自己破産にメリットしかないのは誤解!デメリットや個人再生との違い

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自己破産がメリットばかりって本当なの?

自己破産とは、裁判所に返済不能を認めてもらって借金の免責を受ける「債務整理」の方法の一つで、メリットには以下のようなものがあります。

  • 免責許可がおりると原則すべての借金の支払いが免除される
  • 生活保護受給者や無職でも手続きができる
  • 債権者からの督促・取り立てを止められる
  • 給与などの差押えを止められる
  • 生活に必要な財産や自己破産後に得た財産は手元に残せる
  • 解雇されたり戸籍に影響が出たりすることはない

しかし、自己破産には一定額以上の財産を失う、官報に個人情報が載るなどのデメリットがあるほか、できる条件も限られています

自己破産はメリットばかり・メリットしかない」もしくは「自己破産はした者勝ち」というのは、誤解といわざるをえません。

状況によっては任意整理や個人再生という自己破産以外の債務整理の方法を検討した方がよいケースもあるので、自己破産を検討しているなら、一度、弁護士事務所の無料相談でアドバイスをしてもらうのがよいでしょう。

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目次

自己破産はメリットだらけ?おもなメリットは6つ

自己破産はメリットだらけとは断言できませんが、自己破産をすることには以下のようなメリットがあります。

  • 免責がおりると原則すべての借金の支払いが免除される
  • 生活保護受給者や無職でも手続きができる
  • 貸金業者などの債権者による督促・取り立てを止められる
  • 給与などの差押えを止められる
  • 生活に必要な財産や自己破産後に得た財産は手元に残せる
  • 解雇されたり戸籍に影響が出たりすることはない

それぞれについて解説します。

自己破産については、以下の記事で詳しく解説しています。

免責許可がおりると原則すべての借金の支払いが免除される

自己破産を申請し、裁判所が免責許可を決定すれば、ほぼすべての借金が免責されます。

自己破産の免責とは、借金の支払い義務が免除されるということです。

つまりは、自己破産手続き後は借金を返済しなくて済むわけですから、自己破産の最大のメリットだといえるでしょう。

免責の効力について定めた破産法の条文は以下のとおりです。

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第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
一 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
四 次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
七 罰金等の請求権
2 免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。
3 免責許可の決定が確定した場合において、破産債権者表があるときは、裁判所書記官は、これに免責許可の決定が確定した旨を記載しなければならない。
4 第一項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての同項の規定による免責の効力は、租税条約等実施特例法第十一条第一項の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。

出典:破産法 _ e-Gov法令検索

自己破産の免責については、以下の記事で詳しく解説しています。

生活保護受給者や無職でも手続きができる

自己破産は生活保護を受給している、あるいは失業中で無収入であっても、申請することが可能です。

また、自己破産は費用が発生しますが、法テラス(※)に相談すれば、生活保護を受給中の人・生活保護受給を検討する状況にある人は自己破産手続きにかかる弁護士費用を建て替えてもらえます。

自己破産後、まだ生活保護を受給している場合、立替金の返済が免除されます。

(※)日本司法支援センターの通称。国が運営する法律問題解決のための相談窓口で、全国の都道府県に計100か所以上、同事務所があります。

参考:生活保護を受給していない方の償還免除申請について|法テラス

生活保護受給者の自己破産については、以下の記事で詳しく解説しています。

貸金業者などの債権者による督促・取り立てを止められる

自己破産の手続きを弁護士などの法律の専門家に依頼すると、弁護士などから貸金業者や債権回収業者などの各債権者へ「受任通知」が送付されます。

受任通知(または「介入通知」「債務整理開始通知」)は、弁護士が債務者の代理人として債務整理を行うことを各債権者に知らせる通知です。

受任通知が送付されると、債権者からの取り立て、督促が停止される法的効果を生じます貸金業法第21条)。

貸金業者などからの電話やFAX、郵便、あるいは直接自宅に訪問するといった行為がなくなるため、生活の安定を取り戻しやすくなるでしょう。

受任通知については、以下の記事で詳しく解説しています。

給与などの差押えを止められる

自己破産を申し立て、裁判所が破産手続開始を決定した段階で、給与などへの差押えを含む強制執行は中止されます。

これを定めた破産法の条文は以下のとおりです。

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(他の手続の失効等)
第四十二条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。
2 前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

