住宅資金特別条項(住宅ローン特則)とは、住宅ローンを個人再生の対象から外し、家を手元に残せる制度のことです。
ただし、住宅資金特別条項を利用するには、以下のような要件を満たす必要があります。
- 住宅ローンとしての借入れであること
- 個人再生の申立人が所有している住宅であること
- 再生債務者の居住用の建物であること
- 住宅を他の借入れの担保にしていないこと
- 滞納による代位弁済後、6ヶ月以内に再生手続開始の申立てをしていること
この記事では、住宅資金特別条項を利用する方法や条件、制度の利用によってできることなどを紹介します。
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目次
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)とは?
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)とは、個人再生を行う際、住宅ローンを従来どおり返済し続けることで自宅を処分されないようにできる制度のことです。
住宅資金特別条項には、以下のようなメリットがあります。
- 住宅ローンを個人再生の対象から除外する代わりに、マイホームを残せる
- 住宅ローンの返済のリスケジュールなども可能
- 家・土地の差押えや競売も停止できる
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
個人再生について知りたい方は、まずは以下の記事で詳しく解説しています。
住宅ローンを個人再生の対象から除外する代わりに、マイホームを残せる
住宅資金特別条項の大きなメリットとして、住宅ローンを個人再生の対象から外すことで、家を手元に残せることが挙げられます。
通常、個人再生では、減額の対象とする借金は選べないため、住宅ローンも減額対象となります。
このとき、金融機関・保証会社に「住宅ローンの返済が契約どおりにできなかった」と見なされることで、抵当権を行使され、家や土地を競売にかけられてしまうこととなるのです。
しかし、個人再生とは本来、債務者の経済生活の再生を目指す趣旨の債務整理方法です。
そのため、生活の基盤である住宅を手放さなくて済むように、住宅ローンについては例外的に住宅資金特別条項という制度が設けられています。
個人再生の対象から住宅ローンを除外し通常どおり返済を続けることで、手元にマイホームを残しつつ、その他の借金の減額が目指せる仕組みになっているのです。
住宅ローンの返済のリスケジュールなども可能
住宅資金特別条項を利用した後、そのまま住宅ローンを支払っていく方法が原則ですが、民事再生法・第199条に則り、住宅ローン返済のスケジュールを立て直すことも可能です。
もし、住宅ローンの返済が苦しく、滞納をしてしまっていたとしても、支払期限を延長させるなどの措置をとれる可能性もあります。
リスケジュールなどの内容について詳しくは、「個人再生認可決定後の住宅ローンの支払い方法は?」で解説します。
家・土地の差押えや競売も停止できる
たとえ住宅が差し押さえられていたり、競売の手続きを進められていたとしても、個人再生を申し立てれば、手続きの終了までは停止させることが可能です。
これは、以下の民事再生法・第26条2号、および197条で定められています。
民事再生法
第二十六条(他の手続の中止命令等)
裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続又は処分の中止を命ずることができる。ただし、第二号に掲げる手続又は第五号に掲げる処分については、その手続の申立人である再生債権者又はその処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限る。
二 再生債権に基づく強制執行、仮差押え若しくは仮処分又は再生債権を被担保債権とする留置権(商法(明治三十二年法律第四十八号)又は会社法の規定によるものを除く。)による競売(次条、第二十九条及び第三十九条において「再生債権に基づく強制執行等」という。)の手続で、再生債務者の財産に対して既にされているもの
民事再生法
第百九十七条(抵当権の実行手続の中止命令等)
裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると認めるときは、再生債務者の申立てにより、相当の期間を定めて、住宅又は再生債務者が有する住宅の敷地に設定されている前条第三号に規定する抵当権の実行手続の中止を命ずることができる。
上記は、再生開始決定前であっても申し立てることができます。
また、不動産がすでに競売にかけられてしまった場合でも、以下の条件に当てはまれば止めることが可能です。
- 競売にかけられた不動産が落札されていない
- 保証会社が代位弁済を行った日から6ヶ月以内に再生手続申立てが受理される
代位弁済とは、借金を返済できなくなった債務者の代わりに、保証会社が返済を行うことです。
