法人破産とは、法人を清算して債務を一切なくす法的な手続きです。
法人破産をすると、それまで法人が持っていたすべての債務が消滅します。
一方、事業活動ができなくなる、代表者の債務整理も必要な場合があるなどのデメリットもあります。
この記事では、法人破産の制度、メリットやデメリット、手続きの流れなどについて、詳しく解説します。
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目次
法人破産とは?
法人破産とは、経営の行き詰まった法人について、その財産を整理して債務を一掃する手続きのことです。
この財産を整理する一連の流れは「清算」と呼ばれています。
しかし会社が法人破産すると、権利や義務の主体となる資格(法的人格)を失い、会社の名で取引することができなくなります。
個人の破産や自己破産とも比べながら、法人破産の目的や特徴を何か見ていきましょう。
なお、法人にはいろいろな種類がありますが、ここでは、破産件数の最も多い「会社」(会社法2条1号、3条)について解説しています。
法人破産のおもな目的と特徴
法人破産の目的は、以下の2つです(破産法1条、16条1項)。
- 法人財産をお金に換えてすべての債権者に公平に分けること
- 法人経営者(特に中小企業の経営者)の生活を再建すること
しかし、会社が法人破産すると、法的人格を失い、会社の名で取引することができなくなるため、取引の世界における会社の消滅を意味することになります 。
法人破産と個人破産の制度の違い
法人が破産する場合と異なり、個人が破産(個人破産)しても法的人格を失うことはありません。
破産後の個人に法的人格を残すのは、「免責手続」につなげるためです(破産法248条以下)。
また、破産による清算対象としない財産(自由財産)を個人が自由に使えるようにするためにも、破産後の個人に法的人格を残す必要があります。
この「免責手続」と「自由財産」について、詳しく見ていきましょう。
法人破産には免責制度がない
「免責」とは、債権者への財産分配(配当)の後に残った債務について、裁判所の許可により、返済する責任を免れることをいいます(破産法253条1項)。
免責は、個人破産にのみ行われ、法人破産では行われません。
法人は破産により法的人格を失って消滅することで債務もなくなるため、免責を認める必要がないからです。
また、個人の破産においては経済的立ち直りが特に強く求められることも、個人破産に免責が行われる理由の一つといえます。
なお、最高裁も同じ考えを示しています。
参考:最高裁決定昭和36年12月13日 最高裁WEBサイト
ただし個人の破産において、税金などは免責の対象とならないとされています(非免責債権)。
自己破産したときの税金については、以下の記事で詳しく解説しています。
法人破産では自由財産がない
「自由財産」とは、破産によって清算対象とされない財産をいい、破産者が自由に管理したり処分したりすることができるものです。
自由財産は、個人破産にだけ認められ、法人破産では認められません。
自由財産は、破産者が人間に値する生活を送れるようにと認められたものであり、このことは個人に当てはまりますが、法人については当てはまらないからです。
自由財産には、たとえば以下のようなものがあります。
- 強制執行での差押禁止財産に当たる99万円までの現金
- 破産者が破産手続開始後に新たに取得した財産(新得財産)
自由財産については以下の記事で詳しく解説しています。
法人破産と自己破産の違い
法人破産は、よくいう「自己破産」とはどう違うのか、と疑問に思われる方もいるかもしれません。
自己破産とは、債務者自身が申し立てる破産の名称です。
個人の破産では債務者自身が破産を申し立てることができるため「自己破産」となることが多いといえます。
一方、法人破産では、法人自身が破産を申し立てているわけではないという解釈がされる(詳しくは後述します)ことが多いので、「自己破産」とは呼ばれづらいのです。
なお、個人の破産であっても債権者が申し立てたことによって手続きが進むケースなどもあります。
この場合は「債権者申立てによる破産」といった呼び方をされることになります。
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
法人破産のメリットは3つ
法人破産をするメリットには、大きく以下の3点があるといえるでしょう。
- 税金などを含む債務を消滅させられる
- 債権者からの督促や取り立てが止まる
- 生活を立て直し、再度起業できる可能性もある
それぞれについて解説します。
税金などを含む債務をすべて消滅させられる
法人が破産すると、法人がそれまで持っていたすべての債務が消滅します。
破産によってその法人の法的人格がなくなり、債務の担い手がいなくなるからです。
最高裁も判決で「会社が破産宣告を受けた後破産終結決定がされて会社の法人格が消滅した場合には、これにより会社の負担していた債務も消滅するものと解すべき」とする考えを示しています。
法人破産では、払う主体がなくなることにより、税金債務もなくなります。
個人の破産の場合は税金債務が免責されないのと対照的です。
なお、法人破産では免責が行われないこと、個人破産で税金債務が免責されないことの詳細は、前述の「法人破産には免責制度がない」をご覧ください。
債権者からの督促、取り立てが止まる
法人破産をすると、融資元などの債権者から直接返済請求(取り立て)を受けることがなくなります。
