「自己破産すると保証人・連帯保証人にどんな影響があるのか」
「保証人・連帯保証人に迷惑がかかったらどうしよう」
自己破産をすると、保証人・連帯保証人になってくれた人に対して各債権者(貸した側)から一括請求が行きます。
これは免れることはできず、影響を及ぼすことが避けられません。
今回は、債務者(借りた側)が自己破産した時の保証人・連帯保証人への影響と保証人・連帯保証人に迷惑をかけずに返済する方法などについて解説します。
保証人・連帯保証人がついていない借金だけを整理する任意整理など他の債務整理の方法もあるので、迷惑をかけずに借金問題を解決したい場合は検討してみましょう
借金減額について詳しく知りたい方や、債務整理をすべきかを迷っている方は弁護士法人・響へお気軽にご相談ください。相談は何度でも無料です。
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目次
自己破産したら保証人・連帯保証人にどんな影響がある?
債務者(借りた側)が自己破産すると、保証人・連帯保証人には債務者の借金の残りを返済する義務が生じます。
債務者の返済義務は免責されても、保証人・連帯保証人の返済義務には影響しないためです。
したがって、債権者(貸した側)に弁護士からの受任通知(※)が届いたタイミングで保証人・連帯保証人に一括請求が行ってしまうのです。

受任通知については以下の記事で詳しく解説しています。
保証人・連帯保証人が債務者の配偶者・両親・親族などの家族であっても、自己破産すると返済義務は保証人・連帯保証人に移ります。例えば、妻が保証人・連帯保証人で自己破産時には離婚していたとしても返済義務は消えません。
債務者が住宅ローンを返済中であれば、保証人・連帯保証人に一括請求が行きます。また、車のローンや賃貸借契約、奨学金を返済中の場合も、条件は限られていますが保証人・連帯保証人に一括請求が行く可能性があるでしょう。
以下、それぞれのケースで自己破産をした場合、保証人・連帯保証人にどのような影響があるのか解説します。
- 自動車ローンを返済中の場合の影響
- 住宅ローンを返済中の場合の影響
- 賃貸住宅を契約中の場合の影響
- 奨学金を返済中の場合の影響
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
自動車ローンを返済中の場合の影響
自動車ローンを組んで購入する際、車が担保になっているので一般的に保証人・連帯保証人を必要としないケースのほうが多いです。
ただし、審査に通るのが難しいと判断された時などに、自動車ローンの会社から保証人・連帯保証人を立てるよう求められる場合があります。 自動車ローンの返済中に自己破産をすると、保証人・連帯保証人の有無にかかわらず車をローン会社に引き上げられることになります。
保証人・連帯保証人が付いているケースでは、
- ローン残高と車の売却額を差し引きして残った金額
- ローン残高の全額
のいずれかを一括請求される可能性があるでしょう。
担保(車)と保証人・連帯保証人のどちらを優先するかは、債権者側の判断に委ねられます。 また、車は手放すことになるため、保証人・連帯保証人が同じ車を使っている場合は、別の移動手段を考える必要があります。
住宅ローンを返済中の場合の影響
住宅ローンの返済中に自己破産した場合も、保証人・連帯保証人に一括請求が行きます。 自動車ローンの場合と同様に、返済額は債権者の判断によって変わります。ローン残高から家の売却額を差し引いた金額を請求される場合もあれば、ローン残高の全額の返済を求められる場合もあるでしょう。
いずれにしても住宅は金融機関側に取られてしまいます。
同居家族が保証人・連帯保証人になっている場合は、保証人・連帯保証人が支払いできなければ賃貸住宅などに引っ越すことになるでしょう。
賃貸住宅を契約中の場合
保証人・連帯保証人をつけて賃貸借契約を締結している場合、自己破産しても原則として保証人・連帯保証人に連絡は行きません。
ただし、家賃を滞納した状態で自己破産すると、保証人・連帯保証人に滞納した分の返済義務が移ります。 そのため、家賃を滞納した状態で自己破産する場合は事前に保証人・連帯保証人に連絡する必要があります。
奨学金を返済中の場合の影響
奨学金を返済中の場合、保証制度の種類によって一括請求をされるか、されないかが違ってきます。
奨学金には、「人的保証制度」と「機関保証制度」の2種類があり、人的保証制度を利用している場合、一括請求される可能性があります。
ただし、保証人・連帯保証人が分割払いをするための交渉は可能ですので、日本学生支援機構などの債権者に確認するとよいでしょう。
また、機関保証制度は保証人・連帯保証人が不要であり、万一返済ができなくなった場合は保証機関が代わりに返済するので、家族などに迷惑をかけることはありません。
保証人・連帯保証人が借金を払えない場合どうなる?
