「知人に、ローン契約で名義人になってほしいと頼まれたけどリスクはあるのかな?」
「起業する友達に名義を貸してと言われたけど、大丈夫かなあ」
「家族以外の名義で賃貸を借りたら違法になるの?」
名義貸しとは、自分の名義を他人に貸して、契約上の名義人になる行為です。
たとえ親戚や知人、友人に頼まれたとしても「名前を貸すだけだから」「迷惑はかけないと言っているし」と、安易な気持ちで名義貸しをすることはやめましょう。
多くの場合、名義貸しは違法行為になりえるからです。
名義貸しをした側が詐欺罪に問われたり、身に覚えのない借金の返済義務を負ったり、犯罪に巻き込まれたりする可能性もあります。
この記事では、名義貸しをした場合のリスクをケース別に解説し、その対処法を紹介していきます。
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目次
名義貸しとは?親子など家族でもNG?
名義貸しとは、その名のとおり「自分の名義(名前)を他人に貸す」という行為です。
もう少し詳しく説明するなら、取引を行う際に、名義を借りた人(または会社)があたかも契約者であるかのように装い、実際に契約を取り交わすことです。
その結果、契約上の名義人は名義を貸した人となります。
名義貸しが行われるケースは多岐にわたります。
しかし、契約上で行われる場合はいずれも偽装にあたり、大きな問題です。
相手にうその情報を伝え、それをもとに契約を結んでいるためです。
実際に名義貸しにより契約を結ぶと「詐欺罪」に該当する可能性があります(刑法246条1項)。
名義を貸した人について、詐欺罪の共同正犯(刑法第60条)や幇助(ほうじょ)犯(刑法第62条第1項)が成立するケースもあります。
したがって、名義を貸すことは、家族や親しい人に頼まれても断ることがとても重要です。
では具体的に、どのようなケースが名義貸しとなるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
名義貸しは違法になることが多い?ケースごとに罪の重さを紹介
名義貸しは、違法となるケースも多い行為です。
リスクを知らずに関わってしまうと、思わぬ損害を負ってしまうかもしれません。
ここでは、大きく分けて以下の4つの名義貸しについて、詳しく解説していきます。
- 金銭に関する名義貸し
- 会社の取締役としての名義貸し
- 賃貸住宅を借りる場合の名義貸し
- 特定業種の資格貸し
金銭に関する名義貸しは刑事罰が科される場合も
金銭に関する名義貸しを行うと、内容によっては詐欺罪などに問われ、刑事罰が科される可能性があります。
おもなものには、「ローンやクレジットカードの契約時の名義貸し」と、「銀行等の口座開設時の名義貸し(口座の売買を含む)」などのケースがあります。
ローンやクレジットカード、借入契約時の名義貸しは詐欺罪になることも
金銭に関する名義貸しの一つには、各種ローンやクレジットカード、その他の借り入れの契約を行う際、本人名義では借り入れることができない人が、第三者に名義貸しを依頼するケースがあります。
借り入れができない理由には、信用情報機関に事故情報が登録されている(いわゆる「ブラックリストに載っている」状態)、あるいは借入限度額の上限に達しているなどが考えられます。
しかし、借り入れができない人に名義貸しをすると、以下のような罪に問われる可能性があります。
名義を偽ってローンなどの金銭の交付を目的とした契約を行った場合、名義を借りた契約者は「詐欺罪」に該当する可能性があります。(刑法第246条第1項)
そして、名義を貸した人についても、関与の度合いや状況によっては、詐欺罪の共同正犯(2人以上で共同して犯罪を実行した者)、または幇助犯(実行犯に一定の手助けをした者)が成立します。
つまり、ローンや借り入れでの名義貸しは、借りた人も貸した人もその行為は犯罪になりうるということです。
なお、詐欺罪に問われると最大で10年以下の懲役刑が科せられます。
詐欺罪の共同正犯に対する法定刑でも同様に10年以下の懲役、幇助犯の場合は5年以下の懲役となります。

クレジットカードやローンなどの利用者の信用情報を取り扱う機関。
過剰な貸し付けを行わないよう、金融機関や消費者金融、クレジットカード会社などが利用者の信用情報を信用情報機関でチェックしています。
ブラックリストについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
銀行口座開設時の名義貸しは「収益の移転防止に関する法律」に違反することも
名義貸しには、犯罪組織の関係者からの「自分の代わりに預金口座を開設してほしい」という依頼に応えることも含まれます。
SNSやネットの掲示板で「使用していない口座を○万円で売ってほしい」と持ちかけてくるようなケースも、最近では増えているようです。
しかし、決してそういった依頼や誘いに乗らないよう注意しましょう。
もし誘いに応じてしまうと、その口座が犯罪に利用される可能性があるからです。
そして、預金口座開設時の名義貸しや預金口座の売買は、名義を貸した側、売った側も以下のような罪状により処罰される可能性があります。
