「奨学金は自己破産すれば返済免除される?」
「親が連帯保証人になっているけど、自己破産をすると影響はある?」
奨学金の返済が難しい方の中には、自己破産を検討している方もいらっしゃるかもしれません。
NPO法人 「POSSE」などが「学生時代に日本学生支援機構から奨学金を借りていた人」に実施したアンケートによると、返済延滞の経験がある人は28%、自己破産を検討したことがある人も10%いることがわかっています。
(参照元:東京新聞「『勉強したいだけなのに』 貸与型奨学金の返済延滞、3割が経験 自己破産した人も 市民団体がアンケート結果発表」)
奨学金の返済不能を理由に、自己破産をすることは可能です。その場合、免責(返済の免除)許可をもらうための条件をクリアする必要があります。
- 裁判所に支払い不能状態であると認められること
- 免責不許可事由に該当しないこと
ただし親が奨学金の保証人・連帯保証人になっている場合は、自己破産をすることで親に一括がいってしまうことも注意しておくべきでしょう。
奨学金の返済が厳しく自己破産したいけれど、親に迷惑もかけたくない…そんなお悩みをお持ちの方は、弁護士法人・響にご相談ください。
自己破産以外の解決方法についてもアドバイスが可能です。相談は何度でも無料ですので、お気軽にご利用ください。
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目次
自己破産で奨学金の返済はどうなる?返済が免除される条件は?
冒頭でお伝えした通り、自己破産することによって奨学金の返済義務は免除されます。
ただし奨学金の返済困難を理由に自己破産を申し立てた場合には、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 支払不能状態と認められること
- 借金理由が免責不許可事由に当たらないこと
以下で具体的に解説します。
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
支払い不能状態と認められること
まず、自己破産手続が開始されるためには、「支払不能状態」であると認められる必要があります。
支払不能状態とは、債務者に支払い能力がなく、借金を継続して返済していく見込みが立たない状態のことをいいます。
これは、破産法第2条第11項に照らして、裁判所が判断します。
破産法 第2条 第11項
この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法(平成18年法律第108号)第2条第9項に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう。
(引用元:破産法 第2条)
裁判所は債務者(借主)について、以下のような情報をもとに総合的に返済能力を判断します。
- 借金総額と借入先ごとの借金額
- 毎月の返済額
- 財産総額と個別の財産額
- 収入
- 職業
- 年齢
- 家族構成
- 生活費の状況
- 借金理由と経緯
など
奨学金であっても、「支払不能」と判断される場合は、自己破産できる可能性があります。
支払不能と判断する基準は、一般的に、現在の借金総額を36(ヵ月)で割った金額が、毎月の返済可能額を上回っているような状況かどうかになります。
一方で、失業して収入がないような状況でも、返済できるだけの預貯金が十分ある場合は、自己破産は認められません。
たとえば、現在の収入では奨学金の返済ができないとしても、親から譲り受けた不動産があるようなケースでは、裁判所は、不動産を売却すれば奨学金を返還できると判断します。
この場合、自己破産は認められない可能性が高いといえます。
免責不許可事由に該当しないこと
次に、自己破産手続において免責許可(借金の返済義務免除)決定を受けるための条件として、「免責不許可事由」に該当しないことが挙げられます。
免責不許可事由とは、借金をした理由や返済状況、申立て時の態様などに問題があることをいいます。
借金をした理由に問題があったり、債権者(貸主)にとって害のある行動を取っていたりするようなケースです。
具体的には、以下のような例があります。
- ギャンブル、株式投資、過大な浪費が原因で借金を行う
- 意図的に財産を隠して自己破産を申し立てる
- 特定の債権者にだけ優先して返済を行う
- 返済する意思がないのに自己破産を前提に借り入れる
- 裁判所に事実とは異なる説明を行う
- 前回の自己破産(免責)から7年以内に再度自己破産(免責)を申し立てる
奨学金が返済できないという状態だけであれば、免責不許可事由には当たりません。
それ以外に、浪費的な行動による借金があったり、財産を隠すなど債権者に不利益をもたらすような行為をしている場合は、免責不許可事由に当たる可能性があるので注意しましょう。
ただし、本来であれば免責不許可事由となる、ギャンブルや浪費が原因の借金でも、破産に至った経緯や事情を考慮して、裁判所が免責を許可することがあります。
これを裁量免責といいます。
なお、現在、自己破産手続きで免責申立てを行った後、免責不許可となるケースは非常にまれです。
「2020 年破産事件及び個人再生事件記録調査」では、2020年の免責申立ての結果として、免責不許可となった割合は0%、免責許可がおりた割合が96.85%を占めたという調査結果が出されています。

但し、ご自身の借金が免責されるかどうかは専門的な判断を要するものですので、ご自身で簡単に判断せず、法律の専門家である弁護士に相談する方がよいでしょう。
免責不許可事由については以下の記事で詳しく解説しています。
奨学金を自己破産をすると親に影響がある?
