ここでは債権回収会社(サービサー)に勤務されている現役社員の方にお伺いした、回収業務の実態について、実話をもとに紹介します。
債権回収会社の業務内容について詳しくお話しいただいたので、長期間滞納をしている方や債権回収会社から請求が届いている方は、ぜひ参考にしてください。
お話をお伺いした方:T様(某債権回収会社ご勤務)
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債権回収会社とは、金融会社に代わって借金を回収する業者のことです。安易に個人で督促に対応しようとすると、減額できたはずの借金を支払うリスクがあります。
【弁護士に相談するメリット】
- 債権回収会社の督促を止められる
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- 弁護士への相談は何度でも無料
目次
扱う債権は住宅ローンやカーローン・クレジットカードの利用代金など
Q.債権回収会社の回収業務内容を教えてください。
サービサーは、都銀や地銀、信用金庫、消費者金融やクレジットカード会社から不良債権(回収が困難な債権)を買い取って、その回収を行います。別の債権回収会社から買い取るものもあります。
具体的には「特定金銭債権」といわれる、一般の方が支払えなくなった住宅ローンやカーローン、クレジットカードの利用料金などです。支払不能になってから数年経過しているようなことが多いですね。
元本プラス遅延損害金を債権として買い取ることになりますが、住宅ローンの場合は元本も大きいので、遅延損害金も大きな額になっている場合があります。
督促方法は手紙・電話・SMSだが厳しい文言は使わない
Q.回収業務は、どのような流れで行うのですか?
回収の第一歩は、まず債務者様に手紙をお送りします。
手紙の体裁には、圧着ハガキと封書の2種類があります。使い分けに明確な基準はありませんが、債権額が少ない場合は郵送費用を考えて圧着ハガキを使うことが多いですね。
一度お送りして返信がなければ、再度送付します。債権内容や債権額によって送る回数は異なりますが、返済がなければ毎月送ることもありますよ。
督促状に記載する文言としては
- 債権を譲り受けたこと
- 支払期限
- 元本および遅延損害金の金額
などを事務的に記載します。
さらに「お支払いがないと法的手続きをする場合がある」といった内容を書く場合もありますが、必要以上に厳しい文言は使いません。
サービサーの回収業務は法律で規制されているため、威圧的な文言を使うことはありませんね。
また、督促の回数を重ねるごとに「文言を厳しくする」「封筒の色を変える」といったこともしていません。送付する回数が増えても、内容を大きく変えることはないのです。
私たちサービサーは法務省に許可を得て営業しているので、テレビドラマなどで見るような「怖い会社」ではなく、法令を遵守して回収業務を行っているのです。
債権回収会社が守るべき法律である「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」では、回収業務について次のように規定されています。
(業務に関する規制)
第17条 債権回収会社の業務に従事する者は、その業務を行うに当たり、人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。
引用:e-GOV法令検索「債権管理回収業に関する特別措置法」
このように回収業務について法律で厳しく規制されているため、テレビドラマなどで見るような「大声でどう喝される」「張り紙をされる」「早朝や深夜に来訪される」といったことはありません。
電話に出ない場合は債務者の自宅まで訪問することも
Q.電話やSMSでの督促ではどのようなお話をするのでしょうか?
手紙を送付して債務者様から反応がない場合は、直接お電話をいたします。
電話をするタイミングに明確な決まりがあるわけではありませんが、ご入金期日までにお支払いがない場合には、すぐに電話をしています。
電話の内容としては、まず「お手紙は届いていますか?」とお聞きして、金額など債権の内容を確認したうえで、支払いをお願いします。
この場合でも、乱暴な言葉を使うことはしません。あくまでも事務的にお話をします。
また同時に、債務者様の携帯電話へSMS(ショートメールサービス)を送信します。電話とSMSは同じような頻度ですね。
電話に出ていただけない方も多いですね。一度電話をすると、次からは着信拒否をされることもあります。
その場合は、債務者様のご自宅まで伺う場合もあります。まずは、住所として記載された場所に住んでいることを確認するためです。
電気・ガスのメーターを見たり、お隣の方に「お隣様は住んでいますか?」とお聞きすることもあります。もちろん「お金を貸している」というようなことは一切言いません。
住んでいない場合は、住民票を取得(第三者請求)するなどして、転居先を調べる場合もありますよ。

正当な理由がある場合にかぎり、本人や家族以外の第三者(利害関係人)が住民票や戸籍を請求できる制度です。
請求できる人の条件は住民基本台帳法(第12条の3)・戸籍法(第10条の2)で定められています。
6ヶ月程度支払いがないと法的手続きへ移行
Q.郵便・電話・訪問で回収できない場合はどのような対応をするのですか?
さまざまな方法でご連絡をしてもお支払いいただけない場合は、おおむね6ヶ月程度の猶予期間を設けたうえで、法的手続きに移行することになります。
まず、裁判所に申立てをして「支払督促」を送付します。
以前は債権額が少ない場合は支払督促を送らない場合もありましたが、最近は手数料が安くなったため、債権額が少ない場合でも支払督促を送ることが多くなっています。

