「自己破産をすると、慰謝料も払わなくてよいのかな?」
「借金が返済できず、離婚慰謝料や養育費も払えない…」
自己破産をした場合、慰謝料は原則として免責となるため支払う義務がなくなります。
しかし次のように、自己破産でも免責とならず支払い義務が残るケースもあります。
- 窃盗や詐欺など悪意のある不法行為をした場合
積極的に相手を傷つけようとする行為を行ったとき - DVや交通事故など身体に危害を加える行為をした場合
生命・身体に対する加害行為を行ったとき - 債権者一覧表に記載がない債権の場合
自己破産の申立て時に提出する債権者一覧表に記載漏れがあるとき
この記事では、自己破産によって免責になる慰謝料と、免責にならないケースを解説します。
「借金が返済できず自己破産を考えている」「慰謝料や養育費が払えない」などのお悩みがある方は、弁護士法人・響にご相談ください。
弁護士法人・響では、借金問題や債務整理に関する相談を無料で受け付けています。
相談は何度でも無料で受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
相談無料 全国対応 24時間受付対応
- 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
- 今お金がなくても依頼可能!
- 相談は何度でも無料
- 最短即日!返済ストップ
目次
自己破産したら慰謝料は免責される?
離婚などの理由で慰謝料を請求されている場合、自己破産をすることで原則として慰謝料は免責され、支払いの義務そのものがなくなります。

自己破産の免責とは、一部の支払い(非免責債権)を除いた借金の支払いを免除されることで、破産法第253条に規定された制度です。
免責許可が下りるには、以下のような条件があります。
- 支払い不能であること
- 免責不許可事由に当てはまらないこと
離婚の原因が浮気や不倫だった場合の慰謝料でも、同様に支払い義務は免責となる可能性が高いといえます。
ただし、破産手続が始まった後に発生した慰謝料は免責されないなど、気をつけておくべき点もあります。
この章では、次のような点について解説していきます。
- 離婚慰謝料は非免責債権に該当しないので免責(支払い義務が免除)になる
- 浮気や不倫による慰謝料も非免責債権ではなく免責になることが多い
- 破産手続が始まった後に発生した慰謝料は免責されない
自己破産について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
免責について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
離婚慰謝料は非免責債権に該当しないので免責になる
自己破産をすると慰謝料は原則として免責となり、支払い義務が免除されます。
離婚慰謝料は「非免責債権」に当てはまらない可能性が高く、免責の対象となるからです。

自己破産をしても免責の効力が及ばず、支払い義務がなくならない債権のことです。法律(破産法第253条)に明記されています。
おもな非免責債権は次のようなものがあります
- 所得税や住民税
- 国民健康保険料や介護保険料
- 離婚後の婚姻費用・養育費
- 交通事故の人身損害賠償請求権 など
本来、慰謝料は法律で定められた「支払うべき損害賠償」です。
しかし離婚慰謝料は、裁判所から免責許可が下りると、原則として支払い義務がなくなる点を押さえておきましょう。
※一部例外もあります。すべての慰謝料の支払い義務がなくなるわけではありません。
709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用:e-GOV 法令検索「民法」
非免責債権について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
浮気や不倫による慰謝料も非免責債権ではなく免責になることが多い
離婚慰謝料の理由が浮気や不倫などの場合でも、非免責債権となりづらいため、免責(支払い免除)となる可能性が高いでしょう。
慰謝料が非免責債権となるのは、法律(破産法第253条)で次のように規定されています。
- 悪意で加えた不法行為
- 故意または重大な過失によって生命、身体を害するような不法行為
浮気や不倫(不貞行為)は「悪意で加えた不法行為」「生命、身体を害するような不法行為」とはいえず、非免責債権に該当しないと判断されることが多いのです。
実際の裁判例でも、非免責債権となるケースは少ないといえます。
【東京地方裁判所 損害賠償請求事件 平成15年7月31日判決】
破産法366条の12但書は「悪意をもって加えたる不法行為」に基づく損害賠償請求権は破産による免責の対象とならない旨を規定するが、正義及び被害者救済の観点から悪質な行為に基づく損害賠償請求権を特に免責の対象から除外しようとするその立法趣旨、及びその文言に照らすと、「悪意」とは積極的な害意をいうものと解される。故意とほぼ同義という原告の解釈は採用できない。
本件の場合、不貞関係が継続した期間は少なくとも約5年にも及び、しかもAの離婚を確認することなく結婚式を挙げたという事情もあるから、不法行為としての悪質性は大きいといえなくもないが、本件における全事情を総合勘案しても、原告に対し直接向けられた被告の加害行為はなく、したがって被告に原告に対する積極的な害意があったと認めることはできないから、その不貞行為が「悪意をもって加えたる不法行為」に該当するということはできない。
したがって、被告の不貞行為すなわち不法行為に基づく損害賠償責任は免責されたということになる。
