「過払い金は奨学金でも戻ってくる?」
奨学金に過払い金は発生しません。
過払い金は、法定よりも高い金利を払いすぎたことにより発生するためです。
ただし、日本学生支援機構には、奨学金の返済が苦しい人のための救済制度があります。
- 所得連動返還方式:収入に応じて返済額が変わる
- 減額返還制度:月々の返済額を減らす
- 返還期限猶予制度:一定期間、返済を免除される
- 返還免除制度:返済そのものを免除する
制度により、援助額や制度が適用される条件があるので確認しておきましょう。
この記事では、なぜ奨学金で過払い金が発生しないのか?その理由と、返済に苦しんでいる方に向けて、救済制度や返還方法などを紹介していきます。
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目次
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奨学金には過払い金は発生しない
奨学金には過払い金が発生しません。
というのも、奨学金は、利息制限法にふれるような金利は適用されず、非常に低金利だからです。年利にして、 3%を超えるような奨学金はまずありません。

カードローンやキャッシングなどの借金の利息を、必要以上に支払ったために発生したお金をいいます。
借金返済時に支払う利息は「利息制限法」で上限が定められています。しかしかつては返済の過程で上限を超えて支払ってしまっていた、というケースがありました。
法律で定められた金額以上の利息を払ったわけですから、当然、貸金業者(債権者)に対して返金するよう請求が可能です。
過払い金は、もともと貸金業者に支払いすぎた金利ですので、利息を支払いすぎることのない奨学金では発生することがないのです。
過払い金については以下の記事で詳しく解説しています。
日本学生支援機構など奨学金を提供している機関と利率
日本には4つの代表的な団体があります。
- 日本学生支援機構(JASSO)
貸与型奨学金で、学生の学費・勉強している間の金銭的な援助を行います。 - 各大学
大学にも、奨学金制度があり、その多くが給付型です。 - 地方公共団体・奨学金事業団体
地方公共団体や、公益財団法人である奨学金事業団体も多くの学生に対して、金銭的支援をしています。これも、給付型が中心です。 - 東日本大震災の被災学生への奨学金制度をもつ団体
東日本大震災で被災した学生に対する援助を目的として、各種団体が立ち上げられ、奨学金の貸与・給付を行っています。
奨学金には給付型と貸与型がありますが、給付型は返済をする必要がありません。
これに対し、日本学生支援機構は貸与型です。返済の必要はありますが、条件は給付型に比べると利用しやすくなっています。
学生の数からいうと、奨学生のうち圧倒的多数が、日本学生支援機構からの貸与を受けています。
貸与型といっても、日本学生支援機構の第一種奨学金は無利子です。第二種奨学金は2019年3月の利率で、 完済まで利率が変わらない利率固定方式ですと、0.27%とカードローンやキャッシングに比べて大変低い利率です。
日本学生支援機構から奨学金を貸与された場合、平均貸与額は343万円ですが、利息制限法の上限(平均貸与額を借りたとすると15%)を 超えるような高利になることはなく、奨学金には過払い金が発生しないと考えられます。
参考データ: 日本学生支援機構「奨学金事業への理解を深めていただくために(PDF)」
過払い金が発生する仕組みと返還請求できる条件
過払い金は、支払いすぎた利息のことですが、これは利息制限法の上限金利を超えて支払ったことが発生条件になります。
利息制限法の上限金利を超えて、出資法の上限を超えない金利のことを、「グレーゾーン金利」といい、 こうした金利で貸金業者が消費者にお金を貸し付けていたことが過払い金の発生の原因になっています。
グレーゾーン金利については以下の記事で詳しく解説しています。
これに対して、日本学生支援機構の奨学金に適用されている金利は、ここ10年の最高でも1.9%となっています。
そのため、15%(元本100万円超の場合の上限)を超える利息制限法違反の金利が適用されることはなく、 過払い金が発生しないこととなります。
過払い金請求できる条件は以下の記事で詳しく解説しています。
奨学金が返済できない時の4つの救済制度
日本学生支援機構では、つぎの4種類の救済制度を用意しています。
- 収入に応じて返済額が変わる『所得連動返還方式』
- 月々の返済額を減らす『減額返還制度』
- 一定期間、返済を免除される『返還期限猶予制度』
- 返済そのものを免除する『返還免除制度』
援助額や制度が適用される条件がそれぞれの制度にあるので、下記に説明します。
奨学金を払えない時の対処法は以下の記事で詳しく解説しています。
所得連動返還方式(収入に応じて返済額が変わる)
年収に応じて返済額を設定できる制度です。
この制度は、学生の時に申請してもよいですし、貸与終了後に申請しても適用が可能です。
従来の定額返還方式:月額13,333円の返済
所得連動返還方式:年収200万円=月額4700円の返済
年収300万円=月額8900円の返済
ただし、この制度は、平成29年度以降に第一種奨学金の貸与のみを対象としているため、適用対象にならない方は、次の減額返還制度を検討しましょう。
減額返還制度(月々の返済額を減らす)
経済困難、傷病、災害などで、奨学金の返還が困難になった場合に、月々の返還額を2分の1または3分の1にする制度です。減額の結果、返還期間は延長されます。
