「引っ越しって、自己破産をしてもできるの?」
「自己破産をしたら今の家に住めなくなるけど、引っ越し費用がない!」
自己破産をしても引っ越しは可能です。禁止などはされていません。
ただし、自己破産の手続きが管財事件になった場合、手続き中の引っ越し時は裁判所に申請し、転居を許可してもらう必要があります。
また、自己破産前の引っ越しは浪費と見なされないよう、注意が必要です。
さらに、自己破産後の引っ越し費用は別に残せないということも考慮しなくてはいけないでしょう。
自己破産前後、および手続き中の引っ越しがつつがなく行えるかはケースバイケースです。
不安な点があれば、弁護士法人・響の無料相談で専門的観点からアドバイスをもらってみるのがよいでしょう。
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目次
自己破産をしても引っ越し自体は可能!ただし許可が必要なケースも
自己破産をしたとしても、引っ越しが禁止されることはありません。
これは、「居住移転の自由」が憲法上の基本的人権とされており、自己破産をしたといえども、当該人権に係る自由に対してこれを禁止するという強い制約を課する理由がないからです(日本国憲法第22条)。
ただし、自己破産の手続きを進めている最中は、常に裁判所と連絡が取れるようにすることなどを目的に、裁判所などの許可が必要になるケースがあります(破産法第37条)。
どのようなケースで許可が必要になるかは、次の項目で解説します。
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産で引っ越しに許可が必要になるケースとは?
自己破産するときに引っ越しで許可が必要になるかどうかは、引っ越しのタイミングと手続きの種類により異なります。
- 自己破産申立て前:自由
- 自己破産手続き中:手続きが管財事件の場合は裁判所の許可が必要
- 自己破産後:自由
このほか、申立人が生活保護受給中は、自己破産の手続きとは別にケースワーカーとの相談が必須です。
自己破産の申立て前、手続き完了後の引っ越しにも注意点があるため、それぞれについて解説しましょう。
申立前の引っ越しは自由
自己破産の申立て前の引っ越しは、原則として自由です。
ただし、引っ越し後に自己破産をする場合は、転居先の住所の管轄裁判所を必ず確認しましょう。
自己破産は、申立時の住所地を管轄する裁判所に申立てを行うからです。
裁判所によって、書類の書式や手続きの進め方が異なることがあります。
また、特別な理由のない引っ越しや家賃の高い物件への引っ越しは浪費と捉えられることもあり、免責不許可事由に当てはまるとして、自己破産の免責に影響を及ぼすこともありえます。

浪費やギャンブルによる多額の借金、財産の隠匿、一定の債権者を優遇するような行為などがあります。
免責不許可事由についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
自己破産申立て前の引っ越しは慎重に検討しましょう。
手続き中の引っ越しは許可が必要なことも
自己破産の手続きには、管財事件と同時廃止事件の2種類があります。
管財事件になった場合、手続き中は転居に際して裁判所からの許可が必要になります。
それぞれにどのような違いがあるのか、詳しく解説していきましょう。
自己破産の管財事件や同時廃止については以下の記事で詳しく解説しています。
管財事件の場合は裁判所への許可申請が必要
管財事件とは、破産者(自己破産を申し立てる人)が一定の財産を有している、または免責不許可事由があることで、破産管財人による所有財産の調査などが行われる手続きです。
調査や財産の換価・配当が発生する可能性があるため、費用や時間がかかります。
管財事件では、自己破産手続開始の決定から、破産管財人による調査が行われる手続きの終結まで、3〜6ヶ月程度かかるといわれています。
その期間は、いつでも裁判所の呼び出しに応じる必要があります。
そのため、常に連絡が取れる状態を確保する必要があり、転居する際にも裁判所に許可申請を行い、認めてもらう必要があります。
破産管財人については以下の記事で詳しく解説しています。
同時廃止事件の場合は許可申請は不要
同時廃止事件とは、破産者が一定の財産を持たず、免責不許可事由も問題にならない場合に進められる手続きです。
破産管財人による財産の調査はありません。
財産の調査が不要となるので、破産手続開始の決定と同時に手続きが終了となります。
そのため、転居の許可申請も不要です。
ただし、免責確定までの間に住所が変わる場合は、裁判所に住民票と上申書を届け出る必要があります。
自己破産後の引っ越しは自由
自己破産で免責が確定した場合は、引っ越しの制限は一切なくなります。
ただし、自己破産後は、引っ越し費用の工面で問題が発生することがあるので、注意しましょう。
さらに、賃貸物件に引っ越しするにあたっては、賃貸契約に問題が出るケースがあります。
それぞれの詳細については、後述します。
生活保護受給中の場合はケースワーカー・福祉事務局への相談が必須
生活保護を受給している最中は、自己破産の申立て前や手続き後であっても、ケースワーカー・福祉事務局への相談が必須となります。
なぜかというと、生活保護受給中は転居できる物件に制約があるからです。
また、別の自治体に転居する場合には、転居先の自治体で生活保護の再申請をする必要があります。
このような手続きに関しても問い合わせておく必要があるでしょう。
また、福祉事務局に相談することで、引っ越し費用の一部を支援してもらえる可能性もあります。
無断で引っ越すようなことはせず、必ず相談しましょう。
自己破産と生活保護については、以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産の管財事件の手続き中に引っ越しを申請する方法とは?