住宅ローンを滞納したら、保証会社をつけている場合は「代位弁済通知」が送られてきますので、住宅を残したい場合は速やかに個人再生申立てなどの対応をしましょう。
個人再生手続の申立てがなされたのち、再生計画が認可されれば、民事再生法・第204条で定められている「巻き戻し」が起こり、保証会社の代位弁済がなかったことになります。
代位弁済については以下の記事で詳しく解説しています。
住宅資金特別条項を利用するための要件
すべての住宅ローンがこの住宅資金特別条項の対象となっているわけではありません。
以下、住宅資金特別条項を利用するための条件をまとめました。
- 住宅資金貸付債権(住宅ローンとしての借入れ)であること
- 再生債務者(個人再生の申立人)が所有している住宅であること
- 再生債務者の居住用の建物であること
- 住宅を住宅ローン以外の借入れの担保にしていないこと
- 滞納による代位弁済後、6ヶ月以内に再生手続開始の申立てをしていること
各条件について、具体的にどのようなものか見ていきましょう。
住宅資金貸付債権(住宅ローンとしての借入れ)であること
住宅資金貸付債権とは、民事再生法・第196条に定義されているように、住宅の建設・購入・改良などに必要な資金を分割払いで借り入れたものであり、抵当権が設定されているものを指します。

住宅ローンなどローンを組む際に、ローンを扱う金融機関または保証会社が、家や土地などの不動産に対して設定するもので、抵当権を設定した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済(優先弁済的効力)を受ける権利のこと。
住宅ローンが返済できなくなると、債権者はそのローン分のお金(債権)を回収するためにこの抵当権を行使し、家や土地は競売にかけられる仕組みとなります。
そのため、この住宅を担保としながら組んだローンを住宅の建設・購入・改良以外の目的(住居に関わるもの以外の購入や、他のローンの返済など)で一部使用している場合などには、住宅資金特別条項を利用することはできません。
再生債務者(個人再生の申立人)が所有している住宅であること
大前提として、再生債務者(個人再生を申し立てた人)が所有している住宅のみが対象となります。
民事再生法・第196条にて、住宅資金特別条項の対象となる住宅が以下のように定められているためです。
民事再生法
第百九十六条(定義)
一 住宅 個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、その床面積の二分の一以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるものをいう。ただし、当該建物が二以上ある場合には、これらの建物のうち、再生債務者が主として居住の用に供する一の建物に限る。
この際、配偶者などと共同で所有している物件であっても、共同所有者の中に申立人がいれば、住宅資金特別条項を利用することが可能です。
なお、住宅の名義が配偶者であるなど、申立人以外にある場合には、当該債権は個人再生手続の対象になりませんので、住宅資金特別条項を利用する必要はありません。
再生債務者の居住用の建物であること
上記と同様、民事再生法・第196条は、再生債務者(再生申立人)の居住用として使用されている建物であることを条件として定めています。
たとえば、事業用・投資用の不動産など、居住の実態がないものは対象外となります。
条件を満たしている建物が2つ以上あるとき(本宅と別荘を所有しているなど)には、主に居住している時間が長い建物についてのみ、住宅資金特別条項の対象とすることが認められています。
なお、民事再生法・第196条にて、床面積の2分の1以上が居住用の場合にかぎられると定められている点にも注意しましょう。
住宅を店舗や事務所としても使用している場合、その半分以上が居住用以外の用途で使用されているケースでは、要件を満たさない可能性があります。
住宅を他の借入れの担保にしていないこと
民事再生法・第198条にて定められているとおり、住宅を担保として、車のローンなど住宅ローン以外の借入れをしている場合には、住宅資金特別条項を利用することができません。
住宅を担保にしている住宅ローン以外の借入れの債権者が、抵当権を行使して住宅の競売手続をとることとなってしまうため、住宅を守ることができないのです。
また、該当の住宅以外の不動産に、住宅ローンの共同抵当権が設定されているときにも注意が必要です。
共同抵当権とは、1つの債権を担保するために、複数の不動産に設定する抵当権のことをいいます。
たとえば住宅ローンの抵当権を、現在居住している住宅と、別の土地(A)の両方に設定していたとします。
このとき、土地(A)に、住宅ローンの抵当権の後に別の債権の担保として抵当権が設定されていた場合、当該抵当権が住宅ローン債権に係る抵当権に劣後する順位の抵当権であるときは、住宅資金特別条項の利用が認められません。
後順位抵当権者が抵当権を実行すると、法律上住宅に関して住宅ローン債権者が有していた抵当権に関しても自身の債務に満つる限度でこれを代位して権利行使することができることとなります。
