「 どんな理由で免責不許可になるの?」
「 浪費のせいで借金したら、自己破産できないって本当?」
免責不許可とは、 自己破産を申し立てしてたとしても、免責(借金の返済義務の免除)が認められないことを指します。
借金の返済が難しくなり自己破産を選びたいと思っても、「自分のケースは免責不許可になるのではないか」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
一般的に、 免責の許可をもらうには、「免責不許可事由」に当てはまらないことが条件となります。
この記事では免責不許可事由に該当する行為、免責不許可事由に当てはまったときにするべきことについて解説します。
相談無料 全国対応 24時間受付対応
- 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
- 今お金がなくても依頼可能!
- 相談は何度でも無料
- 最短即日!返済ストップ
目次
免責不許可事由とは?
免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)とは、自己破産で免責(返済義務の免除)を認めないケースとして、破産法252条1項に明記されているものです。
もし自己破産であらゆる借金が免責されてしまうと、債権者(貸した側の金融機関など)の不利益が大きくなってしまいます。
そのため、債務者(借りた側)が債権者に対して悪意をもった行為を行ったり、不誠実な対応を取ったりすると、借金が免責されない場合があるのです。
免責不許可事由に当てはまる行為
免責不許可事由は、大きく3つに分けられます。
- 債権者(貸した側)を害する行為、債権者に不誠実な行為
- 個人情報の偽装や手続きの妨害
- 免責制度によるもの
それぞれについて解説していきましょう。
債権者を害する行為、債権者に不誠実な行為
債権者(貸した側)に故意に損害を与えるような行為があった場合や、借金の理由が債権者に対して不誠実であると判断される場合は、免責不許可事由に当たります。
浪費やギャンブルによって多額の債務を負った場合
高額な買い物・遊興費・ギャンブルなどを理由に、収入と不釣り合いな借金を負った場合、免責不許可事由に当てはまると判断されます。
具体的には、次のような理由での借金が該当すると考えられます。
- パチンコ、パチスロ、競馬
- ブランド品や高級車の購入
- 株取引、FX、仮想通貨取引 など
破産法の条文には、以下のように記載があります。
出典:破産法252条1項4号
ただし、上記の「過大」がどこまでを指すか、などは一般的な個人では判断できない部分といえます。
借金の内容や金額が該当するか判断に困る場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。
ギャンブルが理由で自己破産ができるかについては以下の記事で詳しく解説しています。
財産を隠したり、勝手に他人に贈与したりした場合
自己破産をすると、債務者がもつ一定以上の価値がある財産は換金され、債権者に分配されてしまいます。
その事態を避けるために
故意に財産を隠す、財産の価値を減少させるような行為を行うと、免責不許可事由と判断される可能性が高いです。
具体的には、次のような行為が該当する可能性があります。
- 預金を家族名義の口座に移す
- 不動産や車を安価で親戚に売却する
- 解約返戻金が高額な生命保険に入っていることを隠す
破産法の条文には、以下のように記載があります。
出典:破産法252条1項1号
一定の債権者を優遇するような行為を行った場合
自己破産を行う場合は、全ての債権者を平等に扱わなければいけません。
これは、「債権者平等の原則」といいます。
特定の債権者にだけ返済する行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼ばれ、免責不許可事由と見なされます。
債権者には金融機関だけでなく、お金を借りている家族や友達、同僚なども含まれるので、注意しましょう。
具体的には、次のような行為が該当すると考えられます。
- 他の借金を支払えなくなってから、車のローンを繰り上げ返済する
- 自己破産の手続き中、勤務先の社長に借りていたお金を返す
破産法の条文には、以下のように記載があります。
出典:破産法252条1項3号
相手をだまして信用取引を行っていた場合
返済能力や返済できるあてがないにもかかわらず、「きちんと返済できる」と虚偽の申告をして借り入れをしていた場合、免責不許可事由となります。
悪質なケースでは、詐欺罪が成立する可能性もあります。
具体的には、次のような行為が当てはまるといえるでしょう。
- 年収200万円の人が1,000万円の借金があることを隠して、クレジットカードを新規契約する
- 多額の借金があることを隠して、新たに借り入れをする
破産法の条文には、以下のように記載があります。
出典:破産法252条1項5号
不当に債務を負担した場合
自己破産を行う前に、 不利益な条件で債務を負担したり、信用取引(クレジットカードやキャッシングローンの契約など)によって仕入れた商品を不利益な条件で処分したりすると、免責不許可事由に当たると判断されます。
具体的には、次のような行為が該当すると考えましょう。
- 破産手続前に、ヤミ金などで違法な高金利でお金を借り入れる
- 破産手続前に、クレジットカードで新幹線のチケットなどを購入し、すぐに売却して現金化する
破産法の条文には、以下のように記載があります。
出典:破産法252条1項2号
個人情報の偽装や手続きの妨害
自己破産の手続きにあたり、裁判所に提出する書類を偽ったり説明すべきことを説明しなかったりした場合も、免責不許可事由に該当します。
破産管財人などによる調査に協力しなかった場合
自己破産を行う人は、
破産管財人に対して、破産に至った経緯や財産の有無、取引の内容などを説明する義務が課されます。
必要な情報を隠したり破産管財人の調査に非協力的だったりすると、免責不許可事由と見なされます。

