
「債権譲渡通知書」とは、債権者の変更(債権譲渡)を債務者に知らせる文書のことです。
貸金業者から借金があるなら、債権者が債権回収会社に変わったことを知らせる内容でしょう。
債権回収会社は借金回収の専門業者なので、事態は好ましくない方向へ進んでいるといえます。
- 残債を一括請求される
- 自宅を把握され訪問される
- 裁判になり財産差押えの可能性もある
この記事では、債権譲渡や債権譲渡通知書について詳しく解説するとともに、届いた債権譲渡通知書を放置するリスクとその対処についても紹介します。
また債権回収会社の現役社員への独占取材による、実際の対応についても紹介しています。
どうしても返済できない借金があるなら、弁護士に相談することで根本的な解決が期待できます。
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目次
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債権譲渡とは?
「債権譲渡(さいけんじょうと)」とは、債権者が持つ債権を、内容を変えずに第三者に譲り渡すことです。
債務者(お金を借りている側)にとっては、返済する相手が第三者に変わることになります。
用語集相手に対して何らかの行為を請求する権利です。借金(借入れ)の場合は、相手に支払いを求める権利のことです。
請求する権利を持つ人を「債権者」といいます。
債権譲渡に関わるのは、おもに次の3名です。
- お金を借りている人:債務者
- 元の債権者:債権譲渡人(さいけんじょうとにん)
- あらたな債権者:債権譲受人(さいけんゆずりうけにん)

債権者はなぜ債権を譲渡するの?
個人の債務(借金)に対して債権譲渡が行われる目的は「不良債権の回収」であることが多いでしょう。
債務者が借金を長期にわたって滞納している場合は、債権者である貸金業者は、お金を回収できない不良債権を抱えていることになります。
この不良債権を、第三者である債権回収会社などに譲渡(売却)することで、回収の手間を省いて金銭を得ることができるのです。
債権譲渡は、法律(民法)で認められた正当な制度です。
(債権の譲渡性)
第466条 債権は譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(中略)をしたときであっても、債権の譲渡はその効力を妨げられない。
※引用:e-GOV法令検索「民法」
民法改正で「債権譲渡禁止特約」が変更になった
2020年4月に民法改正が行われ、債権譲渡に関するルールにも変更がありました。
変更になったのは「債権譲渡禁止特約」についてです。
※正式名称は「譲渡制限の特約」
用語集債権者と債務者の間で交わされる契約であり、債権譲渡を禁止にするという旨のものです。
- 民法改正前
当事者間で「債権譲渡禁止特約」が交わされていれば、債権者が断りなく債権譲渡すると無効になる。 - 民法改正後
当事者間で「債権譲渡禁止特約」を交わしていても、債権の譲渡をすることができる。
このように現在の法律では「譲渡禁止」と取り決めていても、債権者が自由に債権譲渡することができるのです。
しかし債務者が一方的に不利になったわけではありません。
(債権の譲渡性)
第466条 債権は、譲り渡すことができる。ただしその性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(中略)をしたときであっても、債権の譲渡はその効力を妨げられない。
3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り(中略)、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
※引用:e-GOV法令検索「民法」
債権譲渡通知書とは?なぜ届く?
「債権譲渡通知書(さいけんじょうとつうちしょ)」とは、債権者の変更を債務者に知らせる文書のことです。
債権譲渡人(もとの債権者)から債務者に対して、内容証明郵便で送付されます。

債権譲渡通知書の内容や、債権譲渡通知書が送られる理由について以下で詳しく解説します。
借金を滞納していると債権者が債権回収会社に変わる
貸金業者などから借入れ(借金)がある状況で債権譲渡通知書が届いた場合は、債権者が「債権回収会社」に変わったことを知らせる内容であることが多いでしょう。
※個人宛ての場合。
用語集借金の回収を専門に行う会社で「サービサー」とも呼ばれます。法務大臣の認可を受けて営業しており、違法な取り立てを行うことはありません。
債権者が債権回収会社に変わると、以降は債権回収会社が督促をしてきます。