「願い出」といわれる申請手続きが必要で、所得証明その他の証明資料を提出すること、審査に通ることが条件です。
返還期限猶予制度(一定期間の返済を免除される)
経済困難、傷病、災害などで、奨学金の返還が困難になった場合に、返還期間を猶予する制度です。猶予期間の分だけ、返済期間は延長されます。
この制度の適用にも、願い出が必要なこと、所得証明等の証明資料を提出すること、審査に通ることが条件となるなどは、減額返還制度と同様です。
第二種奨学金でも延長分の利息は増えませんが、総額は変わりませんので、注意が必要です。
「収入がなく、奨学金を支払えない」「病気にかかってしまい、仕事を辞めてしまった」方にとっては有効な制度といえるでしょう。
返還免除制度(返済そのものを免除する)
返還免除制度は、奨学金の返還を一部または全部免除する制度です。
利用にあたっては2つ条件があります。
1つは死亡または心身障害のための免除で、もう1つが大学院在学中に限ってですが、特に優れた業績をあげた場合の免除があります。
こちらにも願い出・審査、また優れた業績による免除の場合、学校からの推薦が必要になります。
奨学金の救済制度が利用できない場合の対処法
救済制度が利用できない時の対処法は以下の3つです。
- 生活を見直してみる
- 他の借金もある場合は、おまとめローンを検討
- 債務整理を検討する
奨学金も借金ですから、他の借金問題と同様に、放っておくことは遅延損害金などの負担を増やしてしまいますので、早めに対応しましょう。
生活を見直してみる
生活の負担になってしまうような出費がないか、まず考えてみることをおすすめします。
月々の固定費(とくに携帯電話や通信費など)を見直すと、年額にすると効果が意外に大きいこともあります。また、奨学金=教育費ですから、両親に頼ってみるのもよいかもしれません。
借金の返済方法については以下の記事で詳しく解説しています。
他の借金もある場合は、おまとめローンを検討
月々の返済額を減らす目的で、おまとめローンを組むことができる場合もあります。
おまとめローンを組める金融機関に相談すると、シミュレータ―などにより返済計画をわかりやすく説明してくれます。
しかし、おまとめローンにも注意点があります。
利用時には審査があり、信用が足りない場合には使えません。
また、おまとめローンの金利は奨学金よりも基本的には高く設定されています (5%〜18%)。返済総額が増えてしまう点、デメリットも考えられます。
これらの解決方法も限界があり、また、借金が奨学金だけでなく、何か所からもの多重債務になっている場合は、法律を知らないために解決が遅れるケースもあります。
そこで、合法的に借金の整理や減額・免除する方法の一つとして、債務整理について紹介しますので、こちらもぜひ検討してみてください。
おまとめローンや借金の一本化については以下の記事で詳しく解説しています。
どうしても返済不可能な場合は債務整理の検討を
債務整理とは、簡単にいうと「法的手段を用いて借金の減額や利息を少なくし、借金問題を解決する」ことを指し、主に3種類あります。
債務整理については以下の記事で詳しく解説しています。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
弁護士や司法書士が間に入って、貸金業者などと借金額や返済方法について交渉し、和解契約を締結する手続き。弁護士・司法書士に依頼すると、一債権者あたり2~3万円+債務の減額分から成功報酬として10%~20%の費用が掛かる。最も利用が多い債務整理。
※ただし、奨学金の場合は、低金利であることから、任意整理では利息分をカットするなどの通常効果的とされる手段を取れず、思うように結果が出ない場合が想定されます。
返済が見込めない場合は、次に紹介する手段を検討しましょう。
裁判所を通して、3年で返済できる額に債務を圧縮する手続き。弁護士・司法書士に依頼して行う。費用は約50万円
裁判所を通して、債務(借金)を帳消しにする手続き。弁護士・司法書士に依頼して行う。費用は30~80万円ほどが標準。債務が帳消しになる代わりに、一定以上の財産は没収される
これらの手続では、督促が止まる・債務が減額されるメリットがある一方、ブラックリストに載る、自己破産は一定以上の財産を失うなどのデメリットもあります。
デメリットも考慮して手段を選ぶ必要がありますが、債務整理は借金問題の解決としては適切です。奨学金だけでなく、多重債務の場合には、弁護士・司法書士に相談しましょう。
債務整理のデメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。
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ここまでで説明しましたように、
・奨学金は過払い金が発生しない
・奨学金については過払い金返還請求は難しいものの、救済手段が日本学生支援機構によっても用意されている
・それでも難しい場合は、法律専門家の手によって解決することも可能
とご理解いただいたと思います。 奨学金もいわば借金であり、返済が厳しい場合に何もせず放置することは危険です。
生活の見直しなどにより、ご自身で解決がつかない場合は、ぜひ弁護士・司法書士に早めに相談し、解決を目指してください。
相談無料 全国対応 24時間受付対応
- 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
- 今お金がなくても依頼可能!
- 相談は何度でも無料
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