もし保証人・連帯保証人が一括請求された借金を返済できない場合、どうしたらよいのでしょうか。
一括返済が難しければ、保証人・連帯保証人は債権者に分割払いを求めたり、自己破産など債務整理を検討しなくてはなりません。
保証人・連帯保証人の生活にも大きな影響を及ぼすため、自己破産を検討する時には保証人・連帯保証人に十分に説明をしたほうがよいでしょう。
保証人と連帯保証人との違いとは
保証人と連帯保証人は、どちらも債務者(借りた側)の借金を保証して、万が一返済できなくなった時に代わって返済する義務がある人のことです。
しかし、保証人と連帯保証人とでは責任の重さが異なり、連帯保証人は債務者とほぼ同じ支払い義務を負います。 保証人・連帯保証人には、以下に挙げた3つの権利が認められており、債権者(貸した側)から請求された際に「まず債務者本人に請求してほしい」と主張できます(催告の抗弁権)。
また、債務者が財産を持っている場合は「債務者は返済可能なので、財産を差し押さえるなどして回収してほしい」と返済を拒否することも可能です(検索の抗弁権)。 さらに、保証人・連帯保証人が複数いる場合は返済額を分割できる権利(分別の利益)も持っています。
検索の抗弁権 (民法453条) |
債務者の財産を差し押さえるように主張する権利 |
分別の利益 (民法456条) |
保証人・連帯保証人がほかにもいれば、人数分で借金を割れる利益 |
催告の抗弁権 (民法452条) |
最初に債務者に請求するよう主張する権利(※) |
(※)債務者が破産手続の開始決定を受けたり、行方不明になっていたりする場合、「催告の抗弁権」は消滅するため行使できない。
保証人・連帯保証人については以下の記事で詳しく解説しています。
一方、連帯保証人は債権者に請求されても保証人・連帯保証人のように拒否できず、全額返済する必要があります。
保証人・連帯保証人が行使できる権利に、立て替えた借金を返済するように請求できる「求償権」がありますが、債務者が自己破産すると求償権も免責されてしまうのです。 そのため、連帯保証人・連帯保証人が肩代わりして借金を返済したとしても、債権者に請求できません。
連帯保証人・連帯保証人については以下の記事で詳しく解説しています。
保証人・連帯保証人に迷惑をかけずに借金問題を解決する方法
保証人・連帯保証人に迷惑がかからない債務整理の方法には、任意整理があります。
任意整理は、裁判所を通さずに債権者(貸した側)と直接交渉して、これからかかる利息(将来利息)のカットや3~5年での分割返済を目指す方法です。
任意整理であれば、対象とする債権者を選べるので、保証人・連帯保証人のの付いている借金を整理対象からはずせば原則として迷惑はかかりません。そのほか、任意整理の主なメリット・デメリットは以下になります。
- 任意整理の対象にする債権者を選択できる
- 完済までの間に発生する「将来の利息」が減額できる
- 元金のみを長期分割返済にできる(3年~5年)
- 任意整理後、完済しても信用情報機関に約5年間は事故情報が登録される(ブラックリスト状態になる)
以下の両方に該当すれば任意整理を行える可能性は十分にあります。
自己破産を考える前に任意整理にできるか検討してみてはいかがでしょうか。
- 3~5年の返済期間の中で生活上、公共料金や税金、衣食住の生活費などの費用を引かれても返済を続けられる収入がある
- 返済を続ける意思が十分にあること
任意整理については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産する時に保証人・連帯保証人の存在を隠すとどうなる?
自己破産を選択した場合に、保証人・連帯保証人に迷惑をかけたくないからと、保証人・連帯保証人のの存在を隠すのは避けましょう。
保証人や保証人付きの借金を故意に隠すと免責が認められなくなり、最悪の場合は破産法の「詐欺破産罪」に問われます。免責が許可された後に保証人・連帯保証人を隠していたことが発覚した場合は、免責が取り消されてしまうでしょう。
破産法で保証人・連帯保証人のの存在を隠すことは禁止されており、破産手続きの際に裁判所は借金についても詳しく調査するため、保証人や保証人付きの借金を隠し通すのはほぼ不可能です。 保証人・連帯保証人のの存在を隠そうとして罪に問われたり、免責が取り消されたりするなどの結果にならないように、自己破産をする時は保証人・連帯保証人のの存在を隠さず申告しましょう。
自己破産したら他の人の保証人・連帯保証人になれる?