債権回収会社について詳しくは、以下の記事をご欄ください。
譲渡人(原債権者)はなぜ債権譲渡通知書を送る?
前述のとおり債権譲渡通知書は、債権譲渡人(もとの債権者)から送られてきます。
これは、債務者に債権譲受人(あらたな債権者)になったことを明確に知らせるためです。
法律上でも、債務者に対して正当に請求するために必要なこと(債務者対抗要件といいます)なのです。
用語集債権譲渡の事実を債務者や第三者に対して主張するために必要な要件で、民法第467条で定められています。この要件を満たしていない場合は、債務者は請求に応じる義務はありません。
なお債権譲渡通知書は、確定日付のある証書(内容証明郵便)によって通知することも法律で定められています。
債権譲渡通知書がご自宅に届いたということは、請求の窓口が変わったことを意味します。
これを「ただの督促状だろう」と放置してはいけません。債権回収会社は回収をビジネスとしている専門業者なので、督促が本格化することを覚悟するべきといえるでしょう。
債権譲渡通知書にはなにが書いてある?
債権譲渡通知書には、おもに次のような内容が記載されています。
- 譲渡人、譲受人の情報(社名・住所など)
- 債権が譲渡されたという旨の記述
- 譲渡された債権の内容(債権の額など)
- 債権譲渡がなされた日
【債権譲渡通知書の書式例】

※必ずこの通りの書式とは限りません。
内容証明郵便以外で届いた場合は詐欺の可能性も
債権譲渡通知書は「内容証明郵便」で届きます。
前述のとおり、債権譲渡通知書は確定日付のある証書(内容証明郵便)によって通知することが、法律で定められているためです。
内容証明郵便は書留の一種で、郵便局の配達員から手渡しで届けられ、受取時に押印(サイン)を求められます。
内容証明郵便以外の方法で届いた場合は、詐欺や架空請求である可能性が高いでしょう。
- ハガキや普通郵便
- 一般書留や簡易書留
- メール便やレターパック
- 宅配便やゆうパック
- ポストに投函されていた など
実際に、債権回収会社を詐称した架空請求も発生しているので注意してください。
- 法務大臣の許可した債権回収会社名ではない
参考:債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧 - 連絡先として多数の電話番号を列挙している
- 請求書面で担当者の連絡先として携帯電話を指定している
- 個人名義の口座を回収金の振込先に指定している
- 出会い系サイト、アダルトサイトの利用料等として請求
- 「法務省認可特殊法人」「法務省認定特別法人」「法務省認定債権回収業者加盟店」といった名称が書かれている
※参考:法務省「債権回収会社と類似の名前をかたった業者による架空の債権の請求に御注意ください
架空請求が疑われる場合は、記載された電話番号に連絡せずに、最寄りの警察署に相談してください。
債権譲渡されたらどうなる?
「債権譲渡通知書が届いても、何も変わらないのでは」と思うかもしれません。
しかし債権譲渡通知書が届いたということは、事態は好ましくないほうへ進んでいると考えていいでしょう。
債権譲渡通知書が届いたあとには、次のような事態が考えられます。
以下で詳しく解説します。
債権回収会社から一括請求される
債権譲渡通知書が届いた後は、債権譲受人である「債権回収会社」から督促がきます。
債権回収会社からは、残債を一括請求されることになります。
一括請求される金額には、滞納日数に応じて「遅延損害金」が加算されているため、本来の残債より高額になっているでしょう。
遅延損害金の仕組みや計算方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
自宅を把握され訪問されることも
債権回収会社は、回収の専門家集団なので、次のような回収行動も想定できます。
- 自宅や勤務先に訪問されることもある
一部の債権回収会社は「探偵業」の届出をしているので、自宅周辺の調査や聞き込み、尾行といった探偵業務を合法的に行うことができます。
記載された住所に実際に住んでいるのか、勤務先に出勤しているのかなども調べて把握されてしまいます。
- 日本債権回収株式会社
- セゾン債権回収株式会社
- オリファサービス債権回収株式会社
- 中央債権回収株式会社 など
※2026年7月1日現在の情報です。
- 引っ越しをしても転居先に連絡がくる
債権回収会社は、債務者の住民票や戸籍の附票を「第三者請求」によって取得して調べることができます。
そのため督促から逃げようと思って引っ越しをしても、転居先を把握されてしまい、督促が続くことになります。
裁判になり財産差押えの可能性もある
一括請求が届いても対応しないで無視していると、裁判所から「訴状」や「支払督促」といった物々しい文書が届く場合があります。
これは、債権回収会社が法的措置に踏み切ったことを示します。適切に対応しないと、いよいよ財産差押えとなる可能性もあるので注意が必要です。
裁判所から届く文書には、次のようなものがあります。
- 支払督促
裁判所が金銭の返済を命じる文書です。 - 仮執行宣言付支払督促
裁判所が、強制執行による財産差押えを認めることを宣言する通知です。 - 訴状
裁判が開始されたことを知らせる文書です。適切に対処しないと、債権者の主張が認められる判決が出る可能性が高いでしょう。 - 差押命令書
強制執行による財産差押えになったことを知らせる文書です。勤務先や銀行にも同じ文書が届くので、周囲に差押えになったことがバレてしまいます。
【差押命令書の実物】

