- 弁護士会所属
- 第二東京弁護士会 第54634号
- 出身地
- 熊本県
- 出身大学
- 大学院:関西大学法学部 同志社大学法科大学院
- 保有資格
- 弁護士・行政書士
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- 理想の弁護士像は、「弱い人、困った人の味方」と思ってもらえるような弁護士です。 そのためには、ご依頼者様と同じ目線に立たなければならないと思います。そのために日々謙虚に、精進していきたいと考えています。
「自己破産をしたら、養育費はどうなるの?」
「養育費が払えないときは、どうしたらいいのかな…」
結論からお伝えすると、自己破産をしても、養育すべき子どもがいる場合は養育費の支払い義務がなくなることはありません。
これは既に滞納している分だけでなく、将来発生する養育費についても同様です。
約束どおりに支払わない場合は、財産差押えの強制執行をされることもあります。
ただし正当な理由がある場合は、以下のような方法で養育費を減額できる可能性があります。
- 元配偶者と交渉して合意を得る
- 家庭裁判所に養育費減額調停を申し立てる
この記事では、自己破産後の養育費の支払い義務や、養育費を払えないときの対処法などについて、具体的に解説していきます。
また、借金問題に苦しみ「自己破産について検討している」「養育費が払えない」などの悩みがある方は、弁護士法人・響にお気軽にご相談ください。債務整理に関する相談を無料で受け付けています。
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目次
自己破産で養育費の支払いはどうなる?民法改正の影響は?
自己破産をしても、養育費の支払いは免除されません。
なお養育費については、滞納分と将来的に支払う分では扱いが異なります。詳しくは以下で紹介します。
滞納した養育費は非免責債権のため、自己破産しても支払い義務が残る
自己破産したとしても、支払うべき養育費を滞納していた場合は支払い義務が残ります。
滞納している養育費は、ほかの借金と同様に「破産債権」の扱いになります。その場合、自己破産されたご自身は債務者、相手(元妻・元夫)は債権者となります。
相手には、ほかの債権者(お金を貸した側)と同様、債務者(お金を借りた側)から回収された財産が公平に分配されることになりますが、全額が支払われない可能性もあります。
しかし養育費は法律(破産法)で決められた「非免責債権」にあたります。非免責債権とは、自己破産も例外的に支払い義務が免責されない債権のことです。
そのため滞納している養育費は、支払い義務が消滅しません。
自己破産をしても支払いが免除されない借金のこと。自己破産で免責が決定しても、社会的な公平・公正さを保つために養育費など一部の債権の支払い義務は残ります。おもな非免責債権は以下のようなものがあります。
- 所得税、住民税
- 国民健康保険料、介護保険料
- 離婚時の慰謝料、養育費
- 交通事故を起こした際の損害賠償請求権
- 交通違反の反則金
など
非免責債権には、離婚時の慰謝料や養育費のほか、所得税や住民税、国民健康保険料や介護保険料なども該当します。残額がある場合は自己破産の手続き終了後に支払う必要があります。
〈法律の条文(破産法)〉
(免責許可の決定の効力等)
第253条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
(中略)
4 次に掲げる義務に係る請求権
ハ(中略)子の監護に関する義務
ニ(中略)扶養の義務
非免責債権について詳しくは以下の記事をご参照ください。
自己破産しても今後の養育費の支払い義務は消滅しないで継続する
前述の通り、自己破産手続きが終了し借金の大部分が免責されても、養育費の支払い義務が消滅することはありません。
自己破産したからといって、養育費の取り決めが消滅したり、緩和されるわけでなないのです。
将来的に(免責決定日以降)に支払う養育費に関しても、支払い義務は残ります。
そのため、離婚時の取り決め通りに養育費を支払い続ける必要があります。
民法における養育費の位置づけ
そもそも養育費とは、経済的にまだ自立していない子どもを育てるのに必要な費用のことです。
両親が離婚しても、親に子どもの扶養義務が残ることは、法律(民法)で定められています。
〈法律の条文(民法)〉
(扶養義務者)
第877条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
養育費の内訳は、食費や住居費、衣服費、教育費、医療費などが含まれます。
養育費の支払いは20歳までとされるケースが一般的ですが、扶養義務があるのは子どもが経済的に自立するまでであり、子どもが大学に進学する場合は22歳の3月まで(大学卒業まで)になることもあります。
2022年4月の民法改正によって、成年年齢は20歳から18歳に引き下げられましたが、養育費の支払いは従来どおり20歳もしくは大学卒業まで支払うというケースが多いようです。
扶養義務は、親が経済的に余裕のない生活を送っていたとしても、基本的には拒否できません。
養育費が約束どおり支払われなかった場合、強制執行により財産が差し押さえられるケースもあります。
自己破産について詳しくは以下の記事をご参照ください。
離婚公正証書をもとに財産差押えの強制執行をされることがある
離婚時に「離婚公正証書」を作成して養育費を支払う約束をしていると、約束を守らなかったときに給与などの財産を差押えの強制執行をされる場合があります。
離婚公正証書とは?
