自己破産における「復権」とは、破産者という法律上の扱いがなくなり、自己破産手続き中に課されていた資格制限が解除されることです。
法律(破産法)で規定されているため、条件に該当すれば誰でも復権が認められます。
復権の条件は次のとおりです。
- 免責許可が確定した
- 破産手続きの廃止が確定した
- 個人再生手続きで再生計画認可決定が確定した
- 破産手続き開始決定後10年経過した
- 全額返済後に復権を申し立てた
この記事では、復権の仕組みと条件、必要な期間の目安などを詳しく解説します。
「自己破産をすると仕事に影響がありそう」「復権までにどのぐらいの時間がかかるのかな…」といった不安があるなら、弁護士に相談してみましょう。
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目次
自己破産の復権とは
自己破産における「復権」とは、破産者の本来の地位を回復させ、破産手続き中に課される職業・資格などの制限を解除されることです。
ただし復権になっても、すぐにクレジットカードの利用や新たな借入れができるわけではありません。
復権の意義や、復権するとできることについて、以下で解説します。
自己破産については下記記事で詳しく解説しています。
破産者ではなくなると復権する
自己破産の申し立てを行い破産手続きが開始されると、申立人は法律上の「破産者」として取り扱われます。
破産者は、資格や権利などに制限が課せられます。復権とは、これらの制限を解除することです。
これは法律(破産法第255条、256条)によって規定されているため、条件に該当すれば誰でも復権が認められます。
復権の条件は、自己破産手続きにおいて「免責許可決定が確定したとき」などが挙げられます。
※復権の条件は後述します。
免責許可決定を得ることで破産者ではなくなるため、復権して再び資格を行使でき、資格を活かした職業に従事できます。
復権すると資格制限が解除される
復権後は、制限されていた資格を行使した仕事を行うことができます。
- 弁護士
- 司法書士
- 弁理士
- 公証人
- 公認会計士
- 税理士
- 証券会社外務員
- 旅行業者
- 宅地建物取引士
- 不動産鑑定士
- 土地家屋調査士
- 生命保険募集人
- 商品取引所会員
- 有価証券投資顧問業者
- 警備員
- 質屋 など
また、これらの資格を新たに取得したり、資格を活かした仕事に就くことも可能です。
自己破産で制限される職業については下記記事で詳しく解説しています。
復権してもクレジットカードは一定期間利用できない
自己破産後に復権をしても、すぐにクレジットカードの利用や新たな借入れができるわけではありません。
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録される(いわゆるブラックリストに載る)ため、5~7年程度はクレジットカードの利用や、ローンなどの新規借り入れができません。

信用情報とは、クレジットカードやローンなどの取引事実などの情報で、個人の支払い能力の判断に使われます。これを収集・管理するのが信用情報機関であり、次の3つがあります。
ブラックリストに載ってる期間中は、以下のような影響が出ます。
- クレジットカードの利用・新規契約ができない
- 新規借入れやローンの契約ができない
- 携帯電話端末の分割購入ができない
- 賃貸住宅の新規契約・契約更新ができない場合がある など
債務整理によるブラックリスト期間は下記記事で詳しく解説しています。
自己破産の復権の条件と必要な期間
復権をするには条件があります。
自己破産の復権について、破産法では次のような条件が定められています。
- 自己破産手続きで免責許可が確定した場合
- 破産手続きの廃止が確定した場合
- 個人再生手続きで再生計画認可決定が確定した場合
- 手続き開始決定後に10年経過した場合
- 全額返済後に復権を申し立てた場合
1〜4は特別な手続きをとらずにそのまま復権できるため「当然復権」と呼ばれます。
5は申立てを必要とするため「申立てによる復権」と呼ばれます。
復権を規定する法律の条文は、次のとおりです。
(復権)
第255条 破産者は、次に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、復権する。次条第一項の復権の決定が確定したときも、同様とする。
一 免責許可の決定が確定したとき。
二 第二百十八条第一項の規定による破産手続廃止の決定が確定したとき。
三 再生計画認可の決定が確定したとき。
四 破産者が、破産手続開始の決定後、第二百六十五条の罪について有罪の確定判決を受けることなく十年を経過したとき。
2 前項の規定による復権の効果は、人の資格に関する法令の定めるところによる。
3 免責取消しの決定又は再生計画取消しの決定が確定したときは、第一項第一号又は第三号の規定による復権は、将来に向かってその効力を失う。
※引用:e-GOV「破産法」
免責許可については下記記事で詳しく解説しています。
復権の条件については、以下で詳しく解説します。
自己破産手続きで免責許可が確定した場合
自己破産手続きが順調に進み、裁判所から免責許可の決定が確定すれば、破産者は自動的に復権します。
自己破産の申立てから免責許可による復権までの期間は、破産手続きの種類によって次のように異なります。
- 同時廃止事件:自己破産の申立てから3〜4ヶ月程度
- 管財事件:自己破産の申立てから6ヶ月〜1年程度
- 少額管財事件:自己破産の申立てから4〜6ヶ月程度
- 同時廃止事件とは
破産申立者に一定以上の価値ある財産がなく、借金の理由や経緯に問題がない(免責不許可事由がない)ことが明らかな場合の手続きです。
