自己破産でなくなるものは?処分される財産と処分を回避する方法を解説

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この記事の監修者
島村 海利
この記事の監修者
島村 海利弁護士
弁護士会所属
第二東京弁護士会 第52828
出身地
高知県
出身大学
香川大学法学部卒 九州大学法科大学院卒
保有資格
弁護士、2級ファイナンシャルプランニング技能士(FP2級)
コメント
人に対する温かいまなざしを持ち、ご依頼者の話をよく聞き、ご依頼者様に寄り添える弁護士になれるよう日々努めています。

自己破産したら全財産がなくなるのかな…」「自己破産しても財産を守る方法はある?

自己破産は、ほぼすべての借金の返済義務が免除になる、大きな効力のある債務整理です。

持ち家など一部の財産は回収・処分され、債権者へ分配されてしまいますが、すべての財産がなくなるわけではありません

次のような金品は「自由財産」として所有が認められています。

  • 破産手続開始後に取得した財産
  • 生活必需品
  • 99万円以下の現金 など

これ以外でも「20万円以下の預貯金」や「評価額20万円以下の自動車」なども、自由財産の拡張として所有が認められる場合があります。

この記事では、

  • 自己破産で処分される財産・処分されない財産
  • 財産を守るためにやってはいけないこと
  • 自己破産の影響をできるだけ抑える方法

について詳しく解説します。

弁護士法人・響では、自己破産をはじめとする借金問題に関するご相談を、24時間365日受け付けています。

ご相談は何度でも無料ですので、お気軽にご相談ください。

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目次

自己破産したら全財産を失うわけではない

自己破産をしても、すべての財産が回収・処分されるわけではありません。

生活に必要な家具や家電、現金などは、手元に残すことができます。

自己破産という制度の目的は、債務者が生活を立て直せるように支援することで、ペナルティを与えることが目的ではありません。

破産後に生活ができなくなるような財産の引き上げは、趣旨に反するのです。

また、売却しても一定程度の金額にならない物品は、あえて処分されることはなく手元に残すことができます。

自己破産の存在意義については下記記事で詳しく解説しています。

自己破産では財産の分配を決める

自己破産は「破産手続」「免責手続」という、2つの手続きで構成されています。

まずは所有している財産の一部を換価して、可能な限り債権者に返済する必要があるのです。

破産手続

破産申立人が所有している一定以上の財産を回収・換価して、債権者に分配する

免責手続

破産手続後も残る債務について、裁判所が支払い免除(免責)を認める

自己破産の仕組み

所有する財産は「破産管財人」によって調査され、回収・処分の手続きが進められます。

回収された財産は、債権者に公平に分配されます。

家族や知人など個人的な借入れでも特別扱いされることなく、すべて平等に扱われます。

破産管財人については下記記事で詳しく解説しています。

自己破産で処分される財産・処分されない財産

前述したように、自己破産をしても処分されない財産もあります。

処分される財産と処分されない財産は、どのような基準で判断されるのかを、以下で解説します。

処分される財産

自己破産で財産が処分されると、借金の残額の返済に充てられます。

具体的に処分される可能性の高い財産は、次のようなものです。

  • 持ち家や土地などの不動産
  • 20万円以上の価値がある自動車
  • 高額な預金
  • 時価評価額20万円以上の財産

処分される財産は本人名義のものだけなので、配偶者など他の家族名義のものは処分されません。

同居家族の財産が誤って引き上げられてしまった場合は、売却される前に取り戻せるようにすぐに裁判所や専門家に相談しましょう。

差し押さえられる財産については下記記事で詳しく解説しています。

処分されない財産

本人名義でも処分されない財産があります。

所有や売却が自由にできる財産という意味で「自由財産」といいます。

特に次のような金品は、本来の解釈通りに自由財産であることが認められる「本来的自由財産」と呼ばれています。

  • 破産手続開始後に取得した財産(新得財産)
  • 生活必需品など法律により差押が禁止されている財産
  • 99万円以下の現金(預金は含まれない)

回収・処分の対象財産かの判断は破産手続開始決定日が基準となるため、手続き開始後に取得した財産は処分されません。

生活に最低限必要なものは処分の対象から外され、99万円以下の現金も生活に必要なものとして手元に残すことができます。

給与に関しては、

給料は金額や給与発生の時期がポイント
  • すでに支給された給与
    手元の現金と合わせて99万円以下であれば処分されませんが、99万円を超えた分は処分されます。
  • 手続開始決定時に支給されていない給与
    働いたが破産手続き時点で受け取っていない給与は、処分の対象になります。支給額の4分の3は生活費として保障されているため、4分の1が処分されることになります。
  • 手続開始決定後に支給された給与
    新得財産となり処分の対象外です。

自由財産は拡張される場合もある

「本来的自由財産」以外の財産がすべて処分対象になると、実質的に生活ができなくなってしまうケースもあります。

そこで本来は自由財産にならない財産でも、裁判所の裁量によって自由財産とみなされる場合もあります。

このような制度を、自由財産の適用範囲を拡大するため「自由財産の拡張」といいます。

本来は処分の対象になる20万円以上の預貯金も、回収によって生活に支障をきたすとみなされれば、処分されないケースがあります。

自由財産の拡張が認められる基準は、地方裁判所ごとの判断に拠りますが、東京地方裁判所では次のような基準が設定されています。

自由財産拡張の基準の例(東京地方裁判所の場合)
  • 20万円以下の預貯金
  • 見込み額20万円以下の生命保険解約返戻金
  • 見込み額の8分の1が20万円以下になる退職金債権
  • 評価額20万円以下の自動車やバイク
  • 賃貸物件の敷金
  • 電話加入権
  • 家財道具 など

