立てによって復権する方法です。破産者が親族からの援助で借金を完済するなどして責任を免れ、その際に破産者が自ら復権を申し立てた場合、裁判所は復権を認めなければなりません。
自己破産の復権については以下の記事で詳しく解説しています。
職業制限がある場合は自分から勤務先に自己破産を伝えるべき?
資格制限のある職業に就いている人は、自分から勤務先に自己破産することを報告し、手続き中の休暇・転属を申し出た方がよいでしょう。自己破産の申し立てをしたことを裁判所が勤務先に通知することはありませんが、以下がきっかけとなって勤務先に知られてしまうリスクがあるためです。
- 官報
制限の対象となる職業の場合、社内の人や関係者が官報を購読している可能性があります。 - 会社からの借金会社から借金をしている場合、裁判所から債権者である会社に破産手続き開始決定の通知が送られるので知られてしまいます。
また、 資格制限のある職業の場合、自己破産の事実を隠して働き続けると法律に抵触し、大切な職を失うことにもなりかねないので注意しましょう。あらかじめ伝えておけば、一時的に資格が不要な仕事に回してもらえる可能性もあります。
自己破産の官報については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産で職業制限を受けたら解雇される?
自己破産をしたこと自体は、法律上の解雇理由にはなりません。前述の通り一部の公務員は職を失うこともありますが、それ以外の職業で自己破産によって解雇される可能性は低いといえるでしょう。労働契約法第16条には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効になると規定されています。
労働契約法
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
自己破産による解雇は「合理的な理由」ではない上に「社会通念上相当」とは認められない可能性が高く、たとえ就業規則や雇用契約書に「自己破産をした者は解雇できる」と書いてあったとしても無効と判断されるケースが多いのです。
ただし、 制限対象となる職業の場合は自己破産が「合理的な理由」となる可能性がゼロとはいえず不利になるケースもあるので、早めに弁護士や専門家に相談するとよいでしょう。
自己破産による解雇については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産すると資格を取れなくなる?
自己破産による制限があっても、司法試験や司法書士試験、税理士試験、宅建といった試験の受験資格には影響しないため、破産手続き中でも自由に受験できます。
ただし、自己破産は欠格事由となるため、たとえ試験に合格できても、 自己破産の手続きが終わるまでは各資格の登録ができません。資格を登録できるのは、免責許可決定を受けて復権した後となるので注意しましょう。
自己破産による職業制限を避けたいなら他の債務整理方法を検討
これまでにご説明した通り、自己破産による制限の影響を受けるのは一部の職業・資格のみで、その制限期間も4~6ヶ月程度と決して長くはありません。
しかし、就業規則に破産に関する決まりがあるなどして不安な場合は、自己破産以外の債務整理を検討するという方法を考えてみてはいかがでしょうか。
手続き中に職業・資格の制限がない債務整理方法には、「任意整理」「個人再生」があります。どの方法が向いているかは、職業や収入、財産の有無などによって異なります。
債務整理については以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理
借入先と直接交渉をして、無理なく返済できるようにする方法です。多くの場合は将来利息がカットされ、残った元金を3~5年の分割で返済します。 安定収入があり、周囲に知られずに借金を減額したい人に向いています。
整理する借金を任意で選べるので、保証人が付いている借金を対象から外せば、保証人に迷惑をかけることもありません。
任意整理については以下の記事で詳しく解説しています。
個人再生
裁判所への申し立てによって借金を大幅に減額し、原則3年(最長5年)の分割払いで完済する方法です。最低返済額は100万円ですが、借金を5分の1~10分の1程度にまで圧縮できます。すべての借金が対象になりますが、「住宅ローン特則」を利用すれば例外的に住宅ローンの債権者を個人再生の対象から外せるため、マイホームを手元に残すことが可能です。
したがって、 ローン返済中の自宅があり、一定の収入がある人に適しています。
個人再生については以下の記事で詳しく解説しています。
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