債権者(お金を貸した側)の申立てにより、簡易裁判所が債務者(お金を借りた側)に金銭の返済を命じる法的な手続きです。
支払督促が届いても返済せず異議申立てもしないでいると、財産差押えの強制執行となる場合があります。
支払督促をお送りしても支払っていただけず、異議申立てがない場合は、さらに「仮執行宣言付支払督促」を送付して、最終的には「財産差押えの強制執行」となることもあります。
しかし必ず差押えまで行うわけではなく、債権額などによってケースバイケースですね。
住宅ローン債権の場合は、すでに担保である住宅を売却されている場合もあるため、資産を調査したうえで差押えに踏み切るかを判断します。
実際に差押えをする場合は、預金口座や給与などを差押さえることが多いですね。
支払督促については以下の記事で詳しく解説しています。
状況を伺ってどうしたら払えるかを一緒に考える
Q.回収業務をする際に心がけていることはありますか?
まずはていねいに説明することで、債務者様に納得してもらうことを心がけています。
債権回収会社が連絡する債務者様は「払いたくても払えない状況」にあるはずです。そこへ一方的に「払ってください」と迫っても解決しないですよね。
そのため法的手続きに踏み切る前に、債務者様の状況を充分に伺って、どうしたら払えるかを一緒に考えるようにしています。
実は、債務者様のお話に信ぴょう性や納得感があれば、支払い方法を調整できる場合もあります。
ケースバイケースですが「3~5年程度の長期分割払いにする」といった柔軟なご提案をすることもあるんですよ。
また何度も言いますが、債権回収会社は法務省の管轄で、反社会的な組織にならないよう厳重に管理されています。
社内に弁護士を置くことも義務づけられており、支払いを強硬に迫るようなことはありませんので安心して相談してください。
時効で返済を免れることはかなり難しい
Q.時効を待って返済を免れることはできるのでしょうか?
時効になるのを待って返済を免れるということは「なくはないが、かなり難しい」でしょうね。
ある程度の期間支払っていただけない場合は、支払督促を送付したり差押えの強制執行などの法的措置をとります。
差押えの強制執行となれば、もう支払を免れることはできません。
またこのような法的措置をとった場合は、時効期間は10年に延長されるため、時効(消滅時効)を期待するのは現実的ではないでしょうね。
時効については以下の記事で詳しく解説しています。
相談してくれれば遅延損害金などの減額ができる場合も
Q.債権回収会社から請求された際に、注意すべき点はありますか?
私たちが連絡をしてもなんの反応もなく、放置される方は多いのですが、金額によっては本当に法的手続きへ進んでしまいます。
それを防ぐためにも、支払いが難しい場合でも正直にお話しいただきたいですね。
債務者様の話に一切耳を貸さないわけではなく、相談に乗れる余地があるからです。
どこからいくら借りていて、いくらずつ払っているといったことをお話しいただき、できれば給料明細などのエビデンスがあると具体的なご提案もしやすいですね。
場合によっては、遅延損害金や元本の減額という対応ができることもあります。
借金の話なので「電話したくない」とか「話したくない」という気持ちになるのもわかりますが、話をしないことには前に進みません。
サービサーだからといって怖がらずに、正直な気持ちをお話しいただきたいですね。
自分が請求される立場なら電話して相談する
Q.ご自身が債務者として債権回収会社から請求された場合は、どのような行動をとりますか?
私が請求される立場だったら…少しずつでも返済ができる状況であれば、電話をして相談しますね。
どうせ払うなら、正直に話して少しでも有利な条件にしてもらえないか、お願いをしてみます。
どうにも払えない状況だったら…自己破産をするかな。
滞納を続けている時点でブラックリストに載っているので、当分クレジットカードなどを作ることができません。
それなら自己破産をして、きれいさっぱり解決したほうがいいかな、と考えてしまいます。
一般の方は「ブラックリストなんて都市伝説だろう」と考えている人も多いのではないでしょうか。信用情報とか事故情報というものを正しく理解しておらず、そのリスクもわからないという印象です。
滞納をした時点で、ブラックリストについてよく理解しておいたほうがよいでしょうね。

信用情報機関に事故情報が登録されることの俗称です。滞納や債務整理をすることで一定期間登録され、その間はクレジットカードやローンの新規契約などができません。
ブラックリストについては以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
債務整理はきちんと借金を解決をしたということ
Q.支払いができずに債務整理する人をどう思いますか?
どうしても支払いができずに債務整理をすることは、しかたないと思います。
債務整理をするということは、きちんと借金を解決をしたということなので、それに対して負の感情を持つことはありません。
どちらかというと、連絡をしてこない方や「返す返す」と言っていたのに結局返さない方のほうがひどいと思います。
実際に債務整理する方は、自己破産を選ぶ方が圧倒的に多いですね。
自己破産する方の債務額は、人によって異なりますが100万円以上であることが多いですね。なかには数億円単位の債務がある方もいらっしゃいましたが…。
債権回収会社に債権が渡っているということは、すでに滞納から数年たっているので、任意整理では解決できないことが多いのでしょう。
自己破産も借金の正しい解決方法だと思います。
債務整理にはほかにも個人再生という方法もあるので、ご自身にあった方法を選ぶとよいのではないでしょうか
個人再生については以下の記事で詳しく解説しています。
取材日:2023年3月17日
※記載の内容は個人の見解も含まれており、内容を保証するものではありません。
(編集後記)
T様のお話にもあったように、サービサーからの請求を無視していても借金問題は解決しません。むしろ滞納が長期化するほど、事態は悪くなってしまいます。
サービサーは法務省の認可を受けた正当な会社なので、強引な取り立てをすることはありませんし、返済の相談に乗ってくれることも多いようです。
借金の話をするのは気が重いでしょうが、まずは正直にお話をしてみましょう。
どうしても借金の返済ができない場合は、債務整理という正当な方法で解決できる可能性があります。債務整理をするには弁護士に依頼することが一般的ですので、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
債務整理については以下の記事で詳しく解説しています。
相談無料 全国対応 24時間受付対応
債権回収会社とは、金融会社に代わって借金を回収する業者のことです。安易に個人で督促に対応しようとすると、減額できたはずの借金を支払うリスクがあります。
【弁護士に相談するメリット】
- 債権回収会社の督促を止められる
- 複雑な手続きを代行してくれる
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