夫婦が協議離婚するさいに、夫婦が合意した養育費、財産分与、慰謝料などの支払いを記録した公文書で、法的な効力があります。これにより、夫婦で決めた約束は確実に実行されることになります。
離婚公正証書は離婚時に自動的に作成されるものではなく、所定の手続きのもとで公証役場で公証人に作成を依頼する必要があります。
ただし差押えの強制執行をされるのは「強制執行認諾条項」に記載されたものに限られます。これは滞納が生じたときに強制執行に応じることを支払い義務者が承諾した条項のことです。
また離婚公正証書は離婚時に必須のものではないため、そもそも作成されていないケースもあります。
養育費の支払いが滞っていた状況を考えると、財産の差押えは生活に大きな影響を与えるものと予想されます。強制執行された場合は弁護士に相談しましょう。
公正証書について詳しくは以下の記事をご参照ください。
離婚協議書には強制執行の効力はない
公正証書以外にも、離婚に関する合意事項を記載した「離婚協議書」という書類があります。
これは公証人が作成するものではありませんが、通常の契約書として法的効力を備えています。
しかし離婚協議書は離婚公正証書とは違い、公文書ではなく私署証書のため、離婚協議書のみでは財産を差し押さえる強制執行ができません。
離婚協議書にも夫婦が合意した養育費、財産分与、慰謝料などの条件が記されています。
注意!自己破産手続き中に滞納分の養育費を払うと偏頗弁済になる
自己破産手続き中に滞納分の養育費を支払ってしまうと「偏頗弁済(へんぱべんさい)」にあたり自己破産手続きが申請に影響を及ぼす場合があるため、注意が必要です。
偏頗弁済とは、債務者が一部の債権者にだけ返済をすることをいいます。
破産法は、すべての債権者に対し平等に返済されなければならないとする「債権者平等の原則」というルールを定めており、偏頗弁済は債権者平等の原則ルールに反しています。
自己破産の手続き中に偏頗弁済を行うと「平等に分配されるはずの財産を勝手に減らした」と見なされます。
その行為は法律(破産法)で規定された免責不許可に該当して、自己破産が認められなくなるリスクが生じます。
〈法律の条文(破産法)〉
(免責許可の決定の要件等)
第252条
裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
(中略)
3 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
偏頗弁済について詳しくは以下の記事をご参照ください。
自己破産した人が養育費を免除されるケースはある?
前述の通り扶養義務者が自己破産をしても、原則として養育費の支払い義務は消滅しません。
しかし、ごくまれに養育費が免除されるケースがあります。
以下で、具体例を紹介します。
生活保護を受給している場合は養育費が免除される場合もある
生活保護を受給している場合、困窮の度合いによっては、養育費の支払いが免除される可能性があります。
子どもに対する扶養義務がある限り、養育費は支払わなければならないものです。しかし
生活保護の趣旨は、経済的に困窮した人に対して国が「最低限度の生活を保障」することにあります(生活保護法1条)。
また生活保護法により、財産差押えの強制執行となった場合も、生活保護費そのものが差し押さえられることはありません(生活保護法58条)。
ただし実際には、預金口座に生活保護費が振り込まれた時点でほかの財産と区別することができなくなるため、差押えが可能となってしまいます。
〈法律の条文(生活保護法)〉
(この法律の目的)
第1条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
(差押禁止)
第58条 被保護者は、既に給与を受けた保護金品及び進学準備給付金又はこれらを受ける権利を差し押さえられることがない。
生活保護受給者の債務整理について詳しくは以下の記事をご参照ください。
時効が成立した場合は養育費が免除される場合もある
借金の支払いに時効があるように、養育費にも時効(消滅時効)があります。
時効期間が過ぎてから時効援用の手続きを行えば、養育費の支払いは免除されます。
消滅時効が完成するのは、債権者が養育費を請求できることを知ったときから5年、または行使できるときから10年(民法166条)です。
ただし裁判によって確定した権利の場合、10年より短い時効期間を定めたとしても時効期間は10年(民法169条)です。
なお2020年4月1日の民法改正により時効も変更されました。改正前は、消滅時効は請求権が発生してから5年でした。