出典:破産法 _ e-Gov法令検索

生活に必要な財産や自己破産後に得た財産は手元に残せる

自己破産では、借金の清算を目的に、債務者(お金を借りた側)が所有する一定以上の価値のある財産は回収され、債権者に配当されます

しかし、すべての財産を失うわけではありません。
自己破産は、債務者の経済的再起が目的ですから、生活の立て直しに必要な財産は手元に置いておくことが可能なのです。

この財産のことを「自由財産」といい、具体的には以下のようなものが該当します。

  • 99万円以下の現金
  • 自己破産の手続き後に得た財産(新得財産)
  • 法律で差押えが禁止されている財産(差押禁止財産(※))
  • 自由財産の拡張きをへて裁判所に所持を認められた財産

(※)生活に不可欠な衣服、寝具、家具、債務者の業務に欠かせない器具など

自由財産については、以下の記事で詳しく解説しています。

解雇されたり戸籍に影響が出たりすることはない

自己破産をしたという理由で勤務先から解雇されることはありません

解雇には客観的で合理的な理由が必要です。自己破産という私的な理由で解雇することは、不当解雇に当たります。

また、戸籍や住民票に自己破産の事実が記載されることもありません

選挙権についても、満18歳以上のすべての日本国民に認められている権利です。

自己破産したからといって制限されるものではありません

自己破産での解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。

自己破産のおもなデメリット6つを紹介

自己破産にはデメリットもあり、おもなものは以下のとおりです。

  • 家や車などの高額の財産を失う
  • 信用情報機関に事故記録が残る(いわゆるブラックリストに載る状態)
  • 官報に住所・氏名が掲載される
  • 保証人・連帯保証人に影響が出る
  • 手続き中は職業や資格に制限がかかる
  • 手続き中に引っ越しや海外旅行・渡航などが自由にできなくなることもある

それぞれについて解説します。

家や車などの高額の財産を失う

自己破産をしても最低限、生活に必要な財産や自己破産後に得た財産は手元に残せますが、それ以外は回収され、債権者への返済に充てられます。

具体的には以下のような財産が回収されます。

  • 不動産、処分見込額が20万円以上の自動車、貴金属、宝飾品
  • 999万円を超える現金のうち99万円を超えた分
  • 20万円を超える価値の債権(預貯金、生命保険の解約返戻金、退職金、有価証券など)

自己破産で回収される財産については以下の記事で詳しく解説します。

信用情報機関に事故記録が残る(いわゆるブラックリストに載る状態)

自己破産の手続きをすると、期間にして5〜10年、信用情報機関に事故情報が登録されます

いわゆる「ブラックリストに載る」という状況です。

信用情報機関は、ローンやクレジットの契約、利用状況などの情報(信用情報)を集約、管理する機関であり、事故情報の登録は「信用力が失われている」ということを意味します。

したがって、その影響として、以下のようなものがあります。

  • クレジットカードが利用できない、新たにクレジットカードが作れない
  • ローンやキャッシングなど、新たな借り入れができない
  • 他人の借金の保証人になれない
  • スマホの分割払いが利用できない場合がある
  • 賃貸住宅への入居を断られる可能性がある

