債務整理をすると、借金問題を解決できる可能性がある一方で、生活に一定の影響が生じます。
たとえば、クレジットカードやローンが一定期間利用できなくなります。これは、債務整理をすることで、「ブラックリストに載る」からです。
また、任意整理以外の方法をとった場合は、以下のようなリスクが生じるため、家族や仕事に影響が出る可能性もあるでしょう。
- 連帯保証人が一括請求される
- 持ち家や車などの財産が処分される
- 特定の職種では手続期間中に業務ができない
この記事では、債務整理による影響やその対処法について、詳しく解説します。
債務整理による影響について不安がある方は、弁護士法人・響にご相談ください。債務整理後、なるべく生活に支障が出ないようにするためのアドバイスも可能です。ご相談は無料ですので、お気軽にお問合せください。
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目次
債務整理の方法別の影響一覧
債務整理による影響は、その方法によって異なります。
- 任意整理:債権者と直接交渉し、借金の利息のカットなどに応じてもらう方法
- 個人再生:裁判所を介して、借金の減額を認めてもらう方法
- 自己破産:裁判所を介して、借金の返済義務を免除してらもらう方法
債務整理の方法別に影響をまとめると、以下のようになります。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
借金の返済 | 利息のカットなどにより負担が減る | 返済額が1/5〜1/10程度に減額される(最低100万円まで) | 返済義務が免責される |
ブラックリストへの掲載 | 完済から5年程度 | 完済または手続開始決定から5~7年程度 | 手続開始または免責確定から5~7年程度 |
クレジットカードの利用 | ブラックリスト掲載期間中は利用できない | ||
ローンの利用 | ブラックリスト掲載期間中は利用できない | ||
住宅への影響 | 基本的になし | 残す方法がある | 原則として売却される |
車への影響 | 基本的になし | ケースによっては回収される | 原則として回収される |
家族への影響 | 連帯保証人付きの借金を債務整理すると一括請求される可能性 | ||
仕事への影響 | 基本的になし | 基本的になし | 手続期間中、制限を受ける職種も |
保険の解約 | 基本的に不要 | 基本的に不要 | 解約が必要なケースもある |
※リンクをクリック(タップ)すると、該当のトピックに移動します。
詳しい影響について、次項から一つ一つ解説していきます。
なお、上表にあるとおり、3つの債務整理で比較すると、任意整理が最も生活への影響が少ないといえます。
借金問題を抱えている方の多くが、任意整理を利用されていますが、実際にどの方法を選ぶべきかは、借金の総額や収入、財産などの状況によって異なります。
債務整理の方法を選ぶうえでの判断基準については、下記記事で詳しく解説しています。
債務整理すると借金の返済はどうなる?
債務整理をすると、借金の返済額の減額、または返済義務の免責(免除)をしてもらうことができます。
以下、債務整理の方法別に、その効果を具体的に解説します。
- 任意整理:将来利息や遅延損害金などがカットされる
- 個人再生:借金が1/5〜1/10程度に減額される(最低100万円まで)
- 自己破産:一部を除きすべての返済義務が免責される
任意整理すると将来利息や遅延損害金などがカットされる
任意整理とは、裁判所を介さず債権者(お金を貸した側)と和解交渉することで、将来利息や遅延損害金*のカット、返済スケジュールの変更などに応じてもらう方法です。
*債権者によってはカットされない場合もあります
和解契約後は、借金残額を3〜5年で分割返済することが一般的です。
任意整理は、毎月の返済負担を減らせることが一番のメリットといえます。
例として、200万円の借金(年利15.0%)を毎月定額で返済していた場合を考えてみましょう。任意整理で、元金のみを5年の分割払いで返済する場合、任意整理後の毎月の返済額は以下のようになります。
任意整理前 | 任意整理後 | |
---|---|---|
元金 | 2,000,000円 | 2,000,000円 |
利息 | 701,750円 | 0円 |
返済総額 | 2,701,750円 | 2,000,000円 |
返済期間 | 50ヶ月 | 60ヶ月 |
毎月の返済額 | 54,035円 | 33,333円 |
※あくまで概算です
利息分がカットされ、返済期間も延長されたことにより、毎月の返済額が約2万1千円減額されています。
