
- 弁護士会所属
- 大阪弁護士会 第57612号
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- 兵庫県
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- 立命館大学法学部 立命館大学法科大学院
- 保有資格
- 弁護士・行政書士
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「もし自己破産をしたら、慰謝料までも回収されてしまうの?」
「慰謝料を請求されているが、とても支払えるような金額ではない…」
離婚や交通事故などによって発生した慰謝料は、自己破産の手続き開始決定後に発生したものであれば、請求する(受け取る)ことができます。
一方で、自己破産前にすでに請求している場合は慰謝料を受け取ることができません 。
ただし、それぞれのケースで例外があります。
この記事では、自己破産によって慰謝料の扱いがどうなるのか、慰謝料を請求する(受け取る)側・請求される(支払う)側のケース別に解説します。
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目次
自己破産をすると受け取っている慰謝料はどうなる?
離婚や交通事故などで慰謝料を受け取っている方が自己破産をした場合、慰謝料はどのように扱われるのでしょうか。
結論からいうと、自己破産によって慰謝料を手元に残せるかどうかは、慰謝料が発生したタイミングが破産手続きの前と後、どちらかによって異なります。
以下ではケース別に解説します。
自己破産については、下記記事で詳しく解説しています。
自己破産しても慰謝料が受け取れるケース
まず、自己破産の手続きが開始されてから発生した慰謝料は請求する(受け取る)ことができます。
自己破産は、おもに次のような流れで進められます。
破産手続きの開始決定後に発生した慰謝料の請求権は「新得財産」であり、自由財産の一部であるとして破産手続きによる回収の対象とはなりません。

破産手続きの開始決定後に、破産者が新たに受け取った収入や財産のこと。
自己破産後も所有することが認められている財産のこと。
たとえば、破産手続きの開始決定後に浮気や不倫などが原因で慰謝料が発生したようなケースでは、ご自身が自己破産をしても慰謝料を手元に残せます。
自己破産手続きの流れについては、下記記事で詳しく解説しています。
自由財産については、下記記事で詳しく解説しています。
自己破産すると慰謝料が受け取れないケース
一方、破産手続きの開始決定前に示談が成立し、慰謝料の金額が確定していた場合には慰謝料を受け取れません 。
そもそも、自己破産で回収・換価される財産には「債権」も含まれます。

特定の人物に対して、何らかの行為や給付を請求する権利のこと。
そのため、慰謝料の債権(請求権)も債権者に分配する財産の一部として、回収の対象となる可能性があるのです(破産法第34条第1項)。
自己破産すると慰謝料の支払いはどうなる?
一方、ご自身が慰謝料を請求されているようなケースでは、自己破産をすることで支払い義務に変化があるのでしょうか。
離婚などの理由で慰謝料を請求されている場合、自己破産をすると原則として慰謝料は免責され、支払い義務がなくなります。

一部の支払い(非免責債権)を除いた借金の支払いを免除されること(破産法第253条)。
なお、免責許可が下りるには次に挙げた条件に該当する必要がある。
- 支払い不能であること
- 免責不許可事由に当てはまらないこと
自己破産で免責が許可されると、税金などを除いたほぼすべての債務が返済(支払い)義務が免除されます。
慰謝料も債務に含まれているため、自己破産によって裁判所から免責が認められると、慰謝料の支払いも免除されます。
ただし、離婚慰謝料のなかには免責とならないものもあります。
詳しくは後述いたします。
免責については、下記記事で詳しく解説しています。
自己破産しても慰謝料が免責されないケースもある
前述したように、自己破産をすると慰謝料は原則として免責されるものの、中には例外もあります。
このように、自己破産しても免責されず、支払い義務が残る債権を「非免責債権」といいます。

