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「自己破産の流れってどうなっているの?」
「自己破産の進め方や必要な書類がイメージできない・・・」
自己破産を考えたときに気になるのが、手続きの流れではないでしょうか。
自己破産の手続きは複雑なので、スムーズに進めるには流れや準備することを把握しておいた方が良いです。
そこで、この記事では、自己破産の流れや必要書類などについて詳しく解説していきます。
代理人として自己破産の申し立てを進めてもらえる弁護士に依頼するメリットも説明しますので、ぜひおさえて頂ければと思います。
自己破産手続きの流れ
自己破産の手続きには同時廃止、管財事件、少額管財があります。
自己破産のベースになる手続きは管財事件なので、まずは管財事件の流れをおさえておきましょう。
自己破産は管財事件の流れが基本|期間は約6ヵ月~1年以上
管財事件とは、一定以上の価値ある財産や、ギャンブルや浪費など借金の理由に問題がある可能性があるときの手続きです。
管財人が選任されて財産や借金理由の調査が行われるため、自己破産の申し立てから約6ヵ月~1年以上の期間がかかります。
【管財事件の流れ】
・専門家との初回相談
↓
・専門家による調査・情報収集(不動産や生命保険の査定など)
↓
・専門家への依頼
↓
・専門家による受任通知の送付
↓
・専門家と本人による必要書類の準備
↓
・専門家による申立書の作成、申立て
↓
・裁判所による申立書の内容確認
↓
・専門家による不足事項に対する説明や不足資料の提出
↓
・裁判所による管財人候補の選定
↓
・裁判所による破産手続き開始決定
↓
・管財人による財産や借金理由の調査
↓
・債権者集会
↓
・管財人による配当手続き、債権者集会終了
↓
・裁判所による免責許可
手続きの中で、弁護士、裁判官、管財人に対して嘘をついてはいけません。
財産や借入先を隠すことで返済義務が免除されない可能性もあるので、正直に話しましょう。
自己破産の手続きは3つ|管財事件・同時廃止・少額管財
先ほどもご説明したとおり、自己破産には同時廃止、管財事件、少額管財の3種類の手続きがあり、価値ある財産がどの程度あるかなどによって取れる手続きが変わってきます。
少額管財は管財事件の一種で、各裁判所が独自に設定している運用方法です。
最も費用がかからず手続きとして選ばれることが多いのは同時廃止で、最も費用がかかるのは管財事件です。
【自己破産の費用総額の目安】
・同時廃止 30万円~50万円
・管財事件 80万円~130万円
・少額管財 50万円~80万円
自己破産の費用は工夫をすると抑えられる場合もあります。
費用の詳細や負担を抑える方法に関心のある方は「自己破産したいけど費用が心配・・・手続きの相場と費用を抑える方法」も確認しておくといいでしょう。
同時廃止の流れ|期間は約3~4ヵ月
同時廃止とは、一定以上の価値ある財産がなく、借金理由にもギャンブルや浪費などの問題がない場合の手続きです。
管財事件と違って管財人候補の選定や債権者集会が行われないため、期間の目安は自己破産の申し立てから約3~4ヵ月と、管財事件より短いです。
【同時廃止の流れ】
・専門家との初回相談
↓
・専門家による調査・情報収集(不動産や生命保険の査定など)
↓
・専門家への依頼
↓
・専門家による受任通知の送付
↓
・専門家と本人による必要書類の準備
↓
・専門家による申立書の作成、申立て
↓
・裁判所による申立書の内容確認
↓
・専門家による不足事項に対する説明や不足資料の提出
↓
・裁判所による破産手続き開始決定
↓
・裁判所による免責許可
少額管財の特徴|期間は約4~6ヵ月
少額管財とは、管財事件を簡略化して進められる手続きで、期間の目安は約4~6ヵ月と管財事件よりも短いです。
少額管財を利用するには、弁護士に手続きを依頼する必要があります。
その上で、弁護士による財産の調査がしっかり行われて必要書類も揃っており、全ての財産を現金化しても配当の対象になる財産が60万円未満、または60万円以上でも現金化が簡単な財産(預貯金、保険等)しかないときなどに利用できる可能性があります。
手続きの流れは管財事件と共通していますが、本来は管財人が行う財産の調査の多くを、依頼を受けた弁護士が行うことになります。
それによって管財人の作業負担が軽くなるので、管財事件よりも早く終わるというわけです。
自己破産の手続きに必要な書類
