任意整理は借金の利息をカットして借金を解決しやすくするための手続きです。
借金の悩みの原因は利息の負担であることが少なくないため、利息をカットできただけでも借金の完済が近づく人はたくさんいます。
しかし、任意整理でカットされる利息とは何を意味して、どれくらいの金額になるのかが具体的にイメージできないかもしれません。
そこでこちらの記事では、
- 任意整理でカットできる利息の種類
- 任意整理でも利息がカットできないケース
- 利息をカットした場合の返済総額をシミュレーション
などについて解説します。
目次
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任意整理でカットできる利息は4つ
借金の利息といってもいくつかの種類があり、任意整理によってカットされるものとカットされないものとで分かれる場合があります。
まずは借金の利息にどのようなものがあるのかをおさえておきましょう。
任意整理でカットできる利息は次の4つです。
- 将来利息
- 遅延損害金
- 経過利息
- 法律の上限を超えた利息
任意整理については以下の記事で詳しく解説しています。
将来利息
将来利息とは現在残っている借金に対して一定の金利に基づいて発生し、完済まで支払い続けていく予定の利息です。
これまでにもすでに支払い続けてきた利息と同じもので、これから支払うことになる利息のことを指します。
正確には、金融業者と任意整理の交渉を行い、和解契約が成立した日から発生する利息です。
任意整理では、この将来利息のカットを中心に交渉を行います。
遅延損害金
遅延損害金は借金の支払いを滞納したときに発生します。 「延滞利息」や「遅延利息」と呼ばれることもありますが、法的には利息というよりは、約束どおりの返済ができなかった場合の賠償金のことです。
遅延損害金は支払期日の翌日から発生し、滞納分を返済するまで日割計算して請求されます。
遅延損害金は、借入時に契約した金利とは別に設定されていて、借金の遅延損害金の金利は、法律で定められた上限である20.0%としている金融業者が多いです。
なお、クレジットカードの支払いの遅延損害金は14.6%の金利となり、借金の遅延損害金の金利とは異なります。
遅延損害金については以下の記事で詳しく解説しています。
経過利息
経過利息とは、すでに発生しているにも関わらず未払いとなっている利息です。 最後の支払い日から任意整理の和解契約が成立する日までが経過利息となります。
任意整理の手続きでは、経過利息に遅延損害金も含められる場合もあります。
これまでに滞納することなく支払いを続けている場合は、経過利息があまり大きな金額にはなっていないかもしれませんが、滞納が数カ月間に及んでいる場合は数万円の経過利息となっている可能性があります。
金融業者によっては、将来利息のカットには応じても経過利息のカットには応じないというところもあります。
法律の上限を超えた利息
借金の金利は、借入元金の金額に従って15~20%という上限が利息制限法によって決められているのですが、かつては、法律の隙間を縫って上限金利を超えた利息を発生させていた金融業者がありました。
一般に過払い金と呼ばれているもので、2007年以前に借入をしていると発生している可能性があります。
利息制限法については以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理を専門家に依頼すると、正確な借金残高を計算するために過払い金の発生状況も調査してくれます。
ただし、過払い金請求は慎重に請求を行わなければ失敗するリスクなどもあるので、専門家に相談しながら進めるようにしましょう。
過払い金については以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理しても利息を減額できない5つのケース
任意整理しても利息を減額できないケースは次の5つです。
- 借金の返済期間が短い
- 借金の総額が大きくない
- 金融会社の経営が苦しい
- 金融業者が担保を持っている
- 金融業者に法的措置を取られている
任意整理は法律による強制力を持った手続きではないため、利息の減額をできるかどうかは金融業者の対応次第です。
上記のようなケースでは金融業者が任意整理に応じなかったり、応じたとしても不利な条件で和解案を提示されることがあります。
任意整理できないケースについては以下の記事で詳しく解説しています。
1.借金の返済期間が短い
借入をしてから数カ月以内に任意整理を行うと利息の減額に応じらてもらえない可能性があります。
金融業者にとっては利息の支払いが会社を維持するための収益になるので、利息をほとんど支払っていない債務者に対しては、利息をカットする交渉には応じてくれません。
借入をしてから返済回数が一度だけや、一回も返済していないといったな場合、「はじめから返済する意思がなかったのではないか」と金融業者から疑われ、任意整理に応じてもらえないばかりか、詐欺を疑われる可能性もあるので注意が必要です。
取引期間が短い借金の任意整理については以下の記事で詳しく解説しています。
2.借金の総額が大きくない
収入に比べて借金の総額がそこまで大きくない場合は、任意整理に応じてもらえないことがあります。
本来支払いができる収入があるのに、返済の負担を軽くしようとして利息をカットを求めているという疑念が生じやすいからです。
借金の総額が大きいかどうかを金融業者が判断する際、年収の3分の1の金額を基準のひとつとすることがあります(総量規制)。
3.金融会社の経営が苦しい
金融業者の経営状態がよくない場合は任意整理に応じない可能性があります。
金融業者は借入金に上乗せされる利息によって経営が成り立っているため、利息のカットは経営に直接打撃を加えることになるからです。
資力の面で体力のない金融業者だと経営がもたなくなってしまうため、最初から厳しい条件での和解交渉となるかもしれません。
4.金融業者が担保を持っている
金融業者が不動産や有価証券などに借金の担保を設定していると、任意整理に応じる前に担保の処分を求められます。
