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2020.05.13
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借金にも時効がある!?成立の条件や確認方法、デメリットは?

返済していない借金があるが、督促がなかったので放っておいた
借金に時効があるなら、自分の場合も返さなくて済む?

借金には時効があると聞いて、驚いた方もいるでしょう。たしかに借金には時効があり、時効が成立すれば返済義務はなくなります。しかし、時効の成立にはさまざまな条件があり、その条件をすべて満たさなければ時効が成立することはありません。

この記事では、借金が時効になる条件や、時効が成立するまでの流れについて解説します。時効の成立が難しい場合の選択肢についてもご説明しますので、ぜひ最後までお読みください。

借金にも時効はあるが、時効成立には手続きが必要 

冒頭でお伝えした通り、借金には時効が存在します。正式には「消滅時効」といい、貸した側である債権者が借りた側である債務者に対して請求などをしない場合、一定期間が経過すると債権が消滅します。

借金の時効が成立するのは次のようなケースです。

  • 時効が成立する日までに債権者から借金の返済を求められておらず、またご自身から借金に関して話していない
  • 最終返済日から時効が成立した日まで、1円も返済していない
  • 時効まで借金に関する裁判が行われていない
  • 以上のいずれかに当てはまる場合は、借金の時効が成立する可能性があります。時効が成立した時点で返済義務は消滅するため、借金が残っていても、自ら返済する義務はありません。

    しかし、借金の時効を成立させるには、債務者が債権者に対して「時効の援用」を行う必要があります。

    「時効の援用」とは、債務者が債権者に向けて「消滅時効となったので借金は返済しません」と意思を伝える手続きのこと。口頭で伝えてもよいのですが、後に争いとなったときに証拠を残すために、「時効援用通知書」という書類を作成し、内容証明郵便で債権者に郵送しなければなりません。

    その詳細については、のちほど詳しくご説明します。

    時効成立の条件とは

     

    時効の援用が成立すると、債務者の借金返済義務は消滅します。しかし、時効の援用を成立させるには、以下の条件をすべて満たす必要があることを覚えておきましょう。

    返済期日または最後の返済から5年・10年が経過

    時効の援用を行うには、「法律で定められた時効期間を過ぎていること」が必要です。

    これまでは、消費者ローンやカードローン、キャッシングなどの貸金業者が債権者なら時効期間は5年、信金(信用金庫)、信組(信用協同組合)、労金(労働金庫)、農協(農業協同組合)、住宅金融支援機構、奨学金、個人間の借金などは10年と定められていました。しかし、債権者法の改正によって2020年4月1日から時効期間は次のように変更されます。

    ただし、これらの規定は、2020年4月1日よりも前に契約していた借金については適用されないため、その場合は、従来のとおり最後の返済から5年間で時効が完成することになります。

  • 借金の時効について知ったときから5年
  • 時効の援用を行う権利を行使できるときから10年
  • 以上のいずれかのうち、早いほうのタイミングで借金の時効期間が満了となります。

    また、時効期間の計算は次のように行います。

    返済期日が決まっている場合 返済期日または期日後の最後の返済の翌日から数える
    返済期日が決まっていない場合 借金をした日または最後の支払いから数える

    以上の計算で時効期間が満了していれば、その借金について時効の援用ができます。

    時効の中断がないこと

    借金の時効が成立するもう一つの条件は、なんらかの理由で時効がリセットされる「時効の中断」がないことです。時効の中断が行われるのは、以下のようなケースです。(なお、改正民法では、「完成の猶予」という言葉に代わりますが、便宜上、従来どおりの表現である「中断」でご説明いたします。)

    時効期間中に債権者が借金の存在を認めた

    借金の時効は「債務の承認」により中断されます。債務の承認とは、債務者が口頭や文書、借金の返済などの行為によって借金を返済する意思を表明することを指します。

    例えば、時効期間に1円でも借金の一部を返済したり、債務者から「借金を返済します」と伝えたりすると時効が中断されます。それまで積み重ねてきた時効期間がリセットされてしまうので、注意が必要です。

    また、債権者の中には時効成立間際に債務者に連絡を取り、「いつ返済できますか?」などと尋ねてくるケースがあります。そこでうっかり返済の意思を示すと「債務の承認」と見なされてしまいます。

    債権者が債務者に対し、返済請求手続きを行った

    支払い督促、和解・調停の申し立て、破産・再生・更生手続きへの参加など、裁判所が関与する手続きが発生して返済請求が行われた場合も時効が中断されます
    判決等が確定した後、時効期間は10年に延びてしまいます。