取り立てが止まるタイミングは、債権者が貸金業者の場合とそうでない場合とで異なります。
債務整理を依頼した際、受任通知により貸金業者の取り立てが禁止される
債務者が破産手続を弁護士に依頼すると、弁護士は債権者である貸金業者に「受任通知」を送るのが普通です。
受任通知を受け取った貸金業者は、債務者本人への直接の取り立てができなくなります。
具体的には、電話やファックスによる、あるいは自宅や勤務先に訪問しての取り立てが禁止されるわけです(貸金業法21条1項9号)。
受任通知については以下の記事で詳しく解説しています。
取引先なども破産手続開始後は取り立てができなくなる
債権者が貸金業者でない場合でも、破産手続開始後、債権者は、債務者に対する破産手続外においての取り立てができなくなります(破産法100条1項)。
債権者が銀行や信用金庫、取引先企業などの場合も、破産手続開始後は、債務者に対する電話・ファックス・訪問による取り立てが禁止されるということです。
代表者が生活を立て直し、再度起業できる可能性もある
法人破産すれば、法人代表者が生活を立て直し、再度の起業への挑戦することも可能になります。
法人破産により債務がすべてなくなり、代表者が返済に悩む日々から解放されることは、新たな気持ちでの生活再建のチャンスです。
代表者が再度起業することに対し、規制する法律もありません。
ただし、代表者が個人でも破産をしている場合、いわゆる「ブラックリスト」に載ることで融資を受けられなくなる可能性はあります。
以下の項でこれらの詳細と、「ブラックリスト」に載っている間の起業に利用できるかもしれない制度も紹介します。
法人破産後、起業を規制する法律はない
我が国の法律では、一度破産した法人の代表者が再度起業することを禁止する規定はありません。
もっとも株式会社の場合、代表取締役が個人破産した際には、取締役をいったんは退任しなければなりません(会社法330条、民法653条2号)。
とはいえその後、裁判所から免責許可の決定を受けるなどすることで取締役となる資格が回復すれば(「復権」といいます)、再度、代表取締役として新しい会社を設立することができます。(破産法255条1項・2項)
自己破産の復権については以下の記事で詳しく解説しています。
代表者が自己破産した場合はいわゆる「ブラックリスト」に載る
ただ、代表取締役が個人破産した場合、信用情報機関に「事故情報」として記録される(いわゆる「ブラックリスト」に載る状態)ので、注意が必要です。
「ブラックリスト」に載った人は、この期間、自前の資産がない限り、新たな起業はしばらく難しくなるかもしれません。
融資する側からすれば、「約束どおりの返済を期待できない人」というマイナス評価となり、融資を受けられないことになるからです。
なお、信用情報機関に事故情報が載る期間(「ブラックリスト」に載る期間)は破産後5~10年です。

「信用情報機関」とは、加盟する金融機関が債務者の情報を共有し、不良債務者への融資を防ぐことを目指す機関です。
日本には3つの信用情報機関があります。
- JICC(株式会社日本信用情報機構)
:おもに貸金業者が加盟する機関 - KSC(全国銀行個人信用情報センター)
:銀行・信用金庫・農協などが加盟する機関 - CIC(株式会社シー・アイ・シー)
:クレジット会社を主として、貸金業者も加盟する団体
3者の間では情報交流が行われているため、1つの機関に問い合わせれば、他の機関に登録されている事故情報もわかります。
たとえば、CIC加盟のクレジット会社がAさんの事故情報を知りたいとき、CICに情報照会すれば、CICは全国銀行個人信用情報センターとJICCも含めた事故情報を回答でき、クレジット会社はAさんの事故情報すべてを把握できるわけです。
ブラックリストについては以下の記事で詳しく解説しています。
代表者がいわゆる「ブラックリスト」状態でも融資を受けられる制度も
「ブラックリスト」に載ってしまった再起業希望者への救いの道がないわけではありません。
それが、日本政策金融公庫が行う「新規開業資金(再挑戦支援関連)」という貸付制度で、概要は次のとおりです。
利用資格 | 次のすべてに当てはまること ・新規開業または開業後7年以内 ・廃業歴等を有する個人または廃業歴等を有する経営者が営む法人 ・廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込みがある ・廃業の理由・事情がやむを得ないものである |
貸付限度額 | 7,200万円まで(うち運転資金は4,800万円まで) |
返済期間 | 設備資金 20年以内 運転資金 15年以内 |
利率 | 基準利率または特別利率(基準利率より低率) ※利率の詳細は、同公庫WEBサイト「国民生活事業(主要利率一覧表)」に記載されています。 |
担保 | 要相談 |
表からわかるように、「ブラックリスト」に載っていないことは利用条件とされていません。
この他の詳細については、同公庫WEBサイト「新規開業資金(再挑戦支援関連/再挑戦支援資金」をご覧ください。
法人破産のデメリットは5つ
法人破産のおもなデメリットは以下のとおりです。
- 事業活動の継続ができなくなる
- 法人の一切の財産が処分される
- 従業員を全員解雇しなくてはならない
- 官報に法人の商号、所在地などが掲載される
- 代表者の個人破産も必要になる場合がある
それぞれについて解説します。
事業活動の継続ができなくなる
前述のとおり、法人が破産すると権利や義務の主体となる資格(法的人格)を失い、その結果、法人の名で取引することができなくなります(破産法35条)