当該抵当権を後順位抵当権者が行使することで住宅の競売手続を取られてしまい、家を守れなくなってしまうこととなるのです。
夫婦でペアローンを組んでいる場合には注意
なお、夫婦でペアローンを組んでおり、複数の抵当権が設定されている場合には注意が必要です。
この場合、「他のローンの借入れの担保としていない」という条件を満たさなくなり、片方の抵当権を実行されるおそれがあるとして、住宅資金特別条項の利用ができなくなってしまう可能性があります。
もし、ペアローンの場合に住宅資金特別条項を利用したい場合は、管轄の裁判所の運用にもよりますが、夫婦2人がそれぞれ個人再生を申立てることで認められる可能性があります。
滞納による代位弁済後、6ヶ月以内に再生手続開始の申立てをしていること
先述のとおり、保証会社から代位弁済が行われている場合には、代位弁済日から6ヶ月以内に再生手続を申し立てる必要があります。
これは、民事再生法・第198条2項で以下のとおり定められています。
民事再生法
第百九十八条(住宅資金特別条項を定めることができる場合等)
2 保証会社が住宅資金貸付債権に係る保証債務を履行した場合において、当該保証債務の全部を履行した日から六月を経過する日までの間に再生手続開始の申立てがされたときは、第二百四条第一項本文の規定により住宅資金貸付債権を有することとなる者の権利について、住宅資金特別条項を定めることができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
この際、「弁済通知が届いてから6ヶ月」ではない点に注意しましょう。
また、再生手続開始を申し立てる際には、再生手続開始申立書などの書類のほか、財産や債権者などをまとめた資料が必要になりますので、早期に準備しておくことをおすすめします。
住宅資金特別条項を利用するための必要書類
では、住宅資金特別条項を利用するには、どのような書類を用意すればよいのでしょうか。
おもな必要書類は、住宅資金特別条項に関する各種資料と、弁済許可申立書です。
- 住宅ローン・抵当権設定に関する契約書のコピー
- 住宅ローンを含めた返済計画表
- 不動産登記事項証明書
これは、民事再生規則・第102条にて規定されており、再生計画案と併せて提出します。
それぞれの入手方法について見ていきましょう。
住宅ローン・抵当権設定に関する契約書のコピー
住宅ローンの契約書面は、契約後に金融機関からもらった写しが手元に残っていれば、それをコピーしましょう。
住宅ローンの契約書を紛失してしまった場合には、ローンを組んだ金融機関に依頼して、コピーを取り寄せましょう。
一部金融機関では、Web上で確認することも可能です。
抵当権設定契約書は再発行ができませんので、紛失してしまった場合には、担当の弁護士に相談しましょう。
住宅ローンの返済計画表
こちらも、住宅ローンの契約後に金融機関から郵送されることが多いようです。
紛失していた場合は金融機関へ連絡して取り寄せるか、該当の金融機関のWebサイトなどで確認しましょう。
不動産登記事項証明書
土地や建物の登記事項証明書は、以下の方法で法務局へ請求が可能です。
請求方法 | 手数料額 |
登記所または法務局証明サービスセンターの窓口で請求 | 600円 |
郵送で請求 | 500円 |
法務局のWebサイトで請求 | 郵送受け取り:500円 窓口受け取り:480円 |
Webサイトでの請求には、「登記・供託オンライン申請システム」に登録する必要があります。
弁済許可申立書
上記の住宅ローンに関する書類の他、弁済許可申立書といって、個人再生手続の期間中にも住宅ローンの返済の許可をしてもらうための申立てが必要になります。
基本的に、個人再生手続中は、再生債権(再生手続開始前に発生した債権)の返済ができなくなります。
これは、民事再生法・第85条で以下のように定められているとおりです。
民事再生法
第八十五条(再生債権の弁済の禁止)
再生債権については、再生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。
住宅ローンも再生債権であるため、基本的には返済を許されていないのです。
しかし、そのまま住宅ローンの返済を止めてしまうと、滞納による損害賠償である「遅延損害金」が発生したり、期限の利益を喪失してしまう可能性があります。

支払期限が来ないかぎり、支払いをしなくてもよいという債務者に与えられた法律上の利益です。
そこで、住宅ローンのみ、一部弁済の許可を申し立てることで、引き続き支払い続けることが可能になります。
これは、民事再生法・第197条3項にて認められています。
民事再生法
第百九十七条(抵当権の実行手続の中止命令等)
3 裁判所は、再生債務者が再生手続開始後に住宅資金貸付債権の一部を弁済しなければ住宅資金貸付契約の定めにより当該住宅資金貸付債権の全部又は一部について期限の利益を喪失することとなる場合において、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると認めるときは、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。