破産法の条文には、以下のように記載があります。
出典:破産法250条2項
破産管財人については以下の記事で詳しく解説しています。
裁判所からの質問に回答しなかった、またはうその回答をした場合
破産手続において裁判所から質問などをされる際に、説明を拒んだり虚偽の説明をしたりすると、免責不許可事由になります。
特に不許可となるリスクが高いため、裁判所の調査には積極的に協力しましょう。
破産法の条文には、以下のように記載があります。
出典:破産法252条1項8号
債権者名簿を偽造した場合
自己破産を行う際は、借り入れをしている全ての債権者を裁判所に報告しなければいけません。
そのため、
特定の債権者だけを名簿に載せなかったり架空の債権者を載せたりすると、免責不許可事由となる可能性があります。
破産法の条文には、以下のように記載があります。
出典:破産法252条1項7号
自己破産の債権者漏れについては以下の記事で詳しく解説しています。
帳簿などを隠した場合
帳簿をはじめとした財産に関する書類を隠す、虚偽の文書を作成するといったことを行うと、免責不許可事由と判断されてしまいます。
場合によっては、文書偽造罪が成立する可能性があるため、絶対に避けるべき行為です。
破産法の条文には、以下のように記載があります。
出典:破産法252条1項6号
管財業務を妨害した場合
破産管財人が要求した財産を引き渡さなかったり、必要な書類を取り寄せられないように邪魔をしたりすると、管財業務等妨害と見なされ、免責不許可事由になります。
破産管財人に対する脅迫も、管財業務等妨害にあたります。
破産法の条文には、以下のように記載があります。
出典:破産法252条1項9号
免責制度によるもの
これは他の項目とは少し異なり、免責制度によってあらかじめ決められているものです。
過去7年以内に免責を受けたことがある場合
過去7年以内に免責許可を得たり、個人再生のハードシップ免責や給与所得者等再生を利用したりした場合、免責は認められません。

返済金額の4分の3以上の返済を行っていることなどが条件となる。
破産法の条文には、以下のように記載があります。
イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
ロ 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
ハ 民事再生法第二百三十五条第一項(同法第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
出典:破産法252条1項10号
免責不許可事由でも裁量免責が認められれば自己破産ができる
これまで免責不許可事由を紹介してきましたが、これらに当てはまるからといって、すべての借金が免責されないというわけではありません。
裁判所の判断によって「裁量免責」が適用されれば、免責されることがあるのです。
そもそも自己破産は、借金で困っている人たちを再起させることが目的の制度です。
そのため、
借金額や本人の態度、事情などを鑑みて、裁量免責が認められるケースは多いようです。
実際に、自己破産手続で免責申立てを行った後、免責許可が下りた人の割合は95%を超えています。

出典:日本弁護士連合会「2020 年破産事件及び個人再生事件記録調査」
ただし、
免責許可の確率の高さは、自己破産を検討している人が事前に弁護士に相談し、申し立てしても問題がないか判断してもらっているからだといえます。
あらかじめ弁護士に免責不許可になる可能性を見極めてもらうことで、自己破産以外の方法を検討し、よりスムーズに借金問題を解決する道が見えてくるかもしれません。
「
自分の状況は免責不許可事由に当てはまるか」と疑問に感じたら、弁護士などの専門家に相談してみましょう。
裁量免責はどう認められる?事例を確認
免責不許可事由に該当することが疑われる場合、自己破産の手続きは「管財事件(通常管財)」もしくは「少額管財」という種類になります。

「管財事件(通常管財)」「少額管財」では、
破産管財人による財産や借金理由の調査が行われるため、破産申立てから4ヶ月~1年以上の時間がかかります。
具体的な流れは以下のようになります。
【管財事件(通常管財)・少額管財の流れ】
- 自己破産申立て
↓ - 破産審尋
- 裁判所で管財事件(通常管財)、少額管財を決定
- 破産手続開始
- 破産管財人の選定
※ただし、裁判所によって順番が前後します
↓ - 破産管財人による財産や借金理由の調査
- 債権者集会・免責審尋・配当
↓ - 裁判所による免責許可
裁判所は、申立人への免責審尋を経て裁量免責を認めるかを決定します。
免責不許可事由がある場合は、免責審尋で破産に至った経緯や、それに対する反省の有無などを裁判官から聞かれることがあります。
裁判所から反省文などの提出が求められるケースもあるようです。
それぞれ、誠実に対応することが重要です。
実際に裁量免責を認められたケースを見てみましょう。
クレジットカードでの買い物やFX、バイナリーオプション取引などによって、借金が290万円まで膨らんでしまいました。弁護士に相談したところ、専業主婦で収入がなかったこともあり、自己破産を行うことになりました。手続きを進め、2回目の出廷時に反省文を提出したことで、免責を認めてもらうことができました。
(30代女性)
※あくまで一例です。このとおりにならない場合もあります。
自己破産の手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。
裁量免責が認められない場合は高等裁判所に異議申立てをする
破産申立てを行っても免責許可が下りない場合は、
高等裁判所に異議を申立てることができます。
免責不許可の決定から2週間以内に申立てを行うことで実行される「即時抗告」といわれる制度です。