    また、裁判所が関与する手続きでなくても時効が中断するケースがあります。それが、「催告」という手続きです。催告は口頭や書面(通常は証拠化するために内容証明郵便が用いられます)などで支払いを請求する行為で、催告後6カ月は時効が進行しなくなりますので、この期間中に裁判等をすれば時効の中断となります。

    債権者が債務者の財産に対して法的措置を行った

    債権者が債務者に対して裁判を起こし、その財産に対して差し押さえ・仮差し押さえ・仮処分を行った場合も時効が中断されます。

    時効成立までの流れ

    借金の時効が成立する条件について、ご理解いただけたでしょうか?続いては、時効成立に必要な「時効の援用」を始めるタイミングや手続き方法、時効が成立するまでの流れについて具体的に見ていきましょう。

    (1)時効期間が満了する

    時効期間が満了していれば、時効の援用は可能です。ここでもう一度、時効の期間やその計算方法についてチェックしましょう。

    返済期日が決まっている場合 返済期日または期日後の最後の返済の翌日から数えて5年または10年
    返済期日が決まっていない場合 借金をした日または最後の支払いから数えて5年または10年

    この段階で返済期日などの情報がわからなければ、債権者に問い合わせる必要があります。ただし、聞いたからといって正確に答えてもらえるとは限らず、逆に「債務の承認があった」と見なされる可能性も否定できません。

    信用情報機関に個人情報の開示を求める方法もありますが、「それが原因で債権者に借金を滞納していることを知られて時効を中断されたら……」と思うと、なかなか実行に移せない方も多いでしょう。

    そのような場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談してみるのも手です。弁護士や司法書士に依頼すれば、適切なプロセスで情報を収集してくれる可能性が高いといえます。

    (2)時効の援用の手続きをする

    時効期間の満了が確認できたら、債権者に内容証明郵便で「時効援用通知書」を送ります。

    時効援用通知書には次の内容を記載します。

  • 時効援用通知書を記載した日付
  • 債権者(受け取り人)の住所氏名
  • 債務者(差し出し人)の住所氏名
  • 時効の援用手続きを行う旨の意思表示
  • 借金を特定できる情報
  • ※債務者の生年月日や借金を契約した年月日、借入額、借金の契約番号など

    以上の事項を記載した時効援用通知書を、配達証明付き内容証明郵便で送ります。それによって「○月○日に債権者○○に時効援用通知書を送った」という情報が郵便局に記録され、債権者が時効援用通知書を受け取った証明となります。

    また、配達証明付き内容証明郵便は、その文書の内容で送ったことも証明できるため、裁判上の証拠としても重要となります。

    (3)債権者が時効援用通知書を受け取る

    時効援用通知書が債権者に届くと、債権者は債務者の取引履歴を確認し、時効期間が満了しているかどうかをチェックします。時効期間が満了していないと時効を中断される可能性があるため、時効期間の計算は慎重に行う必要があります。

    (4)時効が成立し、返済の義務がなくなる

    債権者が確認しても時効期間が満了していれば、借金の時効が成立します

    時効の成立後に債権者から返済を求められる可能性もありますが、それに応じて返済する必要はありません。むしろ、少しでも返済請求に応じると時効の援用ができなくなる可能性もあるので、毅然とした態度で「その借金は時効です」と返答しましょう。

    今度は、時効期間が満了したのに督促が来ている場合や、すでに債権者から裁判を起こされている場合の時効の援用についてご説明します。

    債権回収会社や弁護士から督促が来た場合、業者から督促が来ている場合

    時効期間が満了して時効の援用が可能な状況にもかかわらず、貸金業者や債権回収会社、代理人となった弁護士などから借金の督促が来る場合があります。
    その場合は、時効を中断させないために適切な対処を行うことが必要です。

    とはいえ、債権回収会社や弁護士からいきなり連絡が来れば、冷静に対処できる方のほうが少ないかもしれません。その際にうっかり「返済します」などと言ってしまう可能性も考えられるため、いったん返答を保留して専門家に相談するのも一つの手段といえるでしょう。

    裁判がすでに始まっている場合でも間に合うことがある

    この記事をお読みになっている方の中には、「一括返済請求」の裁判を起こされ、すでに裁判が始まっている方もいるかもしれません。しかし、時効期間が満了していれば、裁判で時効を主張することによって時効の援用が間に合うケースもあります。

    もちろん、一刻を争うのでできるだけ早い対応が必要です。不安がある場合は、弁護士・司法書士などの専門家に相談したほうがより確実といえるかもしれません。

    時効にメリットデメリットはある?