これは、法人としての事業を続けることができなくなることを意味します。
また株式会社の場合、裁判所が破産手続開始を決めた時点で「解散」となります(会社法471条5号)。
「解散」とは、事業を停止し会社財産の整理(清算)に移ることです。
解散となっても破産手続は始まったばかりなので、破産終了による法的人格の喪失とはなりません。
しかし事業を停止する以上、もはや事業を続けることはできなくなるといえます。
法人の一切の財産が処分される
法人破産の手続きをとると、法人の一切の財産は処分されてしまいます。
これがどういったことを指すのか、以下で解説します。
破産手続の開始により、法人の財産は破産財団となる
法人に対し、裁判所による「破産手続開始の決定」があると、決定の時点で法人が所有している財産は、一部の例外を除いて清算対象(破産財団)になります(破産法34条1項)。
法人破産の手続きの流れについては後述します。
破産財団の管理・処分権が破産管財人に移る
破産財団に含まれる財産は、法人の所有ではあるものの、管理や処分をする権限が裁判所の選任する「破産管財人」(破産法31条1項、74条1項)に移ります。
この時点から、法人は財産への関与ができなくなります(同法78条1項)。
破産管財人には法律の知識と経験が欠かせないことから、弁護士が選任されるのが普通です。
破産財団は換金され、代金が債権者に配当される
破産管財人は、破産財団に含まれる財産を、多くの場合「任意売却」と呼ばれる方法で売却し、代金を破産手続に加わった債権者に分配します。
これを「配当」といいます(破産法193条以下)。
「任意売却」とは、裁判所の許可を得て、破産財団に含まれる財産を売却することです。
不動産であれば、買い受け希望者を公募しての入札や競り売り、動産であれば展示会やバーゲンセールといった方法で行われます。
従業員を全員解雇しなくてはならない
法人が破産すれば事業を続けることができなくなるため、従業員を雇っておくことができず、解雇しなければなりません。
解雇対象となるのは、法人と労働契約を結んでいるすべての従業員です。
正社員、嘱託職員、パート、アルバイトなど、雇用形態を問わず全従業員を解雇しなければなりません。
法人は、解雇日の30日以上前までに、従業員に「解雇の予告」をしなければなりません(労働基準法20条1項本文前段)。
解雇の予告は、通常「解雇通知書」を渡す方法で行われます。
失業手当の申請など、従業員が行う解雇後の手続きに必要だからです。
解雇日の30日前までに解雇通知書が渡されない場合、法人は従業員に対し、30日分以上の平均賃金額に当たる「解雇予告手当」を支払う必要があります(同本文後段)。
解雇した従業員の給料はどうなる?
解雇した従業員への未払い給料がある場合、破産手続開始前3ヶ月分を限度に、破産管財人は、破産手続を通すことなく、破産財団の中から支払わなければなりません(破産法149条1項)。
このように破産手続を通さず、優先的に弁済される債権を「財団債権」といいます(同法151条)。
破産手続開始後、または破産手続開始前3ヶ月より前の未払い給料については、破産手続を通すものの、他の破産債権に優先して支払いを受けることができます。
こうした債権は「優先的破産債権」と呼ばれます(同法98条1項)。
なお、破産財団に含まれる財産が未払い給料の支払いに足りない場合、独立行政法人労働者健康安全機構による「未払賃金立替払制度」を利用することができます。
この制度は、1年以上の事業実績ある法人が破産などをした場合、一定の条件を満たした従業員に対し、未払給料額の8割が立て替え払いされるものです。
詳しくは、以下のページをご覧ください
参考:労働者健康安全機構「未払賃金の立替払事業」
官報に法人の商号、所在地などが掲載される
法人が破産手続開始の決定を受けると、法人の名前と所在地、代表者の氏名、破産管財人の氏名、破産債権の届出期間などが官報に掲載されます(破産法32条1項1号~5号)。
裁判所は、破産手続開始の決定をした場合、そのことを官報に掲載する方法で公告しなければならないと定められているのです(同法32条1項、10条1項)。
官報とは、国の機関紙で、新しい法令などを国民に広く知らせるために発行されています。
官報への掲載のおもな目的は、債権者に破産の事実を知らせることで、破産手続を円滑にすることにあります。
しかし一方では、法人や代表者にとってマイナスの情報が一部の取引先などに知れてしまうともいえるでしょう。
自己破産による官報への掲載については以下の記事で詳しく解説しています。
代表者個人の自己破産も必要になる場合がある
代表が会社の連帯保証人となっている場合、会社が法人破産するだけでなく、代表者自身も個人で破産する必要があることが多いでしょう。
代表者が会社の連帯保証人になっていると、代表者自身も会社と同列の立場で融資元に返済債務を負うことになります。
会社が破産することにより会社への返済請求ができなくなれば、融資元は連帯保証人である代表者個人に返済を請求してきます(民法446条1項)。
代表者が自分の財産から会社の債務をすべて返せることは少ないため、多くの場合代表者自身も個人破産が必要になります。
自己破産をすると、代表者個人の生活に支障が出るのは避けられないでしょう。
法人の中でも特に中小企業の場合、融資元の求めに応じて、代表者が会社の連帯保証人になるケースが多いといわれています。
東京商工リサーチによる調査によれば、2020年度に破産した会社のうち7割で、社長自身も個人破産しているとのデータが示されています。