破産手続が始まった後に発生した慰謝料は免責されない
自己破産の手続きが始まってから発生した慰謝料については、免責されません。
裁判所に自己破産の申立てを行い「破産手続の開始決定」となった後に発生した慰謝料については、支払う必要があるのです。
自己破産手続の全体的な流れは、次のとおりです。
- 弁護士・司法書士に相談・依頼
- 申立て書類の作成(2~3ヶ月程度)
- 裁判所に自己破産の申立て
- 裁判所で破産審尋を受ける(申立て後 約1ヶ月程度)
- 破産手続の開始決定(破産審尋後 約1週間程度)
- 意見申述期間( 破産手続の開始決定から1〜3ヶ月程度)
- 免責許可決定(確定)(免責確定は許可決定から約1ヶ月後)
破産手続の開始決定のあとに、浮気や不倫などが原因で慰謝料が発生した場合は、支払い義務が発生するので注意が必要です。
自己破産の手続きを行う前に、他に請求される恐れのある慰謝料がないかをよく確認しておきましょう。
自己破産の流れについて詳しくは、以下の記事をご参照ください。
自己破産で慰謝料が免責されないケースもある
自己破産をしても、すべてのケースで慰謝料が免責となるわけではありません。
次の3つのケースに当てはまるときは、非免責債権となり免責されない場合があります。
- 窃盗や詐欺など悪意のある不法行為をした場合
- DVや交通事故など身体に危害を加える行為をした場合
- 債権者一覧表に記載がない債権の場合
それぞれのケースについて、具体例も含めて解説します。
窃盗や詐欺など悪意のある不法行為をした場合
離婚などの理由による慰謝料が自己破産でも免責されないケースとして「破産者が悪意で不法行為を行った」場合があげられます。
第253条(免責許可の決定の効力等)
免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
(中略)
二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
引用:e-GOV法令検索「破産法」
悪意とは「相手を積極的に傷つけてやろう」という意思を持っていることであり、以下のような場合が当てはまります。
- 窃盗や横領:他人のお金を盗む、着服する
- 詐欺:相手を騙し、損害を与える
- 悪意の遺棄:配偶者に生活費を一切渡さず、困窮させる など
ただし前述のとおり、浮気や不倫は悪意のある不法行為に該当する可能性は低いといえます。
浮気や不倫などが原因で離婚をしたとしても、これは「悪意で加えた不法行為」とはいえないからです。
DVや交通事故など身体に危害を加える行為をした場合
非免責債権に該当する行為として、故意・重過失によって相手の生命・身体に害を与えた不法行為があげられます。
第253条(免責許可の決定の効力等)
免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
(中略)
三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
引用:e-GOV法令検索「破産法」
生命や身体に対する不法行為は、積極的に相手を傷つけようという意思がなくても「うっかり行ってしまった行為」なども含まれます。
具体的には、次のようなケースが当てはまります。
- DV(家庭内暴力)でケガをさせた
- 交通事故を起こし歩行者に傷害を負わせた
一方モラルハラスメントなどは、生命や身体に対する不法行為とはいえないため、免責となる可能性が高いでしょう。
自己破産と離婚について詳しくは以下の記事をご参照ください。
債権者一覧表に記載がない債権の場合
自己破産の申立てを行うときに提出する「債権者一覧表」に記載のない債権については、免責とならない場合があります。
裁判所は債権者一覧表を見て、申立人の負債状況や自己破産の必要性、借金の返済を求めることができない債権者などを判断します。
裁判所は債権者一覧表をもとに、各債権者に破産手続きが開始された通知を送るため、自己破産の手続きを行うときに必ず提出する必要がある書類です。
本来なら記載すべき債権者を故意または記載漏れなどで載せていなければ、原則として免責が認められません。
しかし裁判所による免責許可の決定前であれば訂正できることがあるので、記載漏れに気づいたときは速やかに訂正しましょう。
債権者一覧表について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
自己破産しても養育費と婚姻費用は免責されない
前述のとおり、自己破産をすることによって慰謝料が免責される可能性はありますが、養育費(子どもがいる場合)と婚姻費用については免責されません。
離婚をした場合は、慰謝料以外にも請求されるものがあるので注意が必要です。

経済的に自立していない子どもを育てるために必要とされる、次のような費用です。
・食費
・住居費
・衣服費
・教育費
・医療費 など
両親が離婚をしても、親には子どもの扶養義務があることが民法で定められているため、免責とはならないのです。
第877条 (扶養義務者)
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
引用:e-GOV法令検索「民法」
なお2022年4月の民法改正によって成年年齢が18歳に引き下げられましたが、養育費の支払いは20歳もしくは大学卒業まで支払うケースが多いといえます。

夫婦が生活をしていくために必要とされる、次のような費用です。
・食費
・住居費
・衣服費
・出産費
・医療費
・交際費 など
第760条(婚姻費用の分担)