自由財産については下記記事で詳しく解説しています。

自己破産前にやってはいけないこと

自己破産の手続きでは、ギャンブルや遊びなど本人の責任が大きい借金は免責(返済の免除)を認めないという「免責不許可事由」という条件があります。

また債権者が一方的に不利になる行為も、免責不許可事由に該当します。

次に挙げる行動は免責不許可事由に該当する可能性があるだけでなく、意図的かつ悪質な場合は詐欺破産罪が適用される場合もあるので避けるべきといえます。

  • 財産の名義変更
  • 財産の処分・譲渡等
  • 偏頗弁済

以下で詳しく解説します。

免責不許可事由については下記記事で詳しく解説しています。

財産の名義変更

持ち家や車の処分を避けるために、家族の名義に変更することはやってはいけません。

破産手続前の名義変更は「財産隠し」と見られて、免責が認められなくなります。

破産手続中だけでなく手続き前であっても、むやみに財産の名義変更をすると、免責不許可事由に該当する可能性があります。

すでに自己破産を検討している段階であれば、名義変更は控えてください。

財産の処分・譲渡等

財産を回収される前に自身で売却処分することも、免責不許可事由に該当します。

財産の売却処分以外にも、次のような行為をすると、免責が認められない可能性が高まります。

  • 隠すこと
  • 壊すこと
  • 譲り渡すこと
  • 現状を改変して価値を下げること
  • 安く売却すること

債権者にとって不利になるような行為は、控えたほうがいいでしょう。

免責不許可事由については下記記事で詳しく解説しています。

偏頗弁済

「偏頗弁済(へんぱべんさい)」とは、特定の債権者を優先して借金を返済することです。
これも免責不許可事由となります。

複数社からの借金がある場合、特定の債権者が不利益にならないように、債務者はすべての債権者を平等に扱わなければならないという原則があるのです(債権者平等の原則)。

法律(破産法)でも、特定の債権者に利益を与えると、免責が認められないと規定しています。

続きを読む
破産法

(免責許可の決定の要件等)
第252条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
(略)
三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。

※引用:e-GOV「破産法」

家族や友人などの個人からの借金といえども、優先して返済すると偏頗弁済となってしまうので、注意が必要です。

免責不許可事由に該当する行為は、破産管財人の調査によってバレることがあります。

やむを得ない事情がある場合は、破産手続をする前に弁護士に相談するようにしましょう。

なお、弁護士費用の支払は偏頗弁済とはなりませんので、現金で支払っても問題ありません。

偏波弁済については下記記事で詳しく解説しています。

自己破産による財産への影響を抑えるには

自己破産をする際に、財産への影響を抑えることも抑えることも可能です。

財産への影響を最小限に抑えるために、次のような方法が考えられます。

  • 自由財産の拡張を申し立てる
  • 家族が破産管財人から財産を買い取る
  • 財産への影響が少ない個人再生を検討する
  • 弁護士に相談する

以下で詳しく解説します。

自由財産の拡張を申し立てる

前述したように、自由財産の拡張を行うことで、処分されずにすむ財産もあります。

自由財産拡張の判断は裁判所の判断で決まりますが、破産申立者自身で申立てをする必要があります。

自由財産の拡張申立ては、自己破産の申立てをする際もしくは、破産手続き開始決定日から1ヶ月以内に行う必要があります。

裁判所によって申立ての方法やタイミングが異なる場合があるので、あらかじめ確認しておくといいでしょう。

自由財産の拡張については下記記事で詳しく解説しています。

家族が破産管財人から財産を買い取る

破産管財人が処分する財産を、第三者の手に渡る前に家族が買い取るという方法もあります。

破産管財人としては債権者の利益になれば問題ないので、相応の金額であれば家族であっても財産を買い取ることは可能です。

ただし、身内だからといって安く買えるわけではない点に注意しましょう。

財産への影響が少ない個人再生を検討する

「個人再生」で解決するのも一つの方法です。

個人再生は、「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」を利用することで持ち家を残すことが可能です。

最低100万円は自力で返済しなければなりませんが、借金総額を80~90%程度減額できる可能性があるので、検討する価値はあるでしょう。

個人再生については下記記事で詳しく解説しています。

弁護士に相談する

自己破産をすることによる財産への影響は、さまざまなケースが想定できます。

自己破産の手続きは複雑なので、一般の方には判断が難しいことが多いでしょう。

自己破産を行う際には、弁護士に相談・依頼することが一般的です。

弁護士に相談すると、財産への影響やリスクなども詳しく教えてくれるはずです。

自己破産の手続きを依頼することで、ほとんどの作業や裁判所とのやりとりを任せることができます。

また自己破産以外の解決方法も提案してくれるので、借金問題を解決したいなら弁護士に相談しましょう。

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