- 犯罪による収益の移転防止に関する法律への違反
- 詐欺罪(刑法第246条第1項)
- 詐欺罪の共同正犯(刑法第60条)
- 幇助犯(刑法第62条第1項)
犯罪による収益の移転防止に関する法律とは、テロ資金供与やマネーロンダリングといった犯罪に関わる資金の流れや、振り込め詐欺などの金融犯罪によって得た利益の移動を規制するための法律です。
預金口座の売買は、この法律への違反となり、売った側と買った側、両者が処罰される可能性があります。
法定刑は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられることもあります。
そもそも、他人に使わせる目的で口座を開設すること自体、金融機関との契約に違反します。
自分の口座を売却した場合も同様です。
そのため、金融機関側からの取引停止や口座の凍結といった措置が取られる場合もあります。
会社の取締役としての名義貸しには法的義務が伴う
たとえば、知人から「会社を作るので名前だけでいいので取締役になってほしい」と頼まれた場合、それを受けると、会社の取締役としての名義貸しとなります。
このケースでは、取締役になること自体が罪に問われることはありません。
しかし、取締役などの会社役員には会社や第三者に対し、いくつかの法的義務が課せられています。
名義貸しによる「名ばかりの役員」であったとしても、それは同じです。
法的義務には、「善管注意義務」「忠実義務」など、さまざまなものがあります。

民法第400条の「善良な管理者の注意義務」の略です。
職業や社会的・経済的地位に応じて、取引上において一般的・客観的に要求される程度の注意をしなければならないという注意義務のことを指します。

取締役が株式会社のために、忠実に職務を行う義務があるということ。会社法355条に定められています。
たとえば名義を貸した後、取締役として業務執行の監督や報告を行わないといった場合、「善管注意義務、忠実義務違反」に問われるかもしれません。
さらに、それによって会社に損失を与えてしまえば、損害賠償責任を負う可能性があります。
賃貸住宅の契約時の名義貸しは詐欺罪に問われることも
賃貸住宅の契約時の名義貸しとは、賃貸物件の契約者として自分の名前を貸すことです。
本来の入居者が何らかの理由で入居審査に落ちると感じ、知人や家族に依頼して名義を借りる、というケースが多いようです。
賃貸借契約において、名義貸しは明確な違法行為です。
借主は不動産会社や大家さんに名前、勤務先、収入など、正確な情報を伝える義務があります。
さらに、賃貸借契約では、契約者と異なる人物が住むことは、契約者による「無断転貸」となり、禁止されている行為です。
よって、賃貸を借りる場合の名義貸しは状況により、以下の罪に問われる可能性があります。
- 詐欺罪(刑法第246条第1項)
詐欺罪に問われると、最大で10年以下の懲役刑が科せられることになります。
また、詐欺罪に問われるのは、あくまで名義を貸した人であり、借りた人ではありません。
名義を借りた人=実際の入居者が、家賃の滞納や金銭の支払い義務が生じる設備などの故障、損壊を発生させた場合も、賠償を請求されるのは名義を貸した人となります。
ただし、例外として以下のケースでは入居者と名義人が異なっていても法的な問題は生じません。
いずれも、不動産会社や大家さんがそのことを理解したうえで契約しているからです。
- 未成年の子どもに代わって親が名義人になる
- 法人契約で従業員が入居する
特定業種の資格貸しは各種法律に違反する
新しい事業を始めるに際して、扱う業務によっては、特定の資格や業法上の許認可が必要な場合が多くあります。
たとえば、不動産業を営む場合、業務に従事する者の5人につき、1人以上の宅地建物取引士の設置が義務づけられています。
しかし、必要な有資格者の確保や許認可の取得には、手間も時間もかかります。
したがって、それを省略するために、すでに許認可を得ている人や業者に名義貸しを依頼するケースが散見されます。
名義貸しがよく問題となる資格としては、以下のようなものがあります。
- 医師、薬剤師、弁護士、税理士、建築士、宅地建物取引士、施工管理技士などの国家資格
- タクシー事業、建設業、化粧品業界、消費者金融、などの事業資格
上記のいずれの資格、事業でも名義貸しは違法です。
宅地建物取引業法や建設業法、薬剤師法など、それぞれの法律で罰則が定められています。
たとえば、宅地建物取引士の名義貸しの場合は、免許取消処分(宅地建物取引業法第13条)が下される可能性があります。
あわせて、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、又はこれらの併科」という罰則(宅地建物取引業法第79条)も定められています。
名義貸しを現在はしていなくても、過去にさかのぼって責任を問われるケースもあります。
常勤の社員採用を装った名義貸し目的の求人もあるようですが、一度でも名義貸しで報酬を得れば、それは違法行為となります。
くれぐれも注意しましょう。
名義貸しを行った際のリスクとは?