即時抗告をしたからといって、必ず異議が認められるわけではありません。
しかし裁判所の判断に納得がいかないときの対処法の1つとして、頭に入れておきましょう。
他の債務整理方法なら免責不許可事由を気にしなくてよい場合も
免責不許可事由に当てはまり、自己破産をすることが難しそうな場合も、 他の債務整理方法を選択すれば、免責不許可事由に左右されずに借金問題の解決を図ることができます。
自己破産以外の債務整理方法には、「任意整理」「個人再生」といったものがあります。
自己破産では借金の理由や借り入れの過程なども条件として加味されますが、他の方法であれば問われないことが多いのです。
任意整理
裁判所を通さずに債権者(貸した側)とそれ以降の借金の返済方法について直接交渉することによって、将来利息などをカットし、返済金額の減額を図る解決方法。
任意整理については以下の記事で詳しく解説しています。
個人再生
裁判所に申立てをして再生計画の認可決定を受けることで、5分の1〜10分の1程度に借金を減額し、分割返済で完済を目指す方法。
個人再生については以下の記事で詳しく解説しています。
債務整理の方法によって、債務者(借りた側)である自分自身が受ける影響も異なります。
自己破産では原則として全ての財産が処分されますが、
任意整理や個人再生では自宅や車などの財産を残せるケースもあります。
自分の状況に合う方法を、弁護士などの専門家と一緒に検討してみるとよいでしょう。
債務整理の方法については以下のページで詳しく解説しています。
免責不許可事由に当てはまった借金を自己破産以外で解決した事例
免責不許可事由に当てはまってしまった借金を、他の債務整理方法で解決した事例を見てみましょう。
任意整理で遅延損害金や将来利息などを減らし、残りの元金を返済していくというケースが見受けられます。
260万円も借金が積み重なってしまい自己破産をしようと思いましたが、全て競馬と風俗を利用するためのものだったので、免責不許可事由に該当していることがわかりました。そのため任意整理に切り替えて、その過程で引き直し計算をしてもらった結果、過払い金があったことがわかり、借金の元金返済にも多少充てることができました。
(40代男性)
※あくまで一例です。このとおりにならない場合もあります。
自己破産を申し立てしましたが、借金の理由がアプリへの課金や買い物での浪費によるものと判断され、免責不許可となりましたが、弁護士に相談して任意整理を行ったことで、将来利息をカットしてもらうことができました。現在は、残金の返済を続けています。
(20代女性)
※あくまで一例です。このとおりにならない場合もあります。
任意整理について詳しくは以下の記事で解説しています。
債務整理については弁護士に相談
債務整理は、一般的に自分で行うことは難しい場合が多いといえます。
煩雑な手続きを、取り立てを受けながら行うのは精神的負荷も大きいでしょう。
弁護士や司法書士などに債務整理を依頼すれば「受任通知」が債権者に発送され、取り立てが止まります。
債務整理のための書類作成も代行してもらえるので、生活の立て直しにも注力しやすいといえます。
さらに、弁護士に依頼すれば、以下のことが可能です。
- 裁判所で行う手続きの代行
- 債権者(貸した側)とのやりとりの代行
自分の負担を軽減しながら借金を解決するために、債務整理の経験が豊富な弁護士に依頼をするのがよいでしょう。
-
自己破産を検討していても、次のような免責不許可事由に当てはまると、免責が認められない可能性があります。
・浪費やギャンブルによって多額の債務を負った場合
・財産を隠したり、勝手に他人に贈与したりした場合
・一定の債権者を優遇するような行為を行った場合
・債権者をだまして信用取引を行った場合
・不当に債務を負担した場合
・破産管財人などによる調査に協力しなかった場合
・裁判所からの質問に回答しなかった、またはうその回答をした場合
・債権者名簿を偽造した場合
・帳簿などを隠した場合
・管財業務を妨害した場合
・過去7年以内に免責を受けたことがある場合 - ただし、上記のいずれかに当てはまったとしても、「裁量免責」となれば免責が認められることもあります。
- 他の債務整理方法を検討することで、スムーズに借金問題を解決できる場合もあるでしょう。
- いずれの場合も、 弁護士などの専門家に相談することで、現状に合う方法で進めやすくなるケースが多いでしょう。無料相談を実施している弁護士事務所も多いので、まずは相談してみてください。
相談無料 全国対応 24時間受付対応
- 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
- 今お金がなくても依頼可能!
- 相談は何度でも無料
- 最短即日!返済ストップ