
- 弁護士会所属
- 第二東京弁護士会 第54634号
- 出身地
- 熊本県
- 出身大学
- 大学院:関西大学法学部 同志社大学法科大学院
- 保有資格
- 弁護士・行政書士
- コメント
- 理想の弁護士像は、「弱い人、困った人の味方」と思ってもらえるような弁護士です。 そのためには、ご依頼者様と同じ目線に立たなければならないと思います。そのために日々謙虚に、精進していきたいと考えています。
利息制限法とは、お金の「貸付時の金利」の上限を定めた法律です。
上限を超えた金利は無効であると、法律で規定されています。
利息制限法で定められている上限金利は、貸付額によって次のように決められています。
- 10万円未満:年20.0%
- 10万円以上100万円未満:年18.0%
- 100万円以上:年15.0%
かつて多くの貸金業者は、利息制限法を超えた金利で貸付けを行っていました。
過去に利息制限法の上限金利を超えた「グレーゾーン金利」で借入れをした場合は、貸金業者へ返還請求を行うことで過払い金として取り戻すことが可能です。
この記事では、利息制限法の対象となる金利や制定の背景をはじめ、過払い金の対象となる「グレーゾーン金利」について詳しく解説します。
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目次
利息制限法とは貸付金利の上限を定めた法律
「利息制限法」とは、お金の貸付け時の金利の上限を定めた法律です。
上限を超えた金利は無効であると、法律で規定されています。
- 利息:お金を貸付ける対価として発生する金額。「利子」ともいいます。
- 金利:貸付金額に対する利息の割合を示す言葉。「%」で表します。
利息制限法で定められている上限金利は、貸付額によって次のように決められています。
貸付額 | 金利(年利) |
---|---|
10万円未満 | 年20.0% |
10万円以上100万円未満 | 年18.0% |
100万円以上 | 年15.0% |
法律には次のように記載されています。
(利息の制限)
第1条 金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
一 元本の額が十万円未満の場合 年二割
二 元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
三 元本の額が百万円以上の場合 年一割五分
※引用:e-GOV「利息制限法」
利息制限法で定められている上限金利を超えた利息分は「過払い金」として、すでに支払ってしまった分について返還請求も可能です。
これを「過払い金返還請求」といいます。詳しくは後述する「グレーゾーン金利の借入れは「過払い金」として取り戻せる」で解説します。
高金利で苦しむ人を助けるために利息制限法が制定された
利息制限法は、借り手を保護するために昭和29年に制定され、貸付けにおける金利の上限などを定めました。
お金に困っている人は、高い金利だとわかっていても借りるしか選択肢がない場合もあり、そこにつけ込んで高金利で貸付けを行う貸金業者が、かつては多かったのです。
こうした高金利での過剰な貸付けや、それにともなう過酷な取り立てなどによって、返済に苦しむ債務者(お金を借りる側)が増え、社会問題となりました。
このような状況を改善し、債務者を守るために利息制限法が制定されました。
昭和39年には、最高裁判所において「利息制限法による上限金利を超えた利息は無効」といった判決がされたことにより、上限金利を超えての貸付けは違法であることが認知されています。
〈最高裁判所の裁判例〉
債務者が、利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息、損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は民法四九一条により残存元本に充当されるものと解するを相当とする。
(中略)
債務者が利息、損害金の弁済として支払つた制限超過部分は、強行法規である本法一条、四条の各一項により無効とされ、その部分の債務は存在しないのであるから、その部分に対する支払は弁済の効力を生じない。
引用:裁判所「裁判例検索」最高裁判例 昭和35(オ)1151 貸金請求(昭和39年11月18日)
利息制限法には罰則がないが出資法には刑事罰がある
前述したとおり、利息制限法では上限を超えた金利は無効ですが、上限を超えた金利で貸付けをしても罰則はありません。
しかし、利息制限法と同じく貸金業者が守るべき法律である「出資法」では、年20%を超える貸付には「5年以上の懲役もしくは1,000万円以下の罰金」という刑事罰が科されます。