自己破産したら保証人・連帯保証人にはどのような影響があるかなどを解説してきましたが、ここからは自己破産したら他の人の保証人・連帯保証人になれるのかについて解説します。
原則、審査の時にローン会社や保証会社などが信用情報機関(※)に照会しない契約であれば自己破産しても他の人の保証人・連帯保証人になれます。
一方、信用情報機関の照会がある契約は、保証人・連帯保証人のの審査に通らない可能性が高いでしょう。信用情報機関に自己破産をした事実が「事故情報」として記録されると、5~10年は消去されません(ブラックリストに載った状態)。
事故情報が登録されていると「支払い能力がない」とみなされるため、保証人・連帯保証人のの審査にも通りにくくなるのです。自己破産後でもなれる保証人・なれない保証人・連帯保証人のの例は以下に挙げたとおりです。
保証人・連帯保証人になれる | 保証人・連帯保証人になれない |
---|---|
・身元保証人 ・信用情報機関の照会を介さない契約 ・家賃保証会社を通さない賃貸借契約 ※契約内容によって自己破産者は保証人・連帯保証人になれないなど、規定されている場合は注意が必要。 |
・自動車ローン ・住宅ローン ・その他の金融関連の保証人 ・家賃保証会社を通す賃貸借契約 ・奨学金 ※奨学金の契約内容に「過去5年以内に自己破産していない」などの保証人・連帯保証人のの資格指定があるもの。 |

信用情報機関は以下、3つの機関があります。
自己破産(債務整理)によるブラックリストの影響については以下の記事で詳しく解説しています。
自分が保証人・連帯保証人で自己破産された時の対処法
自分が保証人・連帯保証人で債務者に自己破産された場合、複数保証人・連帯保証人がいれば分別の利益を主張できます。連帯保証人・連帯保証人にも分割払いの交渉や債務整理などの対処法があるでしょう。
支払えないからといって放置すると、保証人も債権者から法的措置を取られる可能性があります。その結果、最終的に給与などの財産が差押えになるケースもあるので、一括請求を無視しないようにしましょう。
以下、それぞれの対処法や注意点について解説します。
保証人の場合は分別の利益を主張する
保証人・連帯保証人が自分だけでなく複数いる時、分別の利益を債権者(貸した側)に主張すれば、請求額を減らせる可能性があります。
分別の利益とは保証人・連帯保証人が複数いる時、それぞれの保証人の返済義務は借金の全額ではなく人数分で割った金額になることをいいます。たとえば借金額が150万円で保証人・連帯保証人が3人いる場合、1人50万円を負担すればよいのです。
ただし、返済が難しければ、あとに述べる分割払いの交渉、債務整理を検討したほうがよいでしょう。
分別の利益については以下の記事で詳しく解説しています。
連帯保証人の場合、分割払いの交渉や債務整理を検討する
連帯保証人の場合は保証人のように権利を主張できないため、一括返済が難しければ分割払いの交渉や、債務整理を検討する必要があります。
以下、分割払いの交渉と債務整理の検討について解説します。
分割払いの交渉をする
債権者(貸した側)との交渉によって互いに納得できれば、分割払いにできる可能性があります。
ただし、分割払いをするには債権者が納得する返済計画や条件を提示する必要があるのでその点は確認したほうがよいでしょう。
債務整理を検討する
債権者との分割払いの交渉などがうまくいかなかった場合は、債務整理を検討しなければなりません。
借金を減額できれば返済を続けられるなら、自己破産以外に任意整理や個人再生も選択肢となります。いずれの方法も弁護士などに代理人の依頼をして行った方がよいでしょう。
任意整理は、裁判所を介さずに債権者(貸した側)と交渉する方法で、通常は借金の元金のみを3~5年で分割返済します。
また、個人再生は返済不能になる可能性があることを裁判所に申し立て、再生計画が認可されれば5分の1~10分の1程度に借金を減額できる方法です。
任意整理 | ・一括請求があった債権者と将来の利息のカットと3〜5年での分割払いの交渉をする ・家族や勤務先に知られにくい ・任意整理する債権者を選べる ・信用情報機関に事故情報が完済から5年程度残る可能性がある |
個人再生 | ・裁判所から再生計画の認可決定を受けて借金を減額する ・5分の1~10分の1程度に借金を減額できる可能性がある ・住宅ローンを支払い中であれば「住宅ローン特則(※)」で家を残せる可能性がある ・資格・職業の制限がない ・家や車などの財産を処分されない ・官報に掲載される ・信用情報機関に事故情報が5〜10年程度登録される |

債務整理については以下の記事で詳しく解説しています。
相続によって自分が保証人・連帯保証人になってしまったら?