管財事件の手続き中に引っ越しを行う場合は、裁判所への許可申請が必要になります。
許可申請の具体的な方法について、解説していきましょう。
まずは破産管財人に許可をもらう
まずは、財産の調査を行う破産管財人に引っ越しの許可を取る必要があります。
この際、転居先や転居の理由を明確に伝えましょう。
転居の目的が逃亡・財産隠しだと捉えられないようにすることが、許可を得るうえで重要だからです。
破産手続きを弁護士に依頼をしている場合は、破産管財人とのやりとりも代理で行ってもらえます。
引っ越しを考え始めた時点で弁護士に相談しておくと、スムーズに進められるでしょう。
破産管財人が転居許可申請を裁判所に提出する
破産管財人から許可がもらえたら、破産管財人が「転居許可申請書」などの書類を管轄裁判所に提出します(東京地裁などの場合)。
管轄の裁判所によって、申請の進め方が異なる場合があるので、事前に確認しましょう。
裁判所から転居の許可がもらえたら、引っ越しが可能になります。
自己破産で持ち家を手放すことに…引っ越し費用はどうなる?
持ち家の名義が破産者だった場合、原則としてその家は手放すことになります。
結果的に引っ越しが必要になりますが、自己破産後は一定以下の財産しか手元に残せないため、引っ越しの費用を捻出するのが難しくなるケースも考えられるでしょう。
どのような財産が手元に残せるのか、解説していきましょう。
自己破産後の引っ越し費用は手元に残せないことが多い
自己破産の手続きでは、必要だからといって引っ越し費用を手元に残しておくことはできません。
なぜかというと、手元に残せるのは自由財産と呼ばれる必要最低限の財産だけだからです。
詳細を解説します。
自己破産で手元に残せるのは自由財産のみ
自己破産の手続き後に手元に残せる財産は、自己破産後も所有が認められる自由財産のみです。
それ以外の財産は回収・売却されて、債権者(金融機関などのお金を貸した側)に分配されてしまうと考えましょう。
自由財産としては、具体的には以下のようなものを指します。
- 99万円以下の現金
- 残高20万円以下の預貯金
- 見込額が20万円以下の生命保険解約返戻金
- 破産手続開始決定後に振り込まれた給与、賞与、退職金
- 破産手続開始決定後に贈与された財産
- 評価額が20万円以下の自動車
- 生活に欠かせない衣服、寝具、台所用品、畳、建具など
- 職業において必要不可欠なもの
※ 裁判所の運用等により自由財産の範囲は異なることがあります。
自由財産は、生活を送るうえで最低限必要と判断されるものがほとんどで、引っ越し費用は含まれません。
99万円以下の現金や20万円以下の預貯金から引っ越し費用がまかなえればよいですが、家計の状態によっては自由財産から捻出するのは難しいことも多いでしょう。
自由財産については以下の記事で詳しく解説しています。
持ち家の競売後のお金は債権者に分配される
自己破産手続きにおいて持ち家が競売にかけられた場合、その利益のすべては債権者に分配されてしまいます。
そのため、競売の利益を引っ越し費用に充てることもできません。
持ち家を任意売却した場合は引っ越し費用が得られることも
持ち家を任意売却した場合は、その後の引っ越し費用を家の買主や債権者が出してくれることがあります。
任意売却とは、債権者や連帯保証人に了解を得て、破産者本人または依頼した業者が持ち家を売却することです。
任意売却の場合は、住宅を明け渡してからでないと売れないため、債権者が多少の引っ越し費用を負担してくれることがあります。
ただし、買主や債権者が引っ越し費用を負担することは、法的に定められた義務ではありません。
最近はシビアな債権者も多く、必ず引っ越し費用を出してもらえるというわけではないので、事前に弁護士などに相談し、対策を考えておいた方がよいでしょう。
自己破産後は引っ越し先の賃貸の審査に通らない可能性も!対処法は?