弁済許可申立書は、各裁判所や弁護士会などWebサイトなどからダウンロードすることが可能です。
たとえば、神奈川県弁護士会では「住宅資金貸付債権の一部弁済許可申立書」を公開しています。
住宅資金特別条項などを利用する以外の個人再生に必要な書類は、以下の記事で詳しく解説しています。
個人再生認可決定後の住宅ローンの支払い方法
個人再生の認可が決定したあとは、住宅ローンを引き続き返済していくことになります。
この住宅ローンは、本来の契約どおりに支払っていくことも可能ですが、弁済期限を延長したり、再度設定し直したりすることも認められています。
認可決定後の住宅ローンのおもな支払い方法は、以下のとおりです。
- そのまま型
- 期限の利益回復型
- リスケジュール型
- 元本猶予期間併用型
- 同意型
それぞれ、どのような支払い方法なのか見ていきましょう。
そのまま型
個人再生を行う前の契約どおりに返済していく方法で、もっとも一般的な支払い方法といえるでしょう。
住宅ローンを滞納しておらず、期限の利益の喪失がない場合には、この「そのまま型」で支払うことになります。
そのまま型は、民事再生法・第199条1項2号で以下のように認められています。
民事再生法
第百九十九条(住宅資金特別条項の内容)
二 再生計画認可の決定の確定時までに弁済期が到来しない住宅資金貸付債権の元本(再生債務者が期限の利益を喪失しなかったとすれば弁済期が到来しないものを含む。)及びこれに対する再生計画認可の決定の確定後の住宅約定利息 住宅資金貸付契約における債務の不履行がない場合についての弁済の時期及び額に関する約定に従って支払うこと。
期限の利益回復型
住宅ローンの滞納などによって、期限の利益を喪失してしまっていた場合には、本来であれば、債権者は一括返済を請求することが可能です。
「期限の利益回復型」は、期限の利益を回復させて滞納をなかったことにし、本来の契約どおりに支払う方法をいいます。
これは、民事再生法・第199条1項1号で定められています。
民事再生法
第百九十九条(住宅資金特別条項の内容)
一 再生計画認可の決定の確定時までに弁済期が到来する住宅資金貸付債権の元本(再生債務者が期限の利益を喪失しなかったとすれば弁済期が到来しないものを除く。)及びこれに対する再生計画認可の決定の確定後の住宅約定利息(住宅資金貸付契約において定められた約定利率による利息をいう。以下この条において同じ。)並びに再生計画認可の決定の確定時までに生ずる住宅資金貸付債権の利息及び不履行による損害賠償 その全額を、再生計画(住宅資金特別条項を除く。)で定める弁済期間(当該期間が五年を超える場合にあっては、再生計画認可の決定の確定から五年。第三項において「一般弁済期間」という。)内に支払うこと。
なお、再生認可決定時までに支払うべき元本・利息・遅延損害金は、再生計画と同一の期間(原則3年、最長で5年)で返済することになります。
リスケジュール型
リスケジュール型とは、上記のそのまま型、期限の利益回復型などでは再生計画案認可の見込みが立たない場合に、ローンの支払期間の延長を認めてもらう方法です。
これは、民事再生法・第199条2項で定められています。
民事再生法
第百九十九条(住宅資金特別条項の内容)
2 前項の規定による住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがない場合には、住宅資金特別条項において、住宅資金貸付債権に係る債務の弁済期を住宅資金貸付契約において定められた最終の弁済期(以下この項及び第四項において「約定最終弁済期」という。)から後の日に定めることができる。この場合における権利の変更の内容は、次に掲げる要件のすべてを具備するものでなければならない。
ただし、以下のような要件をすべて満たす必要があるため、無期限に延長できるものではない点に注意しましょう。
- 住宅資金貸付債権の元本・利息・および再生計画認可の決定までの遅延損害金をすべて支払うこと
- 支払期限は本来設定していた最終弁済期から10年を超えず、再生債務者の年齢が70歳を超えないものであること
- 本来設定していた契約内容(返済額、支払方法など)におおむね沿った契約内容であること
元本猶予期間併用型
上記のリスケジュール型を利用しても返済が苦しいという場合に利用します。
リスケジュール型を利用して返済期間を延長しつつ、一定の期間は、元本を除き利息のみの返済を認めてもらう方法です。
これは、民事再生法・第199条3項で定められています。
民事再生法
第百九十九条(住宅資金特別条項の内容)
3 前項の規定による住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがない場合には、一般弁済期間の範囲内で定める期間(以下この項において「元本猶予期間」という。)中は、住宅資金貸付債権の元本の一部及び住宅資金貸付債権の元本に対する元本猶予期間中の住宅約定利息のみを支払うものとすることができる。この場合における権利の変更の内容は、次に掲げる要件のすべてを具備するものでなければならない。