名義貸しは違法となるケースが多く、刑事罰を科せられるという大きなリスクがあります。
しかも、リスクはそれだけにとどまりません。
以下のようなことにも注意が必要です。
- 犯罪行為に巻き込まれる可能性がある
- 損害賠償金請求を受ける可能性がある
- 借金の返済義務を負う可能性がある
それぞれどのようなリスクなのか、詳しく見ていきましょう。
犯罪行為に巻き込まれる可能性がある
名義貸しをすることで、以下のようなリスクを負う可能性があります。
- 自分名義の口座などが犯罪による資金の移動等に使われる
- 結果的に詐欺に加担したことになり、その責任を問われる
さらに、名義貸しにより、たとえ名前だけの取締役となっているとしても、その会社で違法行為や不祥事が起これば、責任回避できない可能性があります。
何かしらの法的義務が課せられると考えておくべきでしょう。
名義貸しをすることで、思わぬ犯罪被害に遭遇してしまうこともあります。犯罪行為に巻き込まれたら、以下の窓口に相談してください。
- 警察相談専用電話
電話#9110 (受付時間 平日8:30~17:15) - 各自治体の消費者センター
損害賠償金請求を受ける可能性がある
名義貸しが契約者側に明らかになった場合、契約違反であることを理由に損害賠償金請求を受けるおそれがあります。
また、名義を貸した相手や会社が第三者に損害を与えた場合、名義を貸した人もあわせて責任を問われ、同様に損害賠償金請求をされることもあります。
損害賠償金請求の可能性があるなら、当事者どうしで話し合い解決を図るか、弁護士などの法律の専門家に相談をするのがよいでしょう。
なお、犯罪性が高いと思ったら、できるだけ早く警察に連絡すべきでしょう。
借金の返済義務を負う可能性がある
ローンやクレジットカード、消費者金融からの借り入れの契約で名義貸しをした場合、その契約による借金の支払い義務はあくまで名義貸しをした側にあります。
返済が滞ると、督促は名義人に対して行われることになります。
実際に借金をしたのは名義を借りた人ですが、契約上、債権者(お金を貸した人)がお金を貸したのはあくまで名義人となるからです。
「他人が借りたお金を自分が返す」という状態は納得がいかないでしょうが、事情を債権者に話しても、請求する相手が変わることは原則、ありません。
また、会社の取締役として名義貸しをした場合でも、その会社がつくった負債を返済できないとすれば、その支払い責任を問われることもあります。
名義貸しをして借金の返済義務を負った際の対処法
名義貸しをした相手の借金については、たとえ自分が借金をしなくても、その返済義務は名義を貸した人にあります。
この場合の対処法としては、大きく3つが考えられます。
- 名義を貸した相手に知らせて払ってもらう
- 自分で返済する
- 弁護士に相談する
それぞれについて見ていきましょう。
名義を貸した相手に知らせて払ってもらう
最も望ましい解決法は、借金をした当人に責任をもって返済してもらうことです。
借金の返済が滞っているとわかった時点で、速やかに名義を貸した相手に連絡を取り、返済を促します。
しかし、そもそもローン契約などで本人が名義人になれないのは、利用時の審査に通らない何かしらの理由があるといえます。
返済を促すことですんなり解決することは少ないかもしれません。
さらに、名義人に督促状が届いた時点で滞納に気づいたのであれば、名義を借りた人による返済は、すでに困難になっているケースが多いといえるでしょう。
自分で返済する
名義貸しをした相手が返済しない、あるいは連絡がつかないといった状況であれば、結果的に、名義人である自分が返済していくことになります。
ここで考えるべきは、返済をいかにスムーズに終わらせるか。
返済額にもよりますが、名義人本人も返済に苦慮し、返済そのものが長期化することは家計的にも精神的にも避けたいところです。
返済を長期化させないポイントは以下のとおりです。
- 生計を見直す
- 利息の軽減を図る
これを機会に、携帯電話代やサブスク料金などの固定費を見直してみましょう。