任意整理については、下記記事で詳しく解説しています。
個人再生すると借金が最大90%まで減額される
個人再生とは、裁判所を介して返済額を1/5(80%)〜1/10(90%)程度まで減額してもらう方法です。
※最低返済額は100万円です
減額した後の残額は原則3年(最長5年)で返済することになります。
任意整理と異なり、借金の元金を減らすことができますので、返済負担をより軽減できるでしょう。
ただし、個人再生では、債務者(お金を借りた側)が返済しなければならない最低限の金額として、最低弁済額が定められています。この基準より借金が減ることはありません。
借金(債務)総額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 借金総額全部 (減額なし) |
100万円以上 500万円未満 |
100万円 |
500万円以上 1,500万円未満 |
借金総額の5分の1 |
1,500万円以上 3,000万円未満 |
300万円 |
3,000万円以上 5,000万円未満 |
借金総額の10分の1 |
※借金総額から住宅ローンを除く
個人再生については、下記記事で詳しく解説しています。
自己破産すると一部を除きすべての返済義務が免責される
自己破産とは、裁判所に返済が不可能であることを認めてもらうことで、一部を除きすべての借金の返済義務を免責(免除)してもらう方法です。
返済を続ける必要がなくなりますので、手続きによる効果は、債務整理の方法の中で最も大きいといえます。
ただし、以下の表に記載する支払いについては、免責対象外となります。これを非免責債権といいます。
項目 | 非免責債権 |
---|---|
税金 | 所得税 消費税 贈与税 相続税 市町村民税(住民税) 固定資産税 自動車税 事業税 など |
保険料 | 国民健康保険料 厚生年金保険料 国民年金保険料 雇用保険料 など |
公共料金など | 水道料金(下水道) 認可保育園の保育料 など |
これらの支払いを免責してしまうと、社会の公平性が失われ、他の納税者への負担が大きくなるといった問題が生じるからです。
なお、非免責債権は、個人再生においても減額の対象外となります。
自己破産については、下記記事で詳しく解説しています。
債務整理でブラックリストに載るとどうなる?
債務整理をすると、信用情報機関に事故情報が5〜7年程度登録されます(いわゆるブラックリストに載る状態)。
信用情報とは、クレジットカード・ローンなどの契約内容や、支払い状況(残高や滞納情報を含む)のことです。
3つの信用情報機関によって登録・管理されており、債務整理の方法によって事故情報の登録期間は異なります。
以下は、信用情報機関、債務整理の方法別に、事故情報の登録期間をまとめた表です。
信用情報機関 | 加盟している おもな業態 |
事故情報の登録期間 | ||
---|---|---|---|---|
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | ||
シー・アイ・シー(CIC) | ・クレジットカード会社 ・信販会社 ・携帯電話会社 |
完済日から5年 (代位弁済による登録) |
完済日から5年 | 破産手続開始決定日から5年 |
日本信用情報機構(JICC) | ・消費者金融 ・クレジットカード会社 ・携帯電話会社 |
完済日から5年 ※1 |
完済日から5年 ※2 |
手続き終了(免責確定)日から5年 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | ・銀行 ・信用金庫 ・信用保証協会 |
完済日から5年 (代位弁済による登録) |
手続開始決定(官報公告)日から7年 | 破産手続開始決定(官報公告)日から7年 |
※1.2019年9月30日以前の契約・借り入れでは、受任通知を債権者が受領した日から5年
※2.2019年9月30日以前の契約・借り入れでは、個人再生手続の開始決定日から5年
信用情報は、クレジットカードやローンなどの申し込みの際に、必ず照会されます。その際に事故情報が登録されていると、「返済能力がない」と判断され、基本的に審査に通りません。
つまり、信用情報に事故情報が登録されている期間中は、新規の借り入れなど信用取引ができないということです。
なお、事故情報は滞納期間が2ヶ月以上続いた場合も登録されます。そのため、現在返済不能状態になっている場合は、たとえ債務整理をしなかったとしても、登録される可能性がありますので、注意してください。
ブラックリストに載ることの影響については、下記記事で詳しく解説しています。
債務整理するとクレジットカードはどうなる?