自己破産は、必要な書類も多くて複雑です。
手続きをスムーズに進めるには、あらかじめ書類を準備しておくと効率的なので、揃え方や注意点と合わせて確認しておきましょう。
本人の氏名、住所、生年月日、借金総額などを記載する書類です。
用紙は申し立てを行う裁判所で入手できます。
職歴や家族関係、借金をした事情や生活状況理由などを記載する書類です。
本人が作成する場合は陳述書、代理人弁護士が作成する場合は報告書になります。
こちらの用紙も申し立てを行う裁判所で入手できます。
銀行、消費者金融、クレジットカード会社、個人の借入相手など全ての債権者について記載する書類です。
債権者を意図的に隠した場合、自己破産を申し立てても返済が免除されない可能性があるので注意が必要です。
こちらも用紙の入手先は申し立てを行う裁判所です。
申し立て前3ヵ月以内に交付された、マイナンバーが入っていない住民票を用意します。
市区町村役場等で入手できます。
申し立て前1~2ヵ月分の家計簿を準備します。
家計簿がない場合は書面で作成しても構いません。
事実とは異なる家計簿を作成した場合、返済が免除されない場合もあります。
申し立て前2~3ヵ月分の給与明細が必要です。
紛失して再発行が難しい場合は、預金通帳のコピーなどを元に収入状況をまとめます。
個人事業主などで確定申告している場合は、申し立て前2年分の確定申告書が必要です。
直近1年分の源泉徴収票を用意します。
紛失して再発行が難しい場合は、市区町村役場で入手する課税証明書・非課税証明書で代用できます。
預貯金、車、不動産など財産について記載する書類です。
用紙は申し立てを行う裁判所で入手できます。
1~2年分の全ての預金通帳のコピー、インターネットバンキングの取引履歴を用意します。
その他、自己破産するために情報が必要な場合は、次の書類を準備しなければなりません。
・不動産の権利書
・保険契約に関する書類
・退職金見込額証明書
・株式の取引明細書
自己破産で解決を図る前におさえてほしい3つのポイント
自己破産の進め方は複雑かつ費用もかかり、決して簡単な手続きではありません。
自己破産をするかどうかを決める前に確認して頂きたいポイントをご説明します。
自己破産の3つの手続きは自分で選べない
同時廃止、管財事件、少額管財を自分で選ぶことはできません。
申し立ての書類をもとに裁判所が決定します。
たとえば本人が、
「生活が苦しくて、自己破産の費用を捻出できないから同時廃止にしたい」
と考えて準備を進めても、どの手続きをするかを判断するのは裁判所ということです。
ただし経験豊富な弁護士に相談することで、同時廃止の見込みが高いか、管財事件の見込みが高いかなどを教えてもらうことは可能です。
スムーズに進めるには準備段階からが大切
自己破産をスムーズに進めるには的確な準備が必要不可欠です。
自己破産に詳しくないにもかかわらず自分ひとりで手続きを進めようとすれば、申し立てにミスがないとしても必要書類を揃えるだけで時間や手間がかかってしまうでしょう。
準備段階でミスがあれば、その後の訂正手続きで何度も裁判所に通うことになるかもしれず、これでは非効率です。
手続きに慣れている弁護士に依頼すれば、準備をスムーズに進められますし、自己破産の申し立てを代行してもらえるので自分の作業も効率的に進められます。
相談から解決まで対応できる専門家は弁護士だけ
代理人として自己破産の申し立てを進めてもらえるのは弁護士だけです。
弁護士は、書類作成だけでなく裁判所での面談にも同席してくれます。
司法書士にも自己破産の依頼はできますが、司法書士ができる対応は書類作成の代行に留まります。
また、管財事件よりも費用がかからない少額管財は弁護士に依頼しなければ手続きができないので、弁護士に依頼するメリットは大きいでしょう。
まとめ
自己破産には、管財事件、同時廃止、少額管財の3種類がありますが、流れの基本は管財事件になります。
価値ある財産が少ない場合にできる同時廃止は、管財人を選任する必要がないので、管財事件よりも早く終わることができます。
少額管財は管財事件の流れを簡略化したものですが、弁護士に手続きを依頼しなければ、自己破産の手続きとして裁判所で選択される可能性はありません。
自己破産は用意する書類が多く手続きも煩雑です。
経験豊富な弁護士であれば、的確な判断で複雑な流れにもスムーズに進められますので、判断に困ったときは弁護士に相談するといいでしょう。