(高金利の処罰)
第5条 金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
※引用:e-GOV「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」
なお出資法の上限金利は、2010年6月18日に29.2%から20%に引き下げられました。
詳しくは下記「利息制限法と出資法の不備が生んだ「グレーゾーン金利」」で解説しています。
利息制限法を守らない貸金業者は「ヤミ金」
利息制限法の上限金利を超えた金利で、貸付けを行っている貸金業者は「ヤミ金(ヤミ金融)」といえます。
ヤミ金の中には、年利換算で1,000%を超えるような常識外れの高金利を設定しているケースもあります。
Web上では「ブラック歓迎」や「審査不要」「誰でも必ず借りられる」などの惹句を使ったり、堂々と「ソフト闇金」と名乗っている業者もあります。

国(財務局)もしくは都道府県の登録を受けずに、無登録で貸金業を営む業者の俗称です。法律に違反するような高金利で貸付けを行ったり、悪質な取り立てを行ったりする業者もヤミ金融業者と呼ばれています。

強硬な取り立てをしないなど「対応がソフトなヤミ金」の俗称です。審査なしですぐ融資などの広告を出している業者の中には、金利が年200%~1,000%といった超高金利の場合もあります。
このような業者のWebサイトには貸付条件についての詳細な記載がなく、金利がわかりづらいことが多いようです。
ソフト闇金のWebサイトに記載されている貸付条件を年利に換算してみると、次のようになりました。
記載の例 | 年利換算 |
---|---|
返済周期1ヶ月・貸付額の1割 | 121% |
1週間5% | 260% |
10日周期・融資確定額の30% | 1,095% |
返済周期1週間・一律30% | 1,564% |
このように年利換算すると、利息制限法を大きく逸脱していることがわかります。
正確な金利(年利)に換算するには、次の式に当てはめて計算します。
利息割合÷返済周期×365
「返済周期1週間で30%」の場合を年利換算してみると、次のようになります。
30÷7×365=1,564(%)
なお、法律(貸金業法)では年109.5%以上の高金利での貸付けは無効と規定されています。ヤミ金からのこのような高金利での借入れは、利息を返済する必要がないといえます。
(高金利を定めた金銭消費貸借契約の無効)
第42条 貸金業を営む者が業として行う金銭を目的とする消費貸借の契約(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつて金銭を交付する契約を含む。)において、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。)の契約をしたときは、当該消費貸借の契約は、無効とする。
※引用:e-GOV「貸金業法」
また、ほかにも次のような違法な貸金業者も存在するので、注意が必要です。
- SNSを通じて金銭の貸し借りを行う「個人間融資」
- 売掛債権の買い取りを装い高額な手数料をとる「給与ファクタリング」
- 商品を購入後キャッシュバックをする「後払い現金化」 など
利息制限法の対象として定められている上限金利
利息制限法では、次のような金額に対して上限金利が定められています。
- 金銭を目的とした貸付け
金融機関や貸金業者からだけでなく個人間の貸付けにも適用されます。
- 手数料や諸経費などの「みなし利息」
元金以外の手数料、諸経費などの費用も利息とみなされます。
- 返済を滞納した際の「遅延損害金」
遅延損害金は「延滞利息」といわれるものです。
遅延損害金の上限金利は「個人間の貸付け」と「貸金業者からの貸付け」で異なります。
以下で詳しく解説します。
金銭を目的とした貸付け
銀行などの金融機関や、消費者金融などの貸金業者からだけでなく、個人間の貸付けに対しても上限金利が定められています。
利息制限法で定められている上限金利は、次のように貸付額によって異なります。
貸付額 | 金利(年利) |
---|---|
10万円未満 | 年20.0% |
10万円以上100万円未満 | 年18.0% |
100万円以上 | 年15.0% |
ただし、個人間の貸し借りなど当事者間で利率(約定利率)を決めていない場合は、民法で定められた「法定利率」が適用され、この場合の上限金利は3%となります。(2020年以前に契約した場合は5%)
貸付額 | 金利(年利) |
---|---|
貸付金額に関わらず年3.0%* |