債務整理後は、クレジットカードが最低でも5〜7年、利用できなくなります。
以下でその理由を解説します。
- 利用中のカードが強制解約される
- 5〜7年程度は新規契約ができない
利用中のクレジットカードが強制解約される
債務整理をすると、利用中のクレジットカードは原則として強制解約されます。
債務整理を弁護士に依頼すると、利用中のクレジットカード会社に受任通知が送付されます。
これにより、返済不能状態になったことが伝わると、クレジットカード会社との契約に基づき、クレジットカードが強制解約されるのです。
弁護士などが債務者の代理人として債務整理の手続きを行うことを伝える文書。債務整理を行うことの宣言になる。
任意整理の対象外のカードはしばらく利用できることも
ただし、債務整理の3つの方法のうち、任意整理をする場合は、すべてのカードが即時解約されるわけではありません。
任意整理は、裁判所を介さない債務整理の方法(私的整理)であるため、整理対象とする債権者を選ぶことができます。
たとえば複数のクレジットカードを所持している場合は、一部のクレジットカードを対象外にすることができます。このとき、対象外にした会社に任意整理の事実は伝わりません。
そのため、一定期間、解約を免れる可能性があります。
ただし 「途上与信」の際に信用情報が照会されます。実際にはそのタイミングで債務整理の事実が発覚し、強制解約されると考えておくべきでしょう。
クレジットカードを利用している会員の信用度を定期的に審査すること。中間審査とも呼ばれる。審査の際には、他社の利用状況や延滞の有無などもチェックされる。
5〜7年程度は新規契約ができない
前述したとおり、債務整理をすると事故情報が登録されます。
そのため、債務整理後は最低でも5〜7年間、審査に通らず、新しくクレジットカードを契約することはできません。
また、債務整理の対象にしたクレジットカード会社やその系列の会社では、事故情報の登録期間が終わったとしても、審査に通ることは難しいでしょう。
なぜなら、信用情報機関とは別に、クレジットカード会社が独自に顧客の事故情報を管理しているからです。
この状態は、俗に「社内ブラック」と呼ばれ、半永久的に続きます。
クレジットカードが利用できない期間中は、代替手段として以下のような決済手段を利用することもできます。
- デビットカードやプリペイドカードを利用する
- QRコード決済などのスマホ決済を使う
- 事前に保証金を預ける「デポジット型クレジットカード」を利用する
- 家族が主契約者となるクレジットカードの家族カードを作る
債務整理によるクレジットカードへの影響については、下記記事で詳しく解説しています。
債務整理するとローン契約や借り入れはどうなる?
債務整理をすると事故情報が登録されるため、最低5〜7年間は基本的に審査に通らず、新規のローン契約や借り入れはできなくなります。
また、クレジットカードの場合と同様に、債務整理の対象としたローン会社は、社内ブラックの状態となりますので、以後の利用は難しくなるでしょう。
事故情報の登録期間中に、新たに生活資金などを調達したい場合は、以下のような対処法をとる必要があります。
- 家族名義でローンを申し込む
- 「緊急小口資金」などの公的な貸付制度を利用する
債務整理をしても、本人以外の家族の信用情報には影響しません。そのため、家族名義でローンを申し込めば、審査に通る可能性はあります。
一時的に生活が困窮している場合は、「緊急小口資金」などの公的な貸付制度を利用できる可能性もあります。公的な貸付制度の多くは、連帯保証人をつけることで、無利子で利用できます。
(参考:厚生労働省生活支援特設ホームページ「生活福祉資金の特例貸付」)
なお 「ブラックリストに載っていてもお金を貸します」などとうたっている貸金業者は、法外な利息で貸付けを行う「ヤミ金」と呼ばれる業者であることが多いといえます。
思わぬトラブルに巻き込まれる原因にもなるため、利用しないようにくれぐれも気をつけてください。
債務整理によるローンへの影響については、下記記事で詳しく解説しています。
債務整理すると住宅はどうなる?