裁判所が選任する「破産管財人」による調査が不要なため、比較的短期間で免責許可決定に至ります。- 管財事件とは
破産申立者が一定以上の財産を持っていたり、ギャンブルや浪費など借金理由や経緯に問題がある(免責不許可事由)場合の手続きです。同時廃止事件より期間や費用が多く必要です。
- 少額管財事件とは
管財事件を簡略化した手続きです。自己破産手続きを弁護士に依頼することで、利用できる方法です。費用も管財事件より少額になります。
管財事件・同時廃止事件については下記記事で詳しく解説しています。
破産手続きの廃止が確定した場合
自己破産手続き開始決定後に、債権者全員の同意によって破産手続きが「廃止決定」になると復権となります。
※廃止とは手続きが終了することです。
自己破産手続き廃止になると「破産した」という事実がなくなるためです。
ただし破産申立者に借金返済のめどが立っていないかぎり、債権者が破産手続きの廃止に同意することは少ないといえるでしょう。
この場合の自己破産の申立てから復権までの期間は、同意が得られるタイミングなどにより異なります。
個人再生手続きで再生計画認可決定が確定した場合
自己破産手続きをしたものの免責許可決定にならず、個人再生手続きに切り替えて「再生計画の認可決定」になると復権します。
個人再生には不許可事由が規定されていません。
自己破産で免責不許可となった場合でも、個人再生であれば認可決定が出る可能性は充分ありえるでしょう。
しかし、個人再生の手続きには1年~1年半程度の期間が必要です。
自己破産で免責不許可となってから個人再生手続きに切り替えると、復権まで2年以上かかることも考えられます。
個人再生の認可決定については下記記事で詳しく解説しています。
破産手続き開始決定後に10年経過した場合
自己破産手続きで免責許可が得られなくても、手続き開始決定から10年が経過すれば、復権します。
ただし「詐欺破産罪」の有罪確定判決を受けていないことが条件です。
詐欺破産罪とは、自己破産の債権者を害する目的で、破産申立者が財産を隠したり、壊したりした場合に問われる罪です。
詐欺破産罪で有罪判決を受けると、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、ないしはこれらの両方が科されます。(破産法第265条)
(詐欺破産罪)
第256条 破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者(相続財産の破産にあっては相続財産、信託財産の破産にあっては信託財産。次項において同じ。)について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。
※引用:e-GOV「破産法」
自己破産手続きにおいては破産者申立者は所有している財産を最大限確保し、債権者に公平に分配することが求められます。
そのため財産を隠したり壊す行為は、破産犯罪として規定されているのです。
このような不正をせずに破産手続きを行えば、詐欺破産罪に問われることはありません。
自己破産手続きの流れについては下記記事で詳しく解説しています。
全額返済後に復権を申し立てた場合
自己破産手続きで免責決定にならなかった場合でも、破産者が借金を完済することで復権することも可能です。
この場合は、自身で裁判所に申立てを行う必要があります。借金を完済しただけで申立てを行わないと復権しないため、注意が必要です。
また破産詐欺罪により有罪判決を受けている場合でも、要件を満たす限り復権は認められます。
復権を申し立ててから裁判所からの復権の決定がおりるまでの期間は、4〜6ヶ月程度が目安といえます。
復権は身分証明者で確認できる
自己破産の手続きなどを終えても、復権したことは個別に知らされません。
本籍地のある市区町村役場の戸籍係などで「身分証明書」を取得することで、復権したことを確認できます。
身分証明書とは、次のことを証明する書類です。
- 禁治産・準禁治産の宣告の通知および後見登記の通知を受けていないこと(判断能力の不足などが判断され、財産管理を補助、代理する人が任命されていないこと)
- 破産宣告の通知を受けていないこと
〈身分証明書の例〉
※参考:警視庁「身分証明書とは」
身分証明書に「破産宣告の通知を受けていない」などと記載されていれば、復権しています。
身分証明書を発行するには1通300円程度の手数料が必要です。
前述した全額返済後に復権を申し立てた場合は、申立てが認められた際に裁判所から判決書などが届くため、復権したことがわかります。
自己破産手続きに不安があるなら弁護士に相談を
「自己破産をすると仕事に影響がありそう」「復権までにどのぐらいの時間がかかるのかな…」といった不安、疑問を感じたら、弁護士に相談してみましょう。
弁護士は、ご依頼者の状況をふまえて免責許可がおりるかを事前に判断してくれるので、復権までに長期間かかってしまうリスクが減らせるといえます。
免責不許可が想定される場合は、「個人再生」「任意整理」といった他の方法を提案してくれるでしょう。
まずは相談無料の弁護士事務所に相談してみるとよいでしょう。
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※法的手続きの場合は、ご依頼者様自身で書類収集や作成を行っていただく必要がありますが、そのサポートをいたします。
弁護士費用は6回~10回の分割払いも可能(分割手数料は無料)で、返済がストップしている間にご準備いただくことも可能です。
またご相談の結果、債務整理をする必要がない場合は強要することはありませんので、お気軽にご相談ください。
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