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
引用:e-GOV法令検索「民法」
上記のように養育費や婚姻費用は、自己破産をしても非免責債権であるため支払い義務が残ります。
ただし、支払うべき養育費を滞納していた場合は、他の債権者と同じように回収された財産から公平に分配される仕組みとなっています。
自己破産と養育費について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
慰謝料の支払いと自己破産について悩んだら弁護士へ相談を
「借金の返済が苦しくて慰謝料が支払えない」
「自己破産を考えているが慰謝料の支払いがどうなるのか不安…」
こうした悩みを抱えている方は、借金問題の解決実績が豊富な弁護士に相談することも検討してみましょう。
弁護士に相談・依頼することで、慰謝料が免責・非免責となるかの判断や、相手方との交渉も行ってもらえるなど、ご自身では対応しづらい部分のサポートを受けられます。
弁護士に依頼することで、次のようなメリットを得られます。
- 相手との交渉によって慰謝料負担を軽減できる場合もある
- 慰謝料の支払いも加味した解決法をアドバイスしてくれる
具体的なメリットについて、以下で詳しく解説します。
相手との交渉によって慰謝料負担を軽減できる場合もある
慰謝料の支払いで悩んでいる場合、弁護士に依頼をすることで、負担を軽減できる可能性があります。
慰謝料が非免責債権となる場合や、養育費・婚姻費用など免責されない支払い義務があるときでも、相手方との交渉によって負担を減らせる可能性があるのです。
弁護士に代理人として交渉してもらえるので、心理的・時間的な負担を減らせます。
相手方との交渉次第なので、必ずしも減額となるわけではありませんが、減額交渉ができそうかどうかの判断も含めて、弁護士に相談をするメリットは大きいでしょう。
慰謝料の支払いも加味した解決法をアドバイスしてくれる
借金問題の解決実績が豊富な弁護士に相談をすれば、慰謝料や養育費などの支払いを加味したうえで、本当に自己破産が必要であるかをアドバイスしてもらえるでしょう。
お金の問題に悩んでいても、自己破産をすべきかどうかは慎重に判断をする必要があります。
負債額などの状況にもよりますが、自己破産以外にも「任意整理」や「個人再生」といった他の債務整理の方法があります。
- 任意整理
債権者と交渉をすることで将来支払う利息をカットしてもらい、3~5年程度で返済する方法です。将来利息をカットすることができれば毎月の返済負担が軽減され、確実に元金を減らすことが可能でしょう。
任意整理について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
- 個人再生
裁判所に申立てをし、再生計画の認可決定を受けることで借金を減額してもらう解決方法です。借金総額を1/5~1/10程度に減額してもらい、原則3年(最長5年)で返済する方法です。
個人再生について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
どちらの方法も、借金を背負った方の生活を再建させることを目的とした正当な手段なので、どうしても返済ができないときは活用してみましょう。
しかし債務整理にはメリットだけでなくデメリットもあるため、ご自身に適した債務整理の方法を知るためには弁護士に相談するとよいでしょう。
債務整理について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
自己破産の手続きでお悩みの方は弁護士法人・響で無料相談を
借金問題に苦しみ「自己破産について検討している」「慰謝料や養育費が払えない」などの悩みがある方は、弁護士法人・響にご相談ください。
弁護士法人・響では、債務整理に関する相談を無料で受け付けています。
債務整理案件の経験豊富な弁護士が、ご相談者様の事情に適切な債務整理の方法を提案します。自己破産に限らず、借金の悩みを根本的に解決したいという方は、お気軽にご相談ください。
お話を伺って債務整理の必要がないと判断した場合は、債務整理を強要することもありません。
また慰謝料や養育費の減額(養育費減額調停)についてのご相談も可能です。
- 相談実績は43万件*1以上・債務整理の解決事例も多数
- 24時間365日受付*2、全国対応可能
- 何度でも相談無料
- 弁護士費用は分割払いも可能
*1 債務整理に関する件数・2023年2月20日現在
*2 法律相談は営業時間内で対応
弁護士法人・響について詳しくは以下の記事をご参照ください。
- 自己破産したら慰謝料は原則として免責になる
・離婚慰謝料は非免責債権に該当しないので免責になる
・浮気や不倫による慰謝料でも免責になる
・破産手続が始まった後に発生した慰謝料は免責されない - 自己破産で慰謝料が免責されず非免責債権となるケース
・窃盗や詐欺など悪意のある不法行為をした場合
・DVや交通事故など身体に危害を加える行為をした場合
・債権者一覧表に記載がない債権の場合 - 自己破産しても養育費と婚姻費用は免責されない
- 慰謝料の支払いと自己破産について悩んだら弁護士へ相談
・相手との交渉によって慰謝料負担を軽減できる場合もある
・慰謝料の支払いも加味した解決法をアドバイスしてくれる - 自己破産の手続きでお悩みの方は弁護士法人・響で無料相談を
相談無料 全国対応 24時間受付対応
- 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
- 今お金がなくても依頼可能!
- 相談は何度でも無料
- 最短即日!返済ストップ