債務整理による住宅への影響は、債務整理の種類によって異なります。
- 任意整理:住宅ローンを対象から外せば影響はない
- 個人再生:住宅を残せることが多い
- 自己破産:住宅は原則売却される
以下で具体的に解説していきましょう。
任意整理では住宅ローンを対象から外せば影響はない
原則として、ローン返済中の住宅がある場合は、対象のローンを債務整理すると、住宅を手放さなければなりません。
住宅には抵当権がついています。債務整理によって今後の返済が厳しくなったと判断されれば、ローン会社によって抵当権が行使され、住宅が売却されることがほとんどです。
ただし任意整理は、整理対象を選ぶことができます。そのため、返済中の住宅ローンを整理対象から外せば、住宅を手元に残すことができます。
実際、任意整理において、住宅ローンを整理対象とするケースはほとんどありません。
個人再生では住宅を残せることが多い
個人再生の場合も、住宅を残せることが多いといえます。
下記のケースについて、それぞれ住宅が残せる理由を解説します。
- ローン返済中
- ローン完済
ローン返済中でも住宅ローン特則を利用すれば残せる
個人再生は任意整理とは異なり、特定の債務者を対象外にすることはできません。個人再生は裁判所を介する債務整理(法的整理)であり、債権者間の公平性を確保する必要があるためです。
そのため、原則的には、ローン返済中の住宅は債務整理の対象となり、売却されることになります。
ただし、「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」を利用すれば、住宅ローン返済中でも売却を回避できます。
住宅ローンを除く借金を、個人再生で減額できる制度。住宅ローンは従来どおり返済し続けることになるため、住宅が売却されることはない。
住宅ローン特則を利用するには、以下の条件を満たす必要がありますので、事前に確認しておきましょう。
- 住宅資金貸付債権(住宅ローンとしての借り入れ)であること
- 再生債務者(個人再生の申立人)が所有している住宅であること
- 再生債務者の居住用の建物であること
- 対象となる物件の床面積の2分の1以上の部分が居住用であること
ローンを完済していれば原則として残せる
ローンを完済している場合は、原則として住宅が売却されることはありません。
個人再生ではそもそも、裁判所によって債務者の財産が換価処分されることはないからです。
ただし、ローン完済済みの住宅を残すと、最低弁済額(最低限返済しなければならない金額)が増えます。
最低弁済額は、清算価値によって変動します。
ローンを完済している住宅は、ローン返済中の住宅と比べて、清算価値が高くなります。これは、ローン残高がないことにより、住宅の評価額が高くなるためです。
住宅はそもそも高額な財産となるため、借金総額よりも、最低弁済額が高くなるケースも多くなります。つまり、「個人再生をしても、借金が減額されない」という可能性があるということです。
そのため、住宅ローンを完済していて、かつ住宅を残したい場合は、任意整理を検討した方がよいでしょう。
自己破産では住宅は原則売却される
自己破産をする場合は、住宅ローンを完済しているかどうかにかかわらず、原則として住宅は売却されます。
自己破産では、申立人(債務者)の財産は換価して債権者に配当されます。そのため、生活に最低限必要な財産以外は、裁判所によって回収されることになります。
具体的には以下のような財産が回収の対象になります。
- 家などの不動産
- 車(20万円以上の価値があるもの)
- アクセサリーなどの貴金属
- 99万円を超える現金
- 20万円を超える預貯金、生命保険の解約返戻金、退職金、有価証券
など
自己破産で回収される財産については、下記記事で詳しく解説しています。
債務整理すると車はどうなる?
債務整理による車への影響も、債務整理の方法によって異なります。
- 任意整理:自動車ローンを対象から外せば影響はない
- 個人再生:自動車ローン返済中は回収される可能性が高い
- 自己破産:車は原則回収される
以下で、具体的に解説します。
任意整理では自動車ローンを対象から外せば影響はない
任意整理では、自動車ローンを完済していれば、車が回収されることはありません。
また、自動車ローン返済中であっても、債務整理の対象から外せば、回収されることなく、返済を継続できます。
実際、任意整理において自動車ローンが整理対象となることはほとんどありません。
個人再生では自動車ローン返済中は回収される可能性が高い
個人再生の場合、自動車ローンを完済しているか否かで、影響は異なります。
- ローンを完済していれば手元に残せる
- ローン返済中かつ「所有権留保」の状態であれば回収される
以下で、具体的に解説します。
ローンを完済していれば手元に残せる
自動車ローンを完済していれば、原則として車が回収されることはありません。
ローンを完済した時点で、車は契約者の財産として認められるからです。
これは、住宅ローンを利用せず、一括で購入した場合も同様です。
ただし、車の価値しだいでは、清算価値保証の原則により、個人再生後の返済額が高額になります。
そのため、返済が厳しい場合には、車を換価処分し、返済に充てることも検討しなければなりません。
ローン返済中かつ「所有権留保」の状態であれば回収される
自動車ローン返済中の場合は、注意が必要です。
車の所有権がローン会社に留保されている、つまり「所有権留保」の状態であれば、ローン会社に車が回収されるからです。
ローン返済中の車の所有権をローン会社が有し、債務者において返済ができなくなった場合の担保とすること。完済するまでの期間、車の所有権は利用者ではなく、ローン会社にある。
自動車ローンを利用する場合は、ローン契約に所有権留保が盛り込まれることがほとんどです。
ただし、銀行や信用金庫などで、「担保不要型」の自動車ローンを組んでいた場合は、所有権留保は盛り込まれていません。この場合は、回収を免れます。
個人再生による車への影響については、下記記事で詳しく解説しています。
自己破産では車は原則回収される
自己破産をする場合は、原則として車は回収されます。
住宅ローンと同様に、価値のある財産は、裁判所によって換価処分されるからです。
ただし、自動車ローン完済済みで、車の時価が20万円を下回る場合は、手元に残せる可能性があります。
これは、自由財産として見なされ、換価処分の対象外となるためです。
自己破産後も車が残るケースについては、下記記事で詳しく解説しています。
債務整理すると家族はどうなる?