いわゆるブラックリストについては、以下の記事で詳しく解説しています。

官報に住所・氏名が掲載される

自己破産をすると官報に住所・氏名などの個人情報が載ります

「官報」とは、国が発行する機関紙で、ほぼ毎日発行される冊子(印刷物とWeb版がある)のことです。

法律や政令の制定、改正の情報の他、破産や相続に関する裁判所の裁判内容や決定事項などが掲載されます。

自己破産によって掲載される内容は、自己破産をした事実と破産者の氏名、住所となります。

官報は誰でも見ることができますが、一般の人が見る機会はほとんどありません

したがって、官報に掲載されたからといって、広く周囲に自己破産をしたことが知られる可能性は低いといえるでしょう。

ただし、金融機関の一定の部署の職員や不動産業者、さらには名簿業者、ヤミ金業者などは、官報を見る機会があり、自己破産したことを知られる可能性はゼロではありません。

官報については、以下の記事で詳しく解説しています。

保証人・連帯保証人に影響が出る

自己破産をすると、返済能力を失った債務者に代わり、保証人・連帯保証人に返済義務が生じます

さらに、一般的には、債権者は保証人や連帯保証人に対しては借金の返済を一括で請求します。

なぜなら、自己破産手続きをとることで「期限の利益」が失われてしまうからです。

期限の利益とは「借金は約束の期日までに分割返済すればよい」とする債務者の権利ですが、自己破産の手続きをすることで喪失してしまうのです(民法第137条)。

期限の利益については、以下の記事で詳しく解説しています。

手続き中は職業や資格に制限がかかる

裁判所において自己破産の手続きが開始されると、一定の資格の利用や、職業への就業が制限されます。

資格制限の対象となる資格、職業としては以下のようなものがあります。

資格制限の対象となる資格、職業の例

弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、警備員、宅地建物取引士、旅行業者、証券会社外務員、不動産鑑定士、土地家屋調査士、生命保険募集人、建設業者(※)、風俗営業者(※)、商品取引所会員、有価証券投資顧問業者、質屋など。

(※)雇われている場合は対象外

ただし、免責が許可され、自己破産の手続きが終了すれば、資格制限は解かれ、復職や就職が可能となります。これを「復権」といいます。

自己破産での職業・資格制限については、以下の記事で詳しく解説しています。

手続き中に引っ越しや海外旅行・渡航などが自由にできなくなることもある

自己破産では、手続き開始から手続き終了となるまで、引越しや海外旅行についての制限を受ける場合があります。

自己破産の手続きには「同時廃止事件」と「管財事件」および「少額管財」と呼ばれる種類があり、管財事件および少額管財の場合、この制限がかかります

同時廃止事件・管財事件・少額管財とは?
  • 同時廃止事件
  • 債務者に「財産がないのが明らか」および「免責不許可事由の疑いがない」場合に適用される手続き。

  • 管財事件
  • 債務者が「清算できる財産を所有している」および「免責不許可事由に当てはまっている疑いがある」場合に適用される手続き。「破産管財人」が選出され、債務者の財産や借金の経緯などを調査する。

  • 少額管財
  • 本来管財事件になる場合であっても、弁護士が申立人の代理人としてついている場合に適応される、一部の裁判所のみで採用されている手続き。「破産管財人」による調査が簡単に済むため、かかる費用や期間は管財事件より抑えられる。

同時廃止事件と管財事件の違いは以下の記事で解説しています。

手続きが同時廃止となった場合、引っ越しも海外旅行も制限は受けません(※)。

対して、管財事件、少額管財の手続きとなった場合、免責許可決定確定までに破産管財人が債務について直接確認する面談や債権者集会などがあります。

この間、裁判所や破産管財人は破産を申し立てた債務者といつでも連絡をとれるようにしておく必要があるため、海外旅行や引っ越しなどの際には裁判所の許可が必要となります。

ただし、正当な理由があれば、裁判所の許可を得ることは可能であり、自己破産の手続き前、あるいは手続き終了後であれば、裁判所の許可なく旅行・引っ越しが可能です。

(※)同時廃止事件の場合でも、自己破産の手続きの期間中に住民票を移動した場合、変更した旨を裁判所に報告しなくてはなりません。

自己破産による海外旅行の制限について以下の記事で詳しく解説しています。

自己破産にメリットしかないのは嘘!誰でも・何でも支払い免除されるわけではない

自己破産は、ほぼすべての借金を返さなくて済む、法的な救済措置です。

自己破産のメリットとデメリットを比較し「財産がない状態なら、自己破産はどんな借金でもチャラにできて都合が良い方法なのでは?」と感じるかもしれません。

しかし、自己破産は誰でも、どんな状況でも、どんなものでも支払い義務がなくなるというものではありません

ここでは、以下のような注意点について解説します。

  • 自力で借金を返せる状態での自己破産は認められない
  • ギャンブルや浪費・株の投資での借金では自己破産が認められないことも
  • 個人間の借金などは思わぬトラブルにつながることもある
  • 慰謝料などは免責されないケースがある
  • 裁判所費用や弁護士費用がかかる