自己破産によって、親にどのような影響があるか気になる人も多いでしょう。
親が奨学金の保証人・連帯保証人になっていた場合(人的保証)は基本的に、自己破産をすると親に一括請求がなされることになります。
一方で、保証機関による保証をつけていた場合(機関保証)は、自己破産をしても親に請求がなされることはありません。
- 人的保証:(親が保証人・連帯保証人なっている場合)親に一括で請求される
- 機関保証:保証機関が代位弁済したのち、債務者本人に請求される
以下で具体的に解説します。
自己破産による保証人については以下の記事で詳しく解説しています。
親が連帯保証人・保証人の場合は親に一括請求がいく
奨学金の保証人を立てる際に、親や親族などの「人」に保証人になってもらうことを「人的保証」といいます。
人的保証で奨学金を借りる際、
- 連帯保証人:親(父母)
- 保証人:おじ・おば・兄弟姉妹
とするケースが多くなっています。
連帯保証人は、債務者本人と同じ返済義務を負っています。そのため、自己破産を行うと、債務者本人が支払えなかった残債はすべて、連帯保証人である親に請求されます。
またこのとき、債務者(この場合は連帯保証人)は「期限の利益」を喪失するため、分割ではなく 一括での返済を求められることになります。

債務者(お金を借りた人)が、期限が到来するまで返済をしなくてもよいという権利(利益)のこと
期限の利益については以下の記事で詳しく解説しています。
これに対して、保証人も返済義務はありますが、あくまでも主債務者(借金をした本人)や連帯保証人に代わって返済する立場です。
本来、保証人は債務者が返済できない場合に、「まずは本人に請求を」と主張することができます。これを「催告の抗弁権」といいます。
ただし、自己破産では基本的に、主債務者は返済不能状態にあります。さらに、連帯保証人も返済できないケースでは、保証人も返済義務を免れることはできないでしょう。
保証人と連帯保証人の違いについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
機関保証を利用している場合は親への影響はない
奨学金の保証人を立てる際に、日本国際教育支援協会などの公益財団法人等を利用することを「機関保証」と言います。
機関保証を選択した場合は、親や親族などの連帯保証人・保証人を立てる必要はありません。
機関保証の場合は、債務者が支払い不能となったとき、本人に代わって保証機関が返済を行います。
保証機関は奨学金の返済をした分を本人に請求することになりますが、債務者と保証機関の債務についても、親は連帯保証人・保証人になっていないはずですので、親に影響することはありません。
注意!奨学金だけを自己破産の対象から外すことはできない
借金がかさんで返済不能となり、自己破産をする場合は、親に請求がされてしまうことを避けるために、奨学金だけを除外して債務整理をしたいと考える人がいるかもしれません。
しかし、自己破産には、「債権者平等の原則」があるため、奨学金を別扱いとすることは認められません。
自己破産の手続きを行う場合、裁判所や債務者などの関係者は、複数の債権者について、その全員を借金の金額に応じて公平に取り扱わなければならないとされているためです。
自己破産したら他にどんな影響がある?押さえておくべき5つのデメリット
自己破産による影響は、保証人への返済請求だけではありません。
他にも、以下の5つのデメリットがあります。
- 信用情報機関に事故情報が登録される
- 家や車などの価値ある財産を失う
- 職業制限がかかる
- 官報に掲載される
- 手続き中は引越しや海外旅行・渡航などが自由にできなくなる
以下で詳しく紹介していきます。
信用情報機関に事故情報が登録される
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。
いわゆる「ブラックリストに載った」状態となり、5~10年間にわたって事故記録が残ります。
事故記録が残っている間は、以下のような影響があります。
- クレジットカードが利用できない
- ローンやキャッシングなど新たな借り入れができない
- 携帯電話・スマホの分割払いができない
- 賃貸住宅の契約ができない場合がある
- 子どもの奨学金の保証人になれない
新たに借金をすることや、分割払いにローンを利用することが基本的にできなくなるため、注意が必要です。
事故情報の登録期間について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
家や車など高額の財産を失う
自己破産をすると、裁判所によって、低限の生活に必要なもの以外の財産は回収されることになります。
破産法第34条は、破産者の財産について以下のように定めています。
