
「自己破産をすると、今住んでいる賃貸住宅を追い出されてしまうのでは?」と不安に思っていませんか。
結論からいうと、家賃の滞納がなければ、自己破産を理由に現在の賃貸住宅を追い出されることは原則としてありません。
ただし、家賃を滞納している場合や、信販系の賃貸保証会社を利用している場合などは、例外的に退去を求められる可能性があります。
返済のために借金を繰り返すような生活が続いている方は、これ以上の状況の悪化を防ぐためにも、ご自身の状況を客観視してみることが大切です。
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目次
【結論】自己破産をしても、賃貸住宅を追い出されることは原則としてない
家賃の滞納がなければ、自己破産を理由に賃貸住宅を退去させられることは原則としてありません。
2004年の「破産法」改正にともない民法なども一部改正され、自己破産を理由とした賃貸契約の解除は原則的にできなくなったためです。
万が一、貸主(大家)側から更新を断られるようなことがあっても、すぐに退去させられるわけではないため安心してください。
法律上、貸主から一方的に契約を終了するには、正当な理由に加えて、契約満了の6ヶ月前までに通知を出す義務があるからです。
法律によって、入居者の権利はしっかりと守られているのです。
それでも「実際のところはどうなのだろう?」と、リアルな実態が気になる方も多いでしょう。
続いて、過去に自己破産などの債務整理をしたことのある方に、自己破産の住まいへの影響を聞いてみました。
【100人アンケートで判明】実際に追い出された人はいる?
自己破産を申し立てて免責許可が確定すると、一部の債務を除きすべての債務の返済義務が免除されます。
その一方で、自己破産の手続きをすると、信用情報機関にはご自身の事故情報が登録されます(いわゆるブラックリストに載った状態)。
「ブラックリストに載ると、今の賃貸住宅の契約更新ができずに追い出されてしまうのだろうか」と不安に思う方もいるでしょう。
当メディアでは、過去に債務整理を経験し、事故情報が登録された期間を過ごした方を対象に、賃貸契約の更新に関するアンケート調査を実施しました。
アンケート結果は次のとおりです。
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| 問題なく更新できた | 96.3% |
| 更新できなかった | 3.7% |
【調査概要】調査名:債務整理後の「苦労やブラックリスト期間の過ごし方」に関するアンケート
対象者:債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)のご経験がある方
実施期間:2026年5月1~15日
有効回答数:27件
利用媒体:インターネットによるアンケート
調査主体:借金返済の相談所
アンケートの結果、実際に更新を迎えた方の96.3%という大半の人が「問題なく更新できた」と回答しています。
一方で、「更新できなかった」と答えた方はわずか3.7%にとどまりました。
このデータからもわかるように、自己破産をして信用情報機関に事故情報が登録されたからといって、過度な不安を抱く必要はありません。
家賃の滞納がない限り、基本的にはそのまま賃貸住宅に住み続けることが可能です。
例外的に退去を求められる3つのケース
原則として、自己破産をしたからといって賃貸住宅の退去を求められることはありません。
しかし、以下のようなケースでは賃貸契約を解除される可能性があります。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
1.家賃を滞納している場合
自己破産の手続きを弁護士に依頼した時点で、原則としてすべての債務の返済を止めなければなりません。
その結果、家賃の滞納が続くことになり、最終的に貸主(大家)から賃貸借契約を解除される可能性があります。
ただし、契約解除を恐れて、自己破産の前に滞納した家賃だけを支払う偏頗弁済(へんぱべんさい)に該当する行為は避けましょう。
偏頗弁済を行うと、裁判所から免責(借金の返済義務の免除)が認められなくなるおそれがあるためです。
用語集ある特定の債権者にだけ優先して返済する行為のこと。
すでに家賃を滞納している場合は、ご自身で貸主に直接交渉してみる方法があります。
自己破産の手続きが済んだ後に滞納分を支払うことを条件に、支払いを一時的に待ってもらえないか相談してみましょう。
偏頗弁済については、以下の記事で詳しく解説しています。
2.信販系の賃貸保証会社を利用している場合
クレジットカード系列の信販系賃貸保証会社は、賃貸契約の更新時にも審査を行います。
審査の際に信用情報機関の情報をチェックされるため、入居者がブラックリストに載っていることがわかれば更新を断られる可能性があります。
入居している物件が信販系の賃貸保証会社を利用している場合は、信販系以外の保証会社への変更を交渉したり、親族に連帯保証人になってもらったりするなどの対応が必要です。
そういった柔軟な対応ができるかどうかは、貸主(大家)や不動産管理会社の判断によります。
契約更新の前に相談してみましょう。
3.ご自身の収入と比較して、家賃が高すぎる場合
