「破産手続きって具体的にどんな内容なの?」
事業経営でつくった借金が返済できないときは、破産手続きで解決することができます。
とはいえ、破産手続きがあることは知っていても、どういう手続きなのかを詳しく知らないと、不安で踏み切れないでしょう。
破産手続きで気を付けておくポイントがあれば、事前におさえておきたいですよね。
そこで今回の記事は、
・破産手続きとは何なのか
・破産手続きの流れ
・破産手続きで気を付けるべきこと
などについて解説します。
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目次
破産手続きの目的と仕組
事業経営のために膨らんでしまった借金は、自己破産によって解決が可能です。
自己破産には破産手続きと免責手続があり、それぞれ内容も目的も異なります。
まずは破産手続きがどういうものなのかを理解しておきましょう。
破産手続きとは
破産手続きとは、裁判所が選任する破産管財人の調査・管理のもと、破産者の所有する財産(換価財産)をお金に換えて、可能な範囲で返済する手続きです。
借金の返済義務を全額免除してもらえるのが自己破産のメリットですが、まずは今の資力で返済できる分だけは返済しなければならない、という趣旨の手続きです。
事業者の破産手続きと個人の破産手続きとで特に法律上の違いはありません。
事業者が破産手続きを行う場合、次のようなものが換価財産として借金返済のために処分される可能性があります。
- 現金、預金
- 土地や建物などの不動産
- 専用機器を備えた営業車
- 生命保険の解約返戻金
- 事業設備、什器、備品
- 在庫の商品や材料
- 売掛金
ただしこれらの財産が必ず処分されるわけではなく、一定の基準に基づき、生活を維持するために最低限必要な財産は守られます。
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
倒産手続きや免責手続きとの違い
自己破産には破産手続きと免責手続の2つの工程があります。
破産手続きは換価財産を処分して借金の返済に充てるという債権者保護の意味合いが強く、免責手続は返済できなくなった借金を免除してもらうという債務者保護の意味合いが強いです。
つまり、破産手続きによって手持ちの財産を手放してもらいつつ、一方では免責手続きで残りの借金返済を帳消しにしてもらう、という流れになります。
事業者の破産手続きは「倒産手続き」と表現されることもありますが、法律上は事業者も個人も同じ破産手続きをすることになります。
ただし、事業者が破産手続きを行う場合は、事業設備や契約関係などがあるため個人よりも複雑になり、破産手続きが長引くことになります。
法人の破産手続きについては以下の記事で詳しく解説しています。
自営業や個人事業主は少額管財が多い
破産手続きが開始されると、破産管財人が破産者の換価財産を調査・管理する管財事件として進められます。
自営業や個人事業主などの小規模な事業者の場合、一般的に処分できる換価財産が少ないため、通常の管財事件よりも簡易的な手続きである少額管財で行われることがほとんどです。
原則として少額管財は弁護士に破産手続きを依頼しなければ認められません。
事業者ではない個人が破産手続きを行うと、同時廃止となるケースもあります。
同時廃止とは、破産者に換価財産も権利関係もないのが明らかな場合、破産管財人が作業を行うまでもなく破産手続きを終了させることです。
同時廃止が認められるのは個人で破産手続を行う場合に限られ、事業財産や契約関係などがある事業者で認められるケースは原則としてありません。
個人事業主の自己破産手続については以下の記事で詳しく解説しています。
破産手続きの流れと管財事件・同時廃止との関係
破産手続きは弁護士などの力を借りて進めるのが一般的です。
弁護士などへの相談から、借金が帳消しとなる免責許可の決定まで、次のような流れで進みます。
・弁護士などへの相談、依頼
・申立て(破産申立て、免責申立ては同時)
・破産手続きの開始決定(個人で財産がない場合は同時廃止で手続き終了)
・裁判所が破産管財人を選任
・管財事件として財産等の調査開始
・債権者集会
・破産手続きの終了
・免責許可の決定
一般的に事業者と個人とでは所有財産の状況が異なるため、破産手続きの流れが若干異なることがあります。
事業者の場合、会社の契約書を含めた提出書類とともに裁判所に申立てをして、裁判所から認められると破産手続の開始決定となり、破産管財人による調査が始まります。
事業者ではない個人で換価財産がない場合、破産手続きの開始決定と同時に破産手続きは終了です(同時廃止)。
自営業や個人事業主は、事業用の設備機器や売掛金などの換価財産があるケースがほとんどなので、裁判所から破産管財人が選任されて管財事件として進められます。
小規模な事業者であれば、より簡易的に手続きを終えられる少額管財になり、通常の管財事件では1年以上かかる手続きの期間も、少額管財では6カ月~1年程度になります。
自己破産手続の流れは以下の記事で詳しく解説しています。
通常の管財事件となるケースとは、債権者が300件以上あるような大規模な破産手続きや、弁護士に依頼せず自分で手続きをする場合などです。
同時廃止事件と管財事件の違いは以下の記事で詳しく解説しています。
破産手続きを行う上で見落とせない7つの注意点
破産手続きを行うと、生活や家族などに少なからず影響が出てきます。
破産手続きを検討する際には、次の7つの点に注意しておきましょう。
- 自分の財産は処分される
- 連帯保証人にも請求が行く
- 従業員の給料は免責されない
- 債権者の不利益になる行動は控える
- 引越しや渡航には制限がかかる
- 郵便物は破産管財人に転送される