自己破産後の引っ越し先が賃貸物件の場合、賃貸契約の審査に通らない可能性があります。
審査をクリアするためには、次のような対処法が考えられます。
- 賃貸保証会社(家賃保証会社)が信販会社の物件を避ける
- UR賃貸・公営住宅・シェアハウスなどの利用を検討する
- 連帯保証人を立てて賃貸契約を結ぶ
それぞれの対処法について、解説していきましょう。
自己破産と賃貸契約については、以下の記事で詳しく解説しています。
賃貸保証会社(家賃保証会社)が信販会社の物件を避ける
自己破産を行うと、信用情報に事故情報が登録されます。これはいわゆる「ブラックリストに載る」といわれる状態です。
事故情報が登録された状態だと、信販会社が賃貸保証会社になっている場合は賃貸契約ができない可能性があります。
次のような信販会社は信用情報機関に加盟しており、契約の際に信用情報の照会を行い、このとき事故情報が登録されていると審査に通らないのです。
- 株式会社アプラス
- 株式会社エポスカード
- 株式会社オリエントコーポレーション(オリコ)
- 株式会社ジャックス
- 株式会社クレディセゾン
- SMBCファイナンスサービス株式会社(株式会社セディナ)
- ライフカード株式会社
- SBIギャランティ株式会社
賃貸保証会社の中には、信販会社以外の会社もあります。
こうした会社は、信用情報機関に加盟していないことも多く、その場合は当該会社独自のデータベースで審査するため、事故情報の影響で賃貸契約ができないといったことになりにくいといえます。
賃貸に引っ越す場合は、上記以外の会社が賃貸保証会社である物件を選んだ方がよいでしょう。
UR賃貸・公営住宅・シェアハウスなどの利用を検討する
一般的に、UR賃貸・公営住宅・シェアハウスのような物件は賃貸保証会社への加入が不要です。
そのため、自己破産を行った後でも賃貸契約しやすいといえるでしょう。
ただし、UR賃貸や公営住宅はそもそも物件数が少ないため、希望するエリアに住めない可能性が高いことには注意が必要です。
また、シェアハウスには以下のような注意点もあります。
- 他人との共同生活を行うことが前提となる
- 賃貸保証会社への加入は必要ないものの、独自の審査が行われることがある
自分の置かれている状況に適しているか、必ず確認しましょう。
連帯保証人を立てて賃貸契約を結ぶ
賃貸物件によっては、賃貸保証会社に加入する代わりに連帯保証人を立てることで、自己破産後でも賃貸契約を結べるところがあります。
ただし、連帯保証人には「家賃の支払い能力があること」などの条件があり、連帯保証人になるにあたっての審査もあります。
万が一、借主が家賃を滞納した場合、連帯保証人は滞納した分の家賃の返済義務を負うことになります。
また、この義務は原則拒否できません。
それだけの負担をかけることを理解したうえで、連帯保証人を依頼できる人がいるか、依頼すべきか検討しましょう。
自己破産時の引っ越しなどに不安があればまずは弁護士に相談を
自己破産を行うにあたって、引っ越しに許可が必要になるケースは、管財事件の手続きを行っている最中です。
その場合、破産管財人と裁判所の両方に許可を取る必要がありますが、自己破産の手続きを弁護士に依頼していれば、弁護士が代理人として許可申請も行ってくれます。
引っ越しをスムーズに進めることができるでしょう。
また、自己破産の申立て前の引っ越しも、転居先が家賃の高い物件だと免責に影響が出てしまいますし、自己破産後の引っ越しは、賃貸だと契約できない場合があります。
自己破産前後の引っ越しの注意点はケースバイケースなので、事前に弁護士に相談すると安心でしょう。
引っ越しは、自己破産の手続きだけでなく、自己破産後の生活にも深く関わる可能性があるもの。
不安なことがあったら、まずは弁護士法人・響の無料相談で弁護士にアドバイスを仰いでみてはいかがでしょうか。
- 原則として、自己破産をしても引っ越しはできます。ただし、自己破産手続きの最中だと、裁判所の許可が必要になるケースがあります。
・自己破産申立て前:引っ越しは自由
・自己破産手続き中:手続きが管財事件の場合は裁判所の許可が必要
・自己破産後:引っ越しは自由 - 自己破産後は引っ越しが可能ですが、その費用を捻出するのが大変になるケースが多いといえます。
自己破産によって、必要最低限の自由財産以外は差し押さえられてしまうからです。
先に持ち家を任意売却すれば、費用を捻出できる可能性が高まるかもしれません。 - 自己破産後は、賃貸物件の契約の審査に通らないこともあります。次のような対処法を実践することで、審査をクリアしやすくなるでしょう。
・賃貸保証会社(家賃保証会社)が信販会社の物件を避ける
・UR賃貸・公営住宅・シェアハウスなどの利用を検討する
・連帯保証人を立てて賃貸契約を結ぶ - 自己破産による引っ越しへの影響は置かれている状況によって異なるので、法律の専門家である弁護士に相談することで、ベストなタイミングが見つけやすくなるでしょう。まずは無料相談で、アドバイスをもらうところから始めてみましょう。
相談無料 全国対応 24時間受付対応
- 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
- 今お金がなくても依頼可能!
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