※当メディアが独自に入手・転載禁止
給与差押えになると、勤務先の給与から強制的に返済額が差し引かれて*しまい、手取り額が減ってしまいます。
*原則として手取り給与の4分の1まで
「財産差押え」なんて現実味がない言葉に感じるかもしれません。しかし、債権会社からの督促を無視していると、実際に起こりえる事態なのです。
給与差押えになってしまうと、強制的に手取り額が減ってしまうので、生活へのダメージは大きいといえるでしょう。
もし裁判所からの通知が届いたら、できるだけ早く弁護士にご相談ください。
差押えになるリスクについては、以下の記事をご参照ください。
債権譲渡通知書が届いたらやるべきことは?
ここまで紹介したように、債権譲渡通知書が届いた場合は適切に対処しないと、さまざまなリスクがあります。
次のような対処法を検討してください。
また当メディアでは、債権回収会社の現役社員の方への取材に成功して現場の生の声を聞くことができましたので、紹介します。
債権回収会社に返済について相談する
「突然一括返済を請求されても払えない…」という方も多いでしょう。
実は多くの債権回収会社では、返済方法について相談に乗ってくれることがあります。
債権回収会社のWebサイトには、返済に柔軟に対応する旨の記載があります。
【債権回収会社の対応の例】
Q.一括返済しないといけないの?
A 一括返済が難しい場合、当社ではお客様の状況に合わせたご返済プランを提案することができます。まずお問合せください。
Q. 分割払いにはできませんか?
A. 債務の返済を滞ってしまったご事情や現在のご生活の状況は、人それぞれ異なります。当社は(中略)債務者の方のそれぞれの事情に応じる“回収の最適化”も追求しています。貴方様の債務の解決と再建に向けた最適なプランを弊社とともに立てていきましょう。
※引用:ニッテレ債権回収株式会社「よくあるご質問(債務者向け)」
Q.返済の相談にのってくれるのでしょうか?
A お客様の収入状況や資産状況、負債状況等の現況やご事情を伺いながら総合的に判断してご返済のご相談を承ります。担当センターまでご連絡ください。
※2026年7月1日現在の情報です。
債権回収会社からの督促を無視していると、裁判所からの通知が届く可能性があります。
できるだけ早めに、返済方法について相談してみましょう。
【独自取材】債権回収会社は相談に乗ってくれる
当メディアでは、債権回収会社の現役社員の方への独自取材に成功しました。
そのなかで、債権回収会社では「分割払いなどの相談にも柔軟に対応している」という、現場の生の声を聞くことができました。
一部を以下で紹介します。
Q. 回収業務をする際に心がけていることはありますか?
A. まずは債務者様の状況を充分に伺って、どうしたら払えるかを一緒に考えるようにしています。
債務者様のお話に信ぴょう性や納得感があれば、支払い方法を調整できる場合もあります。
ケースバイケースですが「3~5年程度の長期分割払いにする」といった柔軟なご提案をすることもあるんですよ。
Q.債権回収会社から請求された際に、注意すべき点はありますか?
A. 連絡をしてもなんの反応もなく放置されると、金額によっては本当に法的手続きへ進んでしまいます。
それを防ぐためにも、支払いが難しい場合でも正直にお話しいただきたいですね。債務者様の話に一切耳を貸さないわけではなく、相談に乗れる余地があるからです。
※個人の見解も含まれるので、内容を保証するものではありません。
債権回収会社社員の方への取材記事全文は以下の記事をご参照ください。
債権回収会社は法務省の管轄で、厳しい規制のもとで営業しています。
そのため支払いを強硬に迫るようなことはなく、必要以上に怖がることはありません。
一括返済が難しい場合は、正直に相談してみるとよいでしょう。
時効の可能性を確認する
長期にわたって返済していない借金は、時効(消滅時効)が成立している場合があります。
時効期間が経過していれば「時効援用」の手続きを行うことで、利息や遅延損害金も含めた借金の返済義務がなくなります。
- 最終取引日から5年もしくは10年の期間が経過している
- 時効援用の手続きをとっている
一般的に、最終取引日から5年経過していれば時効になっている可能性があります。
しかし次のようなケースは「時効の更新」となり、時効期間のカウントがリセットされてしまうので注意が必要です。
- 債務者が債務の承認(返済意思を示すなど)をした
- 裁判上の確定判決や支払督促
- 財産の差押えが行われた
5年以上経過している場合は、債権回収会社に連絡をする前に弁護士に「時効の可能性」を相談することをお勧めします。
弁護士法人・響でも、時効の援用についてご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
時効で借金を消滅させる方法については、以下の記事をご参照ください。
どうしても返済が難しければ債務整理を検討する
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債務整理の種類や特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。
返済できない借金は弁護士法人・響に相談を
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