債務整理をしても、家族が直接的に影響を受けることは少ないといえます。
ただし、家族が借金の保証人・連帯保証人になっているケースでは、注意が必要です。
この場合、保証人・連帯保証人付きの借金を債務整理すると、家族が債権者から一括請求を受けることになるからです。
以下、債務整理による家族への影響について、詳しく見ていきましょう。
- 債務整理の事実がバレる可能性はある
- 債務整理をしても家族が借金を肩代わりする必要はない
- 子どもの進学・就職・結婚を妨げることはない
- 家族の信用情報に事故情報が登録されることはない
- 【注意】家族が連帯保証人になっているときは一括返済の請求がくる
債務整理の事実がバレる可能性はある
債務整理をすると、その事実が家族にバレる可能性があります。
ただし、債務整理の方法によって、バレる可能性の度合いは異なります。
- 任意整理:バレる可能性は低い
- 個人再生:バレる可能性が高い
- 自己破産:バレる可能性が高い
基本的に財産を残すことができ、書類の準備も家族の協力を得ずにできるため、バレる可能性は低い。
世帯収入に関する書類作成などの際に、同居している家族の協力を得る必要があるため、バレる可能性が高い。
個人再生と同様に、書類作成にあたって、同居している家族の協力が必要。また、共有財産が回収されることもあるため、債務整理の中では、最もバレる可能性が高い。
なお、弁護士に相談すれば、手続きに関する連絡を依頼者の携帯電話、またはメールのみに限定してもらうことも可能です。弁護士は個人のプライバシーを守る義務(守秘義務)があるため、このような配慮をしてもらえるのです。
子どもの進学・就職・結婚を妨げることはない
親の債務整理が、子どもの進学や就職、結婚を妨げることは基本的にないといえます。
子どもの就学先や就職先、そして結婚が、親の債務整理によって制限されるという法的根拠はありません。
憲法上でも、個々人に教育を受ける権利、勤労の権利がありますし、婚姻は両性の合意で成立するとされています。
ただし、子どもの進学については、注意すべき点があります。
債務整理後、ブラックリストに載っている期間は「返済能力が低い」とされるため、子どもの奨学金の保証人にはなれません。
そのため、奨学金を利用する場合は、配偶者を保証人にしたり、保証人を立てずに奨学金を受給できる機関保証制度を利用したりする必要があります。
家族の信用情報に事故情報が登録されることはない
債務整理を行った本人以外の信用情報に、事故情報が登録されることはありません。
信用情報はあくまで、個人のクレジットカードやローンなどの取引情報です。事故情報が登録される際に、別個人の家族の情報にまで影響が及ぶことはありません。
そのため債務整理後も、本人の家族は問題なく、クレジットカードの利用や新規の借り入れができます。
ただし、本人と家族で、家族カードを共有している場合は注意が必要です。家族カードの主契約者が債務整理をした本人であれば、債務整理によって、家族カードが解約となるからです。
債務整理をしても家族が借金を肩代わりする必要はない
債務整理を行った場合に、 家族が借金を肩代わりさせられるということはありません。
借金の契約は、あくまでも債務者である本人と債権者の間で交わされるものだからです。
本人が債務整理したからといって、無条件に家族が金融業者から請求を受ける理由はなく、法律でも家族への請求は禁止されています(貸金業法第21条第1項第7号)。
【注意】家族が保証人・連帯保証人になっている場合は一括請求を受ける
家族が借金の保証人・連帯保証人になっている場合は、注意が必要です。
債務整理をすると、保証人・連帯保証人が債権者から一括請求を受けるからです。
債務整理をすると、債務履行が不可能であると判断され、「期限の利益」を失います。
契約によって定められた期日が到来するまでの間、債務(借金の返済や代金の支払いなど)を履行しなくてよいとする債務者の利益。保証人・連帯保証人もこの利益を有する。
期限の利益を喪失すると、保証人・連帯保証人であっても、債権者から一括返済を求められたときに断ることができません。
債権者はそのことを知っていますので、期限の利益が喪失された時点で、一括請求を行う可能性が高いといえます。
家族が一括請求を受けることを回避したい場合は、任意整理で、保証人・連帯保証人付きの借金を整理対象から外す必要があります。
債務整理すると仕事はどうなる?
