「過払い金の返還請求には、どのくらい費用がかかるの?」
「返ってくる過払い金より、費用のほうが高くつくのでは…?」
過去に借金をしたことがあるため「過払い金の返還を請求したら戻ってくるのでは?」とお考えの方もいるでしょう。
過払い金の返還を請求するには弁護士や司法書士に依頼するケースが一般的ですが、専門家に手続きを依頼すると費用が発生します。 この費用は、いくらぐらいになるのでしょう。
この記事では、過払い金返還請求を弁護士や司法書士に依頼する場合の費用や、自分で過払い金返還請求を行うことのデメリットをご紹介します。
また、過払い金返還請求を法律事務所に依頼する際に、事務所を選ぶ基準をご紹介します。
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目次
「過払い金返還請求」にかかる費用の相場はいくらぐらい?
過払い金返還請求を行うには、弁護士や司法書士へ依頼することが一般的です。 まずは、過払い金返還請求にかかる費用の相場を見ていきましょう。
弁護士と司法書士の費用についてもご説明します。
弁護士と司法書士では、費用が異なる
弁護士と司法書士では、過払い金返還請求の費用(相場)の内訳や金額などが異なります。下の表をご覧ください。
※金額は目安です。
弁護士 | 司法書士 | |
相談料 | 5,000円~1万円 (無料の場合もあり) |
5,000円~1万円 (無料の場合もあり) |
着手金 | 1~2万円/1社につき (無料の場合も) |
1~2万円/1社につき |
報酬金 | 2万円まで/1社につき ※上限あり |
2~3万円/1社につき ※上限あり |
過払金回収報酬 | 和解:過払い金の約20% 訴訟:過払い金の約25% |
和解:過払い金の約20% 訴訟:過払い金の約25% |
その他 | 実費 | 実費 |
司法書士の報酬は、日本司法書士会連合会(日司連)で定めていますが、着手金と基本報酬を合わせた「定額報酬」を最大5万円以下となっています。
そのため、一般的には司法書士費用のほうが若干安くなることが多いようです。 なお、弁護士と司法書士では業務無範囲が異なります。
弁護士は貸金業者との交渉や訴訟などの法律業務全般が行えるのに対し、司法書士(認定司法書士の限る)は140万円を超える案件を取り扱うことができないため、状況によっては司法書士への依頼が難しいケースもあります。
過払い金返還請求にかかる費用の内訳
続いては、過払い金返還請求にかかる費用の主な項目(内訳)です。
【相談金】
弁護士や司法書士に対する相談料です。30~60分ほど時間を取ってくれるケースが多いでしょう。
費用の相場は5,000円程度ですが、無料で対応してくれるところも多くあります。
【着手金】
過払い金返還請求を依頼した段階で支払う費用で、返還請求の結果にかかわらず発生します。
相場は1社あたり1~2万円程度ですが、こちらも事務所によっては無料になる場合があります。
【報酬金】
過払い金返還請求完了後にかかる費用です。
過払い金の調査や計算、示談における貸金業者との交渉、示談がうまくいかなかった場合の裁判手続きなどの費用がこれにあたります。
【過払金回収報酬】
回収できた過払い金の額に応じて支払う費用です。
上の表で示したとおり、和解交渉は回収分の約20%、裁判だと約25%が相場。ただし、事務所によっては異なる場合があります。
【その他】
交通費、書類の郵送費、収入印紙代、裁判の手数料など実際にかかった費用(経費)です。
通信費、事務手数料、振込代行手数料などの費用を請求する事務所もあります。
以上が、過払い金返還請求の一般的な費用です。法律事務所によって無料の項目があったり、項目名称が異なる場合もあります。
費用を支払うタイミングは?