影響を軽減する方法の一つとして考えられるのが、裁判所の認可を得た「再生計画」に基づいて債務を返済していく「個人再生」という手続きをとることです。
個人での破産の影響が気になる場合、倒産処理に詳しい弁護士に相談して個人再生を検討してみるのも一つの手かもしれません。

個人再生については、以下の記事で詳しく解説しています。
法人破産の手続きの流れとかかる期間を解説
法人破産の手続きの流れは以下のとおりで、一連の手続きにかかる期間は8ヶ月〜1年3ヶ月程度が目安です。
- 弁護士への依頼・相談、破産申立ての準備
- 破産の申立て
- 債務者審尋
- 破産手続開始の決定・登記
- 破産管財人が選任される
- 破産管財人による調査
- 債権者集会
- 債権者への配当
- 破産手続の終結・登記
弁護士への依頼・相談、破産申立ての準備~破産の申立てまでが3~6ヶ月、そこから2~3ヶ月かけて債務者審尋~破産管財人の選任までが行われます。
その後、破産管財人による調査~破産手続きの集結・登記までに再び3~6ヶ月かかることになります。
ただし、債権者数や所有財産が多かったり、内容が複雑だったりする場合は長くかかる可能性もあります。
それぞれについて見ていきましょう。
弁護士への依頼・相談、破産申立ての準備
法人破産の手続きを行うためには、弁護士に相談・依頼することが一般的です。
弁護士に自己破産の手続きを依頼すると、これ以降弁護士は債務者の代理人となり、債権者に対して「受任通知」を送付します。
受任通知を受領した貸金業者は、これ以降、債務者に督促や取り立てをすることができなくなります。
また、貸金業者以外の債権者とのやりとりも、弁護士を通して行えるようになります。
法人破産申立てのためには、上の「法人破産申立時の必要書類とは」で紹介したとおり、さまざまな書類が必要です。
そのため、準備には3〜6ヶ月程度(場合によっては1年程度)の期間がかかるのが一般的です。
なお、法人破産を司法書士に相談することも可能ではありますが、対応できる業務は書類作成の代行にとどまり、裁判所とのやりとりなどは法人の代表者が自ら行うことになります。
破産の申立て
裁判所に提出する資料や書類がそろったら、裁判所に書類を提出し、法人破産の申立てを行います。
弁護士に依頼している場合、裁判所への書類提出などは代理で行ってくれる場合が多いでしょう。
債務者審尋
破産申立てを行うと、裁判所で「債務者審尋」と呼ばれる面接が行われます。
裁判官が申立書類を確認するのがおもな目的で、弁護士が代理人として出席することも多いでしょう。
破産手続開始の決定、登記
裁判所が申立書類などを確認し、債務者の支払いが不能であると判定すれば、破産手続の開始が決定します。
破産手続開始が決定すると、債権者に書面が送付され、官報にも掲載されます。
さらにこのタイミングで、法人の商業登記に破産手続開始の旨や、破産管財人の氏名などが記録されることになります。
破産管財人が選任される
法人破産の場合、破産手続開始の決定時に裁判所が「破産管財人」を選任します。
破産管財人とは、破産者の財産や借金の経緯などの調査、換金、配当を行う人です。
裁判所の代理人として、公正、中立の立場から、債権者と債務者の利害を調整する役割を担います。
破産管財人による調査、財産や事業の清算
破産管財人は法人の財産を調査し、換金などを行います。
また、このタイミングで従業員との雇用契約・事業所の賃貸借契約・水道光熱費等の契約・取引先との契約などすべての契約・取引関係も解消されます。
債権者集会
債権者集会とは、担当の裁判官、破産管財人、債務者(破産する法人の代表者)と代理人弁護士が出席する集会です。
当該法人にお金を貸していたり、債権者が出席することもできます。(破産法31条1項2号、158条)
集会では、破産管財人が、債務者が破産手続を取るに至った経緯や、債務者の財産の調査結果を報告します。
この調査結果に対し、出席した債権者は質問することが可能です。
個人の破産での債権者集会では、債権者が出席自体をしないケースも多いですが、法人破産の場合は債権者から債務者に対し、厳しい質問、意見が出ることもあります。
事前に、代理人弁護士とよく打ち合わせておくのがよいでしょう。
破産管財人の調査が長期にわたる場合などは、債権者集会が複数行われるケースもあります。
なお、破産管財人の調査の結果、債権者へ配当できるような財産が法人にないとされた場合は債権者集会で「異時廃止」が決定され、法人破産の手続が終結となる場合もあります。
債権者への配当
破産管財人による財産の調査や換金処理が終わると、それぞれの債権者が有している債権の金額、内容などに応じて配当がなされます。
債権は、1 財団債権、 2優先的破産債権、3 一般の破産債権、4 劣後的破産債権、5 約定劣後破産債権と呼ばれる債権に分類され、1から優先的に配当が行われます。
「解雇した従業員の給料はどうなる?」でふれたように、未払いの給与は財団債権や優先的破産債権に入る債権です。
破産手続の終結・登記
債権者への配当が行われた場合は、再度債権者集会(任務終了時計算報告集会とも呼ばれる)が行われます。
この集会では破産管財人が配当についての報告を行い、その後、破産手続の終結決定がなされます。
破産手続が終了すると、破産手続廃止または終結の登記がなされ、その後、当該法人の登記記録は閉鎖されます(商業登記規則117条3項)。
なお、代表者個人の自己破産も同時に行っている場合、債権者集会の後、免責審尋を経て、免責決定がおりるかが決まります。