*2026年3月31日まで。以降は未確定
法定利率は、2020年の民法改正時に5%から3%に引き下げられており、3年ごとに見直しされる変動制と規定されています。
(法定利率)
第404条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2 法定利率は、年三パーセントとする。
3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。
※引用:e-GOV「民法」
2026年3月31日までは3%であることが発表されていますが、2026年4月1日以降は未確定で変動の可能性があります。
※参考:法務省「令和5年4月1日以降の法定利率について」
通常は、銀行や消費者金融などからの貸付契約には約定利率が定められています。そのため銀行や消費者金融などからの借り入れに法定利率が適用されることは、ほぼありません。
法定利率については以下の記事で詳しく解説しています。
手数料や諸経費などの「みなし利息」
利息制限法では、元金以外の手数料、諸経費などの費用も利息とみなされることが法律で規定されています。これを「みなし利息」といいます。
金利は、このみなし利息を含めて利息制限法の上限金利に適用させる必要があります。
例えば、お金を借入れる際に手数料が必要な場合は「実際の利息+手数料の合計額」が利息とみなされ、元金に対して上限金利の範囲内で収めないと違法になります。
(みなし利息)
第3条 前二条の規定の適用については、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす。ただし、契約の締結及び債務の弁済の費用は、この限りでない。
※引用:e-GOV「利息制限法」
みなし利息には、おもに次のような費用が挙げられます。
- 手数料:事務手数料・審査手数料 など
- 保証金:借入時の保証金 など
- 調査料:ローン契約時の審査・不動産審査 など
- 割引金:手形割引料 など
前述したソフト闇金などは、利息とは別に手数料を徴収していることも多く、この点からも違法といえます。
また、みなし利息の対象外として認められているものもあります。
次のような費用は利息に含まれません。
- カード再発行の手数料
- 公租公課(印紙代や登録免許税など)
- 強制執行の費用、担保権の実行費用
- ATM手数料(1万円以下=110円まで、1万円超=220円まで)
返済を滞納した際の「遅延損害金」
返済が滞納した際に加算される賠償金である「遅延損害金」の金利についても、上限金利が定められています。
遅延損害金の上限金利は「個人間の貸付け」と「貸金業者からの貸付け」で異なります。
- 個人間の遅延損害金の上限金利は29.2%
利息制限法では、遅延損害金の上限金利は「貸付金利の1.46倍」と定められています。営業を目的としない個人間の貸付けの場合は、この上限金利が適用されます。
(賠償額の予定の制限)
第4条 金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条に規定する率の一・四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
※引用:e-GOV「利息制限法」
たとえば貸付金利が年20.0%の場合は、その1.46倍の年29.2%が遅延損害金の上限金利になります。
貸付額 | 貸付金利の上限 | 遅延損害金金利の上限 |
---|---|---|
10万円未満 | 年20.0% | 年29.2% |
10万円以上100万円未満 | 年18.0% | 年26.28% |
100万円以上 | 年15.0% | 年21.9% |
なお前述したとおり貸付時に契約を交わしていない場合は、民法で定められた「法定利率」が適用され、この場合の上限金利は3%となります。(2020年以前に契約した場合は5%)
借入額 | 金利(年利) |
---|---|
貸付金額に関わらず年3.0%* |
*2026年3月31日まで。以降は未確定
- 貸金業者の遅延損害金の上限金利は20.0%
営業を目的とする貸金業者の貸付けの場合は、遅延損害金の上限金利は20.0%と定められています。
利息制限法には「特則」があり、営業的金銭消費貸借(貸金を業としている場合)では、貸付額に対して年20%を超えた金利は無効としています。
(賠償額の予定の特則)
第7条 第四条第一項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
※引用:
種別
遅延損害金の上限金利
貸金業者から貸付け(約定利率)
貸付金額に関わらず年20%