過払い金返還請求の費用を払うタイミングについても、法律事務所によって異なる場合もあります。 一般的に、相談料は相談時、着手金は過払い金返還請求の手続き開始のタイミングで払います。
報酬や実費といった費用は、過払い金が戻ってくるタイミングで払う場合が多いようです。
しかし、事務所によっては着手金を基本報酬などに組み入れるケースもあり、その場合は過払い金が戻ってきてから支払うことになります。
また、費用の後払いや分割払いに応じてくれる法律事務所もあります。
相談料や着手金、その他手数料などは無料の事務所もあるので、法律事務所などに相談する際は確認してみましょう。
法律事務所によって、返ってくる過払い金が異なる場合もある
過払い金返還請求の費用発生において重要なポイントとなるのが、過払い金の返還率や返還までにかかる期間です。
これは法律事務所の交渉力によるところがあり、あまり過払い金返還請求に実績がない事務所では満額を返還できなかったり、返還までの期間も長くなる可能性もあります。
したがって、過払い金返還請求の実績が豊富な法律事務所に依頼するのがよいでしょう。
自分で「過払い金返還請求」をするメリット・デメリット
過払い金は自分で返還請求することも可能で、弁護士や司法書士に依頼するより費用は安く済みます。
実費として必ず発生するのは「郵券代(郵送費)=約6,000円」「代表者事項証明書=約600円」「印紙代=1,000円~3万円程度(過払い金の金額によって異なる)」の3つのみ。
このほかに貸金業者から取引履歴を取り寄せる際に手数料がかかる場合もありあますが、概ね1~4万円程度の費用負担で抑えられるでしょう。
しかし、自分で過払い金返還請求を行うことにはデメリットもあります。
【デメリット1】過払い金の返還額が少なくなる可能性がある
最も大きなデメリットといえるのは、過払い金の返還額が少なくなる可能性があることです。
過払い金返還請求は貸金業者との交渉となりますが、貸金業者は金融業務のプロであり、交渉においても豊富な経験を有すると考えられます。
交渉に不慣れな素人が立ち向かうと、有利に交渉できずに返還額が目減りする可能性があります。
【デメリット2】手続きに手間と時間がかかる
過払い金返還請求の手続きは、想像以上に手間のかかる作業です。 主な請求の流れは以下の通りです。
・当時の取引履歴をすべて確認
・過払い金の計算を正しく行う
・過払い金返還請求書を作成し貸金業者へ送付
・貸金業者と交渉
このように、複雑な計算を間違いなく行ったり貸金業者と直接交渉する必要があり、回収までに多くの時間がかかる場合があります。
また、お互いの要望が折り合わない場合は裁判になってしまう場合もあります。
【デメリット3】借金をした事実が、周囲にバレる可能性がある
借金をしていた事実を家族や勤務先に隠している場合は、手続きの過程で知られてしまうおそれがあります。
自分で請求手続きを進めていけば、貸金業者から取引履歴資料を取り寄せたり、交渉のために連絡を行なう必要があります。
これらが家族や周囲の人の目や耳に留まり、借金をしたことがバレてしまう可能性があります。
以上の3つのデメリットをふまえると、自分で過払い金返還請求の手続きを行うことの難しさが理解できるかと思います。
裁判を起こしたほうが、過払い金が多く返ってくる場合も?