親など家族が亡くなり財産を相続した場合、財産だけではなく保証債務も継承するため、債務者が自己破産をすると債権者から一括請求が行くことになります。
身内の借金を保証するならまだしも、知らない人の借金を返済するのに抵抗がある人は多いのではないでしょうか。 亡くなった保証人・連帯保証人のの家族や親族が、保証債務を負いたくない場合は、以下の方法があります。
また、以下の方法はそれぞれ手続きが複雑なケースもあるため、検討する際には弁護士などに相談するとよいでしょう。
- 相続放棄
- 相続の限定承認
- 遺産分割協議
相続放棄の場合
相続放棄とは、被相続人(亡くなった人)の財産について相続の権利を一切放棄することをいいます。
自分が保証債務も相続することになった場合、相続放棄すれば返済義務から逃れられる可能性があります。
しかし、すべての相続を放棄する方法のため、持ち家や車などプラスの財産があっても、相続できません。相続放棄できる期間は、相続開始および相続人になった事実を知った翌日から3ヶ月以内です。
ただし、相続人が保証人・連帯保証人になっていた事実が相続後に判明した場合は、例外的に相続放棄を認められる可能性があります。
借金の相続を放棄する方法については以下の記事で詳しく解説しています。
相続の限定承認の場合
限定承認とは、相続する財産に借金などマイナスの財産が含まれる場合に、家や預貯金などのプラスの財産の範囲内で返済することを条件に相続する方法です。
相続して手元に残したい財産がある場合など、以下のような例が該当します。
- 車など時価100万円のプラス財産
- 保証債務として300万円のマイナスの財産
100万円を債権者に支払えば車を手元に残して、残りの200万円分の保証債務は返済を免れることが可能になります。
相続の限定承認の期限も相続開始および相続人になった事実を知った翌日から3ヶ月以内になります。
ただし、限定承認は相続人全員で行わなければならず、すべての相続人の合意を得る必要もあるので簡単には行えません。
また、裁判所に限定承認の申述を行った後、相続財産の清算などに相当な時間や手間もかかるため、手続きを終えるのに早くても半年以上かかる可能性があります。
遺産分割協議の場合
遺産分割協議とは、法定相続人全員で相続(遺産)分割について協議し、合意することです。
しかし、遺産分割協議書は相続人には効力があるものの、債権者に対しては効力がありません。 そこで、遺産分割協議の前にあらかじめ債権者から同意を得て、遺産分割協議で決めた相続人だけが債務を負担する契約(免責的債務引受契約)を債権者と改めて結びます。
そうすれば、遺産分割協議書どおりに特定の相続人のみに支払い義務が発生し、債権者は他の相続人に請求できなくなります。
被相続人(亡くなった親など)から150万円の保証債務を相続する場合
子どもが3人(A、B、C)相続して、債権者の同意があればAのみ保証債務を相続するので、子どもB、Cは返済を免れる可能性があります。
子どもA:150万円
子どもB:0円
子どもC:0円
保証人・連帯保証人に迷惑をかけずに借金問題を解決したい場合、まずは弁護士に相談を!
自己破産をすれば、債務者(借りた側)の借金がほとんど免責されますが、保証人・連帯保証人に影響が及ぶことは免れません。
保証人・連帯保証人に迷惑をかけずに借金問題を解決したい場合、詳しいことは債務整理の実績・経験が豊富な弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
債務整理の実績・経験が豊富な弁護士であれば、依頼者の状況に応じた自己破産以外の債務整理の方法も提示してくれるでしょう。
弁護士法人・響は債務整理の豊富な解決実績に基づく独自のノウハウや知識で、保証人への影響も考慮した上で、お客様に寄り添った問題解決を目指しています。
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自己破産をすると保証人・連帯保証人に迷惑をかけることは避けられません。
1.連帯保証人の責任は保証人より重い
2.自己破産すると保証人・連帯保証人に一括請求される
3.保証人・連帯保証人が返済できないと債務整理を検討しなければならない
4.保証人・連帯保証人のの存在を隠すのは破産法で禁止されている
5.任意整理であれば保証人・連帯保証人に迷惑をかけずに借金問題を解決できる可能性がある 自己破産をした場合、保証人・連帯保証人は残債の返済をする必要があります。
保証人・連帯保証人に迷惑をかけることなく、借金問題を解決したい場合は、任意整理を選ぶのがよいでしょう。
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