自力で借金を返せる状態での自己破産は認められない

自己破産を行うには条件があり、その一つは「支払不能な状態である」ことです(破産法第2条11項)。

これを判断するのは、債務者ではなく裁判所となります。

裁判所は債務者の借入総額や毎月の返済額、収入や家族構成、年齢、財産総額や生活費などの情報を精査し、総合的かつ客観的に返済能力を判断します。

その結果、以下のような事項が認められる必要があります。

  • 財産などを含み、支払い能力がないこと
  • 将来的な増収の見込みがなく、支払不能状態が続くこと
  • すでに返済期日が来ている借金の返済も不可能であること

したがって、たとえば失業して収入を得られない状況でも、一定の預貯金があり、返済の見通しが立つと判断されれば、自己破産は認められない可能性が高いでしょう。

今は収入が少なくとも、近い将来大きな収入が見込めると判断された場合も同様です。

ギャンブルや浪費・株の投資での借金では自己破産が認められないことも

借金の返済がきびしくても、ギャンブルなどがその原因だと、自己破産が認められない場合があります

ギャンブルや浪費、株式投資やFXなどによる多額の借金は、「免責不許可事由」に該当する可能性があるからです。

免責不許可事由とは、自己破産において借金の免責(返済義務の免除)が認められない事項のことです(破産法第252条1項)。

ギャンブルによる借金以外にも、以下のような行為が該当します。

  • 財産がありながらそれを隠したり、他人に財産を贈与した
  • 返済において、一定の債権者を優遇した
  • 返済できないとわかって借金をした
  • クレジットカードの現金化などで不当に借金を負った
  • 自己破産の手続きで、不正や非協力的な行動をした

ただし、免責不許可事由であっても、裁判所の判断で免責が認められるケースもあります(裁量免責と呼ばれます)。

裁量免責も含め、実際に自己破産が認められるかどうかについては、弁護士に相談するとよいでしょう

免責不許可事由については、以下の記事で詳しく解説しています。

個人間の借金などがあると思わぬトラブルにつながることもある

自己破産は裁判所を介した法的手続きですが、債権者側からすると「もうお金を返しません」と宣言される手続きでもあります。

そのため、個人間の借金がある状態で自己破産する場合などは、思わぬトラブルが起きる可能性があります。

個人間の借金も債務整理が可能で、自己破産の対象とすることは可能ですが、債権者との人間関係にヒビが入ることは避けられないでしょう。

また、弁護士を通じて自己破産を行うときに債権者に送られる「受任通知」によっても、個人からの取り立ては法的に禁止されません

受任通知が債権者からの督促、取り立てを止める法的効力は貸金業法に基づいており、基本的に債権者が金融機関である場合のためです。

つまり、自己破産の手続きを開始しても、個人から取り立てが続くケースが考えられます

取り立て行為が常識の範囲を超えている場合は、裁判所に申し出て「接近禁止命令」を出してもらうことが、取り立てを抑える、一つの選択肢となります。

個人間の借金では偏頗(へんぱ)弁済にも注意

債権者が複数いる場合、知人や友人、お世話になった人の借金だけを自己破産の前に返済することは避けましょう。

債務者が特定の債権者にだけ返済すると「偏頗弁済」に該当するとされ、最悪自己破産の免責にも影響が出かねません。

自己破産では、すべての債権者を平等に扱うことがルールとして定められているのです(債権者平等の原則)。

対策としては、自己破産をしても返済をすることは禁じられていないため、債務整理前に知人等に事情を説明し「債権放棄通知書(※)」を提出してもらい、自己破産後、あらためて個人的に借金を返済するという方法が考えられます。

(※)債権者が債権の一部またはすべてを放棄することを「債権放棄」といいます。債権放棄は書面で通知することが定められていて、債権者が「債権放棄通知書」を作成し、内容証明郵便で債務者に送ることが一般的です。

偏波弁済については以下の記事で解説しています。

個人間の借金の債務整理については以下の記事で詳しく解説しています。

税金や一部の慰謝料などは免責されない

自己破産をしても「非免責債権」と呼ばれる一部の支払いは支払い免除にはなりません。

非免責債権には、以下のようなものがあります。

  • 所得税・住民税
  • 国民健康保険料・介護保険料
  • 子どもの養育費
  • 害意による行為に基づく損害賠償金や慰謝料(飲酒運転などによる交通事故の損害賠償金、DVやハラスメントによる慰謝料 など)
  • 従業員の給料