個人の自己破産の流れは、以下の記事で詳しく解説しています。
法人破産できないことはある?破産の要件とは
法人破産の要件は、破産法に定められています。
整理すると、以下4つの項目に分けられるでしょう。
- 法人が支払不能・債務超過状態であること
- 破産の申立人が申立権者であること
- 不当目的・不誠実な破産手続ではないこと
- 法人破産の申立てに必要な費用、書類などがそろっていること
それぞれについて解説します。
法人が支払不能・債務超過状態であること
法人破産手続が認められるには、法人が以下のような「支払不能」または「債務超過」の状態にあることが必要です(破産法16条1項)。
- 支払不能:期限が来て支払うべき債務を支払えない状態
- 債務超過:期限到来の有無を問わず、債務が資産を上回っている状態
それぞれの状況について解説します。
支払不能とは債務が返せていない状態が続いていることをいう
「支払不能」とは、支払期限が来ても借金や代金の全部または大部分を支払えない状態が一定期間続いていることをいいます。
なお「支払えない」とは、「金銭によって支払えない」という意味です。
融資を断られて金銭を調達できない場合の他、不動産の買い手が見つからないため金銭に換えることができない場合なども含まれます。
債務超過とは「負債>資産」の状態
「債務超過」とは、負債が資産を上回っている状態のことです。
ここでいう「負債」には、「支払不能」の場合と異なり、支払期限が来ていない債務も含まれます。
なお、この「債務超過」は個人破産にはない条件です(破産法15条1項)。
法人について「支払不能」だけを破産の要件にした場合、「支払不能」になった時点で法人の財産はかなり減ってしまっています。
破産管財人が任意売却して得られる代金はわずかなものとなり、破産債権者(破産する法人に債権を有している債権者)が十分な配当を受けられなくなってしまうのです。
そこで「支払不能」より前の「債務超過」の段階で、破産による任意売却ができるようにし、破産債権者が十分な配当を得られるように制度が設計されています。
破産の申立人が申立権者であり、破産能力があるか
法人破産の申立人に申立権がなければなりません。
破産法は、次の者を法人破産の申立権者として定めています。
- 債権者(破産法18条1項):破産手続開始前に法人に対する債権を取得した者
- 債務者(同条同項):破産を考えている法人そのもの
- 準債務者(19条1項):破産を考えている法人の代表者(役員)
また、破産の申立人には、「破産能力」が必要とされます。
それぞれについて、詳細を解説します。
債権者について
破産法が指す「債権者」とは、破産手続開始前に法人に対する債権を取得した者のことです。
意外と知られていませんが、債権者も破産手続開始を申し立てることができるのです。
債権者が申立てを行うおもな目的は、債務者が不当に資産を処分することを回避・無効化してもらい、債権を正当に回収することにあるといえます。
ただし、こうした申立てが簡単にできると、債務者の立場は不当に弱くなってしまうと考えられます。
そのため、債権者による破産申立て(債権者申立て)のハードルは高く設定されており、債権者申立てによる破産の数も多くはありません。
債務者について
「債務者」とは、破産を考えている法人そのものを指します。
もちろん、法人そのものが意志を持って申立てを行うことはありません。
法人破産は次に紹介する「準債務者」の申立てによって行われることがほとんどです。
債務者については以下の記事でも詳しく解説しています。
準債務者について
「準債務者」とは、破産を考えている法人の代表者(役員)のことです。
代表者(役員)は法人そのものではありませんが、法人運営や経営、意思決定をしていたのは理事や代表取締役などの役員であるため、申立権を持ちます。
法人種類別に見ると、次の役員が申立権を持っていることになります。
法人の種類 | 申立権者 | 破産法条文 |
---|---|---|
一般社団法人または一般財団法人 | 理事 | 19条1項1号 |
株式会社または相互会社 | 取締役 | 19条1項2号 |
合名会社、合資会社または合同会社 | 業務執行社員 | 19条1項3号 |
破産能力とは
「破産能力」とは、破産者となることのできる資格をいいます。
日本では、国や地方自治体といった公の法人を除き、すべての民間法人に破産能力が認められています。
不当目的・不誠実な破産手続申立てではないこと
申立てが「不当な目的」など「不誠実な」申立てでないことも破産要件の一つとされています(破産法30条1項2号)。
債権者からの取り立てを一時的に免れるためだけの申立てなどは、「不当な目的」による申立ての例といえるでしょう。
「不誠実な」申立ての例としては、次の2つが挙げられます。
- 申立人自身が裁判官との面談日に出頭しない
- 申立人自身が行方不明になる
これらは自ら申立てをしておきながら破産手続に参加しないということになり、不誠実な態度といえるからです。
民事再生・会社更生・特別清算手続が開始されていないこと
法人について破産以外の倒産手続が行われていると、破産の申立てはできません。
「破産以外の倒産手続」とは、民事再生・会社更生・特別清算の3つをいいます(中小企業倒産防止共済法2条2項1号)。
それぞれの概要は、次のとおりです。
倒産の種類 | 対象 | 目的 | 財産の管理処分権 | 根拠法令 |
---|---|---|---|---|