債務整理によって、仕事に影響が出ることは少ないといえます。
以下でその理由を解説します。
- 債務整理が勤め先にバレるケースは限られる
- 債務整理を理由に会社から強制解雇されることはない
- 転職で不利になることも基本的にない
債務整理が勤め先にバレるケースは限られる
債務整理を行ったことが、勤め先の会社にバレる可能性は低いといえます。
バレる可能性があるのは、以下のようなケースに限られるでしょう。
- 勤め先が金融業や保険業などで、「官報」を日常的に閲覧している
- 自己破産で資格や職業に制限を受けた
- 従業員貸付などによる借金を債務整理の対象にした
- 債務整理後の返済を滞納し、勤め先に督促がきた
- 債務整理によって給与振込口座が凍結された
それぞれのケースについて、具体的に解説します。
勤め先が金融業や保険業などで、「官報」を日常的に閲覧している
自己破産や個人再生を行うと、国の機関紙である「官報」に申立人の氏名や住所が公告されます。
官報は一般の人が閲覧する媒体ではありませんが、以下のような業種で仕事をしている場合、上司や同僚が公告された内容を確認する可能性があります。
- 士業(弁護士や司法書士など)
- 金融業者
- 保険会社
- 信用情報機関の関係者
- 市や区の税務担当者
- 警備会社
など
そのため、官報を見た同僚などに債務整理の事実が知られる可能性は、ゼロとはいえません。
なお、任意整理は裁判所を介さない解決方法であるため、官報に公告されることはありません。
自己破産で資格や職業に制限を受けた
自己破産の手続きを行っている間は、一部の資格を行使したり職業に就いたりすることが制限されます。制限職種といいます。
以下のような職業に就いている場合、 一時的に仕事から離れなければなりません。
勤め先に相談する必要がありますので、その際にバレる可能性があるでしょう。
弁護士、司法書士、公証人、公認会計士、税理士、宅地建物取引士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、証券会社外務員、旅行業務取扱管理者、建設業者、生命保険募集人、商工会議所会員、有価証券投資顧問業者、一部の公務員、団体企業の役員、会社役員、警備業者、風俗営業、質屋 など
なお、個人再生や任意整理は、このような職業の制限はありません。
自己破産による制限職種については、下記記事で詳しく解説しています。
従業員貸付などによる借金を債務整理の対象にした
会社によっては福利厚生の一環として、一定の条件で貸付けを行う「従業員貸付」制度がある場合があります。
従業員貸付を利用していて、その借金を債務整理の対象にした場合は注意が必要です。
弁護士からの「受任通知」や裁判所からの連絡などが会社にいくことで、債務整理の事実がバレる可能性があるからです。
共済組合や労働組合、ろうきんといった会社に近い団体や同僚などからの借金を債務整理の対象とした場合も同様です。
ただし、任意整理でこれらの借金を整理対象から外せば、バレることは少ないでしょう。
債務整理後の返済を滞納し勤め先に督促がきた
債務整理後に返済を滞納すると、債権者から勤め先に督促が行われるケースがあります。
さらに長期間返済を滞納すると、強制執行で給与を差し押さえるために、勤め先に連絡がいく可能性が高くなります。
債権者からの連絡があれば、債務整理の事実がバレることは避けられないでしょう。
そのようなリスクを回避するためにも、債務整理後は、期日に間に合うように返済を続けていくことが大切です。
債務整理によって給与振込口座が凍結された
銀行や銀行系列の貸金業者から借金をしていて、それを債務整理の対象にすると、銀行口座が一時的に凍結されることがあります。
銀行などが少しでも債権を取り戻すために、口座に入っているお金を、借金返済に充当させるためです。
口座が凍結されると、会社は給与の振り込みができなくなります。
そうなると、勤め先に銀行などとの間でトラブルがあったと疑われ、債務整理したことがバレる可能性があります。