また、必要性の低い保険は解約する、使途不明金をなくすなど、家計支出全般をスリム化し、その分を返済に充てることを検討しましょう。
毎月の返済額を増やすことで返済期間を短縮できれば、支払利息を少なくすることができます。
資金的に余裕があれば、繰り上げ返済や一括返済も利息の軽減には有効です。
複数の借り入れがある場合、高い金利のものを優先的に返済するのもよいでしょう。
しかし、生活コストのアップや減収などにより、順調に返済できなくなる事態も起こりえます。
その場合、後述する「債務整理」が選択肢の一つとなります。
借金返済の方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
弁護士に相談する
「名義貸しをしたことで、自分では支払えない額の借金を背負ってしまった!」
「名義を貸した相手との交渉もうまくいっていない…」
このような場合、弁護士に相談することが対処策になります。
もし、すでに返済が滞りがちになっているなら、相談は早めにするのがよいでしょう。
自分名義の借金を2ヶ月以上滞納し続けると、信用情報機関に事故情報が登録されてしまう可能性があります。
これは、いわゆるブラックリストに載っている状態です。
クレジットカードが突然使えなくなったり、ローンを組めなくなったりします。
さらに、滞納が長期化すれば、債権者の申立てによって、給与や預金などが差し押さえられる可能性もあります。
弁護士に相談することで可能になる対処法は以下の2つです。
- 名義を貸した相手から回収する
- 債務整理を行う
それぞれ見ていきましょう。
借金を滞納した際の影響については、以下の記事で詳しく解説しています。
名義を貸した相手から回収する
名義貸しをした人自身ではうまくいかなくても、弁護士を通すことで債権を回収できる可能性があります。
すぐには回収できないのであれば、給与の差押えも可能です。
ただし、相手が無職であったり、消息が不明だったりすると、差押えはできません。
結果的に弁護士費用の方が高額となり、「費用倒れ」となってしまうこともありえます。
債務整理を行う
名義を貸した相手からの回収も難しく、また名義人も返済が困難であれば、「債務整理」が現実的な解決策となります。
債務整理は、正当な借金問題解決の方法です。
「任意整理」「個人再生」などがあり、そのメリットは、債権者と交渉して将来利息をカットして毎月の返済額を減らしたり、裁判所を通して借金そのものを減額したりできる可能性があることです。
しかし、債務整理は手続きや資料作成、債権者との交渉など、専門的な知識や経験がないと、難航する場合も少なくありません。
まずは、債務整理について、解決実績の豊富な弁護士に相談し、状況に合った方法を提案してもらうことから始めるとよいでしょう。
債務整理については、以下の記事で詳しく解説しています。
名義貸しとは、他人に自分の名義を貸す行為です。
当てはまるケースは幅広いですが、違法行為として刑事罰に問われるケースも少なくありません。具体的には、以下のようなケースでは、状況によっては詐欺罪などの刑事罰に問われることもあります。
・ローン契約や金融機関の口座開設での名義貸し
・賃貸借契約での名義貸し
・特定業種の資格貸しなお、会社の取締役としての名義貸しは違法ではありませんが、取締役は社内外に対して法的な義務を伴います。
名義貸しには犯罪行為に巻き込まれる、損害賠償金請求を受ける、借金返済の義務を負うといったリスクもあります。
もし名義貸しで借金を負ってしまった場合でも、返済義務は基本的になくなりません。
名義貸しをした相手に返済させるか、自分で返済するかが選択肢となります。
しかし、どちらも厳しいのであれば弁護士に相談しましょう。
債務整理が選択肢の一つになるでしょう。いずれにしても、名義貸しは違法行為でリスクも大きいものです。
知り合いに頼まれてもはっきり断ることがとても重要です。
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