民事再生(ここでは個人再生を除く) | すべての法人 | 法人に経済活動を継続させ、その収益の中から債務を弁済する。 | 法人自身 | 民事再生法 |
会社更生 | 株式会社 | 株式会社に経済活動を継続させ、その収益の中から債務を弁済する。 | 更生管財人 | 会社更生法 |
特別清算 | 株式会社 | 株式会社の財産を金銭に換え、その中から債務を弁済する。 | 清算人 | 会社法 |
この3つの手続きのいずれかが行われていると、破産申立てはできないことになります。
法人破産の申立てに必要な費用、書類などに不備がないこと
法人破産を申し立てるには、裁判所に申立書その他の書類を提出し、申立手数料その他の費用を納めなければなりません。
必要な書類と費用についてはこのあと解説していきます。
法人破産申立時の必要書類
次の一覧表のとおり、法人破産の申立てには多くの書類が必要です。
必要書類がそろっていないと、裁判所に破産手続を始めてもらえません。
- 破産手続開始申立書
- 債権者一覧表
- 関係会社一覧表
- 申立人代理人作成の報告書
- 申立人代表者作成の陳述書
- 疎明資料一式(財産目録、貸借対照表・損益計算書、取締役会の議事録・報告書 など)
- 税務申告書及び決算報告書(2期分)
- 委任状
- 履歴事項全部証明書(3ヶ月以内に発行のもの)
- 取締役会議事録または取締役全員の同意書
参照:各種書式集|神奈川県弁護士会
※ 必要書類はケースによって異なることがある
申立書の記載に不備があると、裁判所から指定期間内に不備を補正するよう命じられ、期間内に補正しないと申立書が却下されてしまいます(破産法21条1項、6項)。
必要書類に漏れや記載不備のない申立てをするには、弁護士に破産手続を依頼するのがよいでしょう。
法人破産の手続きにかかる費用
法人破産の手続きにかかる費用には大きく分けて「裁判所費用」と「弁護士費用」があり、目安は以下のとおりです。
- 裁判所費用:70万円以上(20万円程度になることもある) ※
- 弁護士費用:50〜130万円程度
※ 東京地裁「破産事件の手続費用一覧」を参照。債務額、裁判所によって異なる。
費用の内訳について解説します。
裁判所費用
裁判所費用の内訳は以下のとおりです。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
申立手数料(収入印紙代) | 1,000円 |
予納郵券代 | 約2,400~6,000円程度 |
官報公告費 | 14,786円 |
引継予納金 | 70万円〜 (少額管財の場合:20万円) |
※東京地裁「破産事件の手続費用一覧」、さいたま地裁「破産手続開始申立てに必要な収入印紙・郵券等の一覧表」を参照。債務額、裁判所によって異なる場合があります。
それぞれの費用について解説します。
申立手数料(印紙代)
東京地裁では、法人破産の申立手数料は1,000円です。
法人破産の手続きにおいては、裁判所を利用するための手数料として、収入印紙を訴状や申立書に貼付して納めます。
予納郵券代
予納郵券代とは、裁判所から当事者などに郵便物を送付するための郵便料(切手代)で、申立時に裁判所に納めるものです。
法人破産の手続きでは、裁判所から申立人や債権者に対し、さまざまな書類を郵送(送達)するため、その分の費用を前もって納入する形になっています。
法人破産の予納郵券代は債権者の数によって異なり、約2,400~6,000円程度となることが多いでしょう。
官報公告費
官報とは国が発行している機関紙で、法人破産の手続きを行う旨を公表することで、すべての債権者にその事実を知らせる意味があります。
官報への掲載料として納めるのが「官報公告費」です。
東京地裁などの場合、法人破産で14,786円を申立時に納入することになっています。
引継予納金
法人破産の引継予納金は70万円以上が目安ですが、債務総額によって異なります。
東京地裁では、下の表のように提示されています。
債務総額 | 引継予納金額 |
---|---|
5,000万円未満 | 70万円 |
5,000万以上1億円未満 | 100万円 |
1億以上5億円未満 | 200万円 |
5億以上10億円未満 | 300万円 |
10億以上50億円未満 | 400万円 |
50億以上100億円未満 | 500万円 |
100億円以上 | 700万円~ |
出典:東京地裁「破産事件の手続費用一覧」
引継予納金は破産管財人の報酬金であり、調査の対象となる債務が多ければ多いほど調査の手間がかかり、より高額の報酬が必要になるのです。
ただし、引継予納金が20万円程度に抑えられる「少額管財」などと呼ばれる手続きがとれるケースもあります。
詳しくは下の「「少額管財」を利用し予納金を抑えられるか、弁護士に相談する」で解説します。
弁護士費用
法人破産の弁護士費用は、50〜130万円程度が目安です。
内訳は以下のとおりです。
- 相談料 1時間につき~1万円程度(無料の事務所あり)
- 着手金 30万円程度〜
- 報酬金 20万円程度〜
一般的に、個人の自己破産より法人破産の方が準備する書類や事前調査が多く、弁護士の携わる期間も長くなるため、費用も高額になる傾向があります。
弁護士法人・響の場合の法人破産の弁護士費用
弁護士法人・響の弁護士費用は、以下のようになります。
- 相談料 0円
- 着手金 33万円〜(税込)
- 報酬金 22万円〜(税込)
分割での支払いもご相談いただけますので、弁護士費用に不安がある場合はご相談ください。
法人破産に必要な費用がない場合はどうする?