- 一時的に就けない職業がある
それぞれの注意点について解説します。
自分の財産は処分される
個人事業主が破産手続きをすると、事業には関係のない自分の財産も処分されます。
株式会社などの法人が破産手続きをする場合、会社はあくまでも経営者とは別の人格(法人)なので、財産は会社と経営者本人とでは別の人の所有物として扱われます。
一方、個人事業主の場合、法的には事業者=個人であるため、財産の所有が会社なのか個人のなのかを明確に区別されることはありません。
家族が所有する財産には、原則として処分対象となるような法律上の影響はありません。
ただし、破産者本人の名義となっている家や車などの換価財産は処分される可能性が高いので、共同で使用している家族への影響は避けられないでしょう。
連帯保証人にも請求が行く
破産手続きで換価財産を借金返済に充てても、なお借金が残っている場合、残額分の請求が連帯保証人に届きます。
連帯保証人は債務者本人(主債務者)と同じ責任を負っているため、債務者が破産手続きをすると、代わりに全額支払わなければなりません。
連帯保証人には迷惑をかけたくないという理由で破産手続きを踏みとどまる債務者は多いようです。
自己破産による保証人への影響は以下の記事で詳しく解説しています。
従業員の給料は免責されない
すでに発生している従業員への給料は、免責許可の対象外となり、支払わなければなりません。
従業員の給料は、借金などの債権よりも優先して支払われるので、換価財産をお金に換えると、金融業者などよりも先に給料の支払いに充てられます。
債権者の不利益になる行動は控える
破産手続きは債権者の権利を保護する主旨でつくられた制度です。
そのため、債権者の不利益になる行動を意図的に行うと免責が認められなかったり、詐欺破産罪という犯罪になったりもします。
債権者の不利益になる行動とは次のようなことです。
- 換価財産を格安で誰かに売る
- 破産手続の直前に住宅や車の名義変更をする
- 破産手続をするつもりなのに手続き直前に借金を重ねる
- 特定の債権者にだけ返済をする(偏頗弁済)
偏波弁済については以下の記事で詳しく解説しています。
引越しや渡航には制限がかかる
破産をすると、破産者は裁判所から呼ばれたらいつでも出頭に応じなければなりません。
そのため、引越し、海外渡航などには裁判所や破産管財人の許可が必要になります。
破産手続中に適用される法律なので、少額管財であれば破産手続きの開始決定から破産手続きの終了までの6カ月~1年ほどは移動制限がかかります。
自己破産時の引っ越しについては以下の記事で詳しく解説しています。
郵便物は破産管財人に転送される
破産者に届く郵便物は、財産隠しなどがないように破産管財人に転送されます。
ただし宅配業者が行うメール便などは破産管財人に転送されません。
破産管財人へ郵便物が転送される期間は裁判所によって異なりますが、遅くても破産手続きの終了までとされています。
破産管財人の調査内容については以下の記事で詳しく解説しています。
一時的に就けない職業がある
破産手続きをすると、一時的に就けなくなる職業があります。
就けなくなる代表的な職業は次のとおりです。
- 弁護士、税理士などの士業
- 警備員
- 生命保険募集人
- 旅行業務取扱管理者
これらの職業は他人のお金を預かる重要な業務であり、高い信用力を求められる立場であるため、破産手続中は就けなくなるのです。
自己破産で制限される職業については以下の記事で詳しく解説しています。
破産手続きで迷ったときに考えるポイント
破産手続きをすべきかどうかはケースバイケースなので一概には言えません。
自分では破産手続きが必要だと思っても裁判所から認められない可能性もありますし、破産手続き以外の方法で解決できる場合もあります。
破産手続きを検討した方がいいケース
例えば、次にような状況にいる場合は破産手続きを検討したほうがいいでしょう。
- 経営が悪化し、売上の不足を自己資金で補い続けている
- すでに今月の買掛金や給料の支払いが困難になっている
- 借金が残っているのに経営が上向く見込みが感じられない
事業者の場合は、雇用されている個人とは違い、勤め先からの定期収入がないばかりか、業者や従業員などへの支払いもあります。
経営が下向くと一気に資金繰りが厳しくなるため、上記のような場合は早めに破産手続きを検討したほうがいいかもしれません。
弁護士のアドバイスも参考にする
破産手続きは弁護士に相談すると適切なアドバイスが得られます。
事業者の破産手続きをたくさんサポートしてきた弁護士であれば、相談者の状況に最も適した方法で借金の悩みを解決する方法を教えてくれます。
破産手続き以外の方法でも様々な事例を解決してきているので、複雑で個人的な事情への配慮もしてくれるでしょう。
まとめ
破産手続きは自己破産の手続きのひとつで、事業者でも個人でも基本的な手続き内容は同じです。
破産手続きとは、今所有している財産を処分してお金に換え、残りの借金返済に充てるための手続きで、 借金が帳消しされるには、破産手続きだけではなく免責手続きも必要です。借金がなくなるメリットは大きいですが、その分生活への影響も大きく、事前に気を付けるべきポイントもいくつかあります。
困ったときには弁護士に相談しましょう。
事業者の場合はほぼ管財事件となりますが、弁護士に依頼すれば費用が安く済む少額管財にできる可能性があります。
まずは処分される財産がどれほどあり、破産手続でどのような影響が出てくるのかだけでも弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
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