破産法第34条第1項 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
(引用元:破産法第34条)
基本的には、すべての財産を回収して換価し、債権者に配分するのが破産法の趣旨です。
ただし、破産者の生活に必要な最低限の財産は、原則として処分を免れます。
- 99万円以内の現金
- 残高合計20万円以下の預貯金
- 20万円以下の保険契約解約返戻金
- 処分見込額合計が20万円以下の自動車
- 部屋を借りる際に払い込んだ敷金
- 電話加入権
- 家財道具
- 差押えを禁止されている動産または債権
- 退職金のうち支給見込額の8分の7相当額
など
自己破産で処分される財産について詳しくは以下の記事をご覧下さい。
職業制限がかかる
裁判所で自己破産の手続きが進んでいる間は、以下のような 職業や資格に制限がかかり、業務につくことができなくなります。
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 公認会計士
- 警備員
- 宅地建物取引士
- 公証人
- 保険外交員
など
一部の資格については、自己破産を申し立てたことを都道府県知事などに届け出る必要があります。
例えば宅地建物取引士の場合は、破産手続開始決定から30日以内に届け出なくてはなりません。
届け出によって資格の登録はいったん取り消されますが、取得した資格自体が失われるわけではないので再度試験を受ける必要はありません。
自己破産の手続きが終われば再度登録申請が可能です。
自己破産によって制限される職業・資格について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
官報に掲載される
自己破産をすると、官報に自己破産をした事実と、氏名・住所が掲載されます。
官報とは、国の広報紙のようなもので、法令や政府情報を国民に伝えています。
官報に掲載されることによって、自己破産をしたことが広く知られるという心配をする人もいるでしょう。
官報は誰でも見ることができますが、かといって普段から多くの人が見ているわけではありません。
官報を見ているのは区役所などの税金担当者や、金融機関・信用情報機関で働く人など、仕事で関わりのあるごく一部の人々です。
官報はほぼ毎日発行され、日本全国の内容が掲載されています。破産だけに限っても年間数万件が掲載されており、その中から探し出される可能性は極めて小さいといえます。
官報が掲載されるタイミングについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
手続き中は引越しや海外旅行・渡航などが自由にできなくなる
破産開始決定の際に、裁判所から「管財事件」と判断された場合は、海外旅行を制限されます。
管財事件とは、自己破産の手続きを申し立てた人に一定額以上の財産がある場合に、その財産を換金して債権者に配当する破産手続きのことです。
引っ越しについても、管財事件と判断された場合は裁判所の許可を得る必要があります。財産調査のため、および財産隠しをさせないための措置で、引っ越しする際には妥当な理由を求められます。
自己破産の手続きが終わり、免責が確定すれば海外旅行は自由に行えます。
自己破産の手続き期間中に引越しや海外旅行をするときは、裁判所の許可を得る必要があります。(基本的には承諾されます。)
自己破産による海外旅行の制限について詳しくは、以下の記事をご覧下さい。
奨学金の返済は厳しいけど親に迷惑をかけたくない…自己破産以外の2つの解決方法
自己破産以外にも、奨学金の返済不能を解決する方法はあります。
自己破産は借金を帳消しにするという大きなメリットがありますが、今まで見てきたように、リスクやデメリットもあります。
自己破産以外の解決方法には以下のようなものがあるので、ここで紹介します。
- 日本学生支援機構に相談
- 他の債務整理を行う
奨学金のみ返済が困難なケース:日本学生支援機構に相談する
奨学金制度を運営している日本学生支援機構は、返済に苦しむ人へのセーフティネットとして、以下の3つの制度を設けています。
- 月々の返還金額を減らす「減額返還制度」
- 一定期間返済を先送りできる「返還期限猶予制度」
- 死亡または精神・身体障害による「返還免除」
この後で詳しく解説していきます。
減額返還制度を利用し毎月の返済額を減らす
「減額返還制度」は 月々の返済額を2分の1、または3分の1に減額できる制度です。
1回の申請で1年間の減額が可能となり、最長15年(180ヶ月)まで利用できます。
具体的には、以下のような形で返済を延ばすことが可能です。
- 2分の1に減額した場合→6ヶ月分の返還月額を12ヶ月で返還
- 3分の1に減額した場合→4ヶ月分の返還月額を12ヶ月で返還