このような税金や一部の慰謝料などについては、自己破産後も支払いが続くのです。

非免責債権については、以下の記事で詳しく解説しています。

裁判所費用や弁護士費用がかかる

自己破産の手続きを行う際には、原則として以下のことが必要です。

  • 弁護士に手続きを依頼する
  • 裁判所に申立てをして免責許可をもらう

そのため、自己破産には弁護士費用裁判所費用がかかります。

自己破産にはいくつか手続きの種類があり、以下の表のようにかかる費用も異なるのが一般的です(手続きの種類は上で解説しています)。

同時廃止事件の場合 管財事件の場合 少額管財事件の場合
裁判所への費用 約1~3万円 約50万円 約20万円
弁護士への費用 約30〜50万円 約30〜80万円 約30〜60万円
総額 約30~50万円 約80~130万円 約50~80万円

どの手続きになるかは、財産の有無や借金の経緯・事情などによって裁判所が判断するため、債務者自身が想定する以上の費用がかかってしまう可能性があります。

自己破産の費用については、以下の記事で詳しく解説しています。

自己破産よりメリットがあることも?個人再生・任意整理とは

借金の返済を解決する方法が債務整理であり、自己破産以外に「任意整理」と「個人再生」と呼ばれる方法もあります。

債務整理

ともに、借金の返済は継続するという点で、自己破産とは大きく異なります

借金返済で悩んでいる人にとっては、そこが任意整理や個人再生のデメリットと映ることもあるでしょう。

しかし、自己破産は自宅などの財産を失うことも含めた生活への影響は決して小さくありません

逆に、そういった影響を小さくできる任意整理や個人再生を選択する方が、結果的に望ましいケースもあるのです。

自己破産と任意整理、個人再生のおもな違いは以下の表のとおりです。

自己破産 任意整理 個人再生
減額幅 原則、全額支払いが免除される おもにこれから払う利息分のカットを図る 1/5~1/10程度に圧縮を図る
(100万円未満には圧縮できない)
裁判所を介した手続き 必要 必要ない 必要
かかる費用 30〜130万円程度 債権者1社につき5〜15万円程度 50~90万円程度
かかる期間 6ヶ月〜1年3ヶ月程度 3〜6ヶ月程度 1年~1年半程度
返済期間 原則返済なし 3年(最長5年) 3~5年
できる条件 ・支払い不能であること
・借金の理由、経緯に問題がないこと
利息などのカット後の金額を3〜5年で返せる見込みがあること ・借金総額(住宅ローンを除く)が5,000万円以下であること
・このままでは支払い不能となる可能性があるが、減額後の借金の返済の見込みはあること(※)

※「継続的な収入を得ていて、その収入が給与で安定していて変動が小さいこと」「過去7年以内に、自己破産や給与所得者等再生を行っていないこと」も条件となることもある

債務整理については以下の記事で詳しく解説しています。

個人再生では住宅ローンがあっても家が残せるケースも

個人再生は、裁判所に申立てをして、再生計画の認可を受けることで、借金を1/5〜1/10程度に減額してもらう手続きです。

個人再生のイメージ

そのおもなメリット、デメリットは以下のとおりです。

メリット
  • 減額幅が大きく、原則3年(最長5年)で無理のない分割返済が可能
  • 住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用することで家を手元に残せる
  • 車もローンを完済していれば手元に残せる
  • 差押えを止められる
  • ギャンブルや浪費が原因の借金でも減額が可能
デメリット
  • 返済が続くため、定期的・継続的な収入が必要となる
  • 信用情報機関に事故情報が記録される(いわゆるブラックリストに載る状態)
  • 「官報」に個人情報が掲載される
  • 保証人がいる場合、一括返済を迫られる
  • 手続きが複雑で、要する期間も長い