法人破産に必要な裁判所費用や弁護士費用がない場合、以下のような選択肢があるでしょう。
- 法人の財産や法人代表者の個人資産から費用を工面する
- 「少額管財」を利用し予納金を抑えられるか、弁護士に相談する
- 弁護士費用を分割払いにできるか相談する
法人の財産や代表者の個人資産から費用を工面する場合は、注意点もあります。
それぞれについて見ていきましょう。
法人の財産や法人代表者の個人資産から費用を工面する
法人破産の費用をすぐ用意できない場合、法人や法人代表者の財産から捻出する方法があります。
法人の売掛金債権を回収する、所有不動産を売却する、あるいは法人代表者の個人預貯金を払い戻すなどの方法です。
この場合は次の2点に注意し、判断に迷ったら弁護士に相談しましょう
不当に安い金額での資産売却などをしない
法人財産を売却する場合は、不当に安い代金としないようにしましょう。
財産価値と代金との差額の分、法人財産が目減りし、破産債権者への配当を減らすことになるため、破産管財人によって売却財産が破産財団に戻されることになるからです。
これを「詐害行為の否認」といいます(破産法160条1項1号)。
こうしたことは、財産を早く売却したいがために起こりがちです。
もっとも、法人代表者の私的財産を不当に安く売却しても、法人破産における詐害行為とはなりません。
代表者の私的財産は法人の破産財団に含まれないからです。
ただ、代表者自身も自己破産をする場合だと、私的な財産を不当に安く売るのは代表者の破産手続における詐害行為となります。
代表者の破産管財人によって否認権を行使され、売った私的財産が破産財団に戻されることがあるので注意しましょう。
工面したお金を返済などに利用しない
売掛金債権を回収するなどして調達した金銭を、一部の債権者への返済に充てないようにしましょう。
「一部の債権者」とは、たとえば法人と懇意な債権者、強硬な取り立てをする債権者などです。
こうした一部債権者への返済は、他の債権者との不公平を招くため、返済した金銭が破産管財人によって破産財団に戻されることになります。
これは「偏頗行為(へんぱこうい)の否認」と呼ばれるものです(破産法162条1項1号)。
偏頗行為(へんぱこうい)と偏頗弁済(へんぱべんさい)の違い
偏頗行為によく似た用語として「偏頗弁済」があります。
これは、偏頗行為と同じく、一部の債権者に債務返済を行うことをいいます。
偏頗行為と異なるのは、破産管財人による否認の対象となるのでなく、免責が許可されない原因となることです(破産法252条1項3号)。
免責は個人にのみ認められているため、厳密にいうと法人破産で問題になるのは「偏頗弁済」ではなく「偏頗行為」になるのです。
偏頗弁済については以下の記事で詳しく解説しています。
少額管財を利用し裁判所費用を抑えられるか、弁護士に相談する
一部の裁判所では「少額管財」と呼ばれる手続きを運用しており、これを利用できれば、裁判所に納めるお金を少なくすることができます。
少額管財とは、通常の破産手続である「管財事件」を簡略化した手続きです。
少額管財では財産調査などが簡略化される分、上でもふれたとおり破産管財人の報酬金(引継予納金)を20万円程度に抑えることができます。
ただし、手続きをシンプルに済ませる少額管財を利用するには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 財産の種類や債権者の数が多くないこと
- 弁護士が破産手続の代理人になっており、破産申立ての前に財産や債権者などが整理されていること
費用が気になったら、弁護士に少額管財が利用できるか相談し、手続きの依頼も検討するのがよいでしょう。
弁護士費用を分割払いにできるか相談する
破産手続を依頼した弁護士にかかる費用を分割払いにしてもらえば、支払いの負担を少なくすることができます。
弁護士費用の支払い方法は弁護士事務所によって異なるので、依頼を考えている弁護士に費用を分割払いにしてもらえるかを相談してみましょう。
スムーズに法人破産を進めたいなら、弁護士に相談を
法人破産については、弁護士に依頼するのがスムーズであり、費用も抑えられるといえます。
法人破産の申立てには必要書類が多く、申立て要件の確認も欠かせません。
債務を返せなくなった後、債権者への対応をしながら煩雑な作業を進めるのは非常に困難です。
また、法人破産の裁判所費用は70万円以上かかりますが、弁護士に依頼して、少額管財が利用できれば20万円程度に抑えることも可能です。
費用を抑えながら破産手続を正確に進めるには、法律知識と裁判実務経験に富んだ専門家である弁護士に依頼するのがよいといえるのです。
無料で法律相談に応じてくれる弁護士事務所もあります。
借金返済や代金の支払いが困難になり、法人破産を検討しようと思ったら、まず破産制度に詳しい弁護士に相談するのがよいでしょう。
法人破産についてのQ&A
法人破産について、よくある質問に答えていきます。
法人破産の回数に上限はある?