月々の返済金額を抑えて返済期間が長くなる制度のため、利息を含めた返済総額は変わりません。
原則として年収325万円以下であれば申し込むことはできますが、延滞があると利用できないので注意しましょう。
返還期限猶予制度を利用し返還を待ってもらう
「返還期限猶予制度」は、 返還を先延ばしできる制度です。月々の返済額は変わりませんが、一時的に返済を猶予してもらうことができます。
これは、減額返還制度の利用が困難な場合に利用できます。
1回の申請につき1年間の猶予となり、通算10年(120ヶ月)まで返還期限を延長できます。
「返還期限猶予制度」では、延滞金が発生している人でも、傷病や生活保護受給中などの理由で返還が難しい場合は、申請によって返還期限猶予が適用されることがあります。
猶予期間中の利息や保証料、延滞金などはかからないので、返済期間が延びても返済総額が増えることはありません。
原則として年収300万円以下であれば申請可能です。
精神もしくは身体の障害で働けなくなったときは返還免除を申請する
完全に返済ができなくなった際に、 特定の事情があれば「返還免除」が認められることがあります。
具体的な条件は以下のとおりです。
- 奨学生本人が死亡して返還ができなくなった場合
- 精神・身体障害によって労働能力を喪失、または労働能力が著しく制限され返還ができなくなった場合
これらに該当する場合は、未返済額の一部、または全部の返還が免除されます。
奨学金以外にも借金があるケース:他の債務整理を行う
奨学金以外にも借金がある場合、他の借金問題を解決することで、奨学金が返済できるようになることがあります。
債務整理の手続きの中から、事情に合ったものを選んで行うことで、問題を解決することができます。
この後で詳しく解決していくので、見ていきましょう。
- 任意整理:将来利息のカットや月々の返済額の見直しなどを、債権者(奨学金の場合は日本学生支援機構)と直接交渉する方法
- 個人再生:裁判所を介して利息と遅延損害金がカットされた元金を原則5分の1に減額し、3~5年で分割返済する方法
債務整理については以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理で奨学金以外の借金の利息を減額する
任意整理とは、将来利息のカットや月々の返済額の見直しなどを、債権者(奨学金の場合は日本学生支援機構など)と直接交渉する方法です。

本人が交渉することもできますが、経験豊富な弁護士に依頼することで、よりスムーズに目的を達成することができます。
任意整理は一般的な債務問題の解決には有効な方法ですが、奨学金の債務整理にはあまり向きません。
まず、日本学生支援機構は任意整理の交渉には応じないといわれています。
そのうえ、仮に日本学生支援機構が任意整理に応じたとしても、借金の条件が長期・低金利(上限金利は年率3%)であるため、利息がカットされたところで借金減額のメリットはわずかなものです。
返済額がさほど減らないのです。
また、人的保証の場合は連帯保証人や保証人に請求されてしまいます。
任意整理は債務整理する借金を選べるので、奨学金以外の借金を整理すれば奨学金は返済できる、というようなケースで利用するとよいでしょう。
任意整理については以下の記事で詳しく解説しています。
個人再生で借金を5分の1~10分の1程度に減額する
個人再生は裁判所を介する債務整理の手続きです。
利息と遅延損害金をカットして、借金を原則5分の1に減額し、3~5年で分割返済する形となります。

借金そのものを減らすので、支払う利息の減額にもつながります。
住宅ローンだけを「個人再生」の対象から外せる「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」があるため、住宅ローン返済中の家を手元に残すことができます。
個人再生の住宅ローン特則については以下の記事で詳しく解説しています。
一方で、自己破産と同様に、人的保証では連帯保証人や保証人に残額が一括請求されてしまうデメリットもあります。
個人再生は、家や車を手放したくない場合に検討すべき手続きといえるでしょう。
個人再生については以下の記事で詳しく解説しています。
奨学金返済の解決方法に迷う際は、法律の専門家である弁護士・司法書士に相談をしてみましょう。
たとえば奨学金以外にも借金がある場合、奨学金の救済措置と任意整理を併用して返済負担を減らすなど、状況に合った解決方法を提案してもらえる可能性があります。
多くの弁護士・司法書士事務所では、無料相談窓口を設置していますので、利用を検討してみてください。
自己破産と奨学金に関するよくある質問
ここでは自己破産と奨学金に関して、よくある質問に回答します。
過去に親が自己破産していても子どもは奨学金を借りられる?