ただし「時効の更新」や「完成猶予」があると、養育費の請求権は消滅しません。時効の更新や完成猶予の事由には、以下のようなものがあります。
- 裁判上の請求
- 支払督促
- 和解および調停の申立て
- 破産手続き参加、再生手続き参加または更生手続き参加
- 強制執行
- 担保権の実行、担保権の実行としての競売
- 財産開示手続または第三者からの情報取得手続き
- 仮差押え、仮処分
- 催告
- 協議を行う旨の合意
- 債務者による債務の承認
- 天災その他避けることのできない事変
〈法律の条文(民法)〉
(債権等の消滅時効)
第166条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
2 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
(判決で確定した権利の消滅時効)
第169条 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。
時効の更新や完成猶予について詳しくは以下の記事をご参照ください。
養育費が払えない正当な理由があれば減額できる
前述のとおり自己破産後でも、養育費の支払い義務は消滅しません。
しかし養育費が払えない理由が正当なものなら、対処法があります。以下、具体的に紹介します。
滞納分と将来の支払い分を元配偶者に減額交渉する
元配偶者と交渉し、合意が得られるならば、養育費を減額できる可能性があります。
前述の通り、滞納分の残額がある場合は破産手続き終了後に支払う必要がありますが、交渉次第では減額できたり、分割払いにできたりする可能性があります。
ただしこれはあくまで本人同士の交渉次第です。必ず減額できるわけではない点は、注意しましょう。
また将来分の養育費についても、交渉により現実的に支払える金額を決めなおし、合意が得られれば減額できる可能性が残されています。
認められなければ家庭裁判所に養育費減額調停の申立てを行う
相手方から養育費の減額について合意が得られなかった場合は、家庭裁判所に「養育費減額調停」を申し立てる方法もあります。
減額が認められるのは、収入の増減や、病気、受け取る側・支払う側の再婚など、離婚後の生活に変化が生じた場合です。離婚公正証書で養育費の支払い契約をしていても、条件の変更ができる可能性があります。
養育費減額調停を申し立てる場合は、次のような手続きをとります。
- 申立先:原則として、相手方の住所地の家庭裁判所
- 申立費用:収入印紙1,200円、郵便切手1,000円程度(裁判所からの連絡用)
- 必要書類:裁判所所定の書式による申立書と写し1通、対象となる子どもの戸籍謄本、申立人の収入を把握するための資料(源泉徴収票、給与明細、非課税証明書、確定申告書などの写し)
- 調停開始:調停委員を介して、元夫婦が話し合いを行う。話がまとまるまで1ヶ月に1度程度のペースでおこなわれる
調停が終了するのは、2人が調停案に合意したとき、調停が不成立となったとき、申立人が取り下げたときです。調停が不成立となった場合は、裁判官による審判手続きに移ります。
養育費減額調停は弁護士にサポートしてもらうとメリットがある
養育費減額調停は、支払義務者自身が手続きを行うことも可能ですが、弁護士に依頼することでさまざまなサポートを受けることができます。
弁護士に依頼することで申立書の作成・手続きなどの手続き面もサポートしてもらえ、実際に減額ができるのか、減額できるとしたらどの程度かなどの見通しがたつといえます。
また調停によって減額が認められる可能性も高まるでしょう。
自己破産、養育費の支払いにお悩みの方は弁護士法人・響へ
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*2022年11月20日現在
弁護士法人・響の自己破産の費用の目安は、以下の通りです。
相談料 | 無料 |
着手金 | 33万円〜(税込) |
報酬金 | 22万円〜(税込) |
- 自己破産をしても、養育費の支払い義務は残る
・約束どおりに支払わなかった場合は離婚公正証書をもとに、財産差押えを強制執行される場合もある
・生活保護を受給している場合や時効が成立する場合は、養育費の支払いが免除される可能性もある - 正当な理由がある場合は養育費の減額ができる
・元配偶者と交渉して合意を得る
・養育費減額調停を申し立てる - 自己破産や養育費減額調停の手続きは弁護士に依頼するとサポートを受けられる
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