金融業者としては、「まずは財産をお金に換えて、返せる分は返してください」という要求です。
ちなみに担保には人的担保、つまり保証人という考えも含まれています。
借入金に保証人がいる場合、任意整理をしようとすると代わりに保証人に請求が行くことになるので注意が必要です。
任意整理による保証人への影響は以下の記事で詳しく解説しています。
5.金融業者に法的措置を取られている
金融業者から差し押さえや訴訟などの法的措置が取られていると、任意整理では減額に応じてくれる見込みは少ないでしょう。
法的措置は裁判所を通した手続きであり、法律に基づく強制力を伴います。
一方、任意整理は裁判所を介さずに金融業者と直接交渉をする私的な和解契約によるものです。
任意整理をしても利息の減額ができないだけではなく、すでに手続きが始まっている差し押さえや訴訟なども簡単には取り下げてくれません。
なお、同じ債務整理であっても個人再生か自己破産であれば、裁判所を介した法的手続きであるため、金融業者に法的措置を取られていても手続きを止められることがあります。
利息の一部を減額するケースもある
利息の全額カットには応じられなくても、たとえば「12%だった金利を5%に下げる」などで、一部の減額には応じてもらえるケースもあります。
金融業者としては利息をカットすると経営的に厳しくなりますが、任意整理の交渉に応じないことで、債務者に個人再生や自己破産などの手続きを取られてしまえば、利息どころか元金の回収すらできなくなってしまう恐れがあります。
任意整理の交渉は0か100かで決めるのではなく、間を取った一部利息の減額という妥協案で和解を提示することもあるのです。
任意整理による利息カットのシミュレーション
では実際に任意整理によってどれくらいの利息がカットできるのかをシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションの条件は次の通りです。
- 借入額:120万円
- 返済済:30万円
- 残高:90万円
- 金利:12%
- 返済期間:3年
- 手続き期間:10カ月は契約通りに返済していたが、11カ月目の支払いができなくなって任意整理の手続きが開始され、3カ月で和解契約
任意整理によって将来利息と経過利息が全額カットされた場合と、一部カットされた場合の2つのパターンで見てみます。
将来利息と経過利息をカットした場合
前述の条件で任意整理を行い、将来利息と経過利息がカットされた場合と、任意整理をせずに返済しつづけた場合を比較してみます。
任意整理をしなかった場合は金利が12%、任意整理した場合は金利0%となります。
支払い済利息 (10カ月分) | 経過利息 (4カ月分) | 将来利息 (22カ月分) | 利息総額 | |
---|---|---|---|---|
任意整理しなかった場合 | 10万7119円 | 3万4481円 | 9万3239円 | 23万4839円 |
任意整理で利息全額カットした場合 | 10万7119円 | 0円 | 0円 | 10万7119円 |
借入金の120万円を足した返済総額は、以下のようになります。
- 任意整理をしなかった場合:143万4839円(借入金120万円+利息総額23万4839円)
- 任意整理で利息全額カットした場合:130万7119円(借入金120万円+利息総額10万7119円)
任意整理で将来利息と経過利息を全額カットした場合は12万7720円(利息総額23万4839円-10万7119円)の負担がなくなります。
将来利息と経過利息の一部をカットした場合
利息の全額カットは金融業者から認められなかったものの、金利12%を5%に引き下げるという和解契約が成立した場合は次のようになります。
支払い済利息 (10カ月分) | 経過利息 (4カ月分) | 将来利息 (22カ月分) | 利息総額 | |
---|---|---|---|---|
任意整理しなかった場合 | 10万7119円 | 3万4481円 | 9万3239円 | 23万4839円 |
任意整理で利息一部カットした場合 | 10万7119円 | 1万4367円 | 3万8850円 | 15万3217円 |
借入金の120万円を足した返済総額は、以下のようになります。
- 任意整理をしなかった場合:143万4839円(借入金120万円+利息総額23万4839)
- 任意整理で利息一部カットした場合:135万3217円(借入金120万円+利息総額15万3217円)
任意整理で将来利息と経過利息を金利12%から5%にカットした場合は8万1622円(利息総額23万4839円-15万3217円)の負担軽減となります。
利息カットの条件を有利に進めるカギは交渉力
任意整理により利息をカットしてもらうには、金融業者との交渉を有利に進める方策が必要になります。
任意整理の交渉では専門家に依頼するのが一般的なやり方です。
債務整理に精通した専門家であれば、これまで借金問題を解決してきた実績を基に、依頼者の借金総額と収入状況、金融業者の経営状態などから、任意整理による減額効果がどれほど見込めるかの見極めができます。
そもそも専門家に依頼せずに自分で任意整理しようとすると、金融業者は交渉にすら応じてくれないか、応じてくれても不利な条件での和解を求めてくる可能性があります。
利息のカット以外にも、毎月の返済額を減らして3~5年での返済計画で和解してもらえるケースが多いため、専門家に交渉を進めてもらう意義は大きいでしょう。
利息の支払いは決して軽い負担ではなく、利息をカットしてもらえば返済ができるという理由で任意整理を選択する債務者は多いです。
ただし借金の利息にはいくつかの種類があり、任意整理でカットできるかどうかは金融業者の判断に委ねられています。 金融業者にとって不都合なケースでは利息のカットを断られたり、一部の利息のカットにとどまることも珍しくありません。
任意整理では有利な条件で和解するための交渉技術が必要です。 交渉を有利に進めるには債務整理の経験が豊富な専門家に依頼するといいでしょう。
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