過去に親が自己破産していても、子どもが奨学金を借りることは可能です。
日本学生支援機構には、家庭の事情が急変した際に申し込める「緊急採用(第一種奨学金)」「応急採用(第二種奨学金)」という制度があります。
この2つの制度を申し込める要件は、以下のように定められています。
失職・破産・事故・病気・死亡もしくは火災・風水害等の災害等又は学校の廃止によりやむを得ず他の学校に入学することで修学に要する費用が増加したことにより家計が急変し、緊急に奨学金が必要となったと認められ、家計急変の事由が発生してから12か月以内である者。
(参照元:日本学生支援機構「被災・家計急変時の第一種奨学金(緊急採用)」)
第一種が無利子、第二種が有利子であり、その他の成績などの条件も通常の奨学金と同様です。
要件に該当するか不安であれば、日本学生支援機構に問い合わせてみましょう。
問い合わせ先:日本学生支援機構「奨学金に関するお問い合わせ」
奨学金の連帯保証人が死亡したら返済義務はどうなる?
奨学金の連帯保証人(おもに両親)が死亡した場合は、相続放棄をしないかぎり、債務者本人が相続人となります。
この場合、債務者本人は、保証人としての義務は相続されません(消滅します)。
しかし、他にも相続人がいる場合は、保証人の地位が相続され、法定相続分に従って保証人の義務も相続することになります。
たとえば、母はすでに亡くなっていて父が連帯保証人で、相続人が債務者本人と弟であるとします。
この場合、法定相続分は2分の1ずつです。相続が発生した場合、本人の保証人の地位は混同となりますが、残りの2分の1については弟が相続します。
この場合、奨学金の残債務が300万円あるとすると、連帯保証人の地位を相続した弟は150万円の支払い義務を負うことになります。
生活保護受給中に自己破産をして奨学金の返済を免責できる?
生活保護を受けている場合でも、自己破産をすることは可能です。
生活保護を受けながら自己破産をする場合、法テラス(日本司法支援センター)を利用すれば自己破産の費用が免除される制度があります。
裁判所にかかる費用と、弁護士のような専門家に払う費用が免除される可能性があるのです。
なお、生活保護費で借金の返済をすることはできません。生活保護を早々にストップできる見込みがある場合は「減額返還制度」「返還期限猶予制度」を利用する手があります。
精神・身体障害の場合は「返還免除」も検討できます。
それ以外のケースでは、自己破産をして奨学金を含むすべての借金を帳消しにすることが望ましいでしょう。
自己破産と生活保護については以下の記事で詳しく解説しています。
- 奨学金の返済が難しい場合、以下の条件を満たすことで自己破産をすることが可能です。
・支払不能状態と認められること
・免責不許可事由に該当しないこと - 奨学金の人的保証では親が連帯保証人人となっていることが多いため、自己破産をする場合は、親に一括請求されることになります。注意しましょう。
- 自己破産は、親への影響以外にも、以下のようなデメリットがあります。
・信用情報機関に事故情報が登録される
・家や車など高額の財産を失う
・職業制限がかかる
・官報に掲載される
・手続き中は引越しや海外旅行・渡航などが自由にできなくなる - 奨学金返済の解決方法は、自己破産だけではありません。日本学生支援機構が用意している救済制度や、自己破産以外の債務整理(任意整理、個人再生)の利用を検討することもできます。
- どのような解決方法をとるべきか判断に迷ったときは、法律の専門家である弁護士・司法書士に相談してみましょう。
相談無料 全国対応 24時間受付対応
- 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
- 今お金がなくても依頼可能!
- 相談は何度でも無料
- 最短即日!返済ストップ