ただし、利用には前述のリスケジュール型の要件に当てはまる必要がありますし、猶予期間後の返済負担は大きくなってしまう点には注意が必要です。
同意型
上記の他、債権者の同意を得ることで、リスケジュール型で定められている以上に支払期限を延長することも可能です。
民事再生法・第199条4項で以下のとおり定められており、債権者の同意さえ得られれば柔軟に対応してもらえる点が大きなメリットです。
民事再生法
第百九十九条(住宅資金特別条項の内容)
4 住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者の同意がある場合には、前三項の規定にかかわらず、約定最終弁済期から十年を超えて住宅資金貸付債権に係る債務の期限を猶予することその他前三項に規定する変更以外の変更をすることを内容とする住宅資金特別条項を定めることができる。
個人再生の住宅ローンについては以下の記事で詳しく紹介しています。
住宅資金特別条項を利用できない場合は「別除権協定」の検討も
住宅資金特別条項が利用できないとなると、住宅を残すのは難しいかといえば、まったく不可能というわけではありません。
たとえば、住宅に他の担保権が設定されている場合に、担保権者と協議を行い、支払いの継続を認めてもらうよう交渉します。
担保の対象となっている不動産の評価額相当の金額を再生計画とは別に、分割支払いする合意を取ることができれば、担保権を実行され競売手続きにかけられることはなくなります。
この方法を「別除権協定」といいます。
この協定がうまくいかなければ、住宅は競売にかけられてしまうため、慎重な交渉と専門知識が必要になります。
個人で別除権協定を成立させるのは非常に難しいため、弁護士などの法律の専門家にすることをおすすめします。
別除権については、以下の記事でも詳しく解説しています。
個人再生など債務整理を検討している人は弁護士へ相談を
もし、個人再生を検討しており、住宅資金特別条項を利用して家を残したいと考えている場合には、まずは一度弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士に相談するおもなメリットは以下のとおりです。
- 住宅資金特別条項の要件を満たしているか判断してくれる
- 書類の作成など手続きの代行もしてもらえる
- 別除権協定の交渉も依頼できる
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
住宅資金特別条項の要件を満たしているか判断してくれる
住宅資金特別条項は利用要件が多く、これを満たしているかは正確に判断する必要があります。
さらに、ペアローンなど例外的な事情がある場合には、各裁判所の運用も確認しなければなりません。
弁護士に依頼すれば、要件に該当するかを正確に判断することができますし、判断をするための必要書類の収集、例外的なケースについてもアドバイスをもらうことができます。
書類の作成など手続きの代行もしてもらえる
そもそも、個人再生は債務整理の中でも手続きが複雑です。
手続きにかかる期間も1年~1年半程度と長期にわたるため、 法律的な知識のない債務者本人が個人再生の手続きを行うのは困難です。
弁護士に個人再生の手続きを依頼することで、一部書類の収集や作成、裁判所への申立てやその他のやり取りついても、ほとんどを代理してもらうことができます。
なお、先述のとおり、住宅資金特別条項を利用できない場合には、「別除権協定」の交渉が必要になります。
ただし、返済方法や利息、返済期間などについて、一般の方が債権者と交渉を行うのは非常に難しいため、自力で交渉成立を目指すのは現実的ではありません。
債務整理における交渉の実績が多い弁護士であれば、この別除権協定の交渉も任せることが可能です。
弁護士法人・響は43万件もの債務整理の問合せ・相談実績があり、経験の豊富な弁護士がご対応します。
相談料も一切無料となっておりますので、個人再生をお考えの方はぜひ一度、お気軽にご相談ください。
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)は、個人再生の対象から住宅ローンを除外することで家を手元に残すことのできる制度。
利用には、債務者が所有する居住用の住宅で、住宅ローンに係る抵当権のみが設定されているなどの要件に当てはまる必要がある。
個人再生認可決定後は、以下のような住宅ローンの支払い方法がある。
・そのまま型
・期限の利益回復型
・リスケジュール型
・元本猶予期間併用型
・同意型住宅資金特別条項を利用できない場合には、債権者と「別除権協定」の交渉をすれば住宅ローンを支払い続けられる可能性がある。
個人再生手続や債権者との交渉は、一般の方では難しいため、弁護士に依頼するのがおすすめ。
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