個人再生については、以下の記事で詳しく解説しています。

任意整理は財産や保証人への影響を抑えられる

任意整理は、裁判所を介さず、債権者との交渉により、おもに今後発生する利息(将来利息)分などの支払いを減額、カットしてもらい、返済期間を3〜5年程度に再設定する方法です。

おもなメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット
  • 対象となる借金を選べるため、保証人付きの借金を対象から外すことで影響を抑えられる
  • 返済中のローンを対象から外せば家や車など財産を残せる
  • 家族や周囲に任意整理をしたことがバレにくい
  • ギャンブルや浪費が原因の借金でも減額が可能
デメリット
  • 比較的支払いの減額幅は小さく、返済が続く
  • 信用情報機関に事故情報が記録される(いわゆるブラックリストに載る状態)
  • 私的交渉のため、差押えなどは止められない
  • 債権者が交渉を受け入れない場合など、任意整理そのものができないケースがある

任意整理については、以下の記事で詳しく解説しています。

自己破産すべきか考えたらまずは弁護士に相談しよう

自己破産は「借金の支払い義務がなくなる」という大きなメリットがある反面、自宅を含め一定以上の価値がある財産を失うなど、大きなデメリットもあります。

さらに、返済能力や借金の経緯によっては、自己破産は認められないケースもあります。

借金を返済する能力、収入があるなら、財産を失わずに済む任意整理や個人再生を選ぶ方がベターなこともあります。

「自己破産しかない」という思い込みで自ら手続きを進めると、思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。

しかし、どのような債務整理が自分に適しているのかを判断するのは、なかなか難しいもの。

その場合、専門家である弁護士に相談し、適した方法を選ぶことは有効な方法といえるでしょう。

弁護士法人・響では、無料相談で弁護士からのアドバイスを受けられます

まとめ
  • 自己破産は、以下のようなメリットのある債務整理の手続きです。
    ・免責がおりると原則すべての借金の支払いが免除される
    ・生活保護受給者や無職でも手続きができる
    ・貸金業者などの債権者による督促・取り立てを止められる
    ・給与などの差押えを止められる
    ・生活に必要な財産や自己破産後に得た財産は手元に残せる
    ・解雇されたり戸籍に影響が出たりすることはない
  • 借金返済に困っている状態では「自己破産はメリットしかない!」と思ってしまうかもしれませんが、これは誤解です。借金の減額幅が大きい分、自己破産には以下のような大きなデメリットもあります。
    ・家や車などの高額の財産を失う
    ・信用情報機関に事故記録が残る(いわゆるブラックリストに載る状態)
    ・官報に住所・氏名が掲載される
    ・保証人・連帯保証人に影響が出る
    ・手続き中は職業や資格に制限がかかる
    ・手続き中に引っ越しや海外旅行・渡航などが自由にできなくなることもある
  • また、自己破産は借金があれば誰でもできるわけではありません。トラブルが起きるケースもあるので、以下のような点にも注意しておきましょう。
    ・自力で借金を返せる状態での自己破産は認められない
    ・ギャンブルや浪費・株の投資での借金では自己破産が認められないことも
    ・個人間の借金などは思わぬトラブルにつながることもある
    ・慰謝料などは免責されないケースがある
    ・裁判所費用や弁護士費用がかかる
  • 借金の返済に疲れていれば、つい自己破産のメリットばかりが目につくかもしれません。
    専門的な知識がない状態では、「任意整理」「個人再生」など他の方法を選ぶのも難しいことが多いでしょう。
  • 自分に自己破産が適しているか疑問に思ったら、債務整理の知識、実務経験が豊富な弁護士からアドバイスを受けてみるのも有効かもしれません。弁護士法人・響では、無料相談を実施しています。自分だけで判断してしまう前に、一度無料相談を利用してみるのはいかがでしょうか
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監修者情報
監修者:弁護士法人・響弁護士
藤田 圭介
弁護士会所属
大阪弁護士会 第57612号
出身地
兵庫県
出身大学
立命館大学法学部 立命館大学法科大学院
保有資格
弁護士・行政書士
コメント
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[実績]
43万件の問合せ・相談実績あり
[弁護士数]
43人(2023年2月時点)
[設立]
2014年(平成26年)4月1日
[拠点]
計7拠点(東京、大阪、香川、福岡、沖縄)
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