過払い金返還請求の手続きは大きく「裁判以外(和解・示談など)」と「裁判」との2種類にわけられますが、裁判を起こしたほうが多く過払い金が返ってくる場合もあります。
過払い金の返還請求で裁判をするメリット
過払い金返還請求の裁判を行うメリットは、有利な形で過払い金の返還を受けられる可能性が高いことです。
そもそも過払い金は「グレーゾーン金利」と呼ばれる、違法な金利で契約させられたことで発生した利息です。 法律を盾にその点を指摘する裁判になると、貸金業者は不利になるため、結果としてより多くの過払い金が返還される可能性もあるのです。
裁判を起こした場合にかかる諸費用
裁判を起こした場合は、どのような費用がかかるでしょうか。
まずは、裁判所費用などの実費について見ていきましょう。
- 郵券代(郵送代)=約6,000円
裁判を起こす場合、裁判所から貸金業者宛に訴状を送ります。その際にかかる郵送費が「郵券代」です。 裁判時に納める郵券代は約6,000円ですが、この金額は裁判を行う裁判所によって異なります。
郵券代が足りない場合は追納し、余れば裁判終了後に返還されます。
- 代表者事項証明書=約600円
過払い金返還請求の訴状に添付して、裁判所に提出する書類です。 相手は法人の貸金業者であるため、その代表者が誰であるかを証明する必要があります。 記載事項は「貸金業者の商号(社名)」「本店住所」「代表者氏名」など。 これらの書類は、法務局またはその出張所で取得できます。
- 印紙代=1,000円~3万円程度
過払い金返還請求を行なう際に、裁判所へ払う手数料です。収入印紙で払います。 必要となる印紙代は過払い金の請求額によって異なりますが、目安としては以下のとおりです。
請求額10万円までの場合:1,000円
請求額99万1円~100万円の場合:1万円
請求額480万1円~500万円までの場合:3万円
すでにお気づきだと思いますが「郵券代」「代表者事項証明書」「印紙代」は自分で過払い金返還請求を行う場合と同じです。弁護士や司法書士に依頼する場合でもこの費用はかかると覚えておきましょう。
- 裁判の場合にかかる弁護士・司法書士の費用
弁護士・司法書士に依頼した場合の成功報酬は、裁判以外(和解・示談など)の場合は回収額の20%が相場ですが、裁判の場合は5%上 乗せとなって回収額の25%となる場合があります。 これに加え、事務所によっては「訴訟手数料」「日当交通費」などが加算されることもあるので、依頼前に確認しておきましょう。
過払い金の返還請求を法律事務所へ依頼するときに気をつけるポイント
過払い金返還請求を依頼する法律事務所を選ぶ場合は、以下のポイントに注意しましょう。
報酬や費用の内訳を明示しない事務所には注意
初回相談時に報酬額を明示しなかったり、費用の内訳について丁寧な説明がなかったりする弁護士・司法書士事務所には注意しましょう。
「戻ってきた過払い金以上の費用を請求される」などのトラブルを避けるためにも、事前にしっかり確認しておきましょう。
無断で手続きを進める、過払い金返還額を偽るなどの悪徳事務所も
相談だけのつもりが、無断で過払い金返還請求の手続きを進められ、費用を請求されるというトラブルもあるようです。
万一、借金を完済していない状態で過払い金返還請求をすると「債務整理をしたこと」になってブラックリストに載ってしまいます。
すると、突然クレジットカードが使えなくなるなどのトラブルに見舞われます。
また、過払い金返還額を偽ってその一部を横領する悪徳事務所や、手続きを途中で放置する怠慢事務所も存在するようです。
放置された結果、時効になってしまったり、貸金業者が倒産して返還請求できなくなるという可能性もあります。
このような事態を防ぐには、契約内容をよく確かめる必要があります。
「無料相談」「費用の後払い」に対応してくれる事務所もある
「相談料無料」や着手金などの「費用の後払い」に対応している事務所もあります。
戻ってきた過払い金の中から費用を払うことができれば、手元にお金がなくても依頼することが可能になります。
費用の後払いが可能かを確認してみましょう。
【まとめ】依頼する法律事務所を選ぶ、3つのポイント
過払い金返還請求を依頼する事務所を選ぶポイントについて、以下の3つにまとめました。
- 過払い金返還請求の実績が豊富な事務所
- 費用の明細を明記している
- 事前に司法書士や弁護士による過払い金返還請求のデメリットについて説明がある
以上の要件を満たしている事務所なら、相談してみてもよいといえるでしょう。
可能であれば、複数の事務所に問い合わせて、費用や対応などを比較してから依頼することをおすすめします。
法律事務所に相談し、過払い金を取り戻しましょう
「過払い金返還請求」を弁護士や司法書士に依頼することを検討しているなら、まずは無料相談などの機会を利用してみましょう。
過払い金返還請求の実績がある法律事務所を見つけて、費用の内訳や報酬の内容について尋ねることで、納得できる過払い金返還請求できる可能性があります。
この記事で紹介した費用の相場や、事務所の選び方などを参考にしてください。
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