    時効の援用について一通り説明したところで、あらためて借金の時効成立を目指すことのメリットやデメリットについて解説します。

    時効のメリット

    借金の時効が成立することの最大のメリットは、返済義務がなくなり、貸金業者や債権回収会社といった債権者からの督促が止まることです。
    また、信用情報機関によっては、滞納による負の信用情報が訂正される場合もあります。

    例えば、JICC(日本信用情報機構)に登録された事故情報は削除され、CIC(株式会社CIC)では登録情報が訂正されます。それにより、いわゆる「ブラックリスト入り」の状態にあった場合はそれが解除され、再びクレジットカードやローンが利用できるようになる可能性も高いでしょう。情報が変更されていない場合は、ご自身で訂正・削除請求をすることもできます。

    時効のデメリット

    一方、借金の時効成立を目指すことに関してはデメリットもあります。

    時効が完成していないと、多額の返済を求められることになる可能性も

    最も大きなデメリットは、時効が成立していなかった場合は、時効の援用がやぶへびになってしまい、多額の返済を一括で求められてしまう可能性があります。

    時効の援用を行えるケースとは、「借金を返済しないまま長い間放置している状態」です。したがって、長期間の間に溜まっていた遅延損害金(最大20%)が加算されることになりますので,多額になってしまうことが多いです。

    その結果、返済額が大きく増えて生活が窮地に陥る恐れもあるでしょう。

    時効の援用をした業者では借り入れできない

    もう一つのデメリットは、時効の援用をした貸金業者ではそれ以降借り入れができなくなることです。

    時効の援用は、借金返済義務から解放される債務者側から見ればメリットが大きいですが、債権者側から見れば「借金を合法的に踏み倒される形」となり、損害でしかありません。「そのような債務者に再びお金を貸せば、また借金を踏み倒されるかも」と債権者が考えるのも当然でしょう。

    このように、借金の時効は債務者が借金返済から解放されるメリットがある反面、借金が増えるリスクや債権者の信用を取り戻せないというデメリットもあることも知っておきましょう。

    実際には時効の成立が難しい場合も。債務整理や専門家を頼るのもひとつの手段

    時効の成立は実現困難なミッション

    債務者が時効の援用を行って時効が成立すると、貸金業者などの債権者は借金を回収できなくなるのでその分の損害を被ります。そうした事態を避けるべく、貸金業者は時効を成立させないよう、さまざまな手段を講じて借金を回収しようとするでしょう。

    例えば、時効の直前や時効後に業者が返済を求めてくる場合があります。目的は、時効の中断や時効を援用する権利を喪失させることにあります。です。それによって、滞納状態となっている借金やその利息、遅延損害金をすべて回収しようと試みます。

    時効の成立にはさまざまな条件があるうえ、債権者が全力で時効の援用を止めようとしてくるケースも多くあるので、ハードルが高いミッションといえるでしょう。そんなとき、一つの選択肢として考慮しておきたいのが「債務整理」です。

    状況によっては債務整理のほうが早く解決に至る場合も

    時効の援用ができるまでには5~10年の時効期間を要し、時効の援用を行ったとしても時効が完成していなければ、多額の一括請求がくるリスクがあります。しかし、債務整理なら借金を減額し、時効成立を目指すよりも短期間で完済を実現することができるかもしれません。

    債務整理は減額や免除を目指して借金を整理する法的手続きのことで、「任意整理」「個人再生」「自己破産」などの種類があります。もし一定の安定した収入があり、かつ借金が多くなければ、将来的に発生する利息をカットして元本を3年程度の計画で分割返済する任意整理が選択肢に入るでしょう。

    例えば「時効まであと6年」で「中断されない保証もない」という場合、任意整理を選択したほうが早く解決できます。いわゆる「ブラックリスト入り」の状態となって5年間はクレジットカードやローンが利用できなくなりますが、その不便さを一時的に我慢して制限のない生活に戻るほうが、時効を待つよりリスクが低いといえるでしょう。

    債務整理は自分で手続きを行うこともできますが、「法律に詳しい弁護士や司法書士に依頼するほうが安心」という考え方もあります。無料相談の機会などを利用しながら、ご自身の状況に応じた借金問題解決方法を見つけてください。

    まとめ

    借金には時効(消滅時効)があり、5~10年の時効期間が過ぎれば時効の援用手続きによって借金返済の義務を消滅させることができます。

    しかし、時効の援用には対象となる借金を特定する情報や時効期間を、正確に把握する必要があります。また、時効が完成していなければ、元々の借金に利息や遅延損害金が加算され、自己対応が困難となる額の借金を抱えてしまうリスクもあります。

    その点、「債務整理」であればより低いリスクで、より早く借金問題を解決できる可能性があります。この記事をお読みになって「債務整理という選択肢も考えてみよう」と思った方は、まず法テラスの窓口や弁護士事務所などの無料相談などで話を聞いてもらうのもよいでしょう。

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