対処法としては債務整理を行う前に、給与の振込先を以下の口座に変えるという方法が考えられます。
- 借り入れのない金融機関の口座
- 借金の口座引き落としに使用していない口座
債務整理による口座凍結については、下記記事で詳しく解説しています。
債務整理を理由に会社から強制解雇されることはない
債務整理によって、会社から強制解雇されることは原則としてありません。
労働契約法第16条では、客観的かつ合理的な理由がなければ、雇用主は従業員を解雇できないと定められています。
債務整理はあくまで、債務者個人が経済的再生を目指すための手段であり、仕事能力や勤務態度に直接影響を与えるものではありません。
したがって、解雇理由には相当せず、もし解雇された場合は不当解雇と見なされます。
ただし、自己破産をする場合、以下のような一部の国家公務員は、失職や罷免される可能性もあります。
- 人事官
- 教育委員会の委員
- 公安審査委員会の委員
- 公正取引委員会の委員
など
また、以下のような職業では、自己破産の免責許可がおりるまで、失権となります。
- 弁護士
- 司法書士
- 公認会計士
- 社会保険労務士
など
なお、免責許可がおりた後は復権となり、資格の制限がなくなります。
自己破産で失職や失権となるケースについては、下記記事で詳しく解説しています。
転職で不利になることも基本的にない
債務整理後に転職活動を行う場合、 債務整理が理由で不利になることは基本的にはありません。
そもそも、就職・転職先に、債務整理したことを申告する必要はありません。
履歴書には「賞罰」の欄がありますが、債務整理は罰ではないため、記載も不要です。
仮にバレたとしても、債務整理を理由に雇用機会を提供しないことは、社会的地位による差別的扱いと見なされ、労働基準法に違反する可能性もあります。
(均等待遇)
第3条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
(引用元:労働基準法 | e-Gov法令検索)
そのため、債務整理後の就職・転職について、過度に悲観する必要はありません。
債務整理すると保険はどうなる?
債務整理を行うと、 解約返戻金のある生命保険に影響が生じる場合があります。
解約返戻金のある生命保険は「お金を受け取ることができる権利=債権」となるためです。
逆に、債務整理は 解約返戻金のない掛け捨ての生命保険や、損害保険などには原則影響はありません。
影響の内容は、債務整理の方法によって、以下のように異なります。
- 任意整理:債権者と交渉して減額する方法なので、生命保険に影響はない
- 個人再生:生命保険の解約返戻金は、個人の財産として計上することになるが解約の必要はない
- 自己破産:基本的に生命保険は解約して現金化し、債権者に分配する必要がある。ただし、解約返戻金が20万円以下の場合や掛け捨ての場合は、このかぎりではない
自己破産時の生命保険の扱いについては、下記記事で詳しく解説しています。
債務整理の影響について不安があれば弁護士法人・響にご相談を
債務整理をしたときの影響について、解説してきました。
生活にどのような変化があるか、家族や仕事への影響について、ある程度イメージできたかもしれません。
しかし、どのような影響があるかわかったとしても、いざ債務整理をするとなると不安を感じることもあるでしょう。
そのような場合は、弁護士法人・響にご相談ください。
債務整理による影響やその対処法について、専門の相談員がていねいに回答いたします。
また、現在の借金総額や収入、財産の状況を踏まえて、債務整理をすべきかどうか判断することも可能です。
ご相談いただいたからといって、無理に債務整理を勧めることはありませんので、ご安心ください。
債務整理が必要な場合は、なるべくリスクの少ない債務整理の方法をご提案いたします。
ご相談は24時間365日、無料で受け付けていますので、まずはお気軽にご相談ください。
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