法人破産に回数制限はありません。
破産回数を制限する規定が破産法にはないからです。
たとえば、法人が経営難になり破産した後に立ち上げた別法人がまたも経営難に陥った場合、改めて法人破産をすることができます。
ただ、2回目以降の破産では、破産管財人による財産調査がより厳しくなるのが普通です。
一度破産をしていることで法人の財産管理能力に不安が残るため、破産管財人としても、財産状況をしっかり調べたうえで破産手続を進める必要があるからです。
法人破産が同時廃止事件になる事はある?
法人破産が同時廃止事件となることはまずないと考えてよいでしょう。
「同時廃止事件」とは、債務者の財産がわずかしかなく、それを売却しても破産管財人報酬なども支払えない場合に、破産手続開始と同時に手続きが終了となるケースをいいます(破産法216条1項)。
同時廃止事件では、債務者財産の清算は行われず、債務者の免責だけを目指すことになります。
そのため、同時廃止事件は免責制度のある個人破産にのみ適用され、免責制度のない法人破産では同時廃止事件は生じないといえるわけです。
法人破産の手続きに法テラスの利用はできる?
法人破産の手続きに法テラスは利用できません。
「法テラス(日本司法支援センター)」とは、法務省所管の公的な法人で、無料法律相談や弁護士費用の立替などを行っています。
ただ、これらは法人破産について利用することはできません。
法テラスWEBサイトにも、無料法律相談や弁護士費用の立替については「法人・組合等の団体は対象者に含まれません」と明記されています。(参考)
法人破産については、弁護士事務所に直接相談するのがよいでしょう。
法人破産と代表者の自己破産、個人再生は別々に申し立てないといけない?
法人破産と、法人代表者の自己破産や個人再生は、同時に申し立てることができます。
法人と法人代表者の関係の深さから、これらは一連の手続きと捉えられ、1人の弁護士が、法人の破産管財人と、代表者の破産管財人または個人再生委員を兼任するケースが多いのが実状です。
これにより破産管財人の出廷回数など手続きの手間を減らし、破産管財人の報酬など裁判所費用を抑えられるというメリットがあります。
法人破産と代表者の個人破産や個人再生を同時に行うには、書類の準備や専門知識が必要です。
まずは、法人破産に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

「個人再生委員」とは、個人再生手続において次のうち1つまたは2つ以上の職務を行う人です(民事再生法223条1項)。
- 再生債務者の財産及び収入の状況を調査する(同項1号)
- 再生債権の評価に関して裁判所を補助する(同項2号)
- 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告をする(同項3号)
個人再生委員は、原則として、裁判所が必要と認めるときに1人または数人が選任されます(同法223条1項)。
法人破産とは、経営の行き詰まった法人について、その財産をお金に換えて債権者に分配するとともに、法人の債務を一掃して経営の生活再建を図る制度です。
-
法人破産のメリットは、次の3つです。
・税金などを含む法人の債務をなくせる
・債権者から法人への取り立てがなくなる
・法人代表者が生活を立て直して再起業する可能性が生まれる -
法人破産には、次の5つのデメリットもあります。
・事業活動を継続できなくなる
・法人のすべての財産が処分されてしまう
・全従業員を解雇しなければならなくなる
・官報に法人の商号や住所などが掲載される
・代表者の個人破産も必要になる場合がある -
法人破産の手続きにかかる費用(裁判所費用と弁護士費用)を支払えないときは、次の方法を考えましょう。
・法人の財産、または法人代表者自身の財産から費用を捻出する
・「少額管財」を利用して予納金を減らすことを弁護士に相談する
・弁護士費用の分割払いができるか弁護士に相談する法人破産を考えるなら、相談無料で破産制度に詳しい弁護士に相談することから始めるとよいでしょう。
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