自己破産をしても免責の効力が及ばず、支払い義務がなくならない債権のこと(民法第253条第1項)。
具体的には、次のものが該当する。
- 所得税や住民税
- 公共料金(電気代や水道代など)
- 国民健康保険料や介護保険料
- 離婚時の養育費
- 交通事故の慰謝料
- スピード違反の反則金 など
非免責債権がある場合には、自己破産をしたとしても免責されません。
また、支払いを怠ると訴訟や差押えなどの法的手続きをとられる可能性があるため注意しましょう。
なお、慰謝料が非免責債権となるのは、つぎの要件のどちらかに該当するものに限ります(破産法第253条第1項2号および3号)。
- 悪意で加えた不法行為
- 故意または重大な過失によって生命、身体を害するような不法行為
以下では、非免責債権に該当する可能性がある例をケース別に紹介します。
交通事故の慰謝料
次のいずれかに該当するような交通事故の場合には、非免責債権となる可能性があります。
- 加害者が悪意によって事故を起こした場合(信号無視や飲酒運転、あおり運転など)
- 運転者の著しい注意欠如によって事故が発生した場合(一定時間のわき見運転、居眠り運転など)
一方、単なる過失による交通事故の慰謝料は免責され、支払い義務がなくなる可能性があります。
具体的には、次のとおりです。
- 悪意があるとまではいえない、単なる過失による交通事故(ごく短時間のわき見運転、軽度のスピード違反など)
- 損害賠償金(積み荷が破損してしまった場合、自動車が故障した場合など)
DVによる離婚慰謝料
DVによって、配偶者の身体を物理的に傷つけるような行為は不法行為に当たります。
(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
※引用:e-GOV「民法」
そのため、DVが原因による離婚慰謝料の場合は、加害者が自己破産したとしても支払い義務を免れることはできません。
一方、離婚理由がモラルハラスメントの場合は生命や身体を害するような不法行為とはいえず、免責となる可能性が高いでしょう。
また、不倫など不貞行為の慰謝料も同様に免責となることが多く、実際の裁判例でも非免責債権となるケースは少ないのが実情です。
【東京地方裁判所 損害賠償請求事件 平成15年7月31日判決】
破産法366条の12但書は「悪意をもって加えたる不法行為」に基づく損害賠償請求権は破産による免責の対象とならない旨を規定するが、正義及び被害者救済の観点から悪質な行為に基づく損害賠償請求権を特に免責の対象から除外しようとするその立法趣旨、及びその文言に照らすと、「悪意」とは積極的な害意をいうものと解される。故意とほぼ同義という原告の解釈は採用できない。
本件の場合、不貞関係が継続した期間は少なくとも約5年にも及び、しかもAの離婚を確認することなく結婚式を挙げたという事情もあるから、不法行為としての悪質性は大きいといえなくもないが、本件における全事情を総合勘案しても、原告に対し直接向けられた被告の加害行為はなく、したがって被告に原告に対する積極的な害意があったと認めることはできないから、その不貞行為が「悪意をもって加えたる不法行為」に該当するということはできない。
したがって、被告の不貞行為すなわち不法行為に基づく損害賠償責任は免責されたということになる。
自己破産と離婚については、下記記事で詳しく解説しています。
窃盗や詐欺など悪意のある不法行為による慰謝料
破産者が窃盗や詐欺など悪意のある不法行為を行った場合には、非免責債権に該当する可能性があります。
具体的には、次のような不法行為が挙げられます。
- 窃盗や横領:他人のお金を盗む、着服する など
- 詐欺:相手を騙し、損害を与える など
なお、ここでいう「悪意」とは、単に損害を与えようという考えではなく「積極的に相手を傷つけてやろう(損害を与えてやろう)」という意思を持っていることです。
債権者一覧表に記載がない債権
自己破産の申立てを行う際には、「債権者一覧表」と呼ばれる書類を裁判所に提出する必要があります。
本来ならば、記載すべき債権者をわざと記載していない、または記載漏れなどのケースでは免責が原則として認められません。
ただし、裁判所による免責許可の決定前であれば訂正できる可能性があります。
万一、記載漏れに気がついた際は速やかに訂正するようにしましょう。
債権者一覧表については、下記記事で詳しく解説しています。
自己破産しても養育費と婚姻費用は免責されない
もし自己破産をしても、養育費(子どもがいる場合)と婚姻費用については免責が認められません。
これは、子どもの扶養義務は離婚後も継続することが民法で規定されているためです(民法第877条第1項)。

離婚後、経済的に自立していない子どもを育てるために必要な費用のこと。
おもに食費や住居費などの経費、教育費、医療費などが該当する。
法律上、婚姻関係にある夫婦が生活をしていくために分担する生活費のこと。
養育費と同様に、食費や住居費などの経費、教育費、医療費などが該当する。
※参考:
法テラス「婚姻費用とは何ですか。」
法務省「養育費」
そのため、次のようなケースでは自己破産の影響を受けずに、養育費や婚姻費用の支払い義務が残ります。
- 離婚前の婚姻費用が未払いとなっている
- 離婚後に元配偶者から養育費を受け取っている など
扶養義務は経済的に余裕のない生活を送っていたとしても、基本的には拒否することができません。
そのため、養育費を予定どおりに支払わなかった場合には、財産が差押えなどの法的手続きをとられる可能性もあります。
自己破産と養育費については、下記記事で詳しく解説しています。
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ご自身が慰謝料を請求する側の場合は、自己破産をするタイミングに注意する必要があります。
弁護士に相談することで自己破産を回避できる可能性もあります。
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債務整理については、下記記事で詳しく解説しています。

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