「返済が滞って差し押さえになってしまっても、残せる財産はある?」
「差押禁止財産ってどんなものが当てはまるの?」
差押禁止財産とは、差押えにより回収をすることが禁止されている財産のことで、「差押禁止債権」と「差押禁止動産」に分けられます。それぞれについて代表的なものは以下のとおりです。
差押禁止債権:
・手取り給与(給与額面額から税金等を控除した額。賞与、退職金、退職年金を含む)の4分の3、または33万円を超えない金額
・国民年金、厚生年金、生活保護給付金、児童手当などの受給債権 など
差押禁止動産:
・債務者の生活に不可欠な物資や道具
・債務者に思い入れがあり、売値がつかないと判断されるもの
・宗教的な信仰対象 など
差押禁止財産とは何か、差押え時に注意すべき点について、詳しく解説します。
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目次
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差押禁止財産とは?
差押禁止財産とは、法律で差押えることを禁止された財産のことです。
「差押禁止債権」「差押禁止動産」があり、それぞれ民事執行法や国民年金法などに定められています。
そもそも差押えとは、債務者(お金を借りている側)が滞納している借金などを、債権者(お金を貸している側)が法律に則って回収するための「強制執行手続」の一つです。
差押えの手続きがとられると、原則として滞納していた借金などの債務の分、債務者の財産は強制的に回収され、換価されることとなります。
差押えの対象となるものは給与や現金、預金、不動産、生命保険など幅広いですが、差押えの目的はあくまで借金などの回収であり、債務者を罰することではありません。
よって、債務者が生活できなくなるような差押えは法律で禁止されているのです。
差押えについては以下の記事でも詳しく解説しています。
差押禁止債権とは?
債権とは、他者に対して一定の行為(金銭の給付など)を請求する権利のことです。
差押禁止債権には、以下のようなものがあります。
- 給料、賞与、退職金などの4分の3、または33万円を超えない金額
- 国民年金、厚生年金、生活保護給付金、児童手当などの受給権
以下詳細を解説します。
給料、賞与、退職金などの4分の3、または33万円を超えない金額
民事執行法第152条では、手取り給与(賞与、退職金、退職年金を含む※)に関し、4分の3に相当する部分は差押えが禁止されています。
ただし、給料の手取り額が44万円を超えている場合は、手取りの給料の33万円までの金額が差押禁止債権となります。
なお、差押えの原因が養育費の未払いだった場合、差押え禁止割合は2分の1まで下がります。
税金滞納による差押えは差押え禁止範囲の計算方法が異なるので、以下の記事を参照してください。
※手取りとは、給与額面額から所得税をはじめとする税金や、社会保険などの保険料等を控除した額のことです。
給料の差押えについては、以下の記事で詳しく解説しています。
年金、生活保護給付金、児童手当などの受給債権
債務者やその家族の最低限の生活、福祉を目的として支給される公的給付については、個別法で差押えが禁止されていることが多いといえます。
たとえば、以下の債権については、それぞれの給付を規定した法律内で差押えが禁止されています。
- 国民年金・厚生年金など各種年金の受給権(国民年金法第24条、厚生年金保険法第41条)
- 児童手当給付金の受給権(児童手当法第15条)
- 生活保護給付金の受給権(生活保護法第58条)
年金の差押えについては、以下の記事で詳しく解説しています。
差押禁止動産とは?対象を一覧で紹介
差押禁止動産とは、「不動産以外の物・財産で差し押さえが禁止されているもの」を指します。
差押禁止動産は、民事執行法第131条に定められています。
差押禁止となっているのは、債務者の生活に欠かせない物資や道具のほか、債務者に思い入れがあり売値がつかないと判断されるもの、宗教的な信仰対象などがおもなものです。
下記に対象となるものを一覧でまとめましたので、詳しく見てみましょう。
- 生活に不可欠な衣服、寝具、家具、台所用具、畳および建具(131条1号)
エアコン、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、ラジオ、掃除機、パソコンといった家電・電子機器も含まれます。
ただし、テレビが複数ある場合に2つ目以降は差押え対象となるケースや、高級な衣類や家具は差押え対象となるケースがあるなど、状況によっては差押えがなされる場合もあります。 - 債務者の1ヶ月間の生活に必要な食料、燃料(131条2号)
- 66万円までの現金(131条3号)
債務者の2ヶ月分の生活費として定められている金額です。 - 債務者の業務・学業において欠かせない道具、器具(131条4、5、6、11号)
農業従事者にとっての農具、肥料、家畜、飼料、次の収穫までに必要な種子や農作物、漁業従事者にとっての漁網や漁具、えさや稚魚、その他これに類する水産物はこれに当てはまります。
ただし、業務に欠かせない道具、器具などのうち、換価を目的とする商品は、差押え禁止動産の対象ではないことに注意が必要です。 - 実印や、職業、生活に必要な印鑑(131条7号)
- 仏像や位牌(いはい)のほか、礼拝、祭祀などに必要な物(131条8号)
- 債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類(131条9号)
- 債務者やその家族の勲章(131条10号)
- 発明または著作に関する物で、未公表のもの(131条12号)
- 債務者に必要な義手や義足、その他、身体の補助器具(131条13号)
白杖や補聴器、車いす、義眼、眼鏡、松葉杖などもこれに当たります。 - 建物などについて、法令で設備しなければならない防災用の機械または器具、避難器具、その他の備品 (131条14号)
差押禁止財産についての注意点
差押えが行われる際、年金や差押え禁止の範囲内の給与などであっても預金口座に入金された時点で差押えの対象になってしまうことがあります。
預金口座に入金されたお金は、それが差押禁止債権か見分けがつきません。
そのため、預金に対して差押えが行われた場合、その時点で振り込まれていたお金がまとめて差し押さえられるケースがあるのです。
預金の差押えには上限額がないため、その月の生活費をすべて差し押さえられてしまう可能性もあり、注意が必要です。
差押禁止債権の差押えを受けてしまった場合、裁判所に「差押禁止債権の範囲変更申立て」を行えば、差押えを解除してもらえる可能性があります。(民事執行法第153条)
差押えに困っている方は、弁護士にご相談ください
差押えでは、債務者が最低限の生活を送るためのお金や物の回収は禁止されており、「差押禁止財産」と呼ばれています。
しかし、場合によっては本来差押え禁止の債権も差押えられてしまう可能性もあり、注意が必要です。
弁護士などの法律の専門家に相談すれば、差押えを事前に回避する方法や解除の方法、借金問題の根本的な解決方法をアドバイスしてもらえます。
差押禁止財産を差押えられてしまった際の「差押禁止債権の範囲変更申立て」の手続きもサポートしてもらえるでしょう。
無料で相談できる弁護士事務所もあるので、差押えに困っている方はまず相談してみてはいかがでしょうか。
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