期限の利益とは、借金などの債務を負った人が、期限が到来するまで返済をしなくてもよいという権利(利益)のことです。
債権者は期限がくるまで請求できず、債務者にとっては債務に猶予が生まれるため利益となります。
一方で、支払い遅れや滞納があると期限の利益を喪失し、一括返済を求められる場合があります。
期限の利益を喪失した場合には、対処法を弁護士に相談するのも選択肢でしょう。
この記事では、期限の利益について以下の点を詳しく解説しています。
- 期限の利益とは何か
- 期限の利益が喪失となる場合
- 期限の利益が喪失となった時に起こること
- 期限の利益が喪失となった場合の対処法
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期限の利益とは?
期限の利益とは、債務者(お金を借りた人)が、期限が到来するまで返済をしなくてもよいという権利(利益)のことです。
期限の利益については、民法第136条の1項に定められています。
(期限の利益及びその放棄)
第百三十六条 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
たとえば、100万円の借入を行なった債務者が、債権者(お金を貸した側)との間で「3ヶ月後までに100万円を返す」という合意をした場合を考えてみましょう。
債権者は、この合意に基づき、自分の事情で100万円がすぐに必要になったとしても、3ヶ月後までは債務者に対して返済を強制することはできません。
合意によって、債務者の期限の利益が守られているのです。
しかし、債務者の事情や行動によって期限の利益が失われれば(期限の利益の喪失)、債権者がすぐに返済をしなければならなくなることがあります。
この後に続けて解説します。
期限の利益の喪失とは?何が起こる?
返済滞納などをした債務者が期限の利益を喪失すると、債権者は債務者に対して一括返済を求めることができるようになります。
期限の利益喪失後の流れの例は以下の通りです。
- 期限の利益喪失通知が届き、遅延損害金もふくめ一括返済を請求される
- 借金の担保回収や、保証人・連帯保証人に対して一括請求が行われる
- 借金に担保や保証人の設定がない場合は、債務者に差押えが行われることがある
この後で詳しく解説していきます。
期限の利益喪失通知が届き、遅延損害金もふくめ一括返済を請求される
貸金業者などから借金をしている人が、返済滞納などによって期限の利益を喪失すると「期限の利益喪失通知」が届き、一括返済を請求されることがあります。
期限の利益が喪失となったときには、返済するまでの間、借金残高の全額に対して遅延損害金がかかります。
たとえば、未返済の借金が50万円あるとして、これに対して遅延損害金の金利が年率20%でかかるとします。
支払い期日から60日たった場合の遅延損害金の金額は以下のとおりです。
50万円(未返済残高)×20%÷365(1日あたりの遅延損害金利率)×60(遅延日数)=16,438円
なお、期限の利益を喪失していなければ、返済が遅れた際に支払う必要があるのは、分割返済の1回分に対する遅延損害金のみです。
期限の利益喪失は重大な問題であることがわかるでしょう。
遅延損害金については、以下の記事で詳しく解説しています。」
担保回収や保証人、連帯保証人への一括請求がされる
期限の利益を喪失すると、債権者によって担保回収や保証人および連帯保証人への一括返済請求が行われることがあります。
担保回収とは、借金に不動産などの担保(抵当権)が設定されている場合に、抵当権が行使され、競売にかけられてしまうことです。
競売で担保とした不動産などの買い手がつくと、債務者は担保を手放すことになります。

抵当権とは、金融機関から借入を行う際、土地や建物などに設定される権利のこと。
この権利を持つ金融機関は、借金の返済がなかった場合、抵当権が設定された土地、建物を売却し、借金を回収することができます。
借金に保証人または連帯保証人がいる場合は、債務者の期限の利益喪失によって、債権者から一括返済を請求されることとなります。
保証人についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
借金に担保、保証人の設定がない場合、差押えの可能性も
借入の際に担保を設定せず、保証人や連帯保証人を立てていない場合には、債権者は裁判上の手続きを使って返済を求めることになります。
一般的に、支払督促を簡易裁判所に申し立てたり、民事訴訟を提起したりといった手段が用いられます。
これらの手段が講じられた後でも債務者が返済に応じない場合には、債権者は裁判所を通じて差押えの強制執行を行うことができます。