自己破産は、あくまで借金で苦しむ人を救済するための手続きです。
収入と比較して、家賃が高すぎる物件に住んでいる場合、破産者の財産を調べる「破産管財人」から生活の立て直しを妨げていると判断され、賃貸借契約を解除される場合があります(破産法第53条)。
家賃の目安となる、手取り月収の3分の1以内を超える家賃の支払いが続いている場合は注意が必要です。
自己破産をしても、賃貸住宅を新たに契約できる
自己破産後でも、賃貸住宅を新たに借りることは可能です。
当メディアが実施したアンケート調査では、事故情報が登録されている期間中の新規契約について、以下のような結果が出ています。
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| 契約できる物件とできない物件があった | 60.9% |
| 問題なく契約できた | 34.8% |
| どこも契約できなかった | 4.3% |
【調査概要】調査名:債務整理後の「苦労やブラックリスト期間の過ごし方」に関するアンケート
対象者:債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)のご経験がある方
実施期間:2026年5月1~15日
有効回答数:23件
利用媒体:インターネットによるアンケート
調査主体:借金返済の相談所
アンケートの結果、「問題なく契約できた」と「契約できる物件とできない物件があった」を合わせると、全体の95%以上の人が新しい住宅を契約できていることがわかります。
「どこも契約できなかった」という方はわずか4.3%にすぎません。
この調査からもわかるように、自己破産をして信用情報機関に事故情報が登録されたからといって、新居を諦める必要はありません。
入居審査の基準は貸主や賃貸保証会社によって異なるため、ご自身の状況に合わせた住宅選びを行えば、新しい物件を契約できる可能性は十分にあります。
詳しくは次の見出しで解説しますが、審査の厳しい「信販系」と呼ばれる保証会社を避けたり、UR賃貸住宅などの公的住宅を選んだりすることが、新たな賃貸契約を成功させる重要なポイントです。
自己破産後に賃貸住宅を契約するための5つのポイント
自己破産後に引越しをする場合、どのように物件を探せばよいのでしょうか。
前提として、賃貸住宅は最終的に貸主(大家)が承諾すれば契約を結ぶことが可能です。
そのため、まずは不動産会社への最初の相談を工夫してみましょう。
おすすめの方法は、不動産会社の担当者に「審査に通るか不安なので、通りやすい物件を紹介してほしい」と正直に聞いてみることです。
あらかじめ事情を伝えることで、担当者が味方になり、審査に通りやすい物件を優先して紹介してくれる可能性があります。
ここでは、賃貸住宅をスムーズに契約するための具体的なポイントを解説します。
1.信販系の保証会社を避ける
賃貸住宅によっては、連帯保証人を立てない代わりに賃貸保証会社との契約が必要な場合があります。
その場合、保証会社に注目して物件を選びましょう。
なぜなら、保証会社によって入居審査の基準が大きく異なるからです。
クレジットカード系列の「信販系」と呼ばれる保証会社は、入居審査の際に信用情報機関へ信用情報の照会を行います。
その際、自己破産の記録も確認されるため、審査に通らない可能性が極めて高いといえます。
また、「LICC系」と呼ばれる保証会社にも注意が必要です。
LICC(一般社団法人全国賃貸保証業協会)の加盟会社間では、過去の家賃滞納歴や保証会社が家賃を立て替えた「代位弁済」の履歴などが共有されています。
そのため、過去に長期間の家賃滞納があった場合は、審査に通らないケースがあります。
審査落ちのリスクが高い賃貸保証会社の例は、次のとおりです。
- 信販系の保証会社
- アプラス賃貸保証
- オリコフォレントインシュア
- ジャックス(セキュアレントシステム)
- あんしん保証(ライフあんしんプラス・あんしんプラスAC)
- エポスカード(ROOM iD)
- クレディセゾン
- SMBCファイナンスサービス
- SBIギャランティ など
- LICC系の保証会社
- エイト賃貸保証
- エルズサポート
- ジェイリース
- 宅建ブレインズ
- 賃住保証サービス
- ナップ賃貸保証
- ホームネット
- ランドインシュア など
一方で、独自の基準で審査を行う「独立系」の保証会社を利用する物件であれば、自己破産後でも審査に通る可能性があります。
不動産会社で物件を探す際は、どの保証会社が指定されているかをあらかじめ確認しておくと安心です。
2.保証会社の代わりに連帯保証人を立てる
賃貸保証会社の審査が不安な場合は、保証会社を利用する代わりに「連帯保証人」を立てることで契約可能な物件を探すのも一つの方法です。
連帯保証人は誰でもなれるわけではなく、家賃の支払い能力があることなどが条件となるため、一般的には親や兄弟姉妹などの親族に依頼することが多くなります。
どうしてもご自身が契約者になるのが難しい場合は、以下のような選択肢もあります。
- 安定収入がある配偶者に、契約者(名義人)になってもらう
- 信用情報に問題のない親や兄弟姉妹に「代理契約」をしてもらう
親族に契約者になってもらえば、信用情報機関の事故情報が影響することはありません。
ただし、契約時には「代理契約」であることを不動産会社に伝えておきましょう。
賃貸住宅に契約者と異なる人物が住むことは無断転貸とみなされ、管理会社や貸主(大家)から契約解除を言い渡されるリスクがあるためです。
連帯保証人については、以下の記事で詳しく解説しています。
3.あえて条件の悪い物件を狙う
少し視点を変えて、あえて条件の悪い物件を狙うという方法もあります。
具体的には、以下のような特徴を持つ物件が挙げられます。
- 築年数が古い
- 駅から遠い
- 交通の便が悪い など
このような物件の貸主(大家)は「空室を少しでも早く埋めたい」と考えていることが少なくありません。
そのため、保証会社の審査に通らなくても、最終的に貸主さんの判断で柔軟に入居を認めてくれるケースがあるのです。
実際に当メディアが不動産仲介業の勤務経験者へ行った取材では、次のような声が聞かれました。
信販系が通らなければ、独立系へ。それでもダメなら…
私が勤めていた不動産会社の場合、賃貸契約時、まずは信販系の保証会社へ審査に出します。ブラックリストに載っている場合は、すぐに不承認の連絡がきてしまいます。
信販系の保証会社が通らない場合は、次に独立系の保証会社へ審査を出します。独立系が厳しい場合でも、通帳のコピーを提出して収入を確認できれば通せる、といった提案をいただける場合もあります。
また、保証会社の審査に通らなくても、最終的に家主様が承諾すれば契約はできます。
あえて交通の便が悪い、築年数が古いなど条件の悪い物件を狙うことで、契約できる場合もあります。
※取材日:2024年1月29日。個人の見解も含まれるため内容を保証するものではありません。
少しでも選択肢を広げて審査通過の確率を上げるために、希望条件を広げて物件を探してみることも検討してみましょう。
4.UR賃貸住宅や公営住宅を選択肢に入れる
UR都市機構が運営するUR賃貸住宅や、自治体が運営する公営住宅(都営・県営・市営住宅など)も、有力な選択肢の一つです。
これらの住宅には、民間の賃貸住宅とは異なる次のような特徴があります。
- 一般の信用情報機関への事故情報の照会は行われない
- 過去の自己破産歴が審査に影響することはない
- UR賃貸住宅:礼金や仲介手数料、連帯保証人、賃貸保証会社が不要
- 公営住宅:家賃負担を抑えるための減免制度などが用意されている場合がある
そのため、自己破産後であっても一定の収入要件などを満たせば、問題なく賃貸借契約を結ぶことが可能です。
特にUR賃貸住宅は連帯保証人や保証会社への加入が不要なうえに、礼金や仲介手数料もかかりません。
手元の現金をなるべく多く手元に残せるため、破産後の生活再建において非常に相性が良い代替策といえます。
なお、UR賃貸住宅を申し込むには、平均月収額が以下の基準を満たしている必要がある点に注意してください。
| 家賃額 | 基準月収額 |
|---|---|
| 82,500円未満 | 家賃額の4倍 |
| 8万2,500円以上 20万円未満 | 33万円(固定額) |
| 20万円以上 | 40万円(固定額) |
| 家賃額 | 基準月収額 |
|---|---|
| 62,500円未満 | 家賃額の4倍 |
| 62,500円以上 20万円未満 | 25万円(固定額) |
| 20万円以上 | 40万円(固定額) |
詳しくは、UR賃貸の「お申込み資格」をご確認ください。
5.民間賃貸住宅を活用した「住宅セーフティネット」を利用する
「住宅セーフティネット制度」とは、低額所得者や高齢者など、住まい探しが難しい方の入居を拒まない民間賃貸住宅を国が登録し、紹介する制度です。
自己破産後に入居審査に不安がある方でも、この制度を活用すれば物件を契約できる可能性があります。
また、各地域にある「居住支援法人」などの窓口では、住まい探しの相談を受け付けています。
さらに、連帯保証人の代わりとなる「家賃債務保証」の支援も行っています。
家賃債務保証とは、賃貸住宅を契約する際、親族などの連帯保証人が見つからない場合に、法人が代わって家賃の支払いを保証してくれる仕組みです。
保証会社の審査に落ちてしまった方にとって、心強い味方となるでしょう。
一定の収入要件を満たせば、自治体から家賃や家賃債務保証料の補助を受けられる場合もあります。
制度の概要や登録されている物件は、Webサイト「セーフティネット住宅情報提供システム」から検索できます。
自己破産を検討している方は、弁護士法人・響へご相談ください
自己破産をしても、住まいを確保する手段は十分にあります。
しかし借金問題を放置し続けると、いずれ一括請求をされたり、裁判所から差押えの通知が届いて、毎月の給料の取立が行われたりするリスクへと繋がってしまいます。
そうなる前に、まずはご自身の今の状況を客観的に見つめ直し、弁護士などの専門家へ頼ることが大切です。
自己破産には、賃貸住宅のこと以外にも、財産の回収や手続き中の職業制限など、多くの注意点が存在します。
弁護士法人・響にご相談いただければ、ご自身に適した債務整理の方法は本当に自己破産なのかという点も含めて、丁寧にアドバイスいたします。
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