債権者の給与や家、各種財産など、幅広いものが対象になります。
差押えについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
期限の利益はいつ喪失される?喪失条項について解説
期限の利益は、以下の2つの定めのどれかに抵触した場合に喪失となります。
- 民法第137条に定める事項
- 契約で期限の利益の喪失条項を定めた場合
この後に続けて詳しく解説していきます。
民法の条項に当てはまったとき
民法第137条に定める以下の事項に該当した場合、債務者の期限の利益は喪失となります。
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
債務者が破産手続きに入ると、破産管財人が債務者の財産を処分し、債権者に弁済します。
債権者は破産手続きによる弁済を一括で受けることになります。
また、債務者が担保価値を減少させたり、そもそも担保を提供しない場合、債権者は返済されない不利益を受ける可能性が高くなります。
そのため、債権者は一括返済を請求できるようになるのです。
契約上の「期限の利益の喪失条項」に当てはまったとき
民法第137条に定める以外にも、契約で期限の利益喪失条項を定めることがあります。
契約で期限の利益喪失条項を定める場合は、借金をより確実に回収するため、民法よりも広く喪失事由を定めるのが一般的です。
以下に例をあげておきます。
- 債務整理(任意整理、個人再生など)を行なった
- 債務者が一定期間返済を滞納した
- 債務者が不渡り手形を出した
- 差押えを受けた
- 債務者が死亡した
- 債務者が住所不明となった
- 債務者の財産状況の悪化や虚偽が発覚した
- 債務者が反社会的勢力だった
返済の滞納などの信頼性に関わる事由については、債権者の求めによって期限の利益喪失とする場合が多くなっています。
債務整理や不渡り、差押え、あるいは死亡や住所不明など、客観的に明確な状態で、いったん該当してしまうと回復できない事由については、債権者の主張がなくても期限の利益が失われるようにすることが多いです。
期限の利益喪失通知が届いている場合の対処法
期限の利益喪失通知が届いた場合の対処法には、以下のようなものがあります。
- 返済の目処が立つ場合は債権者と交渉する
- 自力返済が難しければ債務整理を行う
この後に続けて解説していきます。
返済の目処が立つ場合は債権者と交渉する
一括返済が難しくても、たとえば分割すれば完済できる見込みがある場合、債権者と交渉する余地があります。
債権者に収入や資産を開示し、定期的に行える返済の額を具体的に伝え、そのうえで、返済期日の変更や分割などを交渉することが多いでしょう。
返済を受けるめどが立つ場合には債権者にもメリットがあるので、合意してもらえるかもしれません。
交渉で合意できれば新たな返済条件が決まるため、期限の利益喪失を防ぐことができます。
自力返済が難しければ債務整理する
自力で一括返済ができない時は、債務整理が視野に入ってきます。
おもに以下の3つの方法があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と交渉して新たに返済方法を決める方法です。
利息などをカットし、残った元金を3~5年程度で返済することを目指します。
個人再生は、裁判所に再生計画を申し立て、借金を5分の1~10分の1程度に減額してもらう方法です。
減額された借金は原則として、3年かけて返済します。
自己破産は、裁判所に申立てを行い、一部を除くすべての借金を帳消しにしてもらう方法です。
いずれも一般の個人が一人で行うのは難しいことも少なくないため、弁護士のサポートを受けて行うことが多いです。
債務整理については以下の記事で詳しく解説しています。
期限の利益の喪失が不安な方は、弁護士にご相談ください
期限の利益とは、借金などの債務を負った人が、期限が到来するまで返済をしなくてもよいという権利(利益)のことです。
債務者が期限の利益を喪失すると、債権者は債務者に対して一括返済を求めることができるようになります。
期限の利益喪失通知が届き、一括返済ができない場合の対処法には「返済の目処が立つ場合は債権者と交渉する」「自力返済が難しければ債務整理を行う」といったものがあります。
ただし、債権者との交渉や債務整理は、債務者が自力で行うのは難しい場合も少なくありません。
無料相談を受け付けている弁